【徹底解説】106万円の壁撤廃へ、いつから誰が対象?企業がすべき4つの実務対応とは
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こんにちは。社会保険労務士の羽田未希です。
2025年6月、年金制度改正法が成立しました。これにより2026年10月、いわゆる「106万円の壁」である賃金要件「月額88,000円以上」が撤廃される予定です。短時間労働者を多く雇用する企業にとって、影響の大きい改正です。
働く人にとっては、収入の壁の基準が変わり、働き方を選び直すきっかけとなる変化です。企業には保険料負担の増加や、就業調整をめぐる従業員との対話などの対応が生じます。対応のカギは「自社は何を、いつまでに、どうするか」という実行の段取りにあります。
本記事では、人事・労務担当者に向けて4つの実務対応を、施行までのスケジュールとあわせて解説します。
106万円の壁、撤廃へ。社会保険の適用拡大の全体像
まずは、何がいつ変わるのかという全体像と、現行制度のおさらいから始めましょう。
現行の加入要件をおさらい
「106万円の壁」とは、短時間労働者に社会保険への加入義務が発生する賃金要件「月額88,000円以上」の通称です。
まずは現行の加入要件を下の表で確認しましょう。次の5つをすべて満たす短時間労働者が、社会保険の加入対象です。
現行の社会保険の加入要件(短時間労働者)
要件 | 内容 |
|---|---|
労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 |
賃金 | 月額88,000円以上(年収約106万円) |
雇用期間 | 2か月を超えて雇用される見込みがある |
学生区分 | 学生ではない(休学中や定時制・通信制課程の学生などは加入対象) |
企業規模 | 従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上 |
参考:社会保険の加入対象の拡大について - 厚生労働省をもとに編集部作成
適用拡大の3つのポイント
今回の年金制度改正法による適用拡大のポイントは、「106万円の壁」の撤廃だけではありません。まずは下の表でポイントと時期を押さえましょう。
社会保険の適用拡大ロードマップ
変更内容 | 時期 |
|---|---|
(1)賃金要件「月額88,000円以上」を撤廃 | 2026年10月 |
(2)企業規模要件(51人以上)を段階的に引き下げ・撤廃 | 2027年10月~2035年10月 |
(3)個人事業所(常時5人以上)の適用を全業種へ拡大 | 2029年10月 |
参考:社会保険の加入対象の拡大について - 厚生労働省をもとに編集部作成
「106万円の壁」の撤廃は(1)にあたります。あわせて(2)(3)も進むため、賃金要件の撤廃だけを見て「自社は関係ない」と判断しないことが重要です。
1. 賃金要件「月額88,000円」の撤廃(2026年10月)
賃金要件「月額88,000円以上」は、2026年10月に撤廃される予定です。撤廃日は法律の公布から3年以内に政令で定めるとされ、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて決定されます。
時給1,016円が水準となる理由は、時給1,016円で週20時間働くと月額約88,000円(年収約106万円)に達するためです。2025年度の改定で、最低賃金は最も低い県でも1,023円となり、全都道府県で1,016円を超えました。週20時間以上働けば賃金要件は事実上満たされるため、要件として維持する実質的な意味がなくなっています。
参考:社会保険の加入対象の拡大について - 厚生労働省
参考:令和7年度地域別最低賃金の全国一覧 - 厚生労働省
2. 企業規模要件の段階的撤廃(2027年10月~2035年10月)
現在、短時間労働者の加入義務の基準となる「企業規模要件」により、対象は従業員数51人以上の企業に限られています。この人数は、事業所(法人の場合は法人全体)における、現在の厚生年金保険の被保険者数をもとに判断します。
本要件は、2027年10月から段階的に引き下げられ、2035年10月に撤廃されます。最終的には企業規模を問わず、週20時間以上働く短時間労働者が加入対象となります。自社がいつから対象になるかは、次章の「対象時期の早見表」で確認できます。
3. 個人事業所への適用拡大(2029年10月から)
現在、個人事業所は、常時5人以上を使用する法定17業種に限り社会保険の適用対象です。2029年10月からは、これまで加入義務がなかった農林水産業、宿泊業、飲食サービス業なども含め、常時5人以上を使用する全業種の個人事業所が対象となります。
ただし、2029年10月の施行時点ですでに存在している個人事業所は、当分のあいだ加入義務の対象外です。新たに対象となるのは、施行後に新設される常時5人以上の個人事業所です。
「106万円の壁」と「130万円の壁」の違い
106万円の壁の撤廃後も、短時間労働者に残るのが「130万円の壁」です。性質の異なる2つの壁の違いを、下の表で整理しましょう。
「106万円の壁」と「130万円の壁」の違い
106万円の壁 | 130万円の壁 | |
|---|---|---|
壁の内容 | 社会保険の加入要件(賃金要件:月額88,000円以上) | 健康保険の被扶養者認定の収入基準(年収130万円未満) |
超えるとどうなる | 他の要件も満たすと、勤務先の社会保険に加入 | 配偶者などの扶養から外れ、自分で保険に加入 |
勤務先の企業規模 | 従業員51人以上(現行) | 企業規模を問わない |
今後 | 2026年10月に撤廃予定 | 基準額は残る(2026年4月に判定方法を見直し) |
「130万円の壁」は、健康保険の被扶養者として認定される収入基準のことです。年間収入が130万円以上(月収108,334円以上)になると、社会保険上の扶養から外れます。勤務先の社会保険の加入対象に該当しない場合は、自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。
2026年4月1日からは、被扶養者認定の収入判定が、労働契約の内容にもとづく方法に見直されています。判定に用いるのは、基本給や諸手当、通勤手当、契約で定めた賞与など、労働契約で見込める収入です。契約に明確な定めがなく、契約段階では見込めない残業代などは、判定に含まれません。
なお、社会保険には、ここまでの短時間労働者の要件とは別の加入ルートがあります。企業規模にかかわらず、労働時間と労働日数がフルタイム従業員の4分の3以上であれば、社会保険への加入義務が発生します。この仕組みは「4分の3基準」とも呼ばれます。
たとえば、フルタイム従業員の所定労働時間が週40時間の場合、週30時間以上働く従業員が該当します。
106万円の壁撤廃と適用拡大、企業がやるべき4つの実務対応
ここからは改正の全体像を踏まえて、自社がやるべき4つの実務対応を解説します。
1. 対象時期の確認と対象者の洗い出し
2.コスト試算と軽減措置の活用
3. 手続き・給与計算・シフトの段取りを決める
4. 従業員への説明
【実務1】対象時期の確認と対象者の洗い出し
【実務1】では、短時間労働者の社会保険加入について、「自社はいつから義務が生じるのか」「誰が新たに対象になるのか」を確認します。
(1)自社が対象になる時期を確認する
2027年10月に始まる企業規模要件の段階的な引き下げは、多くの中小企業・小規模事業者に関係します。現在は企業規模要件により適用対象外の企業も、順次対象に入っていきます。
まずは、下の早見表に自社の厚生年金保険の被保険者数を当てはめ、対象時期を確認してください。
対象時期の早見表
厚生年金保険の被保険者数 | 短時間労働者が加入対象になる時期 |
|---|---|
51人以上 | すでに対象(2024年10月から適用済み) |
36~50人 | 2027年10月 |
21~35人 | 2029年10月 |
11~20人 | 2032年10月 |
10人以下 | 2035年10月 |
※人数は、事業所(法人の場合は法人全体)の厚生年金保険の被保険者数で判断します。
参考:社会保険適用拡大ガイドブック(事業主・人事労務担当者向け) - 厚生労働省をもとに編集部作成
(2)新たに加入対象になる従業員を確認
賃金要件「月額88,000円」が撤廃されるため、社会保険の加入対象者かどうかは、自社が対象時期に入っている場合、次の3つの要件で判断されます。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 2か月を超えて雇用される見込みがあること
- 学生でないこと
なお、企業規模要件は2035年の撤廃まで残ります(自社が対象になる時期は「対象時期の早見表」参照)。
新たに加入対象となるのは、週20時間以上働いているものの、所定内賃金が月額88,000円に届かず対象外だった従業員です。実務面でも、所定内賃金の算定(何を含め、何を除くか)で迷う場面がなくなり、判定は労働時間を軸に考えられるようになります。
対象者を抽出する手順
賃金要件の撤廃や企業規模要件の引き下げにより、新たに加入対象となる従業員がいるかを、以下の流れで確認しましょう。
<対象者抽出の判定フロー>
- 勤怠・雇用契約データから、週の所定労働時間が20時間以上の従業員を抽出する
- 学生と、2か月以内の雇用期間で更新見込みのない従業員を除外する
- 増員やシフト変更の計画を加味し、対象者リストを作成する
判定に用いる「週20時間」は雇用契約上の所定労働時間で、残業時間は原則含みません。ただし、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、その状態が続く見込みの場合は、3か月目の初日から加入対象として扱われます。所定労働時間と実際の労働時間に恒常的な差がある場合は、労務管理上、雇用契約の見直しが必要です。
参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分)問34 - 日本年金機構
(ヒント)ツール活用で洗い出しを漏れなく・確実に
対象者の洗い出しでつまずきやすいのが、判定に必要なデータの分散です。雇用区分・週の所定労働時間・学生区分などがExcelや紙の台帳に散在していると、抽出漏れや更新遅れが起きやすくなります。また、対象者は雇入れや契約変更、学生の卒業などで常に入れ替わります。洗い出しは一度きりではなく、リストを更新し続ける作業になります。
漏れなく確実に進めるには、判定の元データを一元管理できるシステムの活用も選択肢のひとつです。たとえばSmartHRの「従業員データベース」なら、パート・アルバイトを含む全従業員が利用しやすく、従業員本人がスマートフォンから情報を更新できるため、判定の元データが正確に保たれます。
【実務2】コスト試算と軽減措置の活用
【実務2】でやることは、コストの見積もりと、負担を抑える制度の確認です。
(1)企業の保険料負担を試算
対象者が増えれば、企業の保険料負担はその分増えます。社会保険料は労使折半のため、従業員1人が加入するごとに、企業側にも継続的な負担が発生します。
企業負担分(労使折半後)は、次の式で試算できます。
試算式(企業負担分・月額)
- 健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率(※1) × 1/2
- 介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料率1.62%(※2) × 1/2
- 子ども・子育て支援金 = 標準報酬月額 × 支援金率0.23%(※3) × 1/2
- 厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率18.3% × 1/2
※1 協会けんぽは都道府県により異なります:令和8年度の都道府県毎の保険料率 - 協会けんぽ
※2 令和8年度・全国一律。対象は40~64歳(介護保険第2号被保険者)のみ
※3 令和8年度・全国一律。2026年4月分の保険料から徴収開始
標準報酬月額は、対象となる短時間労働者に予定される給与月額を、保険料額表に当てはめて求めます。
健康保険組合に加入している企業は、健康保険料率・介護保険料率が組合ごとに異なるため、最新の料率を確認のうえ計算してください。
企業負担額の早見表(月額・1人あたりの目安)
標準報酬月額 | 40歳未満・65歳以上 | 40~64歳(介護保険料あり) |
|---|---|---|
88,000円 | 約12,500円 | 約13,200円 |
104,000円 | 約14,800円 | 約15,600円 |
126,000円 | 約17,900円 | 約18,900円 |
参考:令和8年度の都道府県毎の保険料率 - 協会けんぽをもとに編集部試算
※協会けんぽ東京都・令和8年度料率〔健康保険9.85%+支援金0.23%+厚生年金18.3%、40~64歳は介護保険1.62%を加算〕で算出し、百円未満を四捨五入しています。
※賞与を支給する場合は、標準賞与額(千円未満切り捨て)にも、月額と同じ料率で保険料がかかります。
※協会けんぽの保険料率は毎年度見直され、改定は3月分(4月納付分)から適用されます。試算の際は最新の保険料率を確認してください。
概算で十分な場合は、厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトにある試算ツールも活用できます。
試算結果は、改正のポイント・各種支援制度とあわせて経営層に共有し、社内対応を早めに相談しておきましょう。
(2)保険料負担を軽減する「保険料調整制度」を確認
新たに社会保険の適用となった短時間労働者の保険料負担を軽減するため、企業が通算3年間利用できる「保険料調整制度」が2026年10月に始まります。
対象となる事業所は、次のとおりです。
- 2026年10月1日以降、任意特定適用事業所となる事業所(2026年9月30日以前に任意特定適用事業所となった事業所は対象外)
- 2027年10月1日以降、企業規模要件の引き下げにより短時間労働者が加入対象となる事業所
対象となる従業員は、次の3つの条件をすべて満たす方です。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 月収が13万円未満(標準報酬月額126,000円以下)であること
- 学生でないこと
保険料の負担軽減の割合は、対象となる従業員の月収(標準報酬月額)に応じて異なり、制度利用3年目は軽減割合が半減します。軽減分は事業主がいったん立て替えますが、一定期間経過後に、事業主が支払う保険料から全額控除されます。そのため、制度の利用によって事業主の負担が増えることはありません。従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません。
制度の利用には、事業所が制度の対象となった日から2年以内に、事業主からの申出が必要です。届書様式や手続きの詳細は、厚生労働省から示され次第、公開される予定です。
(3)最大75万円のキャリアアップ助成金を確認
年収の壁対策として、キャリアアップ助成金に「短時間労働者労働時間延長支援コース」が2025年7月に新設されました。ほかにもコースがあり、コースごとに助成額が異なります。
「短時間労働者労働時間延長支援コース」は、有期雇用労働者などを新たに社会保険に加入させ、週の所定労働時間の延長(5時間以上、または2時間以上5時間未満の延長+基本給の増額)を実施した事業主に、労働者1人あたり最大75万円(1年目最大50万円+2年目25万円。常時雇用30人以下の小規模企業の場合)が助成されます。
なお、2年目の25万円には1年目とは別の取り組みが必要です。具体的には、週の所定労働時間のさらなる延長(2時間以上)、基本給のさらなる増額(5%以上)、賞与または退職金制度の適用のいずれかを実施した場合に支給されます。
そのほかにも要件があるため、リーフレットと支給要領を確認のうえ、申請してください。
参考:キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)のご案内 - 厚生労働省
参考:キャリアアップ助成金 - 厚生労働省
【実務3】手続き・給与計算・シフトの段取りを決める
【実務3】でやることは、施行日から逆算した段取りの確定です。
(1)加入手続き:資格取得届は5日以内に提出
社会保険の加入手続きでは、事業主が「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出します。提出先は事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所で、期限は資格取得日から5日以内です。電子申請・郵送・窓口持参のいずれかの方法で届け出ます。
なお、健康保険組合に加入している企業は、健康保険分を健康保険組合へ届け出ます。
(2)給与計算・システム設定:翌月控除の初回を必ず確認
給与から保険料を控除するため、資格取得届にもとづき決定された標準報酬月額を入力するなど、給与ソフトを設定します。保険料は原則として翌月控除です。資格取得月の翌月に支給される給与で、正しい保険料が控除されているかを確認します。
社会保険料には、健康保険料・介護保険料・子ども・子育て支援金・厚生年金保険料があります。給与ソフトには、健康保険料に介護保険料や子ども・子育て支援金が合算されるものと、別項目で表示されるものがあります。自社が利用する給与ソフトの表示・設定を確認してください。
(3)シフト・就業調整:本人の希望確認と労働条件の見直し
新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者には、改正により加入対象となることを事前に伝えます。短時間労働者のなかには、さまざまな事情で加入を希望せず、労働時間を週20時間未満に抑えたい方もいます。
一方で、これを機に労働時間を増やして社会保険に加入したい方もいるでしょう。本人がどのような働き方を希望するのかを丁寧に確認し、必要に応じて労働条件を見直します。
働く曜日や時間帯が変われば、シフトの組み方も変わります。必要に応じて業務内容の変更や配置転換も含めて総合的に検討し、人員計画に反映しましょう。
【実務4】従業員への説明
【実務4】でやることは、従業員一人ひとりが納得して働き方を選べるようにする支援です。
今回の制度変更は多くの短時間労働者が対象となり、これまでの働き方を見直す機会になります。企業はメリット・デメリットをわかりやすく説明し、短時間労働者自身が正しく理解し、判断できるように支援しましょう。個別面談でヒアリングし、疑問に答えるなど、一人ひとりに寄り添った対応が求められます。
制度説明には、リーフレットや動画、社内コミュニケーションツールなどを活用します。短時間労働者に直接対応する管理職や現場担当者にも、説明やフォローアップなど依頼する事項をまとめておきましょう。
ここからは、従業員のタイプ別に説明のポイントと説明例を紹介します。
(1)扶養内で働き続けたい従業員への説明
週20時間未満で働く場合、社会保険の加入要件には該当しません。しかし「130万円の壁」は残ります。年収130万円以上(月収108,334円以上)になると社会保険上の被扶養者から外れ、自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。時給が高い方や通勤手当を支給されている方は、週20時間未満でも注意が必要です(「130万円の壁」の判定には通勤手当も含まれます)。
参考:労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて(保保発1001第3号・年管管発1001第3号) - 厚生労働省
説明例
「当社では今後、週20時間以上働く従業員の方は社会保険への加入が必要になるのですが、どのような働き方を希望しますか。扶養内で働きたい場合は、週20時間未満に労働時間を変更し、社会保険に加入しないことも選択肢のひとつです。」
(2)手取りの減少を不安視する従業員への説明
社会保険の加入要件を満たすと保険料が控除されるため、手取りが減る、いわゆる「働き損」になると考える短時間労働者もいます。保険料の負担が生じること自体は事実として伝えたうえで、本人が判断できる材料を提示しましょう。
- 保険料調整制度により、加入当初の保険料負担が軽減される
- 就業調整をしなくてよくなるため、収入増につながる
- 傷病手当金・出産手当金など、各種手当金で保障が充実する
- 将来受け取れる年金額が増える
説明例
「社会保険料の負担が増え、手取りが減ってしまうと心配されているのですね。社会保険に加入すると、保障の充実や将来受け取る年金額が増えるといったメリットがあります。厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトの試算ツールで、実際に試算してみましょうか。」
(3)加入を前向きに考えている従業員への説明
社会保険への加入をメリットと考える短時間労働者にも、丁寧な説明は必要です。保険料調整制度による軽減はあるものの、被扶養者から外れて保険料の負担が発生します。負担額も含めてよく理解してもらい、本人の判断で働き方を決め、納得して加入してもらうことが大切です。
説明例
「社会保険への加入には、保障の充実や将来受け取る年金額が増えるといったメリットがあります。一方で社会保険料の負担というデメリットもありますので、どれくらいになるか一緒に確認してみましょう。」
施行までの対応スケジュールとToDoリスト
自社の施行時期(対象時期の早見表)から逆算した、4つの実務対応ステップのスケジュールです。2027年10月以降に対象となる企業は、この時間軸に沿って進めるとよいでしょう。
2026年10月の賃金要件撤廃に対応する企業(従業員51人以上)は施行が目前のため、「施行1~3か月前」より前の項目もまとめて、今からなるべく早く着手しましょう。
時期の目安 | やること |
|---|---|
施行6か月前まで |
|
施行3~6か月前 |
|
施行1~3か月前 |
|
施行月 |
|
施行の翌月 |
|
※準備期間の目安を示す対応スケジュールです。自社の状況に合わせて調整してください。
ToDoリスト
最後に、対応スケジュール別のチェックリストで抜け漏れがないかを確認しましょう。
・施行6か月前まで
□ 厚生年金保険の被保険者数を確認し、対象時期の早見表に当てはめたか
□ 週所定20時間以上の対象者リストを作成したか(学生・雇用見込みの除外判定を含む)
□ 年間の追加保険料コストを試算し、経営層に共有したか
・施行3~6か月前
□ 保険料調整制度・助成金の利用可否を検討したか
□ 従業員説明会・個別面談の計画を立てたか
□ 従業員への説明資料・動画・社内コミュニケーションツールを準備したか
・施行1~3か月前
□ 従業員説明会を実施したか
□ 個別面談を実施し、労働条件・シフト・人員計画を見直したか
□ 給与システムの控除設定・手続きフロー・期限を決めたか
・施行月
□ 「被保険者資格取得届」を提出したか(資格取得日から5日以内)
・施行の翌月
□ 給与からの保険料控除を開始し、初回の控除額を確認したか

早めの着手で、コスト対策も従業員への説明も計画的に進められる
2026年10月の賃金要件「月額88,000円」の撤廃を皮切りに、2035年まで約10年をかけて社会保険の適用が拡大されます。これまでの適用拡大では、該当が見込まれる事業所に日本年金機構からお知らせが送付されてきました。ただし通知を待つ必要はありません。まずは自社の対象時期を確認し、対応スケジュールで今月やることを決めましょう。早めに動けば、保険料調整制度や助成金を活用しながら、従業員への説明も余裕をもって進められます。
制度全体や年収の壁の全体像については、以下の資料で、税理士と社会保険労務士のダブル監修のもと、わかりやすく整理していますので、あわせてご覧ください。

お役立ち資料









