サーベイ回答率90%の秘訣は「開きたくなる接点」|ドライバー中心・100拠点のギオンが語る、現場に届く人事DX
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人材不足が深刻化する物流業界では、業務効率化やタレントマネジメントが急務です。しかし、いざ取り組みを進めようとすると、紙ベースの業務習慣やデータの散在、体制づくりの困難さといった壁に直面し、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
こうした背景のもと、SmartHRは「物流人事DXが導く2030年へのロードマップ〜今、管理部門が取り組むべきこと〜」をテーマにイベントを開催。
後編となる本記事では、株式会社ギオンから、上席執行役員 管理本部長の須藤 亮平さんと、管理本部 人事部 部長の渋谷 千尋さんをお迎えし、当社タレントマネジメント事業本部 事業本部長の松栄(まつばえ)とともに行ったインタビュートークの様子をレポートします。導入時の社内説得からサーベイ回答率90%を実現した現場への浸透策、今後のタレントマネジメントの展望まで、従業員データを組織づくりに生かすヒントが詰まった内容です。
登壇者紹介
須藤 亮平さん株式会社ギオン 上席執行役員 管理本部長
2006年に新卒入社。総務課に配属され、管理部門を中心に指定管理事業の立ち上げや、グループ会社のフィットネス事業の運営などに携わる。その後、新規部署の企画課にて新卒・中途を中心に採用を強化し、2020年より人事部を統括。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やエンゲージメント向上の施策をはじめ、人事・労務のDX化をけん引。2025年より現職。
渋谷 千尋さん株式会社ギオン 管理本部 人事部 部長
IT・保険業界などで人事業務に従事し、採用・労務・人材育成・人事企画など幅広い領域を経験。2024年7月に入社。人事部長の補佐役として、人事部全体の運営や各施策の推進を担う。組織課題の改善やエンゲージメント向上施策に取り組み、2026年4月より現職。
松栄 友希株式会社SmartHR タレントマネジメント事業本部 事業本部長
デザイナー、マーケターなど多様な職種を経てプロダクトマネージャーに。『転職ドラフト』などさまざまなプロダクトの立ち上げに加え、会社立ち上げも経験。STORES株式会社を経て、2022年12月に株式会社SmartHR入社、タレントマネジメント領域を担当。2026年より現職。日本CPO協会理事。
上申の壁は「導入効果の可視化」で突破

左から松栄、須藤さん、渋谷さん
松栄
本日はご登壇ありがとうございます。ギオンさまでは物流危機を乗り越えるため、人事領域において「守りの労務」から「攻めのタレントマネジメント」への転換を進めていると聞きました。取り組みの詳細を教えてください。
須藤さん
取り組み前の当社では紙ベースのやりとりが多く、従業員データが分散していました。こうした状況を改善するため、まずは「守りの労務」の基盤づくりとして、SmartHRを導入し、ペーパーレス化と従業員データの一元化から始めました。導入から時間が経つほどにデータが蓄積され、従業員データベースとなっていきました。これを活用して従業員サーベイや人事評価などの機能も導入し、「攻めのタレントマネジメント」につなげました。

松栄
ギオンさまのように規模の大きな企業でのシステム導入では、現場の従業員や経営陣との目線合わせが難しく、承認を得るのが大変とお声をよくいただきます。ギオンさまでは、どのように社内関係者の合意を得ていったのでしょうか?
須藤さん
各種手続きが便利になり、人事・労務業務を効率化できる。こうした説明だけでは、現場の従業員や経営陣には不十分だと思います。説明時には「その投資によって、会社の未来がどう変わるのか」を伝えることに注力しました。具体的にはコスト削減やリスク低減といった成果や、経営モデルの転換によって生まれる価値を可視化しました。
1.コスト削減:オペレーションの時間を削減し、創出した時間で付加価値の高い仕事をする
2.リスク低減:属人化や労務問題を未然に防ぐ
3.データ経営の価値:最新で正確な従業員データをすぐに見られるようにして、経営判断のスピードと質を向上させる
期待できる成果とともに導入しなかった場合のリスクも提示し、従来型の経営モデルから脱却する必要性を強調しました。

松栄
全従業員の初期データ移行など、導入初期のハードルはどのように乗り越えましたか?
須藤さん
派遣スタッフやSmartHRの伴走支援に助けられながら、人事担当者が初期データを入力しました。
松栄
導入時に、最初から従業員に入力してもらう企業と、まずは人事が負担を引き受けてデータを見える状態にしてから始める企業に分かれます。従業員全員を巻き込もうとすると初期の負担が大きく、結果的にデータが入らないケースも少なくありません。ギオンさまは、現場の従業員ではなく人事担当者がデータ入力を担当したことで、データ基盤が素早く整い、その後の運用がスムーズに進んだと感じています。
サーベイ回答率90%は「SmartHRとの接点づくり」で達成

松栄
ギオンさまのサーベイ回答率は90%という驚異的な数字です。ドライバーをはじめ、業務用パソコンをもたない従業員も多いなか、どのようにサーベイへの回答を促しましたか?
須藤さん
デジタル機器を使い慣れていなくても回答できるよう、各拠点で共有できるデバイスを用意しました。センター長がアプリの操作方法を指導する体制をつくり、未回答者にはリマインドを繰り返すなど、泥臭い工夫も重ねました。
渋谷さん
前職で別のタレントマネジメントシステムを使っていたときから、従業員が日頃から開きたくなるツールにならなければ、人事の自己満足で終わってしまうと感じていました。サーベイの回答をはじめ、必要なときに素早く対応してもらうには、SmartHRをそうしたツールにすることが重要です。
そのために、紙の社内報と連動したお知らせの配信や、スポンサーをしているスポーツチームのチケット抽選などをSmartHR上で実施し、従業員との接点を増やす取り組みを進めています。

渋谷さん
従業員の回答へのモチベーションを高めるため、表彰制度も設けています。表彰制度は、サーベイの結果(スコア)をもとに改善に向けた取り組みを宣言してもらい、高い水準で取り組みを実践したチームを表彰するものです。
表彰制度があることで、従業員は「自分たちの声が会社に届いているんだ」と実感できます。これからも、回答率の数字だけを追うのではなく、サーベイがエンゲージメントの向上やタレントマネジメントにつながったかどうかを重視していきたいと考えています。
松栄
スコアが低かった部門には、どのような対応をしましたか?
須藤さん
「スコアが低いから、この部門はダメ」で終わらせないことを心がけています。大切なのは、なぜスコアが低いのか、これからどうすればよくなるのかを考えることです。そのため、人事もサポートに入り、ファシリテーションをしながら現場の従業員と一緒に解決策を探るようにしています。
人材不足のいま、データにもとづく公平な登用や評価が不可欠に

松栄
ギオンさまがこれから目指している「攻めのタレントマネジメント」の展望について、詳しくお聞かせください。
須藤さん
当社は約100の物流拠点に、約4,000人の従業員を抱えています。複数拠点をもつ大規模組織でマネージャーの感覚に頼った人事評価を続ければ、優秀な人材を正しく評価できなくなる可能性があります。こうした事態を防ぐためにも、SmartHRに蓄積された従業員データで全従業員のスキルや傾向を客観的に把握し、教育や成長の機会を公平に提供できる組織をつくっていきたいと考えています。
従業員のスキルや経験をデータで可視化することは、タレントマネジメントの手段でしかありません。大切なのは、データを活用して優秀な人材を見つけ、正しく評価すること。その結果として、組織を成長させることだと思います。データを活用したタレントマネジメントを実現できれば、物流業界はいま直面している危機を乗り越え、新しい時代に即した経営モデルを構築していけるはずです。

登壇後は参加者とのディスカッションや交流も
データを活用した経営が、物流危機を乗り越える鍵になる。インタビュートークで語られたギオンの取り組みは、その考えを裏付けるものでした。須藤さんと渋谷さんは登壇後も会場に残り、参加者と現場の課題や施策について語り合いました。


データで人を把握し、育てる。物流業界の新しい経営モデルへ
SmartHRでは、人事・労務担当者の皆さまをお招きしたイベントをほかにも多数開催しています。最新の人事・労務トピックスについて意見交換したい、他社の取り組み事例を知りたい、SmartHRの最新機能を体験してみたい。そんな方は、ぜひイベントへの参加をご検討ください。
※掲載内容はイベント開催当時のものです。






