2026年7月の人事労務タスク|障害者雇用率引き上げ対応や夏季賞与にかかる人事評価を社労士が解説
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こんにちは。社会保険労務士法人名南経営の大津です。サッカーワールドカップが開幕し、寝不足の方も多いのではないでしょうか。私は今回の大会を見ていて、あらためてタレントマネジメントの重要性を感じました。
日本代表が近年躍進しているのは、(1)データにもとづく個人能力の的確な把握・分析、(2)上位に進出するために必要なタレント・戦術の明確化、(3)求められるタレントの開発・活用を継続的に積み重ねてきた結果といえるでしょう。ノックアウトステージに入ると、さらに早朝の試合が増えます。寝不足で体調を崩さないよう注意しながら、4年に1回のお祭りを楽しんでいきましょう。
7月のHRチェックリスト
そんな寝不足の日々でも、実務は着実に進めていく必要があります。ここではまず、今月対応すべきタスクを確認していきましょう。

(1)労働保険年度更新の申告と社会保険算定基礎届の提出
労働保険年度更新と社会保険算定基礎については、いずれも7月10日までに完了させておく必要があります。両手続きの準備は、先月の本記事で詳しく解説しています。
(2)職場における熱中症の対策を進める
ここ数年の猛暑を背景に、職場での熱中症トラブルは深刻化しています。厚生労働省の調査によると、その死傷者数(死亡・休業4日以上)は2021年を底に年々増加し、2025年は1,803人と、統計開始以来最多となりました。

一方で、死亡者数は、2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則などにより重篤化を防ぐ取り組みが進んだことで、19人と前年から約4割減少しています。職場での熱中症対策の重要性は、年々高まっています。
また、東京の2025年の月別平均最高気温を見ると、6月の29.3度に対し、7月は33.2度、8月は34.4度と、7月に入って急激に上昇しています。今年も熱中症のリスクが高まる夏本番を迎えます。次のような対策を早めに進めましょう。
(出典)過去の気象データ検索 - 気象庁
1. WBGT値(暑さ指数)に応じた現場運用
熱中症対策を進めるにあたっては、気温だけでなく湿度や放射熱も考慮したWBGT値を基準に、現場を管理することが基本です。WBGT値が基準を超えた場合は、作業を中断し、休憩や水分・塩分の補給を徹底します。こうした対応はその場の判断に任せず、あらかじめ社内ルールとして定めておくことが求められます。
2. 労働環境の「ハード・ソフト」両面からの整備
労働環境は、ハード・ソフトの両面から改善を進めることが重要です。
- ハード面
- 遮熱シートの設置、エアコンやスポットクーラーの点検、空調服や冷却グッズの支給
- ソフト面
- 暑さに体を慣らす「暑熱順化」の期間(約1〜2週間)を考慮し、7月上旬は業務負荷を一時的に軽減
3. 「命を守る」リテラシーの周知と風土づくり
熱中症は初期対応が遅れると重篤化します。「体調が悪い」と言い出せる組織風土づくりや、お互いの体調を気遣う「声かけ」の徹底が有効です。また、万が一搬送が必要になった場合に備え、緊急連絡体制を全社で再確認しておきましょう。
対策を効果的に進めるには、「従業員の健康こそが最大の資産」というメッセージを経営トップ自ら発信し、現場で安全第一を徹底することが欠かせません。それが結果として、企業の社会的信用と持続的な成長を守ることにつながります。今のうちに、対策を見直しアップデートしていきましょう。
(参考)令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値) - 厚生労働省
(3)改正外国人雇用管理指針への対応を進める
厚生労働省の『外国人雇用状況の届出状況まとめ』によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人、外国人を雇用する事業所数は371,215所でした。いずれも届出が義務化された2007年(平成19年)以降、過去最多です。対前年増加率も外国人労働者数で11.7%、事業所数で8.5%と高く、外国人の雇用は年々拡大しています。

2026年6月14日適用
- 同一労働同一賃金ガイドラインの適用
- 短時間・有期雇用や派遣で外国人を雇用する場合も、同一労働同一賃金ガイドラインが適用される点に留意が必要です。
- 外国人労働者の日本語学習支援等
- 事業主は、「日本語教育の推進に関する法律」にもとづき、国や地方公共団体の施策に協力するとともに、雇用する外国人労働者やその家族に日本語学習の機会を提供するなどの支援に努めることとされています。
- 外国人雇用状況届出の際に「読取アプリ」の活用
- 不法就労を防ぐため、外国人雇用状況の届出にあたっては、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリ」などを使い、在留資格や就労資格を適切に確認することが求められます。
(参考)日本語教育の推進に関する法律(令和元年法律第48号) - e-Gov法令検索
2026年10月1日適用
- 有期雇用労働者の雇入れ時の労働条件明示の追加
- パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件の明示事項に、「通常の労働者との待遇差の内容や理由などについて説明を求めることができる」旨が新たに加わる予定です。
2027年4月1日適用
- 育成就労制度の施行に伴う対応
2027年4月1日に施行される予定の育成就労制度に向けて、基本方針などに沿った雇用管理が求められます。特に次の4点に留意しましょう。- 技能・日本語能力の修得支援:育成就労外国人が、目標とする技能や日本語能力を修得できるよう取り組む。
- 送出機関の確認:送出機関(現地で人材を送り出す機関)が、二国間取決めを結んだ国・地域の公的機関から推薦を受けた機関に限られている点などに留意する。
- 不当な手数料の防止:育成就労外国人が送出機関に支払う手数料が、不当に高額とならないようにする。
- 転籍制限の説明:育成就労外国人に対して、転籍にあたっての制限事項を説明する。
外国人に「選ばれる企業」になるには、これらを単なる「義務」と捉えず、職場環境を整える好機とする視点が欠かせません。厚生労働省は、対応状況を確認できる自主点検表も用意しています。こうした資料を活用しながら、外国人雇用の適正化を進めましょう。

(出典)外国人の雇用 - 厚生労働省
(参考)外国人雇用管理指針改正の主なポイント(リーフレット) - 厚生労働省
(参考)外国人雇用はルールを守って適正に(令和8年6月版) - 厚生労働省
7月の重要トピック
2026年7月から、障害者の法定雇用率が引き上げられます。まずはこの対応が必要です。あわせて、夏季賞与の時期に見直したい人事評価のフィードバックについても、ポイントを取り上げます。
トピック1 障害者法定雇用率引き上げへの対応(重要度:★★★★★)
障害者の雇用については、障害者雇用率制度という仕組みがあります。これは、障害者雇用促進法にもとづき、一定規模以上の企業に、定められた割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用するよう義務づける制度です。障害の有無にかかわらず、誰もが能力を発揮して働ける社会(ノーマライゼーション)の実現をめざした制度です。
民間企業の法定雇用率は、2026年6月まで2.5%です。これが2026年7月から2.7%に引き上げられ、対象となる企業の規模も、常時雇用する労働者が37.5人以上へと広がります。これまで雇用義務のなかった企業に新たに義務が生じたり、すでに雇用している企業でも追加の採用が必要になったりするため、注意が必要です。

まずは、自社が何人の障害者を雇用する必要があるかを把握し、不足する場合は新規採用などの対策を進めましょう。採用から定着までの具体的な進め方は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
トピック2 夏季賞与にかかる人事評価結果のフィードバック(重要度:★★★★☆)
夏季賞与の支給準備を終えた企業も多いのではないでしょうか。みなさんの会社では、人事評価の結果についてフィードバックをしていますか? 人事評価制度の納得感をどう高めるかは経営の難しい課題ですが、その鍵はフィードバックにあるといわれます。
株式会社マイナビが実施した「【正社員1.8万人に聞いた】六月病と評価フィードバックに関する調査」の結果を見ると、自身の評価に「納得感がある(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)と答えた人は48.4%と、全体の約半分にとどまっています。
- 直近の評価に納得感があると思うか
- そう思う 11.9%
- どちらかといえばそう思う 36.5%
- あまりそう思わない 31.6%
- そう思わない 20.0%
注目したいのは、この納得感がフィードバックと強く連動している点です。評価に納得している層では39.5%が「丁寧なフィードバックがある」と答えた一方、納得していない層では68.4%が「フィードバックも結果の共有もない」状態でした。
ただし、多くの経営者が見落としがちな落とし穴もあります。同じ調査では、企業の73.6%がフィードバックを「重要視している」と答えた一方、社内でルール化できている企業は49.6%と半数に届きません。14.0%は重要視もルール化もせず、現場の管理職の裁量に任せています。「重要だとは思っているが、現場では実施されていない」という状況が起きているのです。

(出典)【正社員1.8万人に聞いた】六月病と評価フィードバックに関する調査2026年 - マイナビキャリアリサーチLab
人事評価への納得感は、単に従業員の機嫌を取るためのものではありません。企業の期待と本人の認識のずれを埋め、次の成長への意欲を引き出し、ひいては事業計画の達成にもつながる重要な取り組みです。
いますぐ取り組むべきは、評価のフィードバックを管理職個人の裁量に任せず、組織の仕組みとしてルール化することです。評価の結果にかかわらず、「なぜその評価になったのか」という根拠を伝え、今後の期待を話し合う時間を、15分でもよいので設けましょう。経営陣の意思と丁寧な対話の積み重ねが、従業員の安心感を高め、業績を支える強い組織をつくります。
(参考)【正社員1.8万人に聞いた】六月病と評価フィードバックに関する調査2026年 - マイナビキャリアリサーチLab
法改正対応と暑さ対策で、従業員が安心して働ける環境を整えよう
7月は、労働保険の年度更新や算定基礎届、賞与の支給など、さまざまな手続きがひと段落する月です。とはいえ、本格的な夏を迎え、体調を崩しやすい時期でもあります。熱中症対策にも取り組みながら、猛暑を元気に乗り切っていきましょう。

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