物流危機を「データ経営」で乗り越える。ギオンが語る、管理部門がいま取り組むべきこと
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ドライバー不足により、2030年には全国で約35%の荷物が運べなくなる――。こうした予測は、いまや物流事業者の共通認識となりつつあります。物流危機を乗り越えるため、物流事業者では業務の見直しや組織体制の再構築が進んでいます。しかし、従業員の高齢化や根強く残るアナログ管理などの壁は依然として高く、思うように改革が進まないこともあるでしょう。
こうした背景のもと、SmartHRは、「物流人事DXが導く2030年へのロードマップ〜今、管理部門が取り組むべきこと〜」をテーマにイベントを開催しました。
本記事では、株式会社ギオンの上席執行役員 管理本部長・須藤 亮平さんによる基調講演の内容を中心に、交流パートと体験ブースの様子もあわせてレポートします。

株式会社ギオン 上席執行役員 管理本部長
2006年に新卒入社。総務課に配属され、管理部門を中心に指定管理事業の立ち上げや、グループ会社のフィットネス事業の運営などに携わる。その後、新規部署の企画課にて新卒・中途を中心に採用を強化し、2020年より人事部の統括。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やエンゲージメント向上の施策をはじめ、人事・労務のDX化をけん引。2025年より現職。
2030年問題に直面する物流業界が取り組むべき構造転換とは
株式会社ギオンは、神奈川県相模原市に本社を構え、物流・健康・環境など幅広い領域に事業を展開するギオングループの一員です。同社は全国の物流拠点に約4,000人の従業員を抱えており、人材基盤の構築が急務となっていました。基調講演では株式会社ギオンの須藤さんに、物流業界全体が直面している課題や、2030年に向けて管理部や人事部に求められる役割についてお話しいただきました。

物流業界はいま、単なる人手不足にとどまらない構造的課題に直面しています。生産年齢人口が減少する一方でドライバーの高齢化は深刻化し、道路貨物運送業で働く人の76%を40代以上が占めています※1。
さらに2024年4月からは、ドライバーに年960時間の時間外労働の上限規制が設けられるようになりました(いわゆる「物流の2024年問題」)。
EC拡大によって小口配送の需要が増加していますが、ドライバーの供給はそれに追いついていません。こうした状況が続けば、2030年の物流業界では、需要に対して供給能力が約35%不足するという予測もあります※2。
※1 「日本のトラック輸送産業-現状と課題-2025 - 全日本トラック協会」
※2 「ロジスティクスコンセプト2030 - 日本ロジスティクスシステム協会」

2024年問題を背景とした輸送力不足を防ぐため、2025年4月には新物効法(物資の流通の効率化に関する法律)が施行されました。これにより、荷主と物流事業者双方に積載効率の向上、荷待ち時間の短縮などの努力義務が課されています。しかし、供給能力そのものが縮小する時代において、それだけでは根本的な問題の解決にはなりません。
いま必要なのは、仕事を獲得し、車両と人を増やして売上を伸ばすという従来型の成長モデルからの転換です。輸送力から生産性へ、売上から付加価値へ。物流事業者はこのように、事業の競争軸自体を変えなければならない局面に立たされているのです。

人事・現場・経営のデータを一体化する「データ経営」の推進

ドライバー不足が深刻化する一方で、EC拡大による小口配送の需要は増え続けています。こうした需給の偏りを解消するためには、「生産性の向上」「機械化」「外国人材の活用」「データによる業務最適化」の4つを同時に進める必要があります。
4つの取り組みを進めるなかで大きく変化するのが、管理職の仕事です。現場人材が多様化すれば、管理職の勘や経験にもとづいた配置や評価、場当たり的な対処といった属人的な「管理」が通用しなくなります。データにもとづいて配置や評価を客観的に判断し、AIなどのテクノロジーを活用して生産性向上を図る。「人」がさらに希少な資源となるこれからの時代、管理職には、こうした「改善」の姿勢が求められるでしょう。

そこで重要になるのが、「データ経営」です。従業員データ、現場データ、経営データといった経営に必要なデータを横断して見ることではじめて、次のような経営課題が見えてくるからです。
誰を教育すると事故率が下がるか?
外国人社員はどこで定着しているか?
最も利益を生んでいる拠点はどこか?
生産性を高めている管理職は誰か?

経営課題を適切に設定できれば、人材の定着や採用・教育の効率化、サービス品質の向上、事故・ミスの削減、利益の増加といった成果が出やすくなります。データを集めるだけでなく、データから課題を見つけて成果につながる価値を創出できるか。これが、物流DXに取り組む企業の成否を分けるポイントになるでしょう。
荷物を運ぶ企業から顧客の課題を解決するパートナーへ

物流費が高騰するなか、顧客である荷主もまた、データにもとづく提案や、テクノロジーの活用による配送業務の効率化を求めています。指示どおりに荷物を運ぶだけでなく、データをもとに課題解決を支援する。顧客の困りごとに寄り添い、未来を一緒に創っていく。こうした姿勢が、これからの物流業界にとって重要な生存戦略となるでしょう。データの蓄積と分析・活用は、サービス品質の向上や競合他社との差別化、競争力の維持にもつながっていくのです。
人が辞めたら採用する。業務が増えたら人を増やす。ベテランの経験で現場を回す。物流業界には、いまだにこのような「人が余る時代」の経営を続けている企業が少なくありません。しかし、人手不足の時代となったいま、人材は簡単に採用できず、経験者は減り、外国人材を含む多様な人材で現場を運営していかなければなりません。自動倉庫・自動運転・配車AI・画像認識などの機械化が進み、テクノロジーの活用も不可欠です。
物流危機の本質は、人手不足ではなく、古い経営モデルを使い続けていることにあるのではないでしょうか。機械化が進むなかで、人が担う仕事は「作業」から「判断・改善・育成」へと移っていきます。物流事業者はいまこそ、新しい経営モデルを成り立たせるためのデータ基盤の整備が求められています。


参加者同士のディスカッションやSmartHRの機能体験も
須藤さんの基調講演が終わると、株式会社ギオンで人事部長を務める渋谷さん、株式会社SmartHRタレントマネジメント事業本部 事業本部長の松栄をまじえたインタビュートークがスタート。
続いて参加者同士で交流できる「テーブルディスカッション」や、SmartHRやグループ会社のサービスを体験できる「体験ブース」などのプログラムも実施されました。
テーブルディスカッションでは、参加者がグループに分かれて着席。注目の人事トピックについて活発に意見が交わされました。ドリンクやお菓子を手に交流したり、テーブルを越えて名刺交換をしたりする姿も見られました。

会場内には「労務管理ブース」「タレントマネジメントブース」「Smart相談室ブース」の3ブースが設置され、参加者は興味のあるブースで実際に製品を操作したり、担当者に質問したりしながら、理解を深めていました。


閉会のあいさつでは、株式会社SmartHR エンタープライズ事業本部 カスタマーサクセス本部 部長の中村が登壇。データ経営の重要性やタレントマネジメントの価値にあらためて触れ、イベントを盛況のうちに締めくくりました。






