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DX・制度改革で進む組織全体の成長。SmartHR Agenda #4 DAY2速報レポート

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目次

パーパスを掲げただけで終わらせないためには何が必要でしょうか?

オンラインカンファレンス『SmartHR Agenda #4』では、パーパス経営を実践するための制度設計や組織開発、組織を支えるDXに焦点をあて、「パーパス経営」を紐解いていきます。

本稿では「DXでパーパスを加速・持続可能に」をテーマに開催されたDAY2のセッションを要約とともに振り返ります。(DAY1の様子

(1)医療×物流 "働きやすい"組織をつくる〜バックオフィスDXで実現する従業員の業務負荷軽減〜

佐藤さん、石井さん、石神さんによるディスカッションの様子。

左から:(株)SUPER STUDIO 佐藤 耕平氏、(医)春回会 石井 智彰氏、信濃運輸(株) 石神 翔平氏

  • 医療・物流と業界は異なるが、DX推進においては共通点が多い。まず、両社SmartHR導入時には、従業員の巻き込み方に工夫が見られる。現場・管理職にもDX化のメリットを伝え、協力意識を醸成。紙運用からの移行に戸惑う従業員へのフォローの手厚さも意識した。
  • パネルディスカッションでは、両社ともに「休暇・休業のとりやすさ」「従業員が目指すべき目的の明確化」「成果に見合った報酬・昇格を返せる制度」が整備されている状態が働きやすい職場である、と意見が一致。
  • 人事労務の仕事は「従業員に安心安全を届ける仕事」とファシリテーターの佐藤さんは語る。今後も両社は、SmartHRユーザーコミュニティ「PARK」で他社のバックオフィス担当者と情報交換をしながら、自社のDX化と働きやすさの整備に取り組む。

(2)経営を持続的に支える、「日本流DX」実現へのロードマップ

各務さんによる講演の様子

(株)JTB 各務 茂雄氏

  • DXの目的は、デジタル技術により、知恵や創造性というアナログに存在する人間らしい価値を活かすこと。合理化で創出した時間をコミュニケーションなどのアナログな時間に使う。どこまでデジタル化で合理化し、どこから人間らしさを使うか、このほどよさがDXには重要
  • DXが浸透しにくい階層主義・合意形成型の日本企業でDXを推進し続けるためには、「枠組みづくり」が必要。「経営理念の明確化」「仕事の役割の明確化」「コミュニケーションの最適化」「人事制度を実力主義にする」「先行指標を明確にし定点観測する」の順に、部長職以上の中間管理職が進めていく。
  • DXをスケールさせるには、コミュニケーションが有効。どのような場面・どのくらいの時間・コミュニケーションの手段を定義して進めると、スケールが前進しやすくなる。

各務さんのお話をさらに知りたい方は下記の記事もぜひご覧ください。

(3)デジタル革命への挑戦 〜コープさっぽろがDX組織化した現在地を語る〜

オンライン中継の長谷川さんと現場の各務さんによる質疑応答の様子。

左から:(株)JTB 各務 茂雄氏、(生協)コープさっぽろ 長谷川 秀樹氏

  • コープさっぽろは全社をあげてDX化を推進。デジタル化の方針を定め、さまざまな施策に取り組んできた。バックオフィスのシステムは、法人向け製品・スクラッチ開発から、汎用性のあるシステム・一般的に使われているシステムに続々と刷新。複数のシステムを連携させ、効果的なDX化を実現する。
  • 「ITの民主化」を掲げ、全社員の10%がデジタルを利用した業務改善を進められる状態を目指す。社員が業務改善アイデアを発表できる機会の設置や、異動・研修施策による人材育成に取り組む。
  • 一方で、組合員(顧客)は年齢層がさまざま。デジタル化に固執せず、現金支払いなどニーズに合うアナログな方法も残し、顧客との信頼関係を持続する。

(4)人事業務効率化のその先は?社内コミュニケーション設計で帰属意識向上へ

渡辺さん、小原さんによる対談の様子。

左から:ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(株)渡辺 歩氏、小原 幸浩氏

  • ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズでは、人事業務効率化を推進。創出した時間で、ハイブリッドワークにより生まれるコミュニケーション課題の解決に注力する。とくに、コミュニケーション経路が限定される、ほかの人の仕事を目や耳にする機会が少ないなど、固定化した社内の関係性を解きほぐす「対面の場づくり」を設計し、社員を巻き込んでいる
  • 事例(1)「新入社員定着支援の仕組みづくり」。有志の先輩社員が新入社員を1年間サポートする「オンボーディング・チーム」を創設し、月に1度以上はチームで集まる場を設ける。ここでは、人事作成のガイドラインに沿ってコミュニケーションを取っている。
  • 事例(2)「3か月に1度、全社員が集う場をつくる」こと。同社の競争力の源泉である強力な企業カルチャーを醸成するために対面の場を設け、共通のエピソードや体験をデザインしている。この際、継続できるように頑張りすぎないことも重要なポイント。

(5)オフィス?リモート?「働く場所の価値」を再定義。個とチームの潜在能力を最大化

坂本さんと後藤さんによる対談の様子。

左から:コクヨ(株) 坂本 崇博氏、(株)ベネッセホールディングス 後藤 礼子氏

  • ベネッセの理念は「よく(bene)生きる(esse)」。従業員が理念に共感し、自身のキャリアを描きながら社会貢献につながる結果を出せるように、時間・場所・働き方の選択肢を与えるハイブリッドワーク制度を取り入れる。
  • ハイブリッドワーク継続のポイントは、従業員一人ひとりが「制度をどう活かすか?」を考えて働き方を選択していること。会社から与えられる福利厚生ではなく、みんなで価値を出すための権利として捉え、現場主体で課題を話し合い、働き方を考える風土が大切である。
  • オフィスの役割は、「短期的な生産性最大化の場所」から、「中長期的な企業価値・社会貢献度を向上する場所」に変わりつつある。会社がパーパス(自社は何のために何をするのか)を定め、従業員がパーパスにもとづき自律的に働き方を選択し、価値創出できる環境づくりが求められる。

(6)イクオリティ&インクルージョンが組織を変える 〜P&Gの経営戦略としてのE&I〜

各務さんと市川さんによる質疑応答の様子。

左から:(株)JTB 各務 茂雄氏、P&G ジャパン(同) 市川 薫氏

  • P&Gの最重要資産は人材。人材を大切にする同社のイクオリティ&インクルージョン(平等な機会とインクルーシブな世界の実現。以下、E&I)には3つのキーワード「多様性」「平等な機会」「インクルージョン」がある。多様な才能や発想、経験をもつ社員一人ひとりに機会が与えられ、自らの価値を認められていると感じることが成功のカギであり、多様な人材が最大限の力を発揮できる組織をつくりあげる。
  • P&GはE&Iを経営戦略と捉え、市場での競争力向上のために社員全員が取り組むことと位置づけている。結果として、堅調なビジネス成長や多様な人材・組織の育成、生産性に対する意識向上などにつながっている。
  • 真のインクルーシブ経営を推進するために、E&Iを経営ビジョンへ落とし込み、トップからの発信や社員の巻き込みを進めた。推進のコツは3つあり、1つは多様性を尊重する企業「文化」。2つ目は多様な人材・働き方を支える「制度」。3つ目が多様性をビジネスに活かす社員の「スキル」。これらがお互いを支え合うことで、インクルージョンが促進される。

大切なのは次の一歩。自社らしいDX化の実践を

多様なバックグラウンド・キャリアのスピーカーが登壇した当カンファレンス。参加者の多様なニーズにフィットしたさまざまなセッションがありました。全セッション終了後、ファシリテーターを務めた各務さんは、「参加者の皆さまと一緒に考えたいのは“ネクストアクション”。小さな一歩を踏み出して、パーパス経営やDX、ダイバーシティに向けた皆さまらしい取り組みを実践してほしい」と語りました。

これまでのセッションの模様は、イベントレポートにてお楽しみいただけます。ぜひもう一度見たいセッションをご確認ください。

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