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社会保険の扶養とは?被扶養者の条件や130万円の壁、法改正をわかりやすく解説

公開日
目次
  1. 社会保険の扶養とは
    1. 社会保険の扶養の仕組み
    2. 税制上の扶養と社会保険上の扶養の違い
    3. パートの社会保険加入条件と社会保険の扶養制度
  2. 社会保険の扶養に入る条件
    1. (1)年齢:75歳未満
    2. (2)家族の範囲:三親等以内の親族・同居が必要な範囲
    3. (3)居住:日本国内に住民票があること(原則)
    4. (4)収入:年収130万円未満(例外あり)
    5. 個人事業主の扶養条件
  3. 社会保険における4種類の年収の壁
    1. (1)106万円の壁(2026年10月撤廃予定)
    2. (2)130万円の壁
    3. (3)150万円の壁
    4. (4)180万円の壁
  4. 社会保険の扶養から外れる条件とタイミングとは?
    1. (1)扶養家族の年収が扶養認定要件以上の見込みとなったとき
    2. (2)扶養家族自身が社会保険に加入したとき
    3. (3)離婚・別居など扶養関係がなくなったとき
    4. (4)失業手当が「収入要件(年収130万円など)」を超えるとき
  5. 社会保険の扶養の手続き
    1. 扶養に入れるときの手続き
    2. 扶養から外れるときの手続き
  6. 社会保険の扶養にまつわる法改正
    1. (1)2025年10月改正|19歳以上23歳未満の被扶養者の収入基準が150万円未満に
    2. (2)2026年4月改正|収入判定が「労働契約ベース」に変更
    3. (3)2026年10月改正予定|「106万円の壁」の見直し
    4. (4)2027年以降順次改正|企業規模要件は撤廃
  7. 扶養制度の基本をおさえ、個別ケースに対応できる体制を整えよう

社会保険の扶養に入ると、被扶養者は保険料を負担せずに健康保険の給付を受けられます。

従業員から「家族を扶養に入れたい」「扶養から外れるタイミングはいつか」といった問い合わせも多く、人事労務担当者は制度の正確な理解が必要です。

本記事では、社会保険の扶養制度の基本から、税制上の扶養との違い、被扶養者の条件、収入要件、扶養から外れるケース、必要な手続きまでを解説します。

社会保険の扶養とは

社会保険の扶養とは、健康保険の被扶養者制度を指します。

被保険者(社会保険に加入している人)に生計を維持されている家族が、収入要件や生計維持関係などの条件を満たすと、被扶養者として認定されます。

社会保険の制度全般については、次の記事でくわしく解説しています。

社会保険の扶養の仕組み

社会保険と労働保険の扶養制度の違いを示す図。社会保険のうち「健康保険」には被扶養者制度があり(保険料負担なし、被保険者と同じ健康保険に加入)、厚生年金保険には扶養制度はなく第3号被保険者制度が該当。労働保険(雇用保険・労災保険)には扶養制度がないことを説明している。

家族が社会保険の被扶養者認定されると、その家族は保険料を負担せずに、健康保険の保険給付が受けられます。家族を何人扶養に入れても、被保険者本人の保険料は変わりません。

なお、社会保険の制度で扶養の概念があるのは健康保険に限られます。雇用保険や労災保険(労働保険)には、扶養の概念はありません。

厚生年金には扶養という制度はありませんが、被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の場合は、国民年金の第3号被保険者となり、保険料の負担なく国民年金に加入できます。

税制上の扶養と社会保険上の扶養の違い

「扶養」には、税制上と社会保険上の2種類があり、制度の目的や収入の判定方法などが異なります

項目

社会保険上の扶養

税制上の扶養

対象

健康保険

所得税・住民税

メリット

被扶養者(家族)が保険料を負担せずに健康保険に加入できる

扶養者(本人)の税負担を軽減する

収入要件の判定方法

今後1年間(労働契約上の賃金)の見込み収入

所得税:その年の合計所得金額の見込み(年末調整で確定)

住民税:前年の所得

収入の算入範囲

通勤手当・遺族年金・障害年金・失業給付なども含む

通勤手当・遺族年金・障害年金などは含まない

主な提出先

勤務先(日本年金機構・健康保険組合)

勤務先(年末調整)または税務署

同居要件

家族の範囲によって必要な場合あり

原則不要

税制上の扶養はその年の確定所得をもとに遡及的に判定されますが、社会保険上の扶養は労働条件通知書や雇用契約書をもとに1年間の見込み収入で判定します。

たとえば、年の途中で就職して月収が基準を超えた場合、それぞれの扱いが異なります。

  • 税制上:その年の合計所得が基準内であれば、年内は扶養に留まれる可能性がある
  • 社会保険上:「継続的に基準を超える見込み」となった時点で、速やかに扶養から外れる手続きが必要

なお、社会保険と税制度いずれかの扶養に認定・削除されても、もう一方の制度へ自動的に反映されません。税と社会保険、それぞれで個別の手続きが必要です。

以下の「年収の壁」の記事でも、税制上・社会保険上の扶養違いについてくわしく解説しています。

パートの社会保険加入条件と社会保険の扶養制度

家族が扶養に入れるかどうかは、以下の2ステップで判定します。重要なのは「本人が社会保険の加入対象かどうか」を先に確認する点です。

ステップ1:自身の勤務先で「社会保険」に入るか

その家族がパート先などで社会保険の加入要件を満たしているかを確認します。

1. 4分の3基準を満たすか

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事する通常の正社員の4分の3以上の場合、被保険者となります(企業規模を問わず)。

2. 上記を満たさない場合、次の要件をすべて満たすか 

  • 厚生年金の被保険者数51人以上の事業所に勤務している(特定適用事業所)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額88,000円以上(いわゆる106万円の壁)
  • 2か月を超える雇用見込みがある
  • 学生でない

加入対象なら本人が「被保険者」となるため、扶養には入れません。加入対象外の場合のみ、ステップ2へ進みます。

ステップ2:被扶養者の認定基準を満たすか

ステップ1で対象外だった場合のみ、被扶養者の認定基準(年収130万円など)に照らして、扶養に入れるかどうかを判定します。被扶養者の認定基準については次章でくわしく解説します。

パートの社会保険加入条件(106万円の壁など)と社会保険の扶養制度(130万円の壁など)の判定フロー。まず「本人が勤務先の社会保険に加入するか」を短時間労働者の加入要件で確認し、満たす場合は健康保険・厚生年金に加入(扶養から外れる)。対象外の場合にのみ、次のステップとして「家族の社会保険の扶養(被扶養者の認定基準)に入れるか」を判定する流れ図。

社会保険の扶養に入る条件

社会保険の扶養に入るには、原則として次の4つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 年齢:75歳未満
  2. 家族の範囲:三親等以内の親族であること
  3. 居住地:日本国内に住民票があること(原則)
  4. 収入:年収130万円未満(例外あり)

また、家族の範囲によっては被保険者との同居が必要です。それぞれの要件をくわしく解説します。

社会保険の扶養認定基準の4つの要素。1:年齢(75歳未満か)、2:家族の範囲(三親等内か、同居が必要な範囲か)、3:居住地(日本国内に住民票があるか)、4:収入(年収が130万円未満か、例外あり)を網羅した図。

(1)年齢:75歳未満

被扶養者になれるのは、75歳未満の方に限られます。75歳になると、すべての人が「後期高齢者医療制度」に加入し、それまで加入していた健康保険からは脱退することになるためです。

(2)家族の範囲:三親等以内の親族・同居が必要な範囲

対象は「三親等内の親族」です。また、続柄によって「同居」が必須かどうかが決まります。

同居要件

家族の範囲

別居可

  • 配偶者(事実婚・内縁関係を含む)
  • 子・孫
  • 兄弟姉妹
  • 父母・祖父母などの直系尊属

同居必須

  • 伯叔父母(おじ・おば)
  • 甥・姪とその配偶者など上記以外の三親等内の親族
  • 内縁関係の配偶者の父母および子
被扶養者の範囲における、同居要件の有無を示した相関図。四角(網掛け)は「被保険者と同居していなくてもよい人」で、配偶者、子、孫、兄姉弟妹、父母、祖父母、曾祖父母が該当。丸(白抜き)は「被保険者と同居していることが要件の人」で、曾孫、甥・姪(およびその配偶者)、伯叔父母(およびその配偶者)、子・孫・兄姉弟妹・父母・祖父母・曾祖父母の配偶者が該当する。

(出典)事業主・加入者のみなさまへ「令和7年度被扶養者資格再確認について」 - 協会けんぽ

同居の考え方同居とは、住居および家計を共同にすることを指します。同一戸籍内である必要や、被保険者が世帯主である必要はありません。

つまり、住民票の住所が同じでも生計が別の場合は、同居とみなされないことがあります。同居の判断に迷う場合は、加入先の保険者(協会けんぽまたは健康保険組合)に個別に確認してください。

(3)居住:日本国内に住民票があること(原則)

原則として国内居住が必要ですが、留学など一定の条件を満たす場合は例外的に認められることがあります。一方、国内に住所があっても在留資格の種類によっては対象外となるため、判断に迷う場合は加入先の保険者に確認してください。

(4)収入:年収130万円未満(例外あり)

社会保険の扶養に入るには、原則として年間収入130万円未満、かつ同居・別居それぞれで次の要件を満たす必要があります。

  • 同居の場合:収入が被保険者の収入の半分未満
  • 別居の場合:収入が被保険者からの仕送り額未満

年収130万円未満の基準にはさまざまな例外があるため、注意が必要です。社会保険における4種類の年収の壁について、後の章でくわしく解説します。

何を年収とするのか?年収の判定方法

社会保険の扶養における年収とは、過去の収入実績ではなく、労働条件通知書や雇用契約書に記載された労働契約段階の見込み収入で判断されるので注意しましょう。

2026年4月1日から、年収130万円の扶養認定ルールにおける取り扱いが変更になりました。これまでは「残業代を含めた見込み額」で判断されていましたが、労働条件通知書などに記載されている「契約上の基本収入」で認定されます。

また、扶養の収入判定では、課税・非課税を問わず継続的に生じる収入が対象です。給与や賞与はもちろん、失業等給付や公的年金なども収入に含まれる点に注意が必要です。

収入に含まれるもの

収入に含まれないもの

  • 給与・賞与(残業代を除く)
  • 雇用保険の失業等給付
  • 公的年金(老齢・障害・遺族年金)
  • 健康保険の傷病手当金・出産手当金
  • 事業収入・不動産収入など継続的に生じる収入
  • 残業代
  • 退職金
  • 宝くじの当選金
  • 生命保険の一時金
  • 相続・贈与による収入

(参考)従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構

夫婦ともに収入がある場合

夫婦ともに収入がある場合、子などの被扶養者は原則として年間収入の多いほうの被扶養者として認定されます。夫婦の年間収入がほぼ同程度(年収が多い方の1割以内)の場合は、主として生計を維持しているほうの扶養に入れます。

なお、最終的には加入先の保険者(協会けんぽまたは健康保険組合)が判断します。迷う場合は、加入先の保険者へ確認してください。

(参考)夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について - 厚生労働省

【例外】収入が被保険者の「半分」を超えても認められるケース

原則として「被保険者の収入の半分未満」というルールがありますが、これを超えてしまった場合でも、以下の条件をすべて満たせば扶養に認定される可能性があります。

  1. 収入の逆転がない: 家族の年間収入が、被保険者の年間収入を上回っていないこと
  2. 生計維持の中心的役割: 日本年金機構などが世帯の状況を総合的に判断し、「被保険者がこの世帯の生計を支える中心人物である」と認めること

個人事業主の扶養条件

フリーランスや個人事業主として働く家族は、収入要件を満たせば被扶養者として認定される場合があります。収入は売上収入ではなく事業収入から直接的な必要経費を控除した後の金額で判断されます。

必要経費とは、税務上の定義よりも範囲が狭く、売上原価・修繕費・消耗品費など事業に直接必要な経費に限られます。減価償却費・広告宣伝費・接待交際費・青色申告特別控除などは対象外となり、税務上の所得とは異なる場合があります。

必要経費の範囲は各組合の基準で判定されるため、加入先の保険者に確認しましょう。

社会保険における4種類の年収の壁

社会保険の扶養における収入要件は年収130万円未満ですが、短時間労働者の加入条件のひとつである「106万円の壁」など例外もあります。ここでは、4種類の年収の壁について解説します。

壁の種類

関連する制度

106万円の壁

短時間労働者の社会保険加入条件(2026年10月撤廃予定)

130万円の壁

社会保険の扶養(一般)

150万円の壁

社会保険の扶養(19歳以上23歳未満、配偶者を除く)

180万円の壁

社会保険の扶養(60歳以上、または障害厚生年金を受給する程度の障害者)

(参考)従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構年金制度改正法が成立しました - 厚生労働省

(1)106万円の壁(2026年10月撤廃予定)

106万円の壁とは、短時間労働者の社会保険加入義務が発生する要件のひとつです。「所定内賃金が月額88,000円以上」の条件があり、これを年間換算すると約106万円となるため「106万円の壁」とよばれてきました。

短時間労働者の社会保険加入条件

  • 厚生年金の被保険者数51人以上の事業所に勤務している(特定適用事業所)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額88,000円以上(いわゆる106万円の壁)
  • 2か月を超える雇用見込みがある
  • 学生でない

前述したとおり、扶養認定の収入要件を判断する前に、扶養家族が社会保険加入条件を満たすかどうかを確認します。上記の要件をすべて満たす場合、社会保険に加入が必要となり、年間収入が130万円未満であっても扶養から外れます。

社会保険(厚生年金・健康保険)の短時間労働者に対する加入要件見直しのロードマップ。従来の「給与が月額8.8万円以上」「週の勤務が20時間以上」「51人以上の企業」という要件から、賃金要件(いわゆる106万円の壁)の廃止、および企業規模要件の段階的撤廃(現在の51人以上から、2027年10月36人以上、2029年10月21人以上、2032年10月11人以上、2035年10月10人以下へ拡大)が示されている。

また、「所定内賃金が88,000円以上」は2026年10月に撤廃予定です。撤廃後は、週20時間以上働く方の多くが「130万円」に届く前に自身で加入するケースが増える見込みです。

くわえて、企業規模要件も段階的に撤廃予定で、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月から10人以下の事業所へと対象が順次拡大されます。

(参考)短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント - 厚生労働省

(2)130万円の壁

年収130万円の壁は、社会保険の扶養にとどまるための基準となる年収ラインです。原則として年収130万円未満が条件ですが、現在は運用の柔軟化が進んでいます。

人手不足による労働時間の延長など、一時的な収入増により年収が130万円を超える見込みとなった場合でも、事業主の証明により被扶養者認定される例外的な措置があります(原則として連続2回まで)。この措置は2025年10月より恒久的な制度として運用されています。

「130万円の壁」への対応として、一時的な収入増における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化スキーム。例として、年収120万円見込みのパート労働者が人手不足で一時的に20万円の残業が発生し、年収140万円となった場合でも、パート先の「事業主の証明」を提出することで、引き続き被扶養者として認定される流れを時系列で説明している。

(出典)「130万円の壁」でお困りの皆さまへ - 厚生労働省

(参考)事業主の証明による被扶養者認定Q&A - 厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の取扱いの恒久化について - 厚生労働省

(3)150万円の壁

2025年10月1日以降、19歳以上23歳未満の扶養家族においては、扶養認定の年収基準が150万円未満へと引き上げられました。

1. 対象となる条件

  • 扶養認定日: 2025年10月1日以降の認定
  • 対象者: 認定日が含まれる年の12月31日時点で、19歳以上23歳未満
  • 関係性: 被保険者の子や兄弟姉妹など(配偶者は除外)

2. 判定における注意点

  • 年齢は「扶養認定を受ける日」の年齢ではなく、認定を受けた年の12月31日時点の年齢で判定します。
  • 除外対象となる「配偶者」には、法律婚のほか内縁関係(事実婚)の夫・妻も含みます。
  • 対象年齢であれば、学生であるかどうかは問われません。

(参考)19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります - 日本年金機構

(4)180万円の壁

60歳以上の方や障害厚生年金を受給できる程度の障害がある方は、社会保険の扶養条件が年収180万円未満(月額15万円未満)に緩和されます。

注意が必要なのは、老齢年金や遺族年金も収入に含まれる点です。年金も含めて年収が180万円以上となる場合は、被扶養者として認定されません。

(参考)従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構

社会保険の扶養から外れる条件とタイミングとは?

被扶養者認定された後も、次のいずれかの事由が生じた場合は扶養から外れる手続きが必要です。

  1. 収入が増額したとき
  2. 扶養家族自身が社会保険に加入したとき
  3. 離婚・別居など扶養関係がなくなったとき
  4. 失業手当が「収入要件(年収130万円など)」を超えるとき
社会保険の扶養認定から外れる4つのタイミングと注意点。1:扶養家族の年収が扶養認定要件以上の見込みとなったとき(例外あり)、2:扶養家族自身が社会保険に加入したとき(年収130万円未満でも外れる可能性あり)、3:離婚・別居など扶養関係がなくなったとき(同居要件がある場合は別居で外れる)、4:失業手当が収入要件(年収130万円など)を超えるとき(基本手当の日額が3,612円以上)。

(1)扶養家族の年収が扶養認定要件以上の見込みとなったとき

収入要件は見込みで判定するため、扶養家族の年収が130万円以上など、継続的に扶養認定要件以上の見込みとなった時点で扶養から外れる手続きが必要です。ただし、繁忙期や一時的な残業による収入増の場合は、事業主の証明の添付により扶養のまま継続できる例外的な措置があります(原則として連続2回まで)。

(2)扶養家族自身が社会保険に加入したとき

家族が就職したり、パート先で「短時間労働者の社会保険加入条件」を満たし、自ら社会保険の被保険者になった場合、年収額に関わらず扶養から外れます。

(3)離婚・別居など扶養関係がなくなったとき

離婚や別居によって「親族関係」や「生計維持関係」がなくなった場合、速やかに扶養から外れる手続きが必要です。

  • 離婚: 離婚日(受理日)をもって扶養から外れる
  • 別居(同居必須の親族): 別居開始日をもって扶養から外れる
  • 別居(同居不要の親族): 配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母などは別居後も継続可能。ただし、「被保険者からの仕送り」が不可欠

(4)失業手当が「収入要件(年収130万円など)」を超えるとき

雇用保険の基本手当(失業給付)も、社会保険の扶養判定では「収入」に含まれます。パート代などほかの収入と同様に、失業手当が「収入の壁(年収130万円など)」を超える場合は、扶養から外れる手続きが必要です。

  • 基本手当の日額の目安

    • 原則(130万円の壁): 月額108,334円以上(日額3,612円以上)
    • 19〜23歳未満(150万円の壁): 月額125,000円以上(日額4,167円以上)
    • 60歳以上など(180万円の壁): 月額150,000円以上(日額5,000円以上)

なお、受給待期期間や給付制限期間中は基本手当が支給されないため、収入要件を満たせば被扶養者として認定されます。

(参考)従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構

社会保険の扶養の手続き

被扶養者の追加・削除はいずれも「健康保険被扶養者(異動)届」を使用します。

手続きの詳細は「社会保険 加入手続き」の記事もあわせてご確認ください。

扶養に入れるときの手続き

被扶養者を追加する場合、事業主を経由して「健康保険被扶養者(異動)届」を日本年金機構へ提出します。提出期限は事由発生から5日以内です。

手続き前に従業員から次の情報・書類を回収しましょう。

  • 被扶養者の氏名・生年月日・続柄・マイナンバー
  • 続柄を証明する書類(戸籍謄抄本または住民票)※1
  • 収入要件を確認する書類(退職証明書、雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の写し、年金額改定通知書など)※2
  • 別居の場合は仕送りの事実と金額が確認できる書類(通帳の写しなど)※3
  • 内縁関係の配偶者の場合は、両人の戸籍謄抄本および被保険者の世帯全員の住民票
  • 事実発生から60日以上経過の場合は、扶養の事実を確認できる書類

※1:被保険者・被扶養者双方のマイナンバーを届書に記載し、事業主が続柄確認済みの旨を記載した場合は省略可
※2:税法上の控除対象配偶者・扶養親族の場合は事業主の証明で代替可
※3:16歳未満または16歳以上の学生は不要

扶養から外れるときの手続き

被扶養者を削除する場合も、同じく「健康保険被扶養者(異動)届」を日本年金機構へ提出します。手続き前に従業員から次の情報・書類を回収しましょう。

  • 扶養から外れる事由と発生日(就職日・離婚日・収入が要件を超える見込みとなった日など)
  • 新しい勤務先の社会保険加入日(就職の場合)
  • 資格確認書(発行している場合)

(参考)従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構

社会保険の扶養にまつわる法改正

社会保険の適用拡大により、これまで被扶養者だった家族が社会保険に加入するケースが増えています。本章では直近の改正内容を整理します。

社会保険の扶養に関する法改正のタイムライン。2025年10月改正「19〜23歳の扶養収入基準を130万円から150万円未満へ引き上げ、学生バイトの扶養外れを減少」、2026年4月改正「扶養収入判定を実績から労働契約ベースへ変更、残業など契約外賃金は原則含めない」、2026年10月改正「短時間労働者の社会保険拡大による106万円の壁(月88,000円)の撤廃、多くのパートが社会保険加入へ」、2027年以降順次「短時間労働者の加入条件である企業規模要件を段階的に撤廃」の4ステップを示した図。

(1)2025年10月改正|19歳以上23歳未満の被扶養者の収入基準が150万円未満に

2025年10月1日以降、19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)は、年収の基準が130万円未満から150万円未満に引き上げられました。これは所得税の特定扶養控除の基準額と足並みをそろえたものです。

対象となるかどうかは、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します。すでに被扶養者として認定されていれば改めて手続きは不要です。

(参考)19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります - 日本年金機構

(2)2026年4月改正|収入判定が「労働契約ベース」に変更

2026年4月1日より、被扶養者認定の年収判定方法が変わりました。改正後は労働条件通知書等にもとづく契約上の賃金で判定され、時間外労働など労働契約に規定のない賃金は収入見込みに含まれません。認定時は労働条件通知書等の添付が必要です。これにより、残業による収入増を理由とした就業調整は不要となりました。

(参考)労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて - 日本年金機構

(3)2026年10月改正予定|「106万円の壁」の見直し

2026年10月より、短時間労働者の社会保険加入要件から「月額賃金88,000円以上」が撤廃される予定です。これにより、週20時間以上勤務する短時間労働者の加入対象が広がります。ただし、130万円未満の被扶養者の収入要件は変わりません。週20時間未満の勤務でも、年間収入が130万円以上になれば扶養から外れます。

(参考)短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント - 厚生労働省

(4)2027年以降順次改正|企業規模要件は撤廃

短時間労働者の社会保険加入要件のうち従業員数要件も、今後10年間かけて段階的に引き下げられ、最終的に撤廃される見通しです。

  • 2027年10月から:36人以上の企業
  • 2029年10月から:21人以上の企業
  • 2032年10月から:11人以上の企業
  • 2035年10月から 10人以下の企業(従業員数要件撤廃)

(参考)短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント - 厚生労働省

扶養制度の基本をおさえ、個別ケースに対応できる体制を整えよう

社会保険の扶養制度は、被扶養者の家族の範囲や収入要件、同居要件など、確認項目が多岐にわたります。また、昨今の制度改正により、これまでの運用の見直しが必要な場面も増えています。

人事労務担当者として、従業員からの問い合わせへの適切な対応には、制度の基本をおさえたうえで、個別のケースに応じた判断ができる体制が重要です。

判断に迷う場合は、加入先の保険者(協会けんぽまたは健康保険組合)に確認し、正確に手続きを進めましょう。

お役立ち資料

2026年版人事・労務向け「法改正&実務対応カレンダー」

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