Q:360度評価を取り入れたけれど、社内がギスギスしている、どうすれば?【人材マネジメントQ&A】


少子高齢化が進む現在では、優秀な人材を採用・確保・育成するために、人材マネジメントの重要性はますます高まっています。この企画では人事担当者が見えにくい「マネジメントの悩み」を人材マネジメントのプロが解説。ビジネスの現場でマネージャーが抱える課題に効果的なヒントをご紹介します。

今回はコンサルタントとして、人事改革や幹部育成に携わる株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソース 執行役員の山田 博之 さんに360度評価の運用ポイントについて解説していただきました。

A:社内がギスギスしているのであれば、360度評価の「目的」が伝わっていないのでは?

一般的な人事評価では上司によって評価されるのに対して、同僚や部下、他部署の社員などによって多面的に評価されるのが360度評価です。360度評価を取り入れて社内がギスギスしているのならば、メンバーは「やらされている」、「なんのために360度評価を行なうのか、目的がよくわからない」などのように感じているのではないかと思います。

360度評価の「目的」が見えなければ、現場は混乱する

そもそも、人事制度の施策の全般にいえることですが、「なんのためにやるのか?」についてメンバーが腹落ちしていないと混乱してしまいます。

コロナ禍の昨今では、テレワークも普及したために、「部下の働きぶりの状況が見えない」という理由で360度評価を検討している企業もあると聞きます。ただ、その状況で360度評価を入れても運用がうまくいかない可能性があります。

「テレワークで部下が働く状況が見えない」という課題感を持っているならば、「仕事の状況は大丈夫か? 最近困っていることはないか?」と、先に上長からコミュニケーションを取ることが必要です。

また、360度評価を行なう場合には、まず目的を明らかにしましょう。

給与に反映しない「組織をより良くするため」の360度評価がポイント

そもそも「給与や賞与に反映されるのか」「給与には反映されず自己啓発のために行なうのか」を明らかにすべきです。どっちつかずになると、メンバーは「波風を立てたくないから、無難なコメントと評価をしよう」となったり、「給与に反映されるなら、嫌いな人を貶めるコメントを書こう」となったりして、内容がばらつくケースもあります。

導入しやすいのは、給与面には反映しない「マネジメントが上手く機能しているか」や「組織をより良くするため」の360度評価です。経営側が「組織の状態が健全か、やりがいのある働く環境が提供できているかを確認するための360度評価」と目的を置けば、メンバーも本音を話しやすくなり、会社に対する不満ごとや要望を書いてくれるのではないでしょうか。

部分的にトライアルしてからの導入も効果的

加えて、全社単位で360度評価を導入するのは、人事側にとっても負担になります。書き込む項目の制定や、実際の評価内容にあたるコメントの確認など、業務が多岐にわたるためです。

最初はマネジメントレイヤーや一部の事業部だけでトライアルして、実際の業務タスクがどの程度発生するかを確認してから導入するとよいでしょう。

360度評価は組織の特効薬ではない

最後に覚えておきたいことも一つお伝えしておきましょう。

それは「360度評価は組織の特効薬」ではないこと。360度評価を導入したからといって、すぐに組織の不満を吸い上げ、適切な人事評価がなされ、組織が活性化すると思わないこと。組織をよくするには一つひとつの施策を丁寧に行なうことをお忘れなく。

2社の事業会社での営業経験を経て、株式会社タナベ経営にて、HR領域を主とした経営支援コンサルティングを実施。主担当として25社の経営・人事改革や次世代幹部人材育成などの大型プロジェクトを実行。富士ゼロックス関連会社の人事企画担当として、人事制度改定、次世代経営人材育成、人材データベースシステム導入、ダイバーシティー(女性活躍)推進などの人事施策を立案・推進。株式会社ディスコの人事コンサルティング事業部の事業部長として当事業のスタートアップに従事。2017年に株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソースに参画。現在100社以上の実績を持つ。
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