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給与とは?基本給・残業代・手当の仕組みと控除の内訳をわかりやすく解説

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目次

給与は、企業から従業員へ支払われる対価であり、人事・労務業務の根幹をなす重要なテーマです。

しかし、「給与」「賃金」「所得」など類似する言葉が混在しており、法律上の定義や実務上の意味も異なります。給与計算や雇用契約を正確に扱うには、それぞれの意味と違いを正しく押さえておく必要があります。

「給与の総支給額にはどこまで含まれるのか」「控除すべき項目は何か」と判断に迷う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、給与の基本的な意味から、総支給額の構成要素、給与から控除される項目、支払いにまつわる法律のルールまで、人事・労務担当者が押さえておくべき基礎知識をわかりやすく解説します。

給与とは

給与とは、企業や個人事業主が従業員に支払う、基本給・各種手当・賞与(ボーナス)などの総称です。 「月々の給与」と聞くと月給をイメージしがちですが、賞与(ボーナス)も給与に含まれます。

「給与」「給料」「賃金」「報酬」といった言葉が混同して使われがちですが、法律や実務では使い分けが必要です。

(1)給与と給料の違い

「給与」と「給料」は、日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、実務では使い分けが存在します。

「給与」は、基本給・各種手当・賞与などを含む総称として用いられるのが一般的です。

一方、「給料」は基本給のみを指す言葉として使われることがあります。これは公務員制度に由来する用法で、地方公務員法では「給料」と「諸手当」、国家公務員給与法では「俸給」と「諸手当」が明確に区別されています。

ただし、民間企業において「給料」に厳密な定義はありません。「給料日」「給料をもらう」のように、給与全体を指す広い意味で使われています。

なお、労働基準法では、こうした労働の対償として支払われる金銭をまとめて「賃金」と呼びます。

(2)給与・賃金・手取り・所得の違い

給与に似た言葉は多く、場面に応じて使い分けられています。混同を避けるため、主要な用語の意味を整理します。

用語
意味
主に使われる場面
給与

基本給・各種手当・賞与などを含む、労働の対価として支払われる報酬の総称

日常用語・雇用契約・給与計算

賃金

労働基準法上の概念。名称を問わず、労働の対償として支払われるすべてのもの

労働基準法・残業代計算・労務手続き

手取り

給与から税金・社会保険料を差し引いた、実際の受取額

給与明細・家計管理

給与収入

1年間に受け取った基本給・賞与などの合計額(額面)

税務・確定申告・年末調整

給与所得

給与収入から給与所得控除を差し引いた金額

所得税・住民税の計算

これらの用語は混同されやすいため、場面に応じて正しく使い分けましょう。とくに人事・労務の実務では、次の2点に注意が必要です。

1. 「手取り」と「給与収入」の違いを正しく伝える

求人票や雇用契約書に記載される給与は、原則として給与収入(額面)です。実際に従業員が受け取る金額は、ここから税金や社会保険料が差し引かれた手取り額となります。

手取り額は、一般的に給与収入の7〜8割程度が目安です。入社前後で「想定していた金額と違う」などのトラブルを防ぐためにも、従業員への説明時は、額面と手取りの違いを明確に伝えましょう。

2. 「給与収入」と「給与所得」を混同しない

「年収」として一般的に認識される金額は給与収入(額面)ですが、税金計算の基準となるのは給与所得です。給与所得は、給与収入から給与所得控除を差し引いて算出します。

確定申告や住民税の計算では、給与収入ではなく給与所得が基準となります。年末調整や住民税申告で計算の誤りが生じないよう、両者の違いを正しく押さえておきましょう。

(3)給与と報酬の違い(従業員と業務委託)

「報酬」は、業務委託など雇用関係によらない契約にもとづいて支払われる対価を指し、従業員に支払う「給与」とは制度上の扱いが異なります。

両者の主な違いは、次のとおりです。

項目
給与(雇用契約)
報酬(業務委託契約)
契約の根拠

雇用契約にもとづく労働の対価

業務委託・請負・委任契約などにもとづく対価

所得税の処理

企業が源泉徴収・年末調整を実施

原則として、受け取った個人が確定申告

社会保険・労働保険

健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の対象

対象外(個人事業主として国民健康保険・国民年金に加入)

所得区分

給与所得

事業所得または雑所得

雇用形態によって、企業側の手続きや社会保険の負担が大きく異なります。そのため、雇用契約と業務委託契約のどちらに該当するかの判断は、実務上きわめて重要なポイントです。

(4)労働基準法における賃金の定義

労働基準法第11条では、賃金を「賃金、給料、手当、賞与その他名称にかかわらず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義しています。

第十一条

この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

名称にかかわらず、実態として労働の対価として支払われるものであれば、賃金に該当します。判断の基準は、使用者に支払い義務があるかどうかです。就業規則や労働契約で支給が定められているものは賃金に該当し、任意・恩恵的に支払われるものは該当しません。

具体的には、次のとおりです。

区分
該当する例
賃金に該当するもの

基本給、残業代、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当、賞与(就業規則等で支給基準が定められているもの)など

賃金に該当しないもの

結婚祝い金・見舞金などの恩恵的給付(任意で支給されるもの)、出張旅費・交通費などの実費弁償、福利厚生施設の利用(社員食堂など)など

何が賃金に該当するかは、実務上の計算に直接影響します。さらに、労働基準法上の賃金は、場面によって計算に含めるかどうかの解釈が変わる点にも注意が必要です。

たとえば、割増賃金(残業代)の基礎単価を計算する際には、労働基準法施行規則第21条などで定める7項目(家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金)のみを除外でき、それ以外の手当は算入しなければなりません。

一方、平均賃金(休業補償・解雇予告手当・年次有給休暇中の賃金などの算定基礎)には、基本給・各種手当・残業代を含めますが、臨時に支払われた賃金や賞与などは算入しません。

参考:労働基準法 - e-Gov法令検索
参考:労働基準法施行規則 - e-Gov法令検索

給与の仕組み

ここでは、給与をどのように計算しているのか、基本となる考え方と算出ステップを解説します。

給与は、次の計算式で求められます。

差引支給額(手取り) = 総支給額 − 控除額

それぞれの構成要素は、次のとおりです。

項目
概要

概要

総支給額

基本給・残業代・各種手当など、従業員に支給する金額の合計

控除額

社会保険料・所得税・住民税など、給与から差し引く金額の合計

差引支給額(手取り)

総支給額から控除額を差し引いた、従業員が実際に受け取る金額

実務では、給与計算は大きく次の3つのステップで進めます。

(1)総支給額を算出する

締め日までの出勤日数や残業時間などの勤怠実績をもとに、基本給・残業代・各種手当を計算し、総支給額を求めます。

(2)控除額を算出する

給与から差し引く控除額は、次の3項目を合算して求めます。

  1. 社会保険料:健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険
  2. 所得税:源泉徴収税額表にもとづく概算額
  3. 住民税:前年所得をもとに市区町村から通知される額

(3)差引支給額(手取り)を算出する

総支給額から控除額を差し引いた金額が、従業員に実際に支払う手取り額です。

一般的なモデルケースでは、税金と社会保険料を合わせると総支給額の約2〜3割を占めるため、手取りは総支給額の7〜8割程度が目安とされています。ただし、扶養家族の有無や年収、保険料率によって異なります。

月次給与の総支給額の内訳

ここでは、月次給与の総支給額がどのような項目で構成されているのかを解説します。月次の総支給額は、次の式で構成されます。

総支給額 = 基本給 + 時間外労働手当 + 各種手当 + その他

なお、賞与(ボーナス)は、月次給与とは別の計算・支給ルールで運用するのが一般的です。

(1)基本給

基本給とは、企業が独自に定める、給与の基礎となる金額です。支給形式には月給制・日給制・時給制などがあり、企業ごとの給与体系や人事評価制度にもとづいて設定されます。

多くの企業では、基本給が給与体系の中心です。残業代や賞与の計算基礎としても用いられ、昇給や降給がない限り、毎月一定額が支給されます。

(2)残業代(時間外・休日・深夜手当)

労働基準法上、残業は次の2種類に分けられます。

  1. 法定内残業
    • 所定労働時間を超えるものの、法定労働時間(1日8時間・週40時間)の範囲内で行なう残業。割増賃金の支払い義務はなく、通常の賃金で計算します。
  2. 時間外労働(法定外残業)
    • 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて行なう残業。割増賃金の支払い義務があります。

主な割増率は、下表のとおりです。

区分
割増率(最低基準)
時間外労働(法定労働時間超)

25%以上

時間外労働(月60時間超)

50%以上

休日労働(法定休日)

35%以上

深夜労働(午後10時〜午前5時)

25%以上

残業代の計算式は、次のとおりです。

残業代 = 1時間あたりの賃金 × 時間外労働時間数 × 割増率

なお、時間外労働と深夜労働が重なる場合、割増率は合算されます。たとえば、深夜の時間外労働は50%以上深夜の法定休日労働は60%以上となります。

また、労働時間は原則1分単位で計算し、端数の切り捨ては認められていません。

参考:労働基準法 - e-Gov法令検索

(3)各種手当

ここでは、企業が任意で設定する代表的な手当を紹介します。

手当の種類
概要
通勤手当

通勤にかかる交通費の補助

役職手当

管理職など役職に応じた手当

資格手当

業務に関連する資格保有者への手当

住宅手当

家賃や住居費用の補助

家族手当・扶養手当

扶養家族がいる従業員への手当

これらの手当に法的な支給義務はなく、企業ごとに就業規則や給与規程で独自に定めます。

ただし、税務・社会保険上の取り扱いには注意が必要です。社会保険料の算定基礎となる「報酬」には、所得税では非課税扱いとなる通勤手当も含まれます。

給与計算上の「賃金」と社会保険上の「報酬」では対象範囲が異なるため、手当の種類ごとに取り扱いを確認しましょう。

(4)インセンティブ・成果報酬

営業職などでは、売上実績や目標の達成度に応じて、歩合給や成果連動型の報酬が支給されることがあります。固定給に加算する形式や、出来高制(完全歩合制)など、企業によって形態はさまざまです。

インセンティブや成果報酬も賃金の一部として扱われるため、社会保険料の算定基礎に含まれます。残業代の計算においても、原則として基礎賃金に算入する必要があります。

固定給のみを基礎に残業代を計算すると、賃金の未払いが生じるリスクがあるので注意しましょう。

(5)現物給与

給与は、必ずしも金銭で支払われるとは限りません。金銭以外の物やサービスとして提供される利益も、「現物給与」として給与の一部に含まれる場合があります。

代表例は、次のとおりです。

  • 社宅の提供(家賃相当額の一部)
  • 食事の支給(食事補助)
  • 自社製品の支給

現物給与は、厚生労働大臣が定める価額(全国現物給与価額一覧表)に換算したうえで報酬額に算入し、社会保険料の計算に反映します。

参考:全国現物給与価額一覧表 - 日本年金機構

給与から控除される主な項目

ここでは、給与から控除される項目について解説します。控除項目は、大きく社会保険料税金の2種類に分けられます。

(1)社会保険料

社会保険料とは、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険など、各種社会保障制度の財源となる保険料です。給与からは、健康保険料・介護保険料(40歳以上65歳未満)・厚生年金保険料・雇用保険料が毎月控除されます。

このうち、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は 労使折半で負担します。雇用保険料は、労使で負担割合が異なる方式(労使按分)で負担します。企業は、従業員負担分を給与から天引きし、企業負担分とあわせて納付します。

なお、保険料の計算方法は、保険ごとに異なります。

1.健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料

毎月の給与額を一定の幅で区切った「標準報酬月額」をもとに算定します。

そのため、月によって給与額が多少変動しても、標準報酬月額が変わらない限り、控除される保険料額は一定です。

2.雇用保険料

一方、雇用保険料は、その月の賃金総額に料率を乗じて計算します。そのため、給与額の変動に応じて、毎月の控除額も変動します。

3.「子ども・子育て支援金」の徴収開始(2026年4月から)

2026年4月から、健康保険料に上乗せされる「子ども・子育て支援金」の控除が始まりました。少子化対策の財源として、児童手当の拡充や保育サービスの充実などに充てられる新しい仕組みです。

2026年度の支援金率は労使合計0.23%、原則として労使折半(本人負担は0.115%相当)です。標準報酬月額(および標準賞与額)に支援金率を乗じて算定し、健康保険料と同様に給与から控除します。

なお、産前産後休業や育児休業中の従業員については、健康保険料と同様に免除の対象です。

参考:子ども・子育て支援金制度について - こども家庭庁

(2)所得税

所得税とは、個人が1年間に得た所得に対して課される国税です。

給与所得者の場合、所得税は 「源泉徴収」 の仕組みで徴収されます。源泉徴収とは、企業が毎月の給与支払い時に概算の税額を給与から差し引き、従業員本人に代わって国に納付する制度です。

源泉徴収額は、国税庁が定める 「源泉徴収税額表」 をもとに、給与額と扶養親族等の数に応じて決まります。

ただし、源泉徴収額はあくまで概算です。年末調整によって最終的な税額を精算し、過不足を還付または追加徴収します。

参考:令和8年分 源泉徴収税額表 - 国税庁

(3)住民税

住民税とは、都道府県と市区町村に納める地方税で、前年の所得をもとに算定されます。住民税は、毎年6月から翌年5月までの12回に分割して納付します。納付方法は、次の2種類です。

納付方法
概要
(1)特別徴収

企業が従業員の給与から天引きし、市区町村に納付する方法

(2)普通徴収

従業員本人が市区町村から送付される納付書で直接納付する方法

給与所得者の住民税は、原則として特別徴収で納付します。企業は、従業員の住民税を毎月の給与から天引きし、翌月10日までに各市区町村へ納付する義務を負います。

参考:個人住民税 - 総務省

給与に関する法律と基本ルール

ここでは、給与を計算・支払いするうえで押さえておくべき、労働基準法上の基本ルールを解説します。

ルール1:賃金支払いの5原則

労働基準法第24条は、賃金の支払い方法について「賃金支払いの5原則」を定めています。

原則
内容
(1)通貨払いの原則

賃金は、通貨(現金)で支払わなければならない

(2)直接払いの原則

賃金は、労働者本人に直接支払わなければならない

(3)全額払いの原則

賃金は、全額を支払わなければならない(法令や労使協定で認められた控除を除く)

(4)毎月1回以上払いの原則

賃金は、毎月1回以上支払わなければならない

(5)一定期日払いの原則

賃金は、一定の期日に支払わなければならない

これらの原則に違反した場合、労働基準法違反となります。実務上、とくに次の3点に注意が必要です。

【注意点1】「全額払いの原則」と給与控除

全額払いの原則では、社会保険料・所得税・住民税など、法令で定められたもの以外の控除は、原則として禁止されています。

ただし、社内預金・購買代金など一定の項目については、労使協定を締結すれば控除できます。労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)と結ぶ必要があります。

たとえば、従業員に対する損害賠償額を一方的に給与から天引きする行為は、労使協定がない限り違法と判断されます。

【注意点2】「毎月1回以上払い・一定期日払いの原則」の対象

毎月1回以上払い・一定期日払いの原則では、支給日を定めずに支払うことや、2か月に1回まとめて支払うことは違反となります。

ただし、賞与や臨時に支払われる賃金は、これらの原則の例外として扱われます。

【注意点3】「通貨払いの原則」と銀行振込・デジタル払い

通貨払いの原則では、賃金は原則として通貨(現金)で支払う必要があります。

ただし、従業員の同意がある場合は、銀行振込やデジタル払い(資金移動業者の口座への支払い)も認められます。同意を得ずに、現金以外の方法での支払いはできません。

参考:労働基準法 第24条 - e-Gov法令検索

ルール2:給与明細書の見方

給与明細書は、給与の支払額や控除額の内訳を従業員に通知する書類です。

口座に振り込まれた金額だけを確認して終わりにしがちですが、残業時間の計算の誤りや控除額の間違いは、給与明細を確認しなければ気づけません。

なお、企業には、給与支払いの際に給与明細書を交付する義務があります(所得税法第231条)。交付方法は、紙のほか、ウェブ明細などの電磁的方法も認められています。

また、税務調査や各種照会への対応に備えるためにも、企業は一定期間、給与明細を保存することが望ましいでしょう。

参考:所得税法 - e-Gov法令検索

給与明細書の構成要素

給与明細書は、一般的に次の3つの欄で構成されます。

記載内容

確認ポイント

(1)勤怠欄

出勤日数・所定労働時間・時間外労働時間・欠勤日数など、その月の労働実績

残業時間や休日出勤の記録に誤りがないか

(2)支給欄

基本給・各種手当・残業代など、総支給額の内訳

求人広告に記載される「額面」は、この総支給額にあたる

(3)控除欄

健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税・住民税など、差し引かれる金額の内訳

控除項目と金額に誤りがないか

差引支給額(手取り)は、支給合計から控除合計を差し引いた金額として表示されます。

ルール3:減給のルール

労働基準法第91条では、就業規則に「減給の制裁」を定める場合の上限額が規定されています。

具体的には、次の2つのルールです。

  1. ​1回の減給額の上限
    • 1回の制裁による減給額は、平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。
  2. 減給総額の上限
    • 複数の違反に対して減給する場合でも、総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならない。

たとえば、月給30万円の従業員の場合、1か月の減給総額の上限は3万円です。

なお、このルールは、あくまで懲戒処分としての減給に適用されるものです。業績悪化などを理由に企業が一方的に給与水準を引き下げる場合は、労働契約法第10条が定める 「不利益変更」 の問題となり、原則として従業員の同意が必要です。

参考:労働基準法 第91条 - e-Gov法令検索

ルール4:源泉徴収と年末調整

源泉徴収とは、企業が従業員へ給与を支払う際に、所得税を概算で差し引き、本人に代わって国に納付する仕組みです。毎月の源泉徴収額は、国税庁が定める「源泉徴収税額表」をもとに、給与額と扶養親族等の数に応じて計算します。

ただし、毎月の源泉徴収額はあくまで概算です。年末に1年間の税額を正確に計算し、過不足を精算する必要があります。この精算手続きを「年末調整」と呼びます。

年末調整では、従業員から各種申告書を回収し、扶養控除・生命保険料控除・住宅ローン控除などを適用したうえで、最終的な税額を算出します。過払いがあれば還付、不足があれば追加徴収となります。

年末調整に関連する主な書類

年末調整に関連する主な書類は、次のとおりです。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

従業員が、扶養家族の状況や各種控除の内容を申告する書類です。原則として、毎年最初の給与支払日前までに提出します。

この申告書をもとに源泉徴収額(甲欄)が決定されます。提出がない場合は、税額が高くなる乙欄が適用されます。なお、転職・結婚・出産など家族構成に変化があった場合は、内容の更新が必要です。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

基礎控除・配偶者控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除を申告する書類です。原則として、全従業員が提出します。

提出期限は、その年の最後に給与の支払いを受ける日の前日までです。

給与所得者の保険料控除申告書

生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除(給与天引き以外のもの)・小規模企業共済等掛金控除を申告する書類です。

該当する控除がある従業員のみが提出します。保険会社から届く控除証明書の添付が必要です。

給与支払報告書

企業が前年に支払った給与の内容を、従業員の住所地の市区町村に提出する書類です。提出期限は、翌年1月末日までです。

市区町村は、この給与支払報告書をもとに住民税を算定します。

給与の仕組みの理解は、給与計算の第一歩

給与とは、雇用契約にもとづいて、労働の対価として支払われる報酬の総称です。

基本給・残業代・各種手当などで構成される総支給額から、社会保険料や税金などの控除額を差し引いた金額が、従業員が実際に受け取る手取り額です。

人事担当者が正確に給与計算するためには、次のような幅広い知識が求められます。

  • 賃金として扱うべき範囲の正確な把握
  • 控除項目ごとの計算方法
  • 労働基準法をはじめとする、給与の支払いルール

まずは、本記事で解説した基本的な仕組みを理解したうえで、関連記事もあわせてご確認ください。

お役立ち資料

見逃しがちな年末調整の改善ポイント

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