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従業員満足度を構成する要素と高めるメリット・施策、調査方法も解説!

公開日

この記事でわかること

  • 従業員満足(ES)が注目される理由・背景
  • 従業員満足度を高めるための5つのアイデア、基本のステップ
  • 従業員満足度向上の取り組み事例
目次

従業員満足度(ES)は仕事や職場への満足度合いを示す指標

従業員満足度は「Employee Satisfaction(ES)」の訳語であり、仕事や職場に対する従業員の満足度を示す指標です。具体的には労働環境や待遇、職務内容、人間関係、福利厚生、キャリア開発機会などへの満足度合いを表します。

仕事や職場の満足度を考えるうえで役立つのがアメリカの臨床心理学者フレデリック・アーヴィング・ハーズバーグ氏の「二要因理論」です。

ハーズバーグの二要因理論について説明している図

二要因理論とは仕事の満足度を「高める要因(動機づけ要因)」と「低下させる要因(衛生要因)」に区別して捉える考え方です。

「動機づけ要因」とは仕事の達成感や達成に対する承認、評価などを指します。「衛生要因」とは労働条件や待遇、人間関係、会社の方針などを指します。ハーズバーグ氏が1,685人の従業員を対象に実施した調査では「動機づけ要因」が仕事に対する満足感に、「衛生要因」が不満感に影響していました。

2つの要因は別物のため、後者を高めれば前者も比例して高まるわけではありません。企業が従業員の満足度を高めるには、どの要因が足りていないかを見極めて問題点を解消することが重要です。

(出典)One More Time: How Do You Motivate Employees? - Frederick Herzberg

従業員満足度と関連する概念に「従業員エンゲージメント」があります。どちらも従業員の定着やモチベーションアップを目的にする点は同じです。しかし、従業員満足度はどちらかといえば物質的なアプローチが中心、従業員エンゲージメントは精神的なアプローチが中心といった違いもあります。従業員エンゲージメントは以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。

従業員満足度が注目される理由・背景

従業員満足度を調査する企業の数は近年増加しています。2023年にNTTコムオンラインが発表した『「従業員満足度調査」に関する調査結果』では、直近3年以内の従業員満足度調査の実施率は69.2%でした。

直近3年以内の従業員満足度調査の実施率を示すグラフ

(出典)NTTコム オンライン「企業における従業員満足度調査の実施状況」

従業員満足度が注目される背景には、生産年齢人口の減少や人材の流動化、価値観の多様化などがあります。

生産年齢人口の減少による人手不足

とくに生産年齢人口の減少による人手不足は深刻です。厚生労働省の「我が国を取り巻く人手不足等の現状」によると、雇用人員の過不足を示す指標「雇用人員判断D.I.」は、2013年にすべての企業規模において「過剰」から「不足」に転じました。以下の図からも中小企業における人手不足の加速が伺えます。

1985年から2019年の「雇用人員判断D.I.」の推移を示すグラフ

出典:厚生労働省 令和元年『第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について』 我が国を取り巻く人手不足等の現状

人材の確保・生産性向上

人手不足に悩む企業には、優秀な人材の確保と流出防止に努めるとともに、限られた人材で生産性を高める取り組みが求められます。従業員の満足度向上施策は、これらの課題に対処し、企業の競争力を強化する一環として注目度を増しているのです。

従業員満足度の向上がもたらす3つのメリット

従業員満足度向上がもたらす3つのメリットをまとめた図

生産性、業績の向上

従業員満足度の向上によってモチベーション高く働く従業員が増えれば、生産性や業績の向上が期待できます。

厚生労働省発行の「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書」。本報告書によると、顧客満足度のみを重視する企業よりも従業員満足度を重視する企業(かつ従業員満足度・顧客満足度の両方を重視する企業)のほうが、売上高営業利益率や売上高が増加していました。

従業員・顧客満足度重視別の業績を示す図

(出典)厚生労働省「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」

人材の定着率が高まる

労働環境や待遇、職務内容、人間関係、成長機会などに従業員が満足していれば、人材の定着率が向上します。人材の定着率が高い水準で維持できれば、採用や育成のコストやリソースを抑えられます。既存の人材育成のためにさらなる投資を実施し、満足度向上の好循環を生み出せるでしょう。

顧客満足度(CS)が向上する

従業員満足度が高まり、積極的に働く従業員が増えれば、サービスの質改善に向けた取り組みも期待できます。その結果として「顧客満足度(CS)」の向上にもつながります。

ハーバード・ビジネス・スクールのジェームズ・L・ハスケットらの提唱した「サービス・プロフィット・チェーン」。本モデルでは以下のように従業員満足度と顧客満足度、経済効果の関連が示されます。

  • 従業員が仕事や会社、職場の人間関係にポジティブな感情を抱いていれば、従業員の満足度が向上する
  • 満足度が向上すれば、会社への忠誠心が高まる
  • 忠誠心が高まることで従業員の生産性が向上する
  • 生産性が高まることで、商品やサービスが顧客にもたらす価値が高まる
  • 価値が高まることで、顧客の満足度が最大化する

(出典)Putting the Service-Profit Chain to Work - James L. Heskett​​

また、日本の研究でもホテル業において従業員満足度がサービスの質や顧客満足度につながり、利益にも寄与したという検証結果があります。

(出典)「従業員満足度,顧客満足度,財務業績の関係 ーホスピタリティ産業における検証一」- 鈴木研一、松岡孝介​  

従業員満足度を高めるための5つのアイデア

従業員満足度を高めるアイデア・施策をまとめた図

従業員満足度を高めるためには、どのような取り組みが必要でしょうか。以下に5つのアイデアと具体的な施策を紹介します。

1. 企業理念やビジョンの浸透 

従業員が企業理念やビジョンに共感し、日々の業務とのつながりを実感できれば、仕事にやりがいや意義を見出しやすくなります。

企業理念やビジョンを浸透させる施策

以下は企業理念やビジョンを浸透させるための施策のアイデアです。

  • 企業理念やビジョンにまつわる定期的な発信

  • 1on1ミーティングで企業理念やビジョンへの共感をヒアリング

  • クレドカードなど意識するためのツールを配布

  • 理念を体現する従業員のエピソードの収集・共有

2. 業務内容の適正化

能力や適正に合った業務に取り組めていると、従業員は達成感や成長を実感しやすく、従業員満足度が高まります。個人の希望や能力なども加味し、必要に応じて配置転換なども検討しましょう。

業務内容を適正化させる施策

以下は業務内容を適正化させるための施策のアイデアです。

  • スキルマップを作成し、従業員のスキルや能力を可視化 

  • ジョブローテーションの検討・実施 

  • 配置転換の検討・実施 

  • 従業員への面談の実施 

スキルマップについては以下の記事で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。

従業員の成長を目的としたジョブローテーションや配置転換の実施も有効です。以下の記事では配置転換の基礎知識やポイントを解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

3. マネジメント・評価制度の改善

従業員が「上司から仕事の達成や成果を承認されている」と感じられると、従業員満足度は高まります。また、公平かつ適正な人事評価も従業員のモチベーション向上につながるでしょう。

マネジメント・評価制度への満足度を高める施策

以下はマネジメント・評価制度を改善する施策のアイデアです。

  • マネジメント層に対する研修の実施 

  • 1on1などコミュニケーション機会づくり

  • 適切な権限譲渡による成長意欲の促進

  • 評価プロセスの可視化

4. 人間関係の改善

人間関係は二要因理論の「衛生要因」に属し、満たされていないと会社や職場への不満につながります。

人間関係には上司・部下の関係のほか、先輩や同僚など、社内のあらゆる人間関係が含まれます。自分の考えや意見を安心して発信するための「心理的安全性」の醸成や、従業員間のコミュニケーションの促進が必要です。

人間関係の満足度を高める施策

以下は人間関係の満足度を高める施策のアイデアです。

  • 互いの成果や達成を承認・賞賛する文化の醸成

  • フリーアドレス制を導入した社内コミュニケーションの活性化

  • (リモートワークの場合)会議以外のランチや雑談の機会創出

心理的安全性のつくり方については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

5. 快適な職場環境づくり

物理的な職場環境や働き方、福利厚生の改善によっても満足度の向上が期待できます。従業員のニーズや希望するライフスタイルに沿って施策を検討しましょう。

快適な職場環境づくり、待遇の改善

以下は快適な職場環境づくりや待遇改善の施策アイデアです。

  • 多様な雇用や勤務形態の検討

  • システムやツールの導入による事務作業の効率化 

  • 快適なオフィス環境の整備

  • 従業員の声を集める機会やツールの導入

従業員満足度調査の5つのステップ

従業員満足度を高めるうえで従業員満足調査を実施する企業も多いでしょう。以下では基本的な調査のステップを紹介します。

従業員満足度調査の5つの基本ステップをまとめた図

1. 調査目的を明確にする

従業員満足度調査は、実施する目的を明確かつ具体的にしましょう。調査目的に応じて質問項目を設計するため、目的をあいまいにしたまま進めないことが重要です。

また、従業員の回答時にも目的が明確なほうが信頼性の高い回答を得られます。経営層・従業員にも調査目的をしっかりと共有しましょう。

2. 調査内容を設計する

調査する目的を意識しながら調査内容を設計します。質問項目や回答形式、調査方法、対象者などを具体的に決めましょう。調査にはアンケートフォームやサーベイツールを用いるのが一般的です。アンケートフォームは無料のツールも多く、気軽に実施できるでしょう。より効率的にサーベイの送付や回収、分析したい場合は、サーベイツールの利用が最適です。

3. 調査を実施する

従業員満足度調査は、繁忙期を避けるなど実施のタイミングにも配慮すると、回答を得やすくなります。

また、調査目的や情報管理の徹底、フィードバックの方法などを事前に周知し、従業員の理解を得たうえで実施しましょう。

4. 集計・分析する

調査で集めた回答の集計とともに傾向を分析します。回答のカテゴリごと、あるいは部署や社歴、年齢などの属性ごとに集計・分析するのが一般的です。

集計や分析には一定の工数がかかります。とくに従業員数が多い場合は、サーベイツールの利用によって調査から分析までを効率的に進められます。

5. 施策を検討・フィードバックする

集計と分析からみえた課題に対する解決策を決めます。複数の課題のなかでどの施策から着手するか、優先度を検討しましょう。

協力してくれた従業員は、結果とともにみえた課題や改善施策などを忘れずにフィードバックしましょう。実際に改善につながると知ってもらうことで、回答率の向上も期待できます。

従業員満足度向上の取り組み事例

続いて、実際にサーベイを活用して従業員満足度向上に取り組んだ事例を紹介します。

サーベイ活用で従業員が「働き続けたい」と思う職場へ(株式会社ハクブン)

株式会社ハクブンは、離職率の高い美容業界において、自社理念である「1人でも多くのキャストさんが仕事を楽しんでいただける環境をつくる」を叶えるため、SmartHRの従業員サーベイ機能を活用しました。

サーベイの活用方法についてまとめた図

「ストレスチェック」「従業員満足度」「退職者アンケート」の3つのサーベイを実施した結果、会社と現場のエンゲージメント不足や、上司からのフィードバック不足などの課題がみえてきました。 

アンケート結果の分析は、できるだけ現場に近い管理者から実施するなど、ボトムアップ方式を大切にしたそうです。最終的に本部と相談して目標に落とし込み、決定事項は管理者だけではなく現場の従業員にも情報を共有しました。

従業員サーベイによって環境を改善したい意図が従業員に伝わり、自ら職場環境を良くしようとする自発的な行動が起こっています。また、仕事に対するモチベーションの高まりから従業員満足度も向上。従業員サーベイを導入するきっかけとなった離職率の低下にも寄与しました。

サーベイで社員の本音を知り「攻め」の組織をつくる(株式会社これから)

株式会社これからは、会社が成長するなかで、従業員と目線が合っているかを確かめるためにサーベイの導入を検討。コロナ禍のテレワーク推奨と新卒・中途採用を強化していたタイミングから、従業員の本音を知る必要性が増したことで導入を決めたそうです。

具体的には「エンゲージメントサーベイ」「従業員満足度サーベイ」「退職サーベイ」の3つを活用。従業員満足度サーベイを実施した結果、評価への理解度が低い点、リモートワーク推奨下でも出社希望のメンバーが意外にも多かった点、社内状況がみえづらくなった点が課題として浮き彫りになりました。

どの課題にも迅速に対応した結果、従業員からの信頼が向上。正直にサーベイに回答してよいという安心感も醸成できたそうです。

また回答率向上のために「人事評価にサーベイ結果を反映しない」と従業員に伝えています。工夫によって回答率は1回目の78% から92%へと上昇。サーベイの実施や改善施策に対する従業員からの反応も良く、満足度を高める要因となっています。

ツールの利用で効率的に従業員満足度の向上を図ろう 

従業員満足度向上には、現状の満足度の状況を知り、適切な改善策を策定が求められます。効率的に現状を把握・分析するには、サーベイツールの利用が効率的です。

SmartHRの従業員サーベイ機能では、従業員満足度サーベイを含む多様なプリセットサーベイを活用できます。プリセットサーベイのほか、オリジナルで質問項目を作成でき、自社の目的にあわせて使い分けられます。

また、サーベイ結果はSmartHRの従業員情報とかけあわせて多角的な分析が可能です。集計のためのデータ加工は必要なく、回答締め切り後すぐに集計結果を参照できます。

SmartHRの従業員サーベイについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下の資料をご覧ください。

お役立ち資料

3分でわかる! SmartHRの従業員サーベイ

  1. Q1. 従業員満足度とは? 

    従業員満足度は、仕事や職場に対する従業員の満足度を示す指標です。「ES(Employee Satisfaction)」とも呼ばれています。具体的には労働環境、待遇、職務内容、人間関係、福利厚生などにおいて満足しているかを表します。

  2. Q2.  従業員満足度を高めるメリットは?

    従業員満足度を高めると生産性や顧客満足度の向上、人材の定着率が高まるメリットが期待できます。企業業績によい影響をもたらすほか、高い人材の定着率により採用や育成のコストを抑え、既存の人材育成に投資できるメリットも生まれます。

  3. Q3. 従業員満足度に影響する要素とは?

    従業員満足度に影響する要素は以下が挙げられます。

    • 企業理念やビジョンの浸透 
    • 業務内容の適正化 
    • マネジメント・評価制度への満足度
    • 人間関係への満足度
    • 快適な職場環境 

    それぞれの質を高めることが満足度につながります。

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