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働き方改革法時代の「モデル就業規則」変更点と実務上の注意点

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こんにちは、特定社会保険労務士の榊 裕葵です。

働き方改革法をふまえ、「モデル就業規則」が改定されました(2019年3月版)

本稿では、まず、法改正前後でのモデル就業規則の変更点について解説します。その上で、実務上注意すべきポイントを掘り下げて詳しく説明していきます。

法改正前後での「モデル就業規則」の変更点

抑えておきたい変更点は、下記の2点です。

第17条(始業及び終業時刻の記録)

労働者は、始業及び終業時にタイムカードを自ら打刻し、始業及び終業の時刻を記録しなければならない。

この条文は、条文の文言自体は新旧で同一なのですが、法的な「重み」が法改正前後で大きく変わりました。

法改正前は、勤怠をタイムカードなどの客観的方法で記録することは、厚生労働省の「告示」による行政通達レベルのものでした。しかし、法改正後は、この告示の内容が労働安全衛生法に「法的義務」として組み込まれました。

そのため、「タイムカードで打刻」という客観的方法による打刻を定めている本条は、法改正前は任意規定的な意味合いの条文であったのが、法改正後は法的義務を確認した条文となり、条文の「重み」が高まっています。

第22条(年次有給休暇)第5項

第1項又は第2項の年次有給休暇が 10 日以上与えられた労働者に対しては、第3項の規定にかかわらず、付与日から1年以内に、当該労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、労働者が第3項又は第4項の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。

働き方改革法による法改正で、10日以上年次有給休暇が発生した従業員には「5日分の年次有給休暇を取得させる」ことが会社の義務として定められたことを受け、モデル就業規則で有給休暇を定めた第22条に、第5項として上記文が追加されています(旧第5項以下は条文番号繰り下げ)。

働き方改革法時代の「就業規則」実務上の注意点

モデル就業規則をひな型として利用する場合や、自社の就業規則にモデル就業規則の条文を入れ込む際に、実務上注意すべきポイントを説明します。

第17条(始業及び終業時刻の記録)について

モデル就業規則では、「タイムカードを自ら打刻し」とありますが、客観的な労働時間の管理方法はタイムカードだけではありません。

パソコンの電源のオン・オフによる管理、スマートフォンのアプリによる打刻など、様々な形での労働時間の把握方法が考えられます。

モデル就業規則に引っ張られて、無理にタイムカードの打刻で労働時間を管理する必要はありません。

社会通念上客観性が担保できる方法であれば方法は自由ですので、自社に合った労働時間の管理方法を定めてください。

第22条(年次有給休暇)について

モデル就業規則では、いかなる場合にでも矛盾が生じないよう、あえて抽象的な書き方にしているようです。法的に問題はないのですが、モデル就業規則そのままでは実務での運用時に迷いが生じてしまうので、自社のルールに合わせて文言を補うと良いでしょう。

有給休暇の5日取得のための時季指定は、

  • 付与直後に5日間時季指定しまうパターン
  • 一定時期までに取得が進まなければ時季指定をするパターン
  • よほどのことが無ければ本人申請に委ねるが、取得が進んでいない従業員に限り会社が個別に時季指定をするパターン

など、各会社の考え方や、これまでの有給休暇取得の実情を踏まえ、様々なパターンが考えられます。

円滑な実務運営を実現できるよう、モデル就業規則に言葉を補って、自社に合った時季指定のルールを定めてください。

まとめ

モデル就業規則は、ひな型として利用するか、これを参考に就業規則を作成すれば、法的に必要な事項の抜け漏れを防げるという優れものです。しかし、「モデル」であるがゆえ、汎用性が高い内容で作成されています。

ですから、モデル就業規則を自社の就業規則のベースとして利用する場合には、単にモデル就業規則のコピペや穴埋めをするのではなく、自社のルールに合わせて条文を修正したり、言葉を補ったりしながら就業規則を作成するように心がけてください。これにより、自社内で運用しやすい就業規則にすることができます。

【編集部より】働き方改革関連法 必見コラム特集

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