タレントマネジメントの成功事例・失敗事例、導入成功のポイントを紹介
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目次
- タレントマネジメントが注目される理由
- タレントマネジメントを導入するメリット
- タレントマネジメント導入の成功事例
- 【三井化学】:重要ポジションの育成を促すキータレントマネジメント
- 【カゴメ】:社員の自主性を重んじつつ、グローバル化に対応するタレントマネジメント
- SmartHR事例:【フジトランスポート株式会社】モチベーション向上施策に取り組み、退職率低下
- SmartHR事例:【ハクブン】モチベーション向上施策に取り組み、退職率低下
- SmartHR事例:【U-NEXT】従業員の強みを活した人員配置を実施
- SmartHR事例:【ツマミナ】労務業務を効率化し、心理的安全性やチームビルディングに注力
- SmartHR事例:【MS&ADグランアシスタンス】労務業務を効率化し、心理的安全性やチームビルディングに注力
- SmartHR事例:【リノメタル】労務業務を効率化し、心理的安全性やチームビルディングに注力
- タレントマネジメント導入の失敗事例
- タレントマネジメント導入成功のポイント
- 自社に合ったシステムの導入でタレントマネジメント導入を成功させよう!
近年、貴重な経営資源である人材の採用や育成、配置などを最適化する人事戦略「タレントマネジメント」の重要性が高まっています。
本記事ではタレントマネジメント導入の成功事例や失敗事例、導入を成功させるコツを紹介します。
タレントマネジメントが注目される理由
タレントマネジメントとは、従業員が持つ資質(タレント)やスキル、経験値などの情報を従業員データとして一元管理することによって、組織横断的に戦略的な人員配置や人材開発を行うことです。近年、少子高齢化による労働人口の減少により、業種・職種を問わず慢性的な人手不足に悩まされる企業が増えています。
採用の強化だけでは長期的な成長が難しいため、現在在籍している従業員一人ひとりの力を最大化していく「適材適所」を追求するタレントマネジメントの考え方が生まれました。タレントマネジメントの市場規模は年々増加しており、2020年は211億円であるのに対し、2026年には447億円にまで成長すると見込まれています。
(出典)野村総合研究所「ITナビゲーター2021年版」
タレントマネジメントを導入するメリット
人材育成の効率化
タレントマネジメントによって得られるメリットのひとつは、人材育成の効率化です。タレントマネジメントでは、従業員の性格や特性、実務能力をデータとして統合的に管理します。従業員一人ひとりの長所と短所を可視化しながら、必要に応じて研修や教育を実施し、業務の習熟度やスキルの熟練度を向上。従業員の強み・長所を最大限に活かしながら、弱み・短所を補うような育成により、人材の総合的なスキル向上に貢献します。
人材定着・離職率の改善
企業にとって、離職率と定着率の改善は非常に重要な経営課題です。タレントマネジメントの導入によって従業員が成長できる環境が整えば、内発的動機付けにもとづくモチベーション向上や、企業に対する貢献意識の醸成が期待できるでしょう。従業員満足度が高まれば、離職率や定着率の改善に寄与し、新たな人材の採用・育成コストの削減や、優秀な人材の確保、業績の安定化、企業イメージの向上といった多くのメリットをもたらします。また、退職する人材の傾向を可視化して原因を特定できれば、具体的な離職防止策を打ち出せる点も大きなメリットです。
パフォーマンスの最大化による生産性の向上
タレントマネジメントにおける重要課題のひとつは、人材を適材適所に配置してパフォーマンスを最大限に引き出すことです。同じ組織に属する従業員であっても一人ひとりが異なる能力を有しており、それぞれに得手不得手な領域が存在します。
タレントマネジメント、なかでも包摂的タレントマネジメントでは、各従業員の違いや差異を強みと捉え、その特性を最大限に活用します。特性を活かした人員配置により、人材と業務のミスマッチを防止できると同時に、個人のパフォーマンスが最大化され、結果として組織の生産性向上と持続的な発展に貢献すると考えるのです。
包摂的タレントマネジメントなど、タレントマネジメントの定義について詳しくは、下記の記事を参照ください。
タレントマネジメント導入の成功事例
【三井化学】:重要ポジションの育成を促すキータレントマネジメント
三井化学グループは、長期経営計画「VISION2030」と連動した人材戦略を展開。「VISION 2030」に向けて、人材の獲得・育成・リテンション、従業員エンゲージメント向上、グループ・グローバルでの人事ガバナンス強化を重点課題に置いてきました。
特に注目すべきは「キータレントマネジメント」の取り組み。戦略重要ポジションを担う候補者を「キータレント」と定義し、個々のキャリアや志向性、育成計画を組織全体で議論する文化を醸成しています。この仕組みは2016年度からグループ・グローバル共通で運用され、三井化学のタレントマネジメントの中核となっています。
取り組みの成果として、後継者候補者準備率(戦略重要ポジションに対する後継者候補数÷戦略重要ポジション数)は、19年度の199%から22年度は211%に増加。後継者を担い得る人材の育成が進んでいます。
(参考)経営基盤・事業基盤の変革加速 ―人材戦略― - 三井化学
(参考)三井化学は「後継者準備率」開示 脱炭素に挑む化学大手の人材戦略 - 日経ビジネス
【カゴメ】:社員の自主性を重んじつつ、グローバル化に対応するタレントマネジメント
カゴメは、グローバル化を目指した人事戦略の一環として、タレントマネジメントを推進してきました。その目的は、グローバル化のためのインフラ整備、職務を基準とした評価制度の導入、メリハリのある評価による適正な人件費配分です。
同社のタレントマネジメントの特徴は、包摂アプローチを基本としながら、一部選別アプローチを取り入れている点です。全社員を対象としつつ、キーポジションの設定やサクセッションマネジメントも実施してきました。
具体的な施策として、役員の評価システム改革、サクセッションマネジメントによる次世代経営者育成、HRビジネスパートナー制度の導入などを実施。また、「生き方改革」と称し、フレックス勤務、テレワーク、副業制度などを導入し、社員のキャリア自律を促進しています。
(参考)石山恒貴 - 『日本企業のタレントマネジメント: 適者開発日本型人事管理への変革』
SmartHR事例:【フジトランスポート株式会社】モチベーション向上施策に取り組み、退職率低下
フジトランスポートは、従業員を大切にする方針のもと、効率的な労務管理とタレントマネジメントの推進を目指してSmartHRを導入しました。
まず、年末調整や入社手続きなどの労務業務をペーパーレス化し、大幅な工数削減を実現しました。特に、ドライバーが多い同社では、スマートフォンから手続きができる利便性が高く評価されています。
次に、タレントマネジメントの推進に着手。従業員サーベイを実施して個々のキャリア意識を把握しました。また、人事評価機能の活用や従業員の経歴・スキル情報の一元管理を計画しています。さらに、組織図機能を活用し、従業員情報の確認や異動検討の効率化を実現してきました。
これらの取り組みにより、フジトランスポートは労務管理の効率化と従業員満足度の向上を同時に実現し、タレントマネジメントの基盤を整備しています。
SmartHR事例:【ハクブン】モチベーション向上施策に取り組み、退職率低下
ハクブンでは労務業務のペーパーレス化を実現し、年間約5,000万円のコスト削減を達成。次に雇用契約のオンライン化により、本部と従業員の直接的なコミュニケーションが可能になり、情報伝達の正確性と迅速性が向上しました。これにより、従業員の安心感とモチベーション向上にもつながっています。
さらに、従業員サーベイ機能を活用して、働きがいのある職場づくりに取り組んでいます。サーベイ結果をもとにモチベーションアップの施策を実施し、退職率を19.2%から18.2%へ改善しました。
SmartHR事例:【U-NEXT】従業員の強みを活した人員配置を実施
U-NEXTではSmartHRを導入し、入社手続きの効率化と従業員データベースの一元管理を実現し、工数を大幅に削減。さらに経営統合後の組織拡大に伴い、SmartHRのタレントマネジメント機能の活用をはじめました。
とくに注目すべきは、配置シミュレーション機能の活用です。従業員の経歴や趣味などの情報を参照しながら、適材適所の人員配置を実現しています。たとえば、スポーツコンテンツ拡充に伴い、サッカー経験者を適切な部署に配置するなど、従業員の強みや趣味を活かした配置を実施しました。
さらに従業員サーベイ機能や人事評価機能の導入を進め、組織変更の満足度測定や人材育成にも活用予定。従業員にとって働きやすい環境づくりを推進し、組織の成長を促進しています。
SmartHR事例:【ツマミナ】労務業務を効率化し、心理的安全性やチームビルディングに注力
ツマミナは、急速な店舗拡大に伴い、SmartHRを導入しタレントマネジメントを推進しています。まず、入社手続きや従業員データベースの管理を効率化し、新規出店時の人事業務をスムーズに進められるようになりました。
また、従業員データベースを活用して、店舗間のヘルプ勤務時の情報共有や誕生日のお祝いなど、従業員が楽しく働くための工夫を実施。
さらに、従業員サーベイを実施し、組織の課題を可視化しています。サーベイ結果をもとに、業態に合わせた採用計画の最適化や、店舗の雰囲気改善のための施策を展開してきました。例えば、従業員間のコミュニケーション促進のため、「iCard」を用いた感謝の気持ちを伝え合う取り組みを始めています。
SmartHR事例:【MS&ADグランアシスタンス】労務業務を効率化し、心理的安全性やチームビルディングに注力
MS&ADグランアシスタンスは、SmartHRを活用して効果的なタレントマネジメントを推進しています。まず、人事・労務業務のペーパーレス化を実現し、業務効率を大幅に向上させました。
次に、人事評価機能を導入し、評価プロセスを簡素化しました。これにより、評価の集計時間が短縮され、管理者と従業員双方の負担が軽減されました。評価内容の自動保存や進捗状況の可視化などにより、使いやすさも向上しています。
さらに、SmartHRの機能を柔軟に活用し、災害時の募金活動にも応用するなど、従業員のエンゲージメント向上にも役立てています。
これらの取り組みを通じて人事部門の業務効率化を図り、より戦略的なタレントマネジメントに注力できる環境づくりを目指す同社。今後は多面診断への活用も検討しており、さらなる発展が期待されます。
SmartHR事例:【リノメタル】労務業務を効率化し、心理的安全性やチームビルディングに注力
リノメタルでは人事情報を紙で管理する体制となっており、ファイル量の増加に伴う管理体制の複雑化が経営課題となっていました。SmartHR導入後は、従業員情報の一元管理を実現し、入社手続きや年末調整のペーパーレス化を実施。次に人事評価システムをSmartHRに移行しました。
さらに、タレントマネジメント機能を活用し、心理的安全性やチームビルディングに関する施策に取り組んでいます。たとえば、雇用契約書の文言を工夫するなど細かな点にも配慮をしています。
最近では配置シミュレーション機能の利用を開始し、組織改革に着手しています。リノメタルは「ヒトづくり」を重視し、SmartHRを基盤としたタレントマネジメントを通じて、従業員が互いに尊敬し合い、貢献し合える組織づくりを目指しています。
タレントマネジメント導入の失敗事例
以下では、タレントマネジメント導入におけるよくある失敗事例を紹介します。
(よくあるケース1)人手が足りず、取り組みを進められなかった
タレントマネジメントの導入を計画したものの、日々の業務に追われ十分な人員を割けずに頓挫するケースです。
特に中小企業では人事部門の人員が限られており、既存の業務に加えて新たな取り組みを進める余裕がない企業も少なくありません。結果として、計画は立てたものの実行に移せず、効果的な人材育成や配置ができないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。そのような場合、段階的な導入や外部リソースの活用を検討する必要があるでしょう。
(よくあるケース2)タレントマネジメントシステムを使いこなせなかった
高機能なタレントマネジメントシステムを導入したにもかかわらず、その機能を十分に活用できないケースです。システムが複雑で従業員が使いこなせなかったり、自社の業務フローに合わないために効果的に運用できない、という背景があります。
また、導入時の従業員教育が不十分で、システムの利用が一部の担当者に限られてしまうことも。結果として、高額な投資をしたにも関わらず期待した効果が得られず、システムが形骸化してしまいます。
(よくあるケース3)ハイパフォーマーの特定や適切な配置などに必要なデータがない
タレントマネジメントを進める上で必要な従業員データが不足し、適切な選抜や配置ができないケースです。過去の業績データや能力評価、スキルセットなどの情報が体系的に蓄積されていないため、ハイパフォーマーの特定や戦略的な人材配置が困難になります。また、データの質や一貫性に問題があり、信頼性の高い分析ができないこともあります。この問題を解決するには、計画的なデータ収集と管理体制の構築が不可欠です。
(よくあるケース4)従業員から理解を得られず推進が進まなかった
タレントマネジメントの導入目的や利点が従業員に十分に伝わらず、理解と協力が得られないケースです。従業員が新しい制度を自身のキャリア発展の機会ではなく、単なる評価や管理の手段と捉えてしまい、消極的な態度や抵抗感を示すこともあります。
タレントマネジメント導入成功のポイント
導入目的・人材要件を明確にし、共有しておく
タレントマネジメントは、人事戦略と経営戦略の両方に関わるものです。タレントマネジメントがなぜ必要なのか、経営や戦略にどう活かしたいのか、導入することで何を実現させたいのか、などを明確にし、経営層はもちろん、現場となる各部門の管理者まで共有しておくことが重要です。
目的を達成するためにはどのような人材が必要か、"理想の人材像"となる人材要件を、業務経験や能力、資格、性格や価値観、志向、資質なども含め、具体的に"見える化"します。「長期的に必要な人材」と「短期的に必要な人材」で具体化すると、それぞれ長期・短期にみる自社の戦略・経営目標の実現に欠かせない人材要件となるので、より良いでしょう。
従業員データを整備し、分析する
タレントマネジメントでもっとも重要なものが従業員データです。適切に人材を配置、育成するには、従業員の基本的な個別属性データに加え、経歴・経験・スキル・評価などのデータが必要です。従来の評価データでは、タレントマネジメントとして評価する項目が不足している場合もありますので、必要に応じて新たな評価軸を追加したり面談を行ったりして、詳細な個人データを収集します。
これらを効率よく最新に保ち続けるには、操作性の良いタレントマネジメントシステムを使い、運用負荷を最小限にするのがポイントです。
従業員育成プランを作成する
必要な人材が不足している場合は、採用に走りがちですが、まずは現有する人材を最大活用することを最優先に考え「育成」プランを作成します。従業員データの分析結果を基に、育成候補となる人材を抽出したら、人材要件やモデルとなる従業員とキャリアを比較検討しつつ、個人に合った研修や教育プログラムを組み立てます。
タレントマネジメントの目的や人材要件を基に、効果指標を設定し、評価測定・フィードバックの方法も検討しましょう。これらは、本人やマネジメント側とも共有しておくことが大切です。評価管理やフィードバックまで一気通貫で行えるシステムを利用すると効率的です。
PDCAサイクルを回す
タレントマネジメントは始めてすぐに効果が出るものではありません。タレントマネジメントの課題に対し早期に対策を打つためにも、常にPDCAサイクルを回すことが重要です。Plan(採用・育成計画書の作成)、Do(採用・配置)、Check(人事評価・レビュー)、Action(異動、能力開発)を回すことで、実施した施策が成功したのか、成功・失敗の原因などを把握でき、次の成果につなげることができます。
自社に合ったシステムの導入でタレントマネジメント導入を成功させよう!
タレントマネジメントの導入を成功させるには、導入目的の明確化や、従業員データの整備・分析、育成プランの作成、PDCAサイクルを回すことなどが重要なポイントとなります。それらを効率的に行うには、タレントマネジメントシステムの導入がおすすめです。
タレントマネジメントシステムのサービスは多く、どのシステムも多彩な機能を搭載していますが、うまく活用するには自社のニーズに合ったシステムを選ぶことがポイントです。タレントマネジメントシステムSmartHRなら、労務手続きを通じて必要なデータが自然と集まり、常に最新で正確な従業員データを蓄積することができます。
人事評価や従業員サーベイ、人員配置シミュレーションなどの機能を使って、さまざまな人事施策を打てるので、人事課題の解決を効率的に行えます。シンプルなインターフェースで直感的に操作できるので、ITに不慣れな従業員でも迷わず使えます。
お役立ち資料
SmartHRで今すぐはじめるタレントマネジメント
【こんなことがわかります】
- タレントマネジメントにおいて人事データが果たす役割
- SmartHRでタレントマネジメント推進をスムーズに始められる理由
- タレントマネジメント機能の特徴・活用イメージ
- 労務機能とタレントマネジメント機能の活用事例
Q1. タレントマネジメントを導入する理由には、どのようなものがありますか?
戦略的な人材育成や後継者育成、適材適所な人材配置、スキル向上、従業員エンゲージメント向上、離職防止、組織の生産性向上など。企業の事業や組織の状況、課題、方針によって多様な理由が考えられます。
Q2. タレントマネジメントが失敗する原因は何ですか?
よくある原因として、人手不足やシステムを使いこなせない、必要なデータの不足、従業員の理解・協力不足などが挙げられます。
Q3. タレントマネジメントを成功させるポイントは何ですか?
明確な目的設定、経営層の理解と支援、適切なシステム選択、質の高いデータ管理、従業員への丁寧な説明と協力要請、継続的なPDCAサイクルの実施が成功のポイントです。