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【企業の生産性と競争力を高める】JR九州グループのバックオフィス効率化

公開日
目次

JR九州グループ様でのSmartHR導入事例について、年末調整をメインに、グループ全体のバックオフィス効率化を実現させたお話を伺ったセミナーの内容をご紹介します。

  • 水城 幸博 氏

    JR九州システムソリューションズ株式会社 企画本部 経営企画部 部長

    2002年に大手IT企業に入社し、コンビニエンスストアなど流通業のシステム開発に従事。

    2007年よりマーケティング部門に移り、グローバルなマーケットリサーチやアライアンスなど10年間、B2Bマーケティングに携わる。2018年よりUターンで福岡に戻り、現在はJR九州システムソリューションズで経営企画部長として、社内のデジタル化やEX向上に取り組んでいる。

  • 野口 貴浩 氏

    JR九州システムソリューションズ株式会社 事業開発本部 HR事業部 部長

    大学卒業後、独立系SIerに入社し、ファームウェア開発に従事。2007年にJR九州システムソリューションズに入社し、JR九州グループ会社のシステム開発に携わる。2017年より人事給与システム、勤怠管理システムのクラウドサービス提供部署にてグループ会社へのシステム導入、業務改善に取り組み、事業拡大にも注力。現在に至る。

業務量が急増、紙運用への課題感がSmartHR導入のきっかけに

JR九州グループ様では、グループ全体でSmartHRを導入いただいております。導入のきっかけをお教えいただけますか?

水城さん

グループ全体へ導入する前に、まずJR九州システムソリューションズ株式会社(以下、弊社)へSmartHRを導入しております。SmartHR導入前の弊社には、3つの課題がありました。1つ目は、社内申請の多くが紙での運用であった点です。書類の印刷や手書きによる記入、提出のための出社、役所に出向いての手続きなど、紙での運用で発生するさまざまな業務に多くの工数が取られていた状況でした。

2つ目は、業務量の急増です。弊社はここ数年売上が拡大しており、それにともない従業員数が増加しています。その結果、管理部が処理しなければならない業務量が増大し、従来どおりの進め方では対応しきれなくなっていました。

3つ目は、今後も企業成長を推進していくなかで、制度変更や新しい施策の実行に、柔軟に対応していくための基盤整備が必要だと考えられた点です。

これら3つの課題に対する解決策を検討したことが、SmartHR導入のきっかけになっています。

講演資料。本文中で述べられている課題をまとめた図。

野口さん

グループ会社も同様に、雇用契約の締結や社会保険の手続き、年末調整などの業務に紙で対応していたため、作業に多大な時間を費やしている状況でした。このような状況を改善するために、操作性と機能性に優れたSmartHRをグループ会社にも導入すると決定しました。

150時間が69時間に。リアルタイム確認により、年末調整の対応工数が減少

SmartHR導入によって、どのような効果がありましたか?

野口さん

労務担当者目線でとくに効果があったと考えているのは、社会保険の電子申請や年末調整の申告情報の確認です。

紙で運用していたときは、従業員が記入した申告情報を労務担当者がシステムへ転記する際、転記ミスによる登録情報の誤りが多発していました。しかし、SmartHRの導入によって転記が不要となったため、登録情報の誤りが格段に減少し、大幅な時間短縮を実現できています。

また年末調整においては、紙書類の到着を待つことなく、電子で提出された申告情報・保険料控除などの添付資料をリアルタイムでチェックでき、労務担当者の待機時間の短縮が実現しました。限られた年末調整期間のなかで、作業時間を含めて大幅に工数を削減できたのは、大きな変化だと感じております。

従業員目線でも、紙で運用していた頃と比較して申告方法がわかりやすくなり、申告内容の誤りも大幅に減少しています。

グループ全体での効果はいかがでしょう?

野口さん

グループ会社からも、年末調整での労務担当者の対応工数が格段に減少したという声が出ています。リアルタイムで申告情報の確認が可能なため、申告内容に誤りがあった際に即座に対応できるのが効果的なようです。

具体的な時間短縮の事例として、労務担当者が対応する一部の業務について、SmartHR導入以前に150時間程度要していたところ、導入後は69時間で完了させられたという実績が出ています。導入後初めての年末調整での実績ですので、次年度以降はさらに短縮できるのではないかと考えています。

今年度はSmartHRを利用した年末調整の初回であったため、従業員からは操作に関連する質問が寄せられました。しかし、次年度以降の年末調整では、今年度登録された情報が引き継がれ表示される仕様ですので、問い合わせ数は減少すると見込んでいます。

移行業務や運用方法をこまかく整理しながら、各社3か月で導入

導入はどれぐらいの期間をかけて進めたのでしょうか?

野口さん

弊社でのシステム導入は、2020年12月24日から2021年3月31日までのおよそ3か月間で実施しました。その後に導入を進めたグループ会社でも、基本的に3か月程度の期間を確保して進めています。

講演資料。実際に用いた導入スケジュール表のキャプチャ。

導入の手順についてもお聞かせください。

野口さん

まずは、既存の運用業務の洗い出しから着手しました。具体的には、紙で実施している業務を洗い出し、どの業務をSmartHRに移行できるか確認しました。移行可能な業務は、タスク化し、移行スケジュールに組み込みます。こうして作成したスケジュールにもとづいて設定や導入を進めました。

導入を進めるにあたって、確認が必要な事項や課題などは表にまとめて、SmartHR様や弊社の管理部から回答をもらいながら要件を詰めて設定していきました。

講演資料。導入時に用いた確認事項表のキャプチャ。

グループ会社へ導入するうえで、苦労された点はありましたか?

野口さん

これまで紙で運用してきた業務を一斉にペーパーレス化させるべく導入を進めたので、既存の権限設定や承認フロー、運用方法などを含めてすべてを変更しなければなりませんでした。その点が苦労したポイントです。

本社以外に支店をもつグループ会社では、採用活動など一部の業務を支店に移管しているところもあるので、本社と支店の役割分担の整理も大変でした。

ほかにも、APIデータの自動連携も苦労が大きかった作業です。既存の給与システムとSmartHRのAPIを連携させるにあたって、それぞれのシステムで異なる管理項目をどこまで連携させるか、といった要件の検討に多くの時間を要しました。

現在も依然として連携できていない内容もあるので、そのような項目をどのように調整していくかが今後の課題です。SmartHRのAPI連携が可能な項目が、今後拡張されることを期待しています。

導入・運用時のSmartHRのサポート体制はいかがでしたか?

野口さん

SmartHRのご担当者は、いつも迅速かつ丁寧にご回答くださっており、弊社としてはサポート体制についてまったく不満がない状況です。グループ会社も弊社同様に不満がないようで、導入から導入後の問い合わせの対応、運用まで、問題なく遂行できております。

定型業務の効率化により、従業員エクスペリエンス向上にも取り組めるように

数ある人事労務のクラウドサービスから、SmartHRを選定いただいた理由をお教えください。

水城さん

弊社での選定理由は大きく3つあります。1つ目は、シンプルに投資対効果です。従来の紙の手続きを電子化により効率化したときに、システムの導入に必要な費用に見合った効果を得られるかを見積もって決定しました。また、SmartHRを利用すれば書類提出や押印のためだけに出社する必要がなくなり、働き方を大きく変えられる点も導入を決める大きな要因となっています。

2点目は、マニュアルレスな操作性です。通常、新しいシステムを導入する際には、時間をかけてマニュアルを作成するのですが、多くの場合、すぐに陳腐化してほとんど使われなくなってしまいます。SmartHRは直感的に操作方法が理解できるので、マニュアルがなくても使用開始できる点も高評価ポイントでした。実際に、導入時には各種申請フォームの一覧資料を作成したのみで、詳細なマニュアルを作成せずとも運用開始できました。

3つ目は、人事・労務管理の観点から、将来的に会社の事業成長を支える基盤になり得るシステムだと判断したためです。導入するシステムに機能の汎用性がなければ、新しい取り組みを実現するために、別のシステムの導入が必要になってしまうかもしれません。SmartHRは機能が充実しており、汎用的な利用が可能な点も導入の決め手となっています。

講演資料。SmartHR選定の理由をまとめた図。

将来の事業成長において、今後SmartHRがどのような形で貢献していくと考えられますか?

野口さん

労務担当者の定型的な仕事量を格段に減少できたので、空いた時間をタレントマネジメント業務に活用し、戦略的な人員配置・人材育成を実現すれば、企業の成長につながると考えています。また、システム化によって労務業務の属人化の解決が進めば、担当人員の削減やアウトソーシングが進められると見込んでいます。

水城さん

SmartHRによる管理業務の効率化によって、近年話題の従業員エクスペリエンス向上に向けた施策に取り組めるようになってきています。

具体的には、テレワークで働く環境の整備、社員研修、資格制度の拡充、コミュニケーションの活性化に向けた施策について管理部門で検討するなど、これまでやりたくてもなかなか時間が取れなかった業務に工数を割けるようになりました。これは、定量的には測れない大きな価値になっています。

弊社だけに限らず、SmartHRを導入したグループ会社各社が同じように考えているのではないかと思います。

組織図も簡単にビジュアル化、表計算ソフトへの写真配置の手間を削減

実際に使用するなかで、便利なSmartHRの機能はありますか?

水城さん

年末調整機能では、提出締切日の設定や未提出者に対する再通知設定、申請内容の差し戻しメールなど、システム的な対応ができる機能がとくに気に入っています。

ほかにも、画面の質問に沿って回答していくと、自動で申告書が作成される設計になっているため、従業員からの「記載の仕方がわからない」という質問が大幅に減ったのは非常に助かっています。

SmartHR「組織図」機能のサンプル画像

SmartHR「組織図」機能のサンプル画像

水城さん

SmartHRに実装されている「社員名簿」と「組織図」機能もよく利用しています。組織図などを簡単にビジュアル化して展開できるので、非常に便利です。SmartHR導入前は表計算ソフトに社員の写真を配置して組織図を作成していたため、費やしていた2〜3時間を効率化できて満足しています。

従業員目線では、クラウドなので場所を選ばず申請手続きできる点や、知識がなくても簡単に年末調整の申告ができる点がメリットだと感じています。

紙の申告よりも簡単なSmartHRが、労務担当者の工数を大幅削減

最後にクラウドサービス導入をご検討されている企業様に向けてメッセージをお願いします。

野口さん

システムに不慣れな従業員が多い企業様は、年末調整のオンライン申告への切り替えに躊躇されるのではないでしょうか。SmartHRは扶養控除や配偶者控除の申告も本当に簡単で、保険料控除の金額算出も自動で処理してくれます。紙による申告よりも簡単で、労務担当者の工数・作業時間の大幅な削減につながります。

申告書の記入ミスや、労務管理者の転記ミス、保険料控除証明書到着の待ち時間の削減など、確実に効果を実感できるはずです。人事・労務クラウドとして、導入検討の価値があるサービスだと思います。

お役立ち資料

担当者も従業員もわかりやすくて、使いやすい SmartHRのペーパーレス年末調整

※2023年10月2日に、2023年度版のSmartHR「年末調整」機能をリリースしました。詳細はお知らせをご覧ください。

【10/2リリース済】2023年版の年末調整機能は10月リリース!アップデート内容ご紹介

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