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「アルバイトの労務管理」で注意すべきポイントは?

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こんにちは、社会保険労務士の飯田 弘和です。

今年も、厚労省による「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンが実施されています(*1)。このキャンペーンは、毎年4月~7月、多くの新入学生がアルバイトを始める時期に合わせて行われているものです。

学生アルバイトに関するトラブルを防止する目的で実施されます。学生アルバイトも労基法上は労働者であり、正社員同様、労基法の保護を受けます

ですから、学生アルバイトであっても、残業代の支払いや有給休暇の付与は必要です。解雇は、会社の自由にはできません。仕事でケガをすれば労災保険の対象になりますし、雇い主がそれを隠すことは「労災隠し」として罰せられます。

それではこれから、アルバイトを雇う際に把握すべき、労務管理の注意点についてお話していきます。

アルバイトの「労働条件の明示」

まずは、労働条件の明示について。

労働基準法15条で、雇入れ時と契約更新時には、労働条件を書面で明示することになっています。その中で、アルバイトを雇う際にトラブルとなりやすいのが、時給額や労働日・労働時間の問題。

「バイト代を受け取ったら、面接時に言っていた時給と違う」

「残業や深夜労働なのに、割増賃金が支払われない」

「試験中なのに休めない」

といったトラブルが数多く発生しています。

このようなトラブルを未然に防ぐためにも、必ず、労働条件通知書を交付し、労働条件を明らかにしておきましょう。

アルバイトの「深夜労働・割増賃金・有休」

深夜業の場合、その時給が元々深夜割増分を含んでいるのなら、それを明示しておかないとトラブルの元となります。

ちなみに、18歳未満のアルバイトに対しては、深夜労働(22:00~5:00)や残業をさせることはできません。

労働条件を定める際には、授業や試験等の学業への影響が出ないよう、アルバイト従業員の要望を考慮することも必要です。

また、アルバイトであっても、法定労働時間(1日8時間または1週40時間)を超えれば、割増賃金の支払いが必要です。

6ヶ月以上働いて、出勤率が全労働日の8割以上であれば、有給休暇を与えなければなりません。

たとえ週1勤務のアルバイトであってもです。

アルバイトの労務管理における、その他注意事項

欠勤や遅刻に対し、「罰金」を科すことはできません。

就業規則に懲戒の定めがあれば、制裁としての減給は可能です。

しかし、その場合であっても、遅刻や欠勤1回当たり、平均賃金の1日分の半額までしか減給することはできません。

遅刻や欠勤が複数回あっても、減給できる総額は、バイト代(1賃金支払期における金額)の10%までです。

さらに、会社に与えた損害の賠償額をあらかじめ定めておくこともできません。

たとえば、「突然辞めたら●万円支払う(●万円バイト代から差し引く)」などの定めは違法となります。

損害については、それぞれの事案ごとに状況や従業員の責任の程度が異なるのに、一律に●万円と決めるのは、従業員にとって不利益となるからです。

また、従業員に余程の重大な過失がない限り、損害全額を従業員に賠償させることはできません。

まとめ

ひとたび学生から「ブラックバイトだ!」と評価されてしまうと、この先のバイト募集に苦労することになりかねません。

アルバイト先を決定するのに、多くの学生がネットからの情報を参考にします。そこで悪評がたっていれば、そのような企業で働こうとは考えません。

一度、自社の評判をネット検索してみるのも良いかもしれません。

アルバイトも、大切な従業員であり大事な戦力です。以上の点に注意し、雇用形態に関わらず、適切な労務管理を行いましょう。

【参照】
*1:アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施 – 厚生労働省

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