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ヤフーが1年がかりで奮闘した「人事データの“三大疾病”」

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#02 [サイバーエージェントの「人材科学センター」が取り組む“人事のマーケティング”とは?]はこちら

2019年5月14日、日本の人事部主催「HRカンファレンス2019 -春-」が開催されました(後援・厚生労働省、経済産業省)。

同イベントで、SmartHR 代表取締役の宮田 昇始が、パネルセッション「社内に眠る人事データの活用で、組織にイノベーションを起こせるのか」のモデレーターとして登壇。

ヤフー株式会社 Yahoo!アカデミア学長 / 株式会社ウェイウェイ 代表取締役 伊藤 羊一さん、株式会社シンギュレイト 代表取締役 鹿内 学さん、株式会社サイバーエージェント 人材科学センター 向坂 真弓さんの、3名のパネリストと宮田の計4名でディスカッション内容を全5編でお届けします。

3本目となる本稿では、ヤフー株式会社 伊藤さんの取り組みをご紹介します。

データドリブンで起こすネクストアクション

伊藤さん

ヤフー株式会社の企業内大学「Yahoo!アカデミア」学長兼、株式会社ウェイウェイの伊藤と申します。昨年までヤフーの「People Analytics Lab」のラボ長を務めていました。

2018年に『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』という書籍を出版し、おかげさまで31万部を突破しました。

本日はよろしくおねがいします。

ヤフーでは、データドリブンで次のアクションを起こしていこうということで、人事でも「勤怠・評価・カルテ・研修・メール・健康診断」などの各情報を掛け合わせることで、面白い取り組みができると考えています。

HR系データの活用場面

データの活用場面は「採用・働き方・評価・配置・育成・グッドコンディション」など多々あります。入社から退職までの活動を一貫して分析したいと思い、2017年に「People Analytics Lab」を立ち上げました。

データ活用の可能性に満ちている領域

人事データの「三大疾病」

最初は何から手を付けていいのかわからず、「面接時の情報」「履歴書などの書類情報」「選考時のテスト情報」の3つに加え、「3年後の人事評価」の分析にチャレンジしました。

面接の最中にパソコンに「〇」や「×」で適性情報を表示できれば面接がしやすいと考えたんです。結果的には相関係数は6割ほどで、全てをカバーすることはできませんでした。

向坂さんの話にもありましたが、私も情報の過不足から分析の前段階で苦労した経験があります。私はこれを人事データの「不都合な真実」と呼んでいます。

恐らく、データ分析をしたことがある全員が苦しんだことがあると思いますね。不都合な真実が具体的に何かというと、「ばらばら病」「ぐちゃぐちゃ病」「まちまち病」の“三大疾病”です。

三大疾病 その1「ばらばら病」

ばらばら病

1つ目の「ばらばら病」は、業務や部署ごとに、データがばらばらになっていることに起因します。

自身の担当部署のデータ以外は、データの有無やどこに情報があるかがわかりません。

三大疾病 その2「ぐちゃぐちゃ病」

ぐちゃぐちゃ病

2つ目の「ぐちゃぐちゃ病」は、入力間違いや記載方法の不一致などです。ミスタイプのほか、評価が◎や〇ではなくA・Bと書かれていたり、半角・全角の違いなど記載方法が一致していなかったり、情報の整理に非常に時間がかかります。

三大疾病 その3「まちまち病」

まちまち病

3つ目の「まちまち病」は、たとえば評価方法を途中で変えるとデータの連続性を保てないという話です。

このように、人事データは、売上データと違って自然と溜まらないものなんです。

2017年は、1年間いろいろな分析にチャレンジしましたが、この三大疾病によって、データの整理に時間を取られてしまう状況が続きました。

分析を止め、1年がかりでデータベースを整理

これらの課題により分析どころではなかったため、2018年4月からこの1年間は、分析は原則ストップし、データベースの整理に取り組みました。

ひとつのDBに集約、誰でも分析可能な環境に

改善を試みた結果、様々なシステムからデータを引っ張り、ひとつのデータベースに集約できるようになり、誰でも分析可能な仕組みをつくれました。

データ活用の研修も始めており、公開後の3ヶ月間で、データベース『Teradata』を使える人数が4人から23人に増えました。また、BIツール『Tableau』を使える人数も、4人から65人に増えました。

公開後三か月で、利用者増加中

今後はダッシュボード化してマネジャーにも共有し、マネジメントに活かすことも目標にしています。

「採用から労務、配置、評価、食事、コンディショニング、退職」のデータを1人ずつ1年単位で集めると、業務軸から社員軸で、一気通貫で人事データを蓄積し、マネジメントに活用できると考えています。

(了)

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