給与所得とは?給与収入との違いや計算方法、届出までまとめて紹介
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人事・労務担当者にとって、給与計算や年末調整の正確性は「給与所得」の理解にかかっています。給与所得とは、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額です。所得税や住民税は、給与の総額ではなく、この給与所得をもとに計算されます。
「どこまでが給与所得に含まれるのか」「課税・非課税をどう判断するか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、給与所得の計算方法や課税・非課税の判断基準、関連する届出まで、人事・労務担当者が押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
給与所得とは?
ここでは、給与収入と給与所得の違いを、収入と経費の考え方も交えながら解説します。
給与所得とは、企業から受け取る給与収入から「給与所得控除」を差し引いた額で、税金計算の基礎となります。給与所得控除は、個人事業主でいう必要経費にあたり、会社員の場合は給与収入から一定額を差し引かれます。
給与収入と給与所得の違い
「収入」と「所得」は似た言葉ですが、税務上は異なる概念です。
「収入」とは、報酬や給与として受け取った金額そのものを指します。一方、「所得」とは、収入から必要経費にあたる金額を差し引いた金額です。
会社員の場合は、実際にかかった経費を個別に差し引けません。かわりに、収入金額に応じた 「給与所得控除」 が自動的に適用され、控除後の金額が給与所得となります。
給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除(経費のみなし額)
所得税は、給与所得からさらに各種の所得控除を差し引いた金額に税率をかけて計算されます。所得税額が計算されるまでの流れは、以下のとおりです。

給与についての詳細は以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
給与所得控除と給与所得の計算方法
給与所得控除額は、年収に応じて段階的に決まる仕組みです。ここでは、その仕組みと年収ごとの計算例をわかりやすく解説します。
給与所得控除の計算方法
令和7年分の給与所得控除額は、年収が190万円以下の場合、最低保障額である65万円が控除されました。年収が190万円を超えると収入金額に応じた計算式で段階的に増加し、年収850万円を超える場合は上限の195万円が適用されます。
年収による給与所得控除の計算式は、以下のとおりです。
給与等の収入金額 | 令和7年分の給与所得控除額 | 令和8年分・令和9年分の給与所得控除額 |
|---|---|---|
190万円以下 | 最低保障額 65万円 | 最低保障額 74万円(69万円+特例5万円) |
190万円超 220万円以下 | 収入金額 × 30% + 8万円 | 最低保障額 74万円(69万円+特例5万円) |
220万円超 360万円以下 | 収入金額 × 30% + 8万円 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
360万円超 660万円以下 | 収入金額 × 20% + 44万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
660万円超 850万円以下 | 収入金額 × 10% + 110万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) | 195万円(上限) |
参考:No.1410 給与所得控除 - 国税庁
参考:源泉所得税の改正のあらまし - 国税庁
給与所得控除は、物価上昇などを背景に改正され、2026年(令和8年)3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号)により、給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円に引き上げられました。さらに、令和8年分・令和9年分については特例として5万円が上乗せされ、最低保障額は74万円となります。
所得税は法改正が多いため、今後の動向に注視しながら、継続的に情報を確認していきましょう。
給与所得の計算方法
令和7年分の給与所得控除の計算式を使って、2つの年収パターンで給与所得を計算してみましょう。
【年収100万円のケース】
年収が190万円以下のため、給与所得控除は最低保障額の65万円が適用されます。
- 給与収入:100万円
- 給与所得控除:65万円
- 給与所得:100万円 − 65万円 = 35万円
【年収500万円のケース】
年収が360万円超660万円以下のため、給与所得控除は「収入金額 × 20% + 44万円」で計算します。
- 給与収入:500万円
- 給与所得控除:144万円(500万円 × 20% + 44万円)
- 給与所得:500万円 − 144万円 = 356万円
このように、給与所得は年収区分ごとに異なる計算式で算出します。源泉徴収や年末調整に直結するため、適用する区分や計算式を取り違えないよう注意しましょう。
給与として課税されるもの・されないもの(非課税)

ここでは、給与として課税・非課税の区分や、判断に迷いやすいケースを解説します。
企業から従業員に支給される金銭や手当は、課税対象と非課税に分けられます。どの手当が給与所得に含まれるかの見極めは、正確な給与計算の前提となります。
(1)【課税】原則として給与所得として扱うもの
雇用契約にもとづいて支払われる金銭は、手当・報酬・賞与などの名称にかかわらず、原則として課税対象となります。
ここでは、給与所得として課税対象になる代表的な手当を解説します。
【家族手当・住宅手当】
家族手当とは、扶養家族がいる従業員に対して、生活費を補助する目的で支給される手当です。扶養手当と呼ばれることもあり、名称は企業によって異なります。一律で支給するケースや、扶養家族の人数に応じて支給するケースなど、運用方法はさまざまです。
住宅手当は、家賃を補助する目的で支給される手当です。
家族手当・住宅手当は、福利厚生の一環として支給されるケースが多いものの、所得税法上は給与として扱われ、給与所得に含まれます。
【残業手当・休日出勤手当】
残業手当は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働した場合に、超過した時間に応じて支給される手当です。残業手当・休日出勤手当はいずれも労働の対価として支給される金銭であるため、課税対象となります。
(2)【非課税】一定額まで給与所得に含まれない通勤手当

企業が支給する手当のうち、実費を補填する性質が強いものは、一定額まで所得税が課税されません。
その代表例が通勤手当です。通勤手当とは、従業員が自宅から勤務先まで通勤するための交通費として、定期券相当額などを支給する手当を指します。
通勤手当は、一定額までは非課税として扱うことが認められていますが、通勤手段によって非課税限度額が異なります。
なお、出張・外出時の旅費交通費(新幹線代・宿泊費・日当など)は、業務上必要な範囲の実費精算であれば、原則として非課税です。
【公共交通機関での通勤】
電車やバスなどの公共交通機関を利用して通勤する場合、1か月あたりの非課税限度額は150,000円です。
【マイカー・自転車で通勤する場合】
マイカー(自家用車)や自転車で通勤する場合は、通勤距離に応じて非課税限度額が異なります。詳細は以下のとおりです。
片道の通勤距離 | 1か月あたりの非課税限度額 |
|---|---|
2km未満 | (全額課税) |
2km以上10km未満 | 4,200円 |
10km以上15km未満 | 7,300円 |
15km以上25km未満 | 13,500円 |
25km以上35km未満 | 19,700円 |
35km以上45km未満 | 25,900円 |
45km以上55km未満 | 32,300円 |
55km以上65km未満 | 38,700円 |
65km以上75km未満 | 45,700円 |
75km以上85km未満 | 52,700円 |
85km以上95km未満 | 59,600円 |
95km以上 | 66,400円 |
※太字部分は令和8年4月1日施行で新設された距離区分
参考:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当 - 国税庁をもとにSmartHR Mag.編集部で作成
マイカーや自転車で通勤する従業員に対しては、非課税限度額と同額を通勤手当として支給する企業が多くみられます。非課税限度額=通勤手当の支給額 であれば全額を非課税にできますが、非課税限度額を超えて支給する場合は、給与計算の際に課税分と非課税分を分けて計算する必要があります。
また、令和8年4月1日以降、マイカーや自転車での通勤者が「一定の要件を満たす駐車場等」を利用する場合、駐車場等の料金相当額(月額上限5,000円)も非課税限度額に加算できるようになりました。
非課税限度額の計算式は、次のとおりです。
非課税限度額 = 通勤距離区分による限度額 + 駐車場等の料金相当額(月額上限5,000円)
「一定の要件を満たす駐車場等」とは、勤務地周辺、または利用する交通機関の駅・停留所周辺にある、通勤目的で使用する交通用具の駐車施設を指します。ただし、通勤距離が片道2km未満の従業員は対象外です。
なお、電車・バスとマイカー・自転車を併用する従業員(パーク&ライドなど)も、駐車場等を利用している場合は同様に加算が可能です。この場合の非課税限度額は「公共交通機関の運賃 + 通勤距離区分による限度額 + 駐車場等の料金相当額(月額上限5,000円)」となり、合計の最高限度は150,000円です。
参考:令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし(p.4) - 国税庁
【徒歩で通勤する場合】
徒歩で通勤する従業員に通勤手当を支給するケースもあります。ただし、徒歩通勤者の通勤手当は非課税の対象とならず、全額が課税対象となります。
徒歩通勤の従業員に手当を支給する場合は、所得税が課税される旨を事前に説明しましょう。
(3)【非課税】給与所得ではなく社会保険として扱うもの
社会保険関係の給付金は、業務上または私生活でのけがや病気による休業、出産、失業など、給与の代わりとなる生活費を補填する性質をもつため、原則として非課税となります。
労働の対価ではなく保険制度による補償・保障であるため、所得税法上、給与所得には該当しません。ただし、老齢年金のように課税対象となるケースもあるため、課税・非課税の区分を正しく把握しておきましょう。
給与所得に該当しない代表的な給付金は、以下のとおりです。
保険の種類 | 給与所得に該当しない給付金(例) |
|---|---|
健康保険 | 出産手当金/傷病手当金/出産育児一時金 |
年金 | 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)/障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金) ※老齢基礎年金・老齢厚生年金は雑所得として課税対象 |
労災保険 | 療養(補償)給付/休業(補償)給付/障害(補償)給付/遺族(補償)給付/葬祭料(葬祭給付) |
雇用保険 | 基本手当(失業手当)/育児休業給付金/高年齢雇用継続給付 |
参考:No.2011 課税される所得と非課税所得 - 国税庁
(4)判断に迷いやすい現物給与や慶弔金

現物で支給される物品や慶弔金などは、給与として課税されるかどうか判断に迷うケースがあります。ここでは、実務上の判断ポイントを解説します。
【祝い金・見舞金】
慶弔見舞金の制度は多くの企業が導入しており、「慶弔見舞金規程」などにもとづいて従業員に支給します。代表的なものとして、従業員の結婚時に支給する祝い金や、本人・家族に不幸があった際の弔慰金などがあります。
慶弔見舞金は、社会通念上相当と認められる範囲であれば、原則として給与課税の対象となりません。
ただし、支給額が著しく高額な場合や、支給基準が不明確な場合は、給与として課税される可能性があります。給与課税のリスクを避けるためにも、金額や支給要件を規程に明確に定め、規程にもとづいた運用を徹底しましょう。
参考:No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき - 国税庁
【食事・制服・社宅などの現物給与】
▼食事の現物支給
企業が現物支給する代表例として、食事・制服・社宅などがあげられます。業務遂行上の必要から支給される場合など、所定の要件を満たすことで非課税となります。
それぞれの主な要件や注意点は、以下のとおりです。
企業が支給する食事は、以下の 2つの要件をいずれも満たす場合に、原則として非課税となります。
- 従業員が、食事の価額の半分以上 を負担していること
- 食事の価額から従業員負担額を差し引いた金額が、1か月あたり7,500円以下(消費税および地方消費税の額を除く)であること
企業が食事代の全額を負担する場合は、課税対象となるため注意しましょう。
▼制服の現物支給
制服や作業服の現物支給は、業務に必要な費用を企業が負担している場合で、以下の要件を満たすときに非課税となります。
- 業務上での着用が前提であり、私用での着用が想定されないこと(社名などが入っており、一目見てその企業の従業員だとわかる状態であること)
- 支給対象が、従業員全員、または特定の職種に従事する従業員全員であること
▼社宅の現物給与
社宅を貸与する場合、従業員から1か月あたり賃料相当額の50%以上を受け取っていれば、非課税となります。
賃料相当額とは、以下の 1.〜3.の合計額です。
- (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)× 0.2%
- 12円 ×(その建物の総床面積(㎡)÷ 3.3㎡)
- (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)× 0.22%
参考:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき - 国税庁
【社内表彰にかかわる報奨金】
永年勤続表彰やMVPなどの社内表彰制度を設けている企業もあるでしょう。表彰の際に従業員へ支給する報奨金は、原則として給与として課税されます。
ギフトカードなどの金券を渡した場合も、現金と同様に課税対象となるため注意しましょう。
ただし、永年勤続表彰などで記念品を手渡した場合は、金額などの一定要件を満たすときに限り、非課税となります。
参考:No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき - 国税庁
給与所得に関係する届出・提出書類

給与に関する法律と基本ルール
ここでは、給与を計算・支払いするうえで押さえておくべき、労働基準法上の基本ルールを解説します。
ルール1:賃金支払いの5原則
労働基準法第24条は、賃金の支払い方法について「賃金支払いの5原則」を定めています。
原則 | 内容 |
|---|---|
(1)通貨払いの原則 | 賃金は、通貨(現金)で支払わなければならない |
(2)直接払いの原則 | 賃金は、労働者本人に直接支払わなければならない |
(3)全額払いの原則 | 賃金は、全額を支払わなければならない(法令や労使協定で認められた控除を除く) |
(4)毎月1回以上払いの原則 | 賃金は、毎月1回以上支払わなければならない |
(5)一定期日払いの原則 | 賃金は、一定の期日に支払わなければならない |
これらの原則に違反した場合、労働基準法違反となります。実務上、とくに次の3点に注意が必要です。
【注意点1】「全額払いの原則」と給与控除
全額払いの原則では、社会保険料・所得税・住民税など、法令で定められたもの以外の控除は、原則として禁止されています。
ただし、社内預金・購買代金など一定の項目については、労使協定を締結すれば控除できます。労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)と結ぶ必要があります。
たとえば、従業員に対する損害賠償額を一方的に給与から天引きする行為は、労使協定がない限り違法と判断されます。
【注意点2】「毎月1回以上払い・一定期日払いの原則」の対象
毎月1回以上払い・一定期日払いの原則では、支給日を定めずに支払うことや、2か月に1回まとめて支払うことは違反となります。
ただし、賞与や臨時に支払われる賃金は、これらの原則の例外として扱われます。
【注意点3】「通貨払いの原則」と銀行振込・デジタル払い
通貨払いの原則では、賃金は原則として通貨(現金)で支払う必要があります。
ただし、従業員の同意がある場合は、銀行振込やデジタル払い(資金移動業者の口座への支払い)も認められます。同意を得ずに、現金以外の方法での支払いはできません。
ここでは、給与所得に関わる届出・提出書類について、提出時期や提出先、記載のポイントを解説します。
給与所得に関する届出書類は、所得税に関するものと、住民税に関するものに大きく分けられます。いずれも、翌年の課税額や正確な税額を算定するために重要な書類です。
(1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、扶養控除などの所得控除の適用を受けるために、従業員から企業へ提出してもらう書類です。扶養親族の情報のほか、ひとり親控除や障害者控除などの所得控除に関する申告欄も設けられています。
扶養控除等申告書は、主たる給与を受けている企業1社にのみ提出するもので、複数の勤務先に提出することはできません。申告書を提出した企業で、年末調整を行ないます。
提出時期は、次のとおりです。
- 既存の従業員:その年の最初の給与支払日の前日まで
- 中途入社の従業員:入社後、最初の給与支払日の前日まで
年の途中で扶養家族などに異動があった場合は、従業員に提出済みの申告書を訂正してもらう必要があります。
扶養控除等申告書の内容は従業員の税額に大きく影響するため、正確に記載してもらい、漏れなく給与計算に反映しましょう。
参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告 - 国税庁
(2)給与所得者の基礎控除申告書
給与所得者の基礎控除申告書は、年末調整の際に従業員から企業へ提出してもらう書類のひとつです。基礎控除の適用に加え、配偶者控除等や所得金額調整控除の判定にも用いられます。
基礎控除とは、納税者の最低限の生活費部分には課税しないという趣旨で設けられた所得控除のひとつです。従来は一律の控除額でしたが、現在は本人の合計所得金額に応じて控除額が異なるため、その判定のために本申告書の提出が必要となりました。
判定の対象となる所得は、申告書を提出する企業からの給与所得のみではありません。副業先での給与所得や、事業所得・不動産所得など、従業員のすべての所得が対象です。該当する所得がある従業員には、もれなく申告してもらう必要があります。
従業員が記載に迷うケースも多いため、記入例を配布するなど、正確に記入してもらうための準備をしておきましょう。
参考:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告 - 国税庁
(3)給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書 は、年末調整の際に従業員から企業へ提出してもらう書類のひとつで、従業員自身が支払っている民間の保険料や社会保険料などを申告するための書類 です。
控除の適用を受けるには、原則として保険会社や共済組合などが発行する控除証明書の添付が必要です。控除証明書は毎年10〜11月頃に郵送で届くケースが多いため、従業員に事前の保管・提出を案内しておくと年末調整時の手続きがスムーズに進みます。

【法改正情報】源泉徴収票の提出方法が変わります
令和5年度税制改正 により、令和9年1月1日以後に税務署へ提出すべき源泉徴収票から、市区町村に給与支払報告書を提出すれば、税務署への源泉徴収票提出は不要となります。
実務上の取り扱いは、対象となる 「年分」 と 「提出時期」 によって次のように変わります。
対象年分 | 税務署への提出時期 | 提出ルールの取り扱い |
|---|---|---|
令和7年分まで | 令和8年1月31日まで(※) | 従来どおり 税務署への源泉徴収票提出が必要 |
令和8年分以降 | 令和9年1月31日以降 | 給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、税務署への源泉徴収票提出は不要(みなし規定の適用) |
※提出期限が土日祝の場合は翌営業日(令和7年分は令和8年2月2日)
参考:令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 - 国税庁
(5)給与支払報告書
給与支払報告書は、前年中に支払った給与等の内容を市区町村へ報告する書類で、翌年度の住民税額を決定する基礎資料となります。
提出先と期限は、次のとおりです。
- 提出先:翌年1月1日時点で従業員が住民登録している市区町村
- 提出期限:その年の1月31日(1月31日が土日祝日の場合は翌営業日)
前年中に退職した従業員については、その年の給与支払額の合計が30万円以下であれば、提出は不要です。
給与支払報告書は「総括表」と「個人別明細書」で構成されています。総括表には市区町村ごとの集計情報を、個人別明細書には各従業員の給与情報を記載します。


給与支払報告書の提出が遅れると、市区町村からの税額通知書の到着が遅れ、住民税の特別徴収の開始に影響が出る可能性があります。必ず期限内に提出しましょう。
(6)給与所得者の異動届出書
給与所得者異動届出書は、従業員の退職や休職などにより、住民税の特別徴収ができなくなる場合に、市区町村へ提出する書類です。
提出先と期限は、次のとおりです。
- 提出先:その年の1月1日時点で従業員が住所登録していた市区町村
- 提出期限:異動があった日の翌月10日
提出が遅れると、退職後の住民税納付に影響を及ぼす可能性があります。事前に希望を確認し、すみやかに提出しましょう。
退職後の住民税の徴収方法には、以下の3つがあります。従業員にどの方法を希望するかを事前に確認しましょう。
1. 普通徴収(個人納付)
退職後、残りの税額を従業員自身で納付する方法です。給与所得者異動届出書を提出すると、後日、従業員の自宅に納付書が送付されます。
2. 一括徴収
退職時に、未徴収の住民税を最終給与などからまとめて差し引く方法です。退職月が1月〜4月の場合は、原則として一括徴収となります。
3. 特別徴収の継続(転職先での引継ぎ)
転職先が決まっている場合に、新しい勤務先で特別徴収を継続する方法です。給与所得者異動届出書に何月分まで納付したかを記載し、転職先の企業が市区町村へ提出します。元の勤務先からは、従業員に異動届を手渡し、転職先への提出を依頼しましょう。
給与所得に適用できる控除制度
ここでは、人事・労務担当者として押さえておきたい「所得控除」「特定支出控除」「所得金額調整控除」の3つを解説します。
給与所得には、税負担を軽減するさまざまな控除制度が設けられています。企業が年末調整で処理できるものと、従業員本人による確定申告が必要なものに分けられます。
(1)所得控除
所得控除とは、納税者個人の事情を税負担に反映させるために、所得から一定額を控除できる制度です。控除額が大きいほど課税所得が減り、結果として税額が低くなります。
年末調整で申告できる主な所得控除は、以下のとおりです。
控除の種類 | 概要 | 提出書類 |
|---|---|---|
基礎控除 | すべての給与所得者が対象 | 基礎控除申告書 |
配偶者控除・配偶者特別控除 | 一定の配偶者がいる場合に適用 | 配偶者控除等申告書 |
扶養控除 | 扶養親族がいる場合に適用 | 扶養控除等申告書 |
障害者控除 | 本人または扶養親族が障害者の場合に適用 | |
ひとり親控除・寡婦控除 | ひとり親または寡婦の場合に適用 | |
勤労学生控除 | 勤労学生の場合に適用 | |
生命保険料控除 | 生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料を支払っている場合に適用 | 保険料控除申告書 |
地震保険料控除 | 地震保険(または旧長期損害保険)の保険料を支払っている場合に適用 | |
社会保険料控除 | 健康保険・国民年金などの社会保険料を支払っている場合に適用(※給与天引き分は除く) | |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済・iDeCo(個人型確定拠出年金)などの掛金を支払っている場合に適用 |
所得控除は種類が多く、どの控除を年末調整で申告できるのか判断に迷う従業員も少なくありません。控除の適用要件や必要書類を正しく理解し、スムーズに案内できるよう準備しておきましょう。
(2)特定支出控除
特定支出控除とは、従業員が業務のために自己負担した支出が、給与所得控除額の2分の1を超える場合、その超過部分を給与所得から控除できる制度です。
給与所得控除では補いきれない実費部分を、上乗せして控除できる制度といえます。対象となる支出は、以下の7種類です。
- 通勤費(企業から通勤手当が支給されない場合など)
- 職務上の旅費(出張時に従業員が自己負担した旅費など)
- 転居費(転勤に伴う転居費用)
- 研修費(職務に直接必要な技術・知識を得るための研修費用)
- 資格取得費(弁護士・税理士など職務に直接必要な資格の取得費用)
- 帰宅旅費(単身赴任先から自宅への帰宅旅費)
- 勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費など。年65万円が上限)
参考:No.1415 給与所得者の特定支出控除 - 国税庁
参考:給与所得者の特定支出に関する証明書 - 国税庁

特定支出控除は年末調整では適用できず、従業員本人が確定申告を行なう必要があります。適用を受けるには、勤務先が発行する「特定支出に関する証明書」の取得も必要です。従業員から証明書発行の依頼があった場合は、すみやかに対応しましょう。
(3)所得金額調整控除
所得金額調整控除とは、所定の要件を満たす給与所得者を対象に、給与所得から一定額を控除できる制度です。子育て世帯や、給与と年金の両方を受け取る世帯の税負担に配慮する目的で導入されました。
所得金額調整控除には、以下の2種類の適用要件があります。
【要件1】子育て・特別障害者などへの配慮(年収850万円超の場合)
その年の給与収入が850万円を超え、かつ次のいずれかに該当する場合に適用されます。
- 本人が特別障害者
- 23歳未満の扶養親族がいる
- 特別障害者である同一生計配偶者、または扶養親族がいる
年収850万円超の従業員がいるかどうかを事前に把握し、記載漏れがないよう注意しましょう。
【要件2】給与所得と年金所得の両方がある場合
給与所得と公的年金などにかかる雑所得の両方を受け取っている場合に適用されます。
給与所得を正しく理解して、ミスのない給与計算につなげよう
給与所得は、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額であり、所得税・住民税の計算基礎となります。
人事・労務担当者が押さえておくべき知識は、課税・非課税の判断、各種届出の対応、控除制度の運用まで多岐にわたります。なかでも控除制度は種類が多く、年末調整で処理できるものと従業員自身による確定申告が必要なものに分かれます。
従業員からの問い合わせに的確に対応できるよう、要件や手続きを整理しておきましょう。給与所得への正しい理解は、ミスのない給与計算と、従業員が安心して働ける職場づくりの第一歩です。

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