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パート社員の雇用保険加入条件とは?扶養内・掛け持ち・雇用条件変更時などケース別で解説

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目次
  1. パートタイム労働者も雇用保険の加入が必要
    1. パート社員の定義
  2. パート社員の雇用保険加入条件
    1. 週の所定労働時間が20時間以上の判定ポイント
    2. 31日以上の雇用見込みの判定ポイント
    3. 2028年10月法改正・適用条件は週10時間以上へ
  3. h2:パート社員で適用除外になるケース
    1. 昼間学生の場合
    2. 季節的雇用者で所定の条件を満たした場合
    3. その他(船員法の船員や代表取締役など)
  4. 【ケース別】パート社員の雇用保険加入の判断ポイント
    1. 契約変更により週の所定労働時間が20時間を超えた場合
    2. 契約変更により週の所定労働時間が20時間を下回る場合
    3. 雇用期間中に雇用見込みが31日以上になった場合
    4. 社会保険の扶養を希望した場合
    5. 税法上の扶養に入る場合
    6. 複数のパートを掛け持ちする場合
  5. パート社員の雇用保険料はいくら?計算方法と目安
    1. パート社員の雇用保険料の計算例
    2. パート社員の雇用保険料を控除するタイミング
  6. パート社員の雇用保険加入・離職手続き
    1. パート社員入社時の雇用保険加入手続き
    2. パート社員退職時の雇用保険手続き
  7. パート社員が雇用保険加入で受けられる給付例
    1. 失業手当(求職者給付)
    2. 就職促進給付
    3. 教育訓練給付
    4. 育児休業等給付
  8. パート社員の雇用保険加入のよくある質問
    1. 65歳以上のパート社員も雇用保険の対象ですか?
    2. 65歳以上のマルチジョブホルダー制度は、パート社員にも適用されますか?
  9. パート社員の雇用保険は条件を確認して適切に手続きしよう

雇用保険と聞くと、離職時の失業手当をイメージする方が多いかもしれません。しかし雇用保険には、育児で働けない期間の生活を支える育児休業給付や、被保険者のスキルアップを目的とした教育訓練給付など、さまざまな給付制度があります。

こうした給付を受けるには、雇用保険への加入が前提となります。パート社員が加入対象になるかどうか、またどのような要件を満たせばよいかは、人事・労務担当者が実務で判断に迷いやすいポイントです。

本記事では、パートの雇用保険加入条件から手続き方法、給付内容まで、人事担当者がおさえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

パートタイム労働者も雇用保険の加入が必要

パートタイム労働者(以下、パート社員)でも、所定の要件を満たせば雇用保険への加入義務が生じます。本人や企業は、任意で加入・非加入を選択できません。また、パート社員であっても雇用保険に加入していれば、失業手当や育児休業給付金などの給付を受けられる場合があります。

ここでは企業の人事担当者として、把握しておくべき加入要件について解説します。

雇用保険の全体像や各種給付の詳細は、以下の記事で紹介しています。

パート社員の定義

有期契約の従業員やパート社員の呼び方は企業によってさまざまですが、法律上の定義を確認しましょう。

「パート社員」と「有期雇用」は、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)にもとづく雇用区分です。

具体的には、以下のとおりです。

  • パートタイム労働者
    同一の事業所で働く通常の労働者と比べて、1週間の所定労働時間が短い労働者
  • 有期雇用
    事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者

なお、パートタイムと同様によく使われる「アルバイト」は、法律で明確に定義されている言葉ではありません。呼称や位置づけは企業によって異なる場合がありますが、雇用保険の適用は実際の労働条件や契約内容をもとに判断されます。

(参考)パートタイム・有期雇用労働法の概要 - 厚生労働省

パート社員の雇用保険加入条件

パート社員の雇用保険加入条件

パート社員が、雇用保険に加入するには、以下の要件をどちらも満たす必要があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である

  • 同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれる

それぞれの要件の判定で迷いやすいポイントを解説します。

週の所定労働時間が20時間以上の判定ポイント

要件の判定は、原則として雇用契約で定めた所定労働時間にもとづきます。ただし、雇用契約上の所定労働時間と実際の労働時間に乖離がある場合は、実態をもとに判断される可能性があるため、契約内容に沿った労務管理が大切です。

たとえば、業務委託やフリーランスは、週20時間以上働いても雇用契約ではないため、原則として雇用保険の加入対象外です。ただし、就業時間・就業場所の制限や、具体的な業務指示など、労働者性が認められる場合は加入義務が生じる可能性があります。

31日以上の雇用見込みの判定ポイント

31日以上の雇用見込みについては、有期雇用の場合、雇用契約で定めた契約期間と契約更新の有無がポイントになります。

仮に31日未満の雇用契約であっても、以下のいずれかのケースに該当する場合は、雇い入れ日から31日以上の雇用見込みがあると判断されます。

  • 雇用契約で定めた内容に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
  • 過去に同様の雇用契約が更新された実績がある場合

(参考)雇用保険事務手続きの手引き - 厚生労働省

2028年10月法改正・適用条件は週10時間以上へ

雇用保険法の改正により、2028年10月から「週の所定労働時間が20時間以上」という要件が「10時間以上」に緩和される予定です。

近年、多様な働き方が広がるなか、従来の「週20時間以上」という要件では雇用保険の対象外となる労働者が多く存在していました。どのような働き方を選択した場合でも、失業や育児・介護などのリスクに備えられるよう、セーフティネットを拡充することが本改正の主な趣旨です。

(出典)雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要 - 厚生労働省

総務省の統計によると、2023年時点で週10〜19時間働くパート社員は約506万人います。今回の改正により、最大約500万人が新たに雇用保険の加入対象となる見込みです。

パート社員を多く雇用している企業では、手続き面への影響が大きく、早めの準備と対応が求められます。

h2:パート社員で適用除外になるケース

パート社員であっても、要件を満たせば雇用保険に加入できますが、「週の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがある」場合でも適用除外になるケースがあります。ここでは、パート社員が適用除外になる要件を解説します。

昼間学生の場合

昼間学生は、雇用保険の加入対象外です。大学・短期大学・専修学校・高等学校など、日中に授業を受けている学生が該当します。ただし、以下の学生は週20時間以上・31日以上の雇用見込みという要件を満たせば加入対象となります。

  • 定時制・通信制課程や夜間学部に通う学生
  • 休学中の学生
  • 卒業見込証明書を有しており、卒業後も同一企業で雇用される予定の学生(内定者インターン等)

学生をパート社員やアルバイトとして雇用する場合は、学生証などを提出してもらい、雇用保険の対象となるかを確認する必要があります。

季節的雇用者で所定の条件を満たした場合

季節的に雇用される労働者で、以下のいずれかに該当する場合は雇用保険に加入できません。

  • 4か月以内の期間を定めて雇用されるもの

  • 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満のもの

季節的雇用に該当する代表的な業種は、除雪作業、スキー場・海の家などの観光業、収穫期の農業などです。季節的に雇用する労働者に該当するか迷った場合は、管轄のハローワークに確認するとよいでしょう。

なお、季節的な雇用で上記2つのいずれにも該当しない場合は、「短期雇用特例被保険者」として雇用保険に加入できる場合があります。詳細は次の記事をあわせてご覧ください。

出典:事業主・被保険者の皆さまへ令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内(厚生労働省)

その他(船員法の船員や代表取締役など)

季節的に雇用される労働者や昼間学生のほか、以下の場合も加入対象外となります。人事の実務において頻度は多くないことが想定されるため、判断に迷う場合は社会保険労務士などに相談するとよいでしょう。

  • 船員であって、特定漁船以外の漁船に乗り込むために雇用されるもの(1年を通じて雇用されるものを除く)
  • 国外で雇用されるもののうち、現地採用されたもの
  • 個人事業主と同居している親族(原則適用除外だが、事業主の指揮命令に従っているなどの要件を満たす場合は加入対象となる場合がある)
  • 法人の代表者や役員(ただし、役員でありながら労働者性が強い兼務役員は加入対象となる場合がある)

【ケース別】パート社員の雇用保険加入の判断ポイント

近年、Wワークや短時間正社員など、働き方が多様化しています。雇用保険には扶養の概念がなく、社会保険や所得税とは適用ルールが異なるため、整理が難しいと感じる方も多いでしょう。

ここでは、パート社員の雇用保険加入について、判断のポイントをケース別に解説します。

契約変更により週の所定労働時間が20時間を超えた場合

雇用契約の変更により、週の所定労働時間が20時間以上となった場合は、変更時点で資格取得の手続きをします。

ただし、繁忙期などで一時的に20時間以上となる場合は、加入対象とならないため注意しましょう。一方で、恒常的に20時間以上の勤務実態があると、実態で判断される可能性もあります。

労働時間の実態と雇用契約の整合性を定期的に確認し、必要に応じて契約内容の変更をしましょう。

契約変更により週の所定労働時間が20時間を下回る場合

契約変更により、週の所定労働時間が20時間未満となった場合は、その時点で資格喪失の手続きをします。また、資格取得時と同様、実態として20時間を下回る期間が継続する場合は、実態で判断される可能性があるため、契約内容の変更を検討しましょう。

なお、資格喪失後も引き続き同社で週20時間未満で働く場合、雇用保険上は「離職」として扱われます。そのため、被保険者期間が離職日以前2年間で12か月以上あり、積極的に求職活動を行なうなどの要件を満たせば、失業手当を受給できる場合があります。ただし、受給期間は原則として資格喪失日の翌日から1年間なので注意が必要です。

資格喪失の際は、従業員に離職票の交付を希望するか確認しましょう。希望があった場合は、離職票を発行する必要があります。

(参考)雇用保険の加入要件について - 新潟雇用労働相談センター

雇用期間中に雇用見込みが31日以上になった場合

雇い入れの当初31日以上の雇用見込みがなかった場合でも、31日以上の雇用が見込まれることになった時点から雇用保険の加入対象となります。

なお、「31日以上の雇用見込みがない」とは、契約書などに更新しない旨が明示されている場合に限られます。更新についての記載がない場合は、原則として雇い入れ日から加入対象となるため注意しましょう。

社会保険の扶養を希望した場合

社会保険の扶養とは、親族などの被扶養者となることで、自身で社会保険料を負担することなく、社会保険の給付を受けられる制度です。健康保険の給付を受けられるほか、配偶者であれば国民年金保険料を納付したものとして扱われます。

社会保険の扶養要件は、「年収が130万円未満、かつ被保険者の収入の2分の1未満であること」です。月収に換算すると、おおよそ108,333円が目安となります(130万円÷12か月=108,333円)。なお、60歳以上の方や障害者は年収基準が異なります。

このように、社会保険の扶養に入れるかは年収をもとに判断されます。一方、雇用保険は、所定労働時間や雇用見込み期間をもとに加入の要否を判断します。そのため、社会保険の扶養内であっても、雇用保険に加入するケースがあります。具体的な例で確認してみましょう。

時給1,200円、週20時間勤務の場合

月収:1,200円×20時間×4週=96,000円
年収(12か月換算):96,000円×12か月=1,152,000円
※31日以上の雇用見込みがあるものとします。

上記のケースでは、年収が130万円未満となるため、社会保険の扶養内に収まります。しかし、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるため、雇用保険には加入することになります。

税法上の扶養に入る場合

税法上の扶養とは、所得額などの要件を満たす親族を扶養親族として申告することで、納税者の税負担が軽減される制度です。たとえば、パート社員である妻が夫の扶養になると、夫の所得税や住民税が軽減されます。

「税法上の扶養に入ると、雇用保険の加入にも影響する」と誤解されることがありますが、両者はまったく別の制度です。そのため、税法上の扶養に入っているかどうかは、雇用保険の加入判断に影響しません。

税法上の扶養に入っていても、要件を満たす場合は雇用保険に加入する義務が生じます。配偶者以外(親・子など)を税法上の扶養に入れる場合、給与収入のみであれば年収136万円以下が要件です。

配偶者の場合は、給与収入のみで年収169万円以下であれば、納税者が満額の配偶者控除を受けられます。

上記は、令和8年および令和9年の年収要件です。税制改正により要件が変更されるケースが多いため、国税庁のホームページなどで最新情報を確認しましょう。

(参考)令和8年度税制改正資料 - 財務省
(参考)配偶者特別控除 - 国税庁

複数のパートを掛け持ちする場合

複数のパートを掛け持ちしている場合、雇用保険は2か所以上の勤務先で重複して加入できません。複数の勤務先で、雇用保険の加入要件を満たしていても、生計を維持するために必要な主たる賃金を受ける勤務先1か所のみで加入をします。

具体的な例で解説します。

※いずれも31日以上の雇用見込みがあるものとします。

パターン1:所定労働時間で判断するケース

A社 1週の労働時間18時間
B社 1週の労働時間20時間

A社では所定労働時間の要件を満たしていないため、B社で加入します。

月収の多寡で判断するケース

A社 1週の労働時間22時間/時給1,200円
B社 1週の労働時間20時間/時給1,500円

両社とも加入要件を満たしているため、どちらが主たる賃金を受ける勤務先かで判断します。この場合、A社の月収が約105,500円、B社の月収が約120,000円のため、B社で加入をします。

パート社員の雇用保険料はいくら?計算方法と目安

雇用保険料は、従業員負担と事業主負担の料率が異なります。社会保険料のように折半ではなく、事業主が多く負担する仕組みです。

雇用保険料は、以下の計算式で算出します。

雇用保険料=賃金総額(労働保険上の賃金に該当するもの)×雇用保険料率

令和8年度(令和8年4月1日~令和9年3月31日)の雇用保険料率は、以下のとおりです。

(出典)令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内 - 厚生労働省

パート社員の雇用保険料の計算例

従業員と事業主の負担について、具体例をもとに解説します。

一般の事業で、賃金総額が15万円のケースでは、以下のとおりです。

  1. 従業員負担分(給与から控除)
    • 150,000円 × 5/1000 = 750円
  2. 事業主負担分
    • 150,000円 × 8.5/1000 = 1,275円
  3. 合計(事業主が納付する額)
    • 2,025円(1.+2.)

パート社員の雇用保険料を控除するタイミング

雇用保険料は、毎月の給与や賞与を支給するたびに計算をして給与から控除します。雇用保険料の算定基礎となる賃金総額には、通勤交通費や残業代も含まれるため、時給制のパート社員は毎月の控除額が原則変動する点に留意しましょう。

労働保険上の賃金総額にどのような手当が含まれるかは、次の記事で詳しく解説しています。

パート社員の雇用保険加入・離職手続き

パート社員が雇用保険の加入要件を満たした場合や、退職などで資格を喪失した場合は、ハローワークへ届出をします。手続きが遅れると、雇用保険関係の給付に影響を及ぼす可能性があるため、雇用保険の取得・喪失手続きの流れと、注意点を確認しましょう。

パート社員入社時の雇用保険加入手続き

パート社員を採用した場合や、契約変更により雇用保険の加入要件を満たした場合は、管轄のハローワークに「雇用保険資格取得届」を提出します。資格取得届の提出期限は、被保険者となった日の属する月の翌月10日までです。

資格取得届には、パート社員の「雇用保険被保険者番号」の記載欄があるため、事前に雇用保険被保険者番号がわかる書類(雇用保険被保険者証、離職票)の提出を依頼しましょう。雇用保険被保険者番号は、勤務先が変わっても、同一の番号を使用します。

これまでに一度も雇用保険に加入したことがない場合は、「新規」扱いで届出をすれば、被保険者番号が新たに発行されます。

また資格取得届には、週の所定労働時間や、「有期雇用契約者」「パートタイム」など雇用形態の種別を記載する箇所があります。パート社員ごとの所定労働時間や雇用形態を管理し、間違いがないようにしましょう。

パート社員退職時の雇用保険手続き

パート社員が退職、または加入要件を満たさなくなったときは、管轄のハローワークに「雇用保険資格喪失届」を提出します。提出期限は、被保険者でなくなった日の翌日(退職日の翌々日)から起算して10日以内です。

資格喪失届は、離職票の発行有無によって提出書類が異なります。事前に、パート社員へ離職票の発行が必要か確認しましょう。

提出が遅れると、パート社員が失業手当を受給するための手続きに影響が生じたり、次の勤務先での資格取得届の手続きが円滑に進まなくなったりするため、必ず期限を守りましょう。

また、雇用保険の届出は法律により事業主に義務づけられています。届出をしない、または虚偽の届け出をした場合には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります(雇用保険法第83条第1号)。

退職日の管理や必要書類の準備を事前に済ませ、スムーズに手続きを進めましょう。

パート社員が雇用保険加入で受けられる給付例

雇用保険にはさまざまな給付制度があります。パート社員が雇用保険に加入すると、どのような給付が受けられるのでしょうか。パート社員ならではのポイントも含めて解説します。

失業手当(求職者給付)

パート社員でも、所定の要件を満たせば失業手当を受給できます。主な受給要件は以下の3点です。

  1. 失業状態にあり、働く意思と能力がある
  2. 一定期間以上の被保険者期間がある(離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上。倒産や解雇など会社都合で離職した場合は、離職日以前1年間に通算6か月以上)
  3. ハローワークで求職の申し込みをしている

会社から離職票を受け取ったら、必要書類を準備し、住所地を管轄するハローワークで求職を申し込み、受給資格の決定を受けます。その後の流れは以下のとおりです。

(出典)離職されたみなさまへ - 厚生労働省

失業手当は、離職前の給与をもとに算出した「基本手当日額」に給付率をかけて計算します。また、給付率は年齢や賃金水準によって変わります。パート社員は労働時間が短く給与が低い傾向があるため、正社員よりも受給額が低くなるケースが多いです。

就職促進給付

失業等給付のなかには、早期の再就職と職場定着を促進するための「就職促進給付」があります。就職促進給付には、以下の3つの手当が設けられています。

  1. 再就職手当

    • 失業手当の受給期間中に再就職先が決まり、基本手当の支給残日数が一定以上残っている場合に支給される手当
  2. 就業促進定着手当

    • 再就職手当を受給した人が再就職先で6か月以上働き、かつ給与が前職よりも下がっている場合に支給される手当
  3. 常用就職支度手当

    • 障害のある方や45歳以上の方など、就職が難しいとされる方が安定した職業に就いた場合に支給される手当

教育訓練給付

教育訓練給付とは、費用を自ら負担して主体的にスキルアップに取り組む場合に、その費用の一部を助成して、キャリア形成を支援する制度です。

雇用保険への加入期間などの要件を満たせば、パート社員でも支給申請が可能です。

教育訓練は訓練のレベルなどにより、3つにわかれています。
教育訓練給付の対象講座は、17,000以上あり、資格取得や訓練の受講をとおしてスキルアップできれば、パート社員が正社員や賃金アップを目指しやすくなるでしょう。

区分
主な対象資格・講座の例
給付率(上限)
専門実践教育訓練
中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練が対象
(看護師・美容師、社会福祉士などの国家資格、MBA・法科大学院などの専門職大学院など)
教育訓練経費の50%(年間上限40万円)
​※訓練後の賃金上昇など所定の要件を満たすと、最大で教育訓練経費の80%(年間上限64万円)
特定一般教育訓練
労働者の速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ講座が対象
(介護支援専門員実務研修、介護職員初任者研修、特定行為研修などの業務独占資格、短時間の職業実践力育成プログラムなどの大学・専門学校の課程)
教育訓練経費の40%(上限20万円)
一般教育訓練
TOEICなどの語学検定、簿記、プログラミング講座、大学院(通信制)など上記以外の幅広い講座​
教育訓練経費の20%(上限10万円)

(参考)教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します - 政府広報オンライン
(参考)教育訓練給付 - 厚生労働省

育児休業等給付

育児休業等給付は、雇用保険の加入期間などの要件を満たせばパート社員でも受けられます。

原則1歳までの子供(一定の要件を満たせば最大2歳までの子供)を養育するために、育児休業を取得した場合に受給できる「育児休業給付金」をはじめ、以下4つの給付金があります。

(出典引用)育児休業等給付について- 厚生労働省

なかでも、2025年4月の雇用保険法改正により新設された「出生後休業支援給付金」は注目すべき制度です。父母ともに14日以上の育児休業を取得するなどの要件を満たすと、最大28日間は給付率80%(手取り10割相当)の給付を受けられます。

この給付は父母ともに雇用保険に加入していることが要件であるため、雇用保険加入の恩恵を実感しやすい給付といえるでしょう。

パート社員の雇用保険加入のよくある質問

パート社員の方から寄せられることの多い、雇用保険に関する質問について解説します。

65歳以上のパート社員も雇用保険の対象ですか?

65歳以上でも、「週の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがある」という要件を満たせば加入対象です。65歳以上の加入者は「高年齢被保険者」という区分になります。

保険料の計算方法は一般の被保険者と同様ですが、離職した際の給付に違いがあります。一般の被保険者は、要件を満たすと失業手当を受給できますが、高年齢被保険者は、「高年齢求職者給付金」として一時金が支給されます。

「高年齢求職者給付金」は、再就職をする意思と能力があり、離職の日以前1年間のうちに被保険者期間が6か月以上あることが要件です。支給額は以下のとおりです。

(引用)離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内> - 厚生労働省

65歳以上のマルチジョブホルダー制度は、パート社員にも適用されますか?

65歳以上が対象となる「雇用保険マルチジョブホルダー制度」は、パート社員にも適用されます。この制度は、65歳以上の労働者が、2つの事業所での勤務を合計して加入要件を満たす場合に、特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になれる制度です。

加入要件は、以下のとおりです。

  • 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
  • 2つの事業所での週の合計所定労働時間が20時間以上であること(各事業所の週の所定労働時間が5時間以上20時間未満の場合に限る)
  • 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

この制度を適用するには、本人がハローワークに申告をする必要があります。

(参考)Q&A~雇用保険マルチジョブホルダー制度~ - 厚生労働省

パート社員の雇用保険は条件を確認して適切に手続きしよう

パート社員の雇用保険加入は、「週20時間以上・31日以上の雇用見込み」という要件を満たせば義務となります。扶養内での勤務や掛け持ち、労働時間の変動など、判断に迷う場面は少なくありませんが、適切な加入手続きの実施が大切です。

雇用保険の手続きは、離職時の失業手当だけでなく、育児休業給付や教育訓練給付など、働く人の生活とキャリアを支えるさまざまな給付につながっています。

保険料の負担を気にするパート社員もいるかもしれませんが、毎月の負担額はそれほど大きくなく、受けられる給付のメリットは多岐にわたります。

パート社員一人ひとりが、安心して働き続けられるよう、人事担当者として正しい知識をもち、適切なサポートをしていきましょう。

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