社労士が解説! HRニュース 2022年1月振り返りと2022年2月のポイント(新型コロナウイルス「第6波」の対策や3月決算に合わせた対応など)

明けましておめでとうございます。

今年も本ニュースレターの連載を続けさせて頂くことになりましたので、引き続き宜しくお願いいたします!

2022年1月のトピックの振り返り

(1)新型コロナウイルス「第6波」

昨年末には沈静化すると思われた新型コロナウイルスですが、オミクロン株により、年明けから爆発的に新規感染者数が増加し、今や第6波の渦中となっています。

今後早期に沈静化するのか、影響が長期化するのか、判断が難しい状況ですが、複数の都道府県でまん延防止等重点措置が実施されるなか、各企業はテレワークへの再移行等、対策が求められます。

なお、雇用調整助成金については、まん延防止等重点措置が適用される地域において、飲食店等が自粛措置に協力して従業員を休業させた場合、助成率を最大で10/10にするなどの緩和措置が発表されました。

(参考) 緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について – 厚生労働省

また、人材採用面においても、テレワークなどの新型コロナウイルス対応の重要性が高まっています。

大手人材会社、エン・ジャパンが実施した「『エン転職』1万人アンケート(2021年12月)「新型コロナ後の企業選びの軸」調査」において、「新型コロナウイルスを経験し、企業選びの軸が変わった」と回答した人に「何を重視するように変わったか」を聞いた質問の結果、「希望の働き方(テレワークなど)ができる」が最上位の回答(44%)となっています。

(参考) 『エン転職』1万人アンケート(2021年12月)「新型コロナ後の企業選びの軸」調査 – エン・ジャパン株式会社

このアンケート調査により、各企業は、既存の従業員の安全や健康を守るだけでなく、新規採用という観点からも、新型コロナ対策が重要であるということを改めて印象付けられたといえるでしょう。

(2)法定調書合計表、給与支払報告書

多くの会社様で、年末調整の計算および、各従業員との還付金や追加徴収の精算は既に完了していると思います。

しかし、年末調整のプロセスはこれで完了ではありません。年末調整の結果を、行政官庁へ報告する必要があるのです。

具体的には、会社を管轄する税務署に対し、法定調書合計表および、一定の要件を満たす源泉徴収票等の法定調整を提出する必要があります。

また、各従業員の居住する市区町村には、給与支払報告書(総括表を含む)の提出が必要です。

これらの対応が漏れると、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が適用されたり、従業員の住民税の特別徴収が正しく行えないなど実務上の弊害が生じたりするので、失念のないようご注意ください。

(3)1/1付の法改正対応(傷病手当金の支給開始期間の変更、マルチジョブホルダー制度のスタート)

先月のニュースレター(社労士が解説! HRニュース 2021年12月振り返りと2022年1月のポイント)で詳しく説明させて頂いておりますが、2022年1月1日から、健康保険法と雇用保険法の改正が施行されます。

健康保険法の改正では、傷病手当金の支給期間が「支給開始から暦日で1年6か月」であったところ、「支給開始から通算で1年6か月」となり、傷病の治療と仕事の両立が図りやすくなります。

雇用保険法の改正では、65歳以上で複数の事業所で働く人に対し、各事業所の勤務時間を通算すれば週20時間以上になるなどの要件を満たせば雇用保険に加入することができるようになる「マルチジョブホルダー制度」がスタートします。

人事労務担当者の方は、法改正情報をキャッチアップし、自社に対象となりそうな方がいれば案内をできるようにしておきたいものです。

2022年2月のトピック

(1)確定申告

2021年分の所得税の確定申告は2022年2月16日~3月15日までの間に実施する必要があります。

企業の役員や従業員の方は、所得税の納税に関する処理は年末調整で完了するため、原則として確定申告を行う必要はありません。

しかし、「複数の事業所に勤務をしており、2か所以上から給与所得を得ている」「副業を行っており、事業所得や雑所得がある」「医療費控除を受けたい」「住宅ローン控除の初年度である」など、様々な理由で確定申告が必要となる場合があります。

確定申告は、従業員それぞれが個人としての責任において行うものですが、人事労務担当者としても、どのような場合に給与所得者であっても確定申告が必要になるのかを、是非把握をしておいてください。

(2)3月決算に合わせた対応

決算月を3月にしている会社様は多いと思います。事業年度の損益計算書や貸借対照表の着地点も見えてきているのではないでしょうか。

決算は基本的には経理部門の対応領域となりますが、決算賞与をどのくらい支払うのかということや次年度の昇給原資がどのくらいあるのか等、人事労務担当者にも深く関係します。

3月は新年度の準備などで忙しくなりますから、3月決算に合わせた人事労務部門で必要な対応は、2月中から動き始めておきたいものです。

(3)36協定上限や有休5日取得義務のチェック

決算月に合わせ、36協定上の「1年間」を「4月1日~3月31日」に定めたり、年次有給休暇を付与する基準日を4月1日としている会社様も少なくないはず。

36協定では、特別条項を用いたとしても1年の時間外労働の上限は720時間とされていますし、月45時間を超えて時間外労働をさせてもよいのは最大で6回までです。年度末が近づき、これらの上限に達する恐れのある従業員も出てきているかもしれません。必要に応じて勤務時間や業務量を調整できるよう、早めにチェックをしておくと良いでしょう。

また、年次有給休暇においても、10日以上付与された従業員に5日以上取得させるのは企業の法的義務ですから、基準日の直前や、基準日を過ぎてから「5日取得できていない」ということに気付いても「後の祭り」となってしまいます。

なお、現在は、時間外労働の時間数が36協定の上限が近くになった場合や、「このままのペースでは有給休暇5日取得義務を果たせない」という従業員がいる場合などに、管理者や本人に対してアラートを出すような機能を持った勤怠管理ソフトもリリースされています。単に勤怠を集計するだけでなく、「労務管理の漏れによる法違反をなくす」という観点から勤怠管理ソフトの導入を検討するのも価値があることではないかと思います。

人事・労務ホットな小話

筆者は、人事労務担当者は、財務にも強くなるべきだと考えています。

もちろん、プロの経理や財務の担当者のように、細かいところまで把握している必要はありません。

しかし、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の財務三表が理解できる程度の知識は必須だと思います。

たとえば、上述した決算賞与の支払いがどれくらい可能かということや、昇給原資がどのくらいあるのかということについても、人事労務担当者に財務の知識がなければ、経理や財務担当者から「予算はこれくらいですね」と言われたら、それを鵜呑みにせざるを得ません。

ですが、財務の知識があれば、たとえば財務担当者から「今年度はコロナの影響で決算が厳しいから昇給原資はないですね」と言われたとき、「確かに、当期純利益は少額ですが、当社には過去の黒字の蓄積がありますし、現預金も豊富なので、一過性の事象のために定期昇給を見送ると従業員のモチベーションに影響します」と人事労務の観点から意見をしたり、「厚生労働省から〇〇円の助成金を獲得できるよう人事労務部門で動きますので、この助成金を営業外収益に計上することで、昇給をさせても来期赤字決算になりません」と提案をしたりもできるようになります。

このように、人事労務担当者が財務の知識を身に付けると、仕事の幅も深みも増し、まさに「鬼に金棒」であることは間違いありません。

まとめ

2022年はようやくコロナ禍を脱せるかと思った矢先、オミクロン株の感染拡大に出鼻をくじかれる形になってしまいました。しかし、私たちの生活も、企業活動も、継続をしていかなければなりません。現在の環境の中で、できる限りのことをして2022年が良い年になるように頑張っていきたいですね!

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。執筆活動にも力を入れており、WEBメディアへの掲載多数。
他の執筆記事はこちら

人事・労務の関連記事

人事・労務の新着記事

年末調整業務特集

SmartHR スタートガイド

オススメ人事・労務イベント