賃上げ助成金申請、データ準備に3時間以上の負担|助成金の申請・手続きに関わる調査レポート
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この記事でわかること
- 助成金申請前のデータ準備に「1件あたり3時間以上」かかると回答した申請手続き中の担当者は68%
- 事務負担により、エンゲージメント向上や組織開発などの業務に支障を感じている人は70%
- 最も苦労する点は「散在するデータの集約作業」と「複雑な要件の理解」
目次
助成金の申請書類を揃える際には、数か月分の勤怠記録と賃金台帳を突き合わせる場面が多々発生します。こうした作業に多くの時間を費やした経験のある方も多いのではないでしょうか。
SmartHRが助成金の申請や手続きに関わる136名に実施した調査では、申請手続き中の担当者の68%がデータ準備に「1件あたり3時間以上」かかると回答しました。
本記事では調査データにもとづき、助成金申請に伴う事務負担と負担の軽減に向けて人事・労務担当者が取り組みたいことを考えます。
※出典:助成金制度の活用実態と事務工数に関する調査(調査主体:株式会社SmartHR/インターネット調査/調査期間:2026年6月23日〜6月25日/有効回答:助成金の申請・手続きに関わる136名)
※本文の数値は小数点以下を四捨五入しています。
【背景】賃上げ支援が広がるなか、高まる申請事務の負担
近年、最低賃金は引き上げ幅の大きい改定が続いています。厚生労働省の中央最低賃金審議会は2026年7月、2026年度の地域別最低賃金について、都道府県のランクに応じて54~56円引き上げる目安を答申しました。引き上げ幅は前年度の目安を下回るものの、政府は2020年代に全国平均1,500円とする目標を掲げており、最低賃金の賃上げは今後も続くと考えられます。
それに伴い、国は企業の賃上げ努力を後押しする助成金制度を拡充しています。コスト増に直面する中小企業にとって、こうした賃上げ関連の助成金の活用は重要です。
ただし申請には、過去の勤怠実績や賃金台帳など、日々の労務管理の記録を正確に整備・照合することが欠かせません。通常の業務と並行して進めるのは、人事・労務担当者にとって負担の大きい業務です。
本調査は、助成金申請に伴う事務工数の実態と、その負担が人事・労務業務に与える影響を明らかにするために実施しました。
【結果1】データ準備の負担が、対人業務の支障に
本調査では、実際に助成金の申請を行い受給した(または受給予定の)「受給済みの担当者」63名と、申請手続きを進めている・準備中の「申請手続き中の担当者」73名に分けて集計しています。ここからは主な結果をみていきます。
申請中の担当者、68%がデータ準備に1件3時間以上
助成金の申請には、過去の勤怠・賃金データの照合や書類作成といった「データ準備」が必要です。1件あたりどの程度の時間を費やしたか(または想定されるか)をたずねたところ、申請手続き中の担当者では「3時間以上」が68%(「3時間〜5時間未満」47%、「5時間以上」22%)にのぼりました。これは受給済みの担当者の40%を大きく上回ります。一方、受給済みの担当者では「わからない・計測していない」が22%でした。

※構成比は小数点以下を四捨五入しているため、内訳の合計が全体の値と一致しない場合があります。
人事・労務の70%が人材育成や組織づくりに支障
データ準備や照合の手間によって、従業員のエンゲージメント向上や教育、組織開発などの業務にどの程度支障が出ているかを人事・労務担当者(n=81)にたずねたところ、70%が支障を感じていました(内訳は「非常に大きな支障が出ている」9%、「やや支障が出ている」62%)。

※構成比は小数点以下を四捨五入しているため、内訳の合計が全体の値と一致しない場合があります。
【結果2】申請準備の難点はどこにあるか
申請準備の壁は「就業規則・賃金台帳の未整備」
申請プロセスで最も苦労する点を複数回答でたずねたところ、全体では「複数のツールや紙・表計算ソフトに散在するデータの集約作業」と「助成金の複雑な要件やルールの理解」が各40%でトップでした。
申請手続き中の担当者では「最新の就業規則や賃金台帳が正しく管理・更新されていないこと」が38%と、受給済みの担当者の21%を上回りました。

一方、受給済みの担当者では「複雑な要件やルールの理解」が48%、散在するデータの集約作業が46%と、いずれも申請手続き中の担当者を10ポイント以上、上回りました。
ノウハウの悩みトップは「他社の効率化方法を知りたい」
他社の成功事例や効率的な申請ノウハウについての悩みをみると、申請手続き中の担当者では「自社と同じ規模・業種の他社がどのように申請を効率化しているか知りたい(41%)」と「ネット上の情報だけでは実務の細かい『つまずきポイント』がわからない(38%)」が上位でした。
【結果3】申請・手続き担当者が求める解決の方向性
理想の環境は「法改正や要件に合わせた自動アップデート」49%
事務負担を軽減するために理想的だと思う環境・ツールとしては、申請手続き中の担当者では「最新の法改正や助成金要件に合わせて自動アップデートされる機能・システム」が49%で最多となり、受給済みの担当者(33%)を上回りました。
「日常的な労務データ(勤怠・給与など)の自動蓄積・一元管理」は、どちらの担当者も38%で上位に挙がりました。
一方、受給済みの担当者では「申請に必要な賃金台帳や勤怠実績のワンクリック抽出機能」(38%)が申請手続き中の担当者を10ポイント以上上回りました。

申請の壁は、日常のデータ整備にある
今回の結果からは、助成金申請の事務負担が従業員に向き合う業務に影響していること、その負担を生む背景の一端がうかがえました。
注目したいのは、申請手続き中の担当者で「最新の就業規則や賃金台帳が正しく管理・更新されていない」ことを苦労する点として挙げた割合が38%にのぼった点です。
また、申請を経験した受給済みの担当者でも「複数のツールや紙・表計算ソフトに散在するデータの集約作業」が46%と上位に挙がっています。人事・労務にまつわるデータが正確かつ、1箇所に整っていないことが、申請の前でも最中でも壁になっていると考えられます。
賃金台帳や勤怠データが日々の業務のなかで蓄積・更新されていれば、申請直前の駆け込み作業は減らせるはずです。負担を軽くするには申請のたびに整えるのではなく、必要なデータをいつでも取り出せる状態を日常から保っておくことが重要になります。
なお、同じ調査を「管理職」と「一般社員」という役割別に分析すると、それぞれが直面する課題の違いが見えてきます。役割ごとの負担を軽くする、SmartHRを活用した労務データ整備の方法とあわせて、以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。





