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パーパスを実践する企業の挑戦。SmartHR Agenda #4 DAY1速報レポート

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パーパスを掲げただけで終わらせないためには何が必要でしょうか?

2024年2月7日に初日を迎えたオンラインカンファレンス『SmartHR Agenda #4』では、パーパス経営を実践するための制度設計や組織開発、組織を支えるDXに焦点をあて、「パーパス経営」を紐解いていきます。

本稿では「パーパス経営の理解と実践」をテーマに開催されたDAY1の6つのセッションを要約とともに振り返ります。

(1)【飲食×観光業】 人材定着を目指す企業の取り組み 〜人事評価とサーベイの効率的な運用方法〜

登壇者の坪谷さん、伊井さん、内海さんがセッションを進める様子

左から:(株)壺中天 坪谷 邦生氏、(株)FAR EAST 伊井 文氏、ハウステンボス(株)内海 彩氏

  • FAR EASTは「皆が働きたい会社改革」を推進。しかし、従業員へ共通目標が十分に伝わらず、ぼんやりした結果に終わってしまう。状況を改善するべくOKRを導入し、対話から個人と組織がつながりをもちながら目標を達成する仕組みを構築。個人と組織がともに幸せになることを目指す。
  • 働きやすい環境を整備するために、「昇給、年間休日の増加、DX推進、評価の見直し」に取り組むハウステンボス。DX推進と評価の見直しでは、SmartHRを活用することでスムーズに取り組みを推進。今後も、来場するゲストに質の高いサービスを提供するために、スタッフ自身の“幸福度”の最大化を求めていく
  • 「お客さまに喜んでもらいたいという想い」から入社してくれたスタッフを大切にしたい。ここは飲食業も観光業も共通の部分。坪谷さん曰く、人事は「人を生かして事をなす」こと。人を生かすために、まずは人事担当者自身が意志をもち、いきいきと行動を起こすことが必要

(2)「再考:両利きの経営」収益軸と成長軸の両立に、どう向き合うのか?

加藤さんがセッションを進める様子

(株)アクション・デザイン 加藤 雅則氏

  • 収益を担う「コア事業」と成長を担う「探索事業」の両方を活かす両利きの経営には、異なる事業活動・組織を「両立」するマネジメントが重要。そこには「パーパス」=「自社の存在意義」が欠かせない。
  • 両利きの経営を実現する3つの鍵は、
    • (1)コア事業と探索事業の共通認識となる「パーパスの再定義」。
    • (2)ロジックが違う両事業の「組織分け」と裁量権をいかにもたせるか。
    • (3)パーパスを社内に浸透による、両事業の分断防止。
  • 経営者が「両立」の役割を担う必要がある。そのために経営者は顧客視点・従業員視点で自分ごと化できるパーパスを示し、自ら体現できるリーダーとなるべきである。

加藤さんのお話をさらに知りたい方は下記の記事もぜひご覧ください。

(3)"人こそがビジネスの核心" 〜「人とパーパス」を本気で大切にするリーダーシップとは〜

平井さんと加藤さんがセッションを進める様子

ソニーグループ(株)/(一社)プロジェクト希望 平井 一夫氏

  • 企業の成長にはモチベーションリーダーシップが求められる。平井さんはモチベーション・リーダーがするべき3つのことを提唱する。1つ目は「正しい人間になる」。リーダーに求められるのはIQでなく、EQ(心の知能指数)。人間として尊敬できる要素を多くもつことが、リーダーシップには必要である。
  • 2つ目は「パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー(PMVV)を定義する」。会社全体のPMVVだけでなく、プロジェクトや各組織のPMVVを定義する。また、リーダー自ら常にPMVVを語り、PMVVを会社の文化にしていく。
  • 3つ目は「現場に行く」。リーダー自ら現場に赴きプラス面だけでなく、マイナス面も含めてハートから語ることがポイント。インタラクティブな意思疎通にもとづくリーダーシップがモチベーションを上げ、パーパス経営を成功させる。

(4)人事評価は「査定」ではない。優秀人材を育てる設計×フィードバック

安田さんがセッションを進める様子

(株)We Are The People 安田 雅彦氏

  • パーパスには、組織のパーパス(理念・価値観)と個人のパーパス(従業員がどう生きたいか・何を成したいか)がある。この2つの重なりがエンゲージメントを生み、ビジネスをドライブする原動力となる。そのために、組織のパーパスを浸透させ、人材育成を実現するのが「評価制度」である。
  • パーパスが浸透する企業の共通点は、パーパスがあらゆる制度で矛盾なく徹底されており、パーパスを共通認識にし、維持する努力を絶やさないこと
  • 評価制度とパーパスが矛盾しないこと、パーパスと評価結果の整合性を取る機会(レビュー、フィードバックなど)が制度内に組み込まれていれば、評価制度がパーパス浸透のツールとなりうる。具体的な制度設計のポイントと事例は講演内でご紹介。

(5)人事制度に血を通わせ、組織を機能させるアプローチ "組織開発の実践"

坪谷さんがセッションを進める様子

(株)壺中天 坪谷 邦生氏

  • 組織開発は「健全さ / 効果性 / 自己革新力」を高め、組織をよくするために、実践者の価値観をベースに人と人との関係性に働きかけること。
  • 組織開発のメジャーな手法は「関係性への働きかけ」。サーベイ活用に代表される診断型と、ホール・システムアプローチに代表される対話型組織開発の2つがあり、それぞれ特徴が異なる。
  • 組織開発で最も重要といわれる実践者のあり方について、NTL※は「人間尊重 / クライアント中心 / 民主的 / 社会・環境思考」をもつことと定義する。あり方が正しければやり方は問わない。組織をよくしようと思う人が働きかけ、施策を推進すれば、それは組織開発である。(※National Training Laboratoriesの略で、組織開発を研究する団体)

(6)"理念のジブンゴト化"で働きがいを醸成し、人材育成につなげる

江澤さんがセッションを進める様子

(株)スープストックトーキョー 江澤 身和氏

  • スープストックトーキョーの企業理念は「世の中の体温をあげる」。理念を共感で終わらせず、全従業員がジブンゴト化できるような人事施策を実施している。
  • ジブンゴト化のために、「行動指針の共通言語化」や「賞賛カードの定着」を推進。理念の浸透を図る「お客さまへの声掛け」や、理念の体現機会をつくる「理念を表現する採用面接」「社内グランプリ制度」などの施策を実施する。
  • 人事制度をつくるときに重要なのは、トレンドの導入ではなく従業員一人ひとりの声をきくこと。まずは人事が理念を体現することからはじめ、全従業員が理念を指針とし、チーム・部署を越えて共有しあい、学びあう環境づくりを大切にする。

パーパスが文化になってこそパーパス経営

全セッション終了後、ファシリテーターを務めた加藤さんは、「パーパスの実践はパーパスが文化として根付くまで継続してやり続けなければいけない、とあらためて実感した1日だった」と語りました。

各セッションの様子はイベントレポートにてお楽しみいただけます。見逃してしまったセッションやもう一度ご覧になりたいセッションを、ぜひご確認ください。

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