【シミュレーション付き】失業保険(失業手当)はいつから、いくらもらえる?受給要件・計算・手続き方法を解説
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目次
失業保険(正式名称:基本手当)は、雇用保険に一定期間加入していれば、退職後に受給できる公的な制度です。
退職を予定している従業員が、「いつから、いくらもらえるのか」と不安を抱えているケースは少なくありません。人事・労務担当者が仕組みを正しく理解し、こうした疑問に的確に答えることで、従業員の安心と円満な退職につながります。
本記事では、受給要件や支給額の計算方法、給付日数、手続きの流れを、人事・労務担当者と退職予定者の両方の視点からわかりやすく解説します。
※本記事の情報は2026年4月時点での内容になります。最新の情報は各省庁の発表内容をご確認ください。
失業保険とは
失業保険とは、会社の倒産やリストラによって職を失った人や、自身の都合で退職した人が、次の仕事を見つけるまでのあいだに受け取れる公的な制度です。正式名称は「基本手当」といい、雇用保険制度の「失業等給付」のなかの「求職者給付」に分類されます。
一般的に「失業手当」「失業給付」と呼ばれることもありますが、いずれも正式名称は基本手当です。
雇用保険の失業等給付には求職者給付のほかに、就職促進給付や教育訓練給付、雇用継続給付があり、再就職手当や介護休業給付金もこの制度の一部です。
分類 | 給付の種類 | 主な内容 |
|---|---|---|
求職者給付 | 基本手当(失業保険) | 失業中の生活を支援する給付 |
技能習得手当ほか | 職業訓練を受ける際の手当 | |
就職促進給付 | 再就職手当 | 早期再就職を促すための給付 |
就業促進定着手当ほか | 再就職後の定着を支援 | |
教育訓練給付 | 教育訓練給付金など | スキルアップのための費用補助 |
雇用継続給付 | 介護休業給付金など | 介護などで働けない期間の所得補償 |
(参考)雇用保険制度の概要(体系)- 厚生労働省、雇用保険法 第三章 第十条 (失業等給付) - e-Gov
失業保険の目的は「失業した人の再就職を促すこと」です。受給できる期間や金額は、次の3つの要素で決まります。
- 年齢
- 雇用保険の加入期間
- 離職理由
とくに、離職理由による差は大きく、会社都合(リストラ・倒産など)と自己都合では、給付が始まるまでの待期期間や給付日数に大きな差があります。
失業保険(基本手当)の受給資格
失業保険を受け取るには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 雇用保険法における「失業状態」であること
- 雇用保険の一定期間の被保険者期間があること

(1)雇用保険法における「失業状態」の定義
失業保険(基本手当)を受給できる「失業状態」とは、単に離職して仕事がない状態ではありません。雇用保険法にもとづき、以下の3つの要件をすべて満たす場合のみ、ハローワークから「失業」と認定されます。
- 再就職の意思がある
- いつでも働ける能力・環境がある
- 積極的に求職活動をしているが、就職できない
【重要】すぐに働けない場合は「受給期間の延長申請」を
妊娠・出産・育児や病気、ケガなどの理由で、30日以上働けない場合は、「失業状態」に該当せず、すぐには基本手当を受給できません。ただし、離職日の翌日から受給期間(原則1年間)の延長を申請することで、回復後に受給できる制度があります。
申請は30日以上就業できなくなった日の翌日以降、なるべく早期の申請が原則です。しかし、延長後の受給期間の最終日まで申請は可能です。

受給期間の延長申請
- 対象となる状態
- 疾病、負傷、妊娠、出産、育児(3歳未満)、親族の介護などにより、30日以上働けない状態
申請のタイミング
30日以上働けなくなった日の翌日から申請可能
申請期限
延長後の受給期間の最終日
(2)雇用保険の加入期間(被保険者期間)の考え方
受給に必要な加入期間は、「離職理由」によって2つの区分に分かれます。
離職理由の区分 | 必要な加入期間 | 対象となる主なケース |
|---|---|---|
一般の離職者 (自己都合など) | 離職前2年間に12か月以上 | 自己都合退職、定年退職など |
特定受給資格者・特定理由離職者 (会社都合など) | 離職前1年間に6か月以上 | 倒産、解雇、雇い止め、やむを得ない正当な理由がある自己都合など |
被保険者期間をカウントする際のポイントは以下のとおりです。
- 「1か月」のカウント基準
- 賃金支払の基礎となった日数が11日以上、または就労時間が80時間以上ある月を1か月と数えます。
- 注意点
- 過去に失業保険を受給したことがある場合、受給以前の被保険者期間はカウントされません。
1. 一般の離職者(自己都合など)
自己都合退職などの一般的なケースでは、離職日以前の2年間に通算12か月以上の被保険者期間が必要です。

(※)賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1月とし、11日未満である月は算入しない。(法14)
ただし、同じ自己都合でも、病気や介護などの「やむを得ない正当な理由」で離職した場合は「特定理由離職者」として扱われ、必要な被保険者期間が緩和されます。
2. 特定受給資格者・特定理由離職者(倒産・解雇・契約満了など)
会社都合(倒産・解雇)や有期契約の雇い止めなど、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」に該当する場合は、離職前1年間に6か月以上の被保険者期間があれば受給できます。
区分 | 概要(どのような状態か) | 具体的なケースの例 |
|---|---|---|
特定受給資格者(主に会社都合) | 再就職の準備をする余裕がなく、強制的に職を失った状態 |
|
特定理由離職者(主に期間満了) | 離職せざるを得ない正当な理由がある状態 |
|
(参考)特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要 - ハローワーク

(※)賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1月とし、11日未満である月は算入しない。(法14)
3. 休職などで30日以上賃金が支払われなかった場合
離職前に疾病・負傷や出産・育児などの理由で30日以上賃金が支払われなかった期間がある場合、その日数分だけ被保険者期間の算定対象期間を延長できる特例があります。
- 通常
- 離職日から「直近2年間」をさかのぼり、12か月以上の加入期間があるかを確認します。
- 特例
- 休職などで働けなかった日数分だけ、確認する対象期間を広げられます。ただし、「離職日から最大4年前まで」が限度です。
たとえば産休・育休明けに退職した従業員の場合、この仕組みによって受給資格を満たすケースがあります。
(参考)雇用保険法 第三章 第十三条(基本手当の受給資格)1項 - e-Gov
(3)失業保険を受給できないケース
次のいずれかに当てはまる場合、基本手当を受給できない、または受給を保留する必要があります。
- 妊娠・出産・育児や病気・ケガなどにより、すぐに就労できない状態
- 学業に専念するため就職の意思がない場合
- 自営業を開始した、または起業の準備中の場合(※ただし、収入の規模や就労実態によっては受給できる可能性もあるため、ハローワークへ相談が必要)
- 会社の役員に就任している場合
- 65歳以上で雇用保険の「高年齢被保険者」として就職している場合(高年齢求職者給付金の対象となる)
- アルバイトで週20時間以上勤務するなど、「就職」とみなされる状態になった場合
(参考)Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~ - 厚生労働省
いくらもらえる? 支給額の計算方法
基本手当は1日単位で計算され、この1日分の金額を「基本手当日額」といいます。計算式は次のとおりです。
基本手当日額 = 離職前6か月の賃金合計 ÷ 180日 × 給付率(45〜80%)

計算のポイント
計算にあたっては、次の3点を押さえておきましょう。
(1)計算のもとになる「賃金」の範囲
手取りではなく、税金や社会保険料が引かれる前の金額(額面/総支給額)で計算します。
- 賃金に含まれる:基本給、残業代、通勤手当
- 賃金に含まれない:ボーナス(賞与)、退職金
(2)給付率
給付率は、賃金日額が低い人ほど高く、高い人ほど低くなります(最大80%〜最低45%)。年齢によって異なります。
- 60歳未満:50〜80%
- 60〜64歳:45〜80%
(3)年齢ごとの上限額
離職時の年齢に応じた賃金日額の上限額が定められており、計算結果が上限を超える場合は、基本手当日額の上限額となります。
なお、基本手当日額は毎年8月に改定されます。
※本記事の上限額は2025年度(2025年8月以降適用)の数値です。
(参考)雇用保険の基本手当日額が変更になります - 厚生労働省
基本手当日額シミュレーション
実際の支給額をイメージしやすいよう、年齢・月給が異なる3つのケースでシミュレーションします。いずれも自己都合退職(給付日数90日)の想定です。
※ 計算式は厚生労働省公表の数式を使用した概算です。実際の支給額はハローワークが決定します。
(1)28歳・月給30万円の場合
- 賃金日額:1,800,000円(30万円×6か月)÷180 =10,000円(上限額14,510円)
- 給付率:62.08%
- 給付率 = 0.8 - 0.3(賃金日額10,000 - 5,340/13,140 - 5,340)
- 基本手当日額:6,208円
- 賃金日当10,000円×給付率62.08%
- 90日間の総支給見込み:558,720円
(2)45歳・月給55万円の場合
- 賃金日額:3,300,000円(55万円×6か月)÷180 = 18,333円
- 上限賃金日額(45〜59歳):17,740 円 → 上限超過のため上限賃金日額で計算
基本手当日額:上限の8,870円
- 90日間の総支給見込み:798,300円
(3)60歳・月給40万円の場合
- 賃金日額:2,400,000円(40万円×6か月)÷180 = 13,333円(上限額16,940円)
- 給付率:45%(11,800円超 16,940円以下の給付率)
- 基本手当日額:5,999円
- 90日間の総支給見込み:539,910円
いつからいつまでもらえる? 給付日数と受給期間
基本手当がいつから、何日分もらえるかは、離職理由と被保険者期間によって大きく異なります。「給付日数」と「受給期間」は別の概念であるため、違いについても解説していきます。
| 類型 | 特定受給資格者 | 特定理由離職者 | 一般の受給資格者 | |
|---|---|---|---|---|
離職理由例 | 倒産、解雇など | 有期労働契約の満了(更新希望があったが不成立) | 病気やケガ、家族の介護など | 自己都合、定年など |
待期期間 | 7日間(全員共通) | |||
給付制限 | なし | なし | なし | 1か月(※) |
所定給付日数 | 90〜330日 | 90〜330日 | 90〜150日 | 90〜150日 |
受給開始の目安 | 申請から約2週間後 | 申請から約2週間後 | 申請から約2週間後 | 申請から約6〜7週間後 |
※ 例外あり:5年間で2回以上の自己都合離職、または自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇の場合は給付制限期間3か月。自ら教育訓練(学び直し)を受ける場合は、自己都合であっても給付制限が免除される。
(出典)雇用保険制度の概要 - 厚生労働省、令和7年4月1日以降に離職された方は「給付制限期間」が1か月に短縮されます - 厚生労働省
(1)離職理由別の給付日数
「給付日数」は、基本手当をトータルで何日分受け取れるかを示し、雇用保険の加入期間や離職時の年齢によって細かく分かれます。
1. 一般の受給資格者(自己都合など)、特定理由離職者(一部)の給付日数
自己都合退職などの一般の受給資格者と、病気やケガ、家族の介護などを理由に離職した特定理由離職者の一部は、雇用保険の加入期間が長くなるほど給付日数が増える仕組みで、年齢による違いはありません。
雇用保険の加入期間 | 全年齢 |
|---|---|
1年未満(※) | 90日 |
1年以上10年未満 | 90日 |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
(※)特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得られます
2. 会社都合離職者(特定受給資格者)の給付日数
倒産・解雇などの特定受給資格者と有期労働契約満了(更新希望があったが不成立)の場合は、再就職の準備期間が短いため、一般の離職者よりも手厚い日数が設定されています。年齢と雇用保険の加入期間に応じて90日〜最大330日支給されます。
雇用保険の加入期間 | 1年未満 | 1〜5年未満 | 5〜10年未満 | 10〜20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
(2)受給期間は離職理由を問わず1年間が原則
1. 「受給期間」は失業保険の有効期限
「受給期間」は失業保険を受け取れる有効期限を指します。原則は、離職日の翌日から1年間で、自己都合でも会社都合でも変わりません。
注意が必要なのは、給付日数が多い会社都合離職者です。給付日数が270日や330日ある場合、1年(365日)という受給期間内に収めるためには、なるべく早くハローワークに申請する必要があります。申請を先延ばしにすると、受給資格が消失するおそれがあります。
2. 受給期間を延長できる場合
受給期間中に、病気・ケガ・妊娠・出産・育児などの理由で引き続き30日以上働けなくなった場合は、働けなくなった日数分だけ受給期間を延長できます(最大3年間まで)。この「受給期間の延長申請」を活用することで、体調や育児の状況が落ち着いてから求職活動を開始できます。
(3)給付制限期間と受給開始タイミング

1. 7日間の「待期期間」
離職理由にかかわらず、ハローワークで手続きをした日から最初の7日間は、失業保険が支給されない「待期期間」です。この期間に収入を得ると、支給開始が遅れる可能性があるため注意しましょう。
2. 一般の離職者には給付制限期間が発生
自己都合退職の場合は、7日間の待期期間に加え、1か月の「給付制限期間」が発生します。給付制限期間には、次の3つのポイントがあります。
原則:1か月
- 離職日が2025年4月1日以降の場合、従来の2か月から「1か月」へと短縮されました。
例外1:3か月に延長されるケース
- 過去5年間に自己都合退職による受給を2回以上繰り返している場合、または自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重積解雇)の場合は、今回の短縮は適用されず、給付制限期間は3か月となります。
例外2:免除されるケース
退職後に自ら教育訓練(学び直し)を受ける場合は、自己都合であってもこの給付制限が免除され、早期に受給を開始できる仕組みが導入されています。
(参考)令和7年4月1日以降に離職された方は「給付制限期間」が1か月に短縮されます - 厚生労働省、令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます - 厚生労働省
3. 特定受給資格者・特定理由離職者は給付制限期間なし
倒産や解雇、雇い止め、あるいは病気や介護など「やむを得ない正当な理由」で離職した場合は、給付制限期間はありません。7日間の待期期間が終了すれば、すぐに受給の対象となります。
自己都合の場合と比較して、再就職に向けた準備期間にゆとりがないことを考慮し、より迅速に支援される仕組みになっています。
4.「受給資格の発生」と「振り込み日」の違い
ここで注意すべきは、「給付制限が終わる日 = 給付金が振り込まれる日」ではないという点です。受給資格の発生から給付金の振り込みまでは以下のフローとなっています。
- 待期期間・給付制限の終了(受給資格が確定)
- ハローワークでの「失業認定」(実際に失業していたことを確認)
- 指定口座への振込(認定から通常1週間程度)
自己都合の場合、ハローワークでの初回手続きから振り込みまでは、スムーズに進んでも約2か月弱かかります。
【人事・労務担当者向け】「離職理由」判定の注意点
離職票の「離職理由」欄は、受給資格の可否・給付日数・待期期間に直結する重要な記載事項です。人事・労務担当者の誤認・誤記が重大なトラブルを引き起こすリスクがあります。

(1)安易な「自己都合」処理は離職者とのトラブルを招く可能性も
会社都合(特定受給資格者)の場合と自己都合では、給付日数が最大330日対150日と倍以上の差があります。さらに会社都合であれば給付制限がなく、申請からおよそ2週間で受給が始まります。
離職する従業員にとって、この差は生活に直結する問題です。実態として会社都合に相当するにもかかわらず、事実確認が不十分なまま自己都合として処理した場合、従業員がハローワークで異議を申し立て、認定を覆されるケースがあります。
(2)事実と異なる離職理由を記載した場合は法的リスクも
たとえば「本人が会社都合にしてほしいと言ったから」という理由で、客観的事実に反した離職理由を離職証明書に記載した場合、離職者本人は失業等給付の受給資格を失うほか、不正受給額の返還と2倍の額の納付が求められます。
事業主は不正受給の連帯責任を負い、返還義務が生じるだけでなく、雇用保険法上の虚偽申請として「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」も科される可能性があります。
退職勧奨(早期退職募集への応募など)の場合は「会社都合」に準じた扱いになるため、実態に即した判断が求められます。判断に迷う場合は、ハローワークまたは社会保険労務士に相談しましょう。
(参考)雇用保険法 第三章 第十条の四 2項 (返還命令等) - e-Gov
(3)会社都合離職は助成金の受給に制限がかかる可能性も
一定期間内に「特定受給資格者(会社都合離職者)」がいると、キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金など、受給できなくなる助成金があります。
「助成金に影響するから自己都合にしよう」という発想は法的・道義的に問題があるため、本人の意向や実態にもとづいた正確な離職理由の記載を徹底しましょう。
(参考)特定受給資格者となる離職理由の判定基準 - 厚生労働省
失業保険受給の手続き方法
受給手続きは基本的に次の7つのステップで進みます。前述したとおり、手続きには一定期間かかるため、できるだけ早く手続きを開始しましょう。

【企業(人事・労務担当者)が行なう手続き】「離職票」の発行
従業員が退職した際、企業側の手続きは大きく分けて3つのステップがあります。ハローワークへの届け出には期限があるため、迅速な対応が求められます。
ステップ1:資格喪失届と離職証明書の作成・提出(期限:10日以内)
まず、雇用保険の脱退手続きと、失業保険の金額を計算するための書類をハローワークへ提出します。
- 雇用保険被保険者資格喪失届: 離職日の翌日から10日以内に提出します。
- 離職証明書の作成: 離職理由や賃金額を記入します。
- 実務のポイント(重要): 離職理由の相違によるトラブルを防ぐため、必ず離職者本人に内容を確認してもらい、署名・記名押印を受けるようにしてください。
ステップ2:ハローワークから「離職票」を受領
ステップ1の書類が受理されると、ハローワークから「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」が発行されます。
ステップ3:離職者へ離職票を郵送
ハローワークから受け取った離職票を、すみやかに退職者の自宅へ郵送します。離職票が届かないと退職者は失業保険の手続きができません。「いつごろ発送予定か」をあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
2025年1月から、離職票をマイナポータルで受け取れるようになりました。退職者への郵送が不要になるほか、退職者側も早期に受け取れます。雇用保険の資格喪失手続きを電子申請している場合はとくに活用したい機能です。
(参考)事業主の行う雇用保険の手続き - 厚生労働省、2025年1月から、「離職票」をマイナポータルで受け取れるようになります! - 厚生労働省
【退職者本人が行なう手続き】ハローワークでの申請から受給まで
ステップ4:ハローワークで「求職の申し込み」と「離職票」の提出
離職票が届いたら、住民票の住所を管轄するハローワークで求職の申し込みと離職票を提出します。この日が「受給開始日の起算点」となるため、すみやかに手続きをしましょう。
持参するもの
- 雇用保険被保険者離職票-1・雇用保険被保険者離職票-2
- 個人番号確認書類(以下のうちいずれか1種類)
- マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票
- 身元(実在)確認書類
- (1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
- (2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
- (1)のうちいずれか1種類
- (1)の書類がない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可)
- 本人名義の銀行口座の通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関があり)
- 証明写真2枚(マイナンバーカードがある場合は不要)
ステップ5:7日間の「待期期間」と「雇用保険受給者初回説明会」への参加
申し込みをした日から起算して7日間は、離職理由に関係なく全員が受給できない「待期期間」です。この期間はアルバイトも含めて就労できません。
また、ハローワークから指定される「雇用保険者初回受給説明会」への出席が必須です。この説明会で雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が交付されます。
ステップ6:「失業認定」を受け、就職活動をする
待期期間終了後(自己都合の場合はさらに給付制限期間後)、第一回目の「失業認定日」がハローワークから指定されます。この初回認定日にハローワークに行き、求職活動の実績を申告することで、初めて基本手当の支給が決定されます。初回認定日までに原則1回以上(※)の求職活動実績(インターネット応募や求職相談なども可)が必要です。
※初回認定日までに必要な求職活動実績
- 初回認定日:資格決定日(雇用保険を申請した日)~初回認定日前日までに1回以上
- 給付制限3か月の場合:給付制限の初日~次回認定日前日までに3回以上
- 給付制限2か月の場合:給付制限の初日~次回認定日前日までに2回以上
ステップ7:失業保険の給付開始
失業認定日から約5営業日後に、指定口座へ基本手当が振り込まれます。以降は4週間ごとに認定日を繰り返しながら求職活動を継続します。前回認定日から次回の認定日までに2回以上の求職活動実績が必要です。
(参考)雇用保険の具体的な手続き - ハローワーク、雇用保険受給に必要な求職活動実績について - 厚生労働省
受給期間中に就職が決まった場合と再就職手当
受給期間中に就職が決まった場合、失業保険の受給は停止されます。就職が決まった場合、すみやかにハローワークへ届け出る必要があります。届け出を怠ると不正受給とみなされ、受給額の返還や追加徴収の対象となります。
一方で、早期に就職が決まった場合には「再就職手当」が受給できます。
再就職手当とは、失業保険の残日数が一定以上残っている状態で就職が決まったときに支給される「お祝い金」のような制度です。
再就職手当の支給要件
- 待期期間(7日間)満了後の就職であること
- 失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 離職前の事業主への再就職でないこと
- 給付制限がある場合、最初の1か月間は「ハローワーク」か「認可された紹介会社」経由で決まった就職であること
- 1年以上の雇用が見込まれること
- 再就職先で雇用保険の被保険者になること
- 過去3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
- ハローワークに求職申し込み前に内定していなかったこと

再就職手当の支給額
再就職手当は、次の計算式で算出します。
基本手当日額 × 支給残日数 × 60%(残日数が2/3以上の場合は70%)
(参考)雇用保険受給資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内 - 厚生労働省
失業保険の従業員からの「よくある質問」と回答のコツ
(1)受け取れる金額は?
「私はいくら受け取れますか?」という質問は非常に多いですが、企業側が安易に金額を答えることはリスクをともないます。基本手当の計算に用いる賃金日額には残業代や通勤手当が含まれるため、月によって変動しやすく、試算した金額と実際の支給額がずれる可能性があります。
そのため、以下のような回答を心がけてください。
基本手当の正確な金額はハローワークが賃金台帳をもとに決定しますので、申請後に確定します。概算では〇〇〇〇円程度ですが、あくまで参考値です。
(2)離職票を早く発行してほしい
退職者から「離職票が届かない」「早く出してほしい」と催促されることはよくあります。「手続き中であり、ハローワークの処理期間込みで到着まで〇営業日程度かかる見込み」など、手続き状況を具体的に伝えることで、不必要な不信感を避けられます。
失業保険の受給開始時期にかかわるので、以下の2つのポイントを抑えて、最速で対応しましょう。
- 企業の手続き期限(退職翌日から10日以内)を遵守する
- e-Gov電子申請の活用、マイナポータルで受け取るなど、処理を迅速化する
(3)自己都合から会社都合へ変更したいのですが……
退職後にハローワークで従業員自身が「異議あり」と申し立て、離職理由が変更されるケースがあります。長時間労働・ハラスメント・パワハラなどが背景にある場合は、従業員が事実を証明することで会社都合に認定されることもあります。
感情的な対立を避けるためにも、日ごろから労働時間の記録・ハラスメント相談窓口の整備などに取り組み、離職理由は客観的な事実にもとづいて記載することが最善策です。
(4)失業保険を残して就職したらどうなりますか?
失業保険の制度説明に加えて、「早めに就職が決まると再就職手当が支給される」という情報もあわせて伝えましょう。ネガティブになりがちな退職シーンで、「失業保険をもらい切らずに早く就職した方が経済的に有利なこともある」という誠実なアドバイスが、円満な退職につながります。
従業員向けToDoチェックリスト
人事・労務担当者が退職予定者にメールやチャットで送信できるチェックリストです。問い合わせの工数削減も期待できるため、ぜひご活用ください。
「退職後の失業保険手続き」チェックリスト
- □離職票の受け取り方法を確認(郵送先住所に変更がある場合は、人事・労務担当者に申告)
- □必要書類を揃える
- □雇用保険被保険者離職票-1・2
- □個人番号確認書類
- □身元(実在)確認書類
- □証明写真
- □本人名義の通帳またはキャッシュカード
- □住民票の住所を管轄するハローワークで手続きをする
- □7日間の待期期間+給付制限期間(自己都合は1か月)を確認
- □上記期間はアルバイトなどは厳禁
- □2回以上の求職活動実績を挙げる
- □ハローワークの職業相談・求人応募・セミナー参加など
- □失業認定日にハローワークへ必要書類を持参し「失業認定」を受ける
- □就職が決まった場合は再就職手当を忘れずに申請する
※ 上記は一般的な流れです。個別の事情はハローワーク窓口または社会保険労務士にご相談ください
丁寧な退職手続きは「最大の誠意」。
誠実な対応が組織の価値を高める
2025年の法改正により給付制限期間や手続き方法が変わり、失業保険に関する実務はこれまで以上に正確かつ迅速な対応が求められます。企業側の法的な義務は「正確な離職票を遅滞なく発行すること」ですが、退職する従業員にとって失業保険は、退職後の生活設計に直結する命綱とも言える重要な制度です。
複雑な制度内容を人事・労務担当者が適切に案内し、丁寧に退職手続きを進めることは、これまで貢献してくれた従業員に対する「最大の誠意」になります。「退職手続きまで誠実に向き合ってくれる企業」という信頼は、退職者の再雇用や採用リファラルにつながるだけでなく、現職の従業員のエンゲージメント向上にも波及するはずです。
一方で、法改正のたびに最新ルールを把握し、ミスの許されない退職手続きを手作業で進めるのは、人事・労務担当者にとって大きな負担となります。担当者の業務負荷を軽減し、退職者との良好な関係構築に注力するためにも、手続きを自動化・ペーパーレス化できる労務管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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