人員配置計画とは? 初めての作成でも安心!目的や意味、手順を解説
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この記事でわかること
- 人員配置計画とはとは何か
- 近い意味をもつ用語との違い
- 導入の手順
- 注意するべきポイント
目次
人員配置計画とは
企業が人材を適材適所に配置するための計画を「人員配置計画」と呼びます。従業員のスキルや経験、人柄などを考慮し、各々が実力を発揮して成果が出せる可能性が高い部署やポジションを導き出して、人員の配置を進めます。
各従業員の適するポジションを見極めるのは簡単な作業ではありません。しかし、人員配置は従業員のモチベーションや今後の成長度合いを大きく左右するため、曖昧な状態で進めないことが大切です。
人員配置については、以下の記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。
人員配置計画の策定時に検討する5つの項目
人員配置計画の策定時には、「どのような方法で人員を動かすか」の検討が求められます。主なパターンは次の5つです。
(1)異動
「異動」は、従業員を現在の所属・ポジションから別の部署や職位へ再配置する方法です。人員配置計画では、異動を中心として、従業員の配置を検討します。
(2)昇格・昇進
「 昇進」「昇格」も人員配置計画に欠かせません。昇格や昇進によって、優秀な人材に責任の大きな職務を任せられるほか、従業員のモチベーションアップにもつながります。昇進によって空いた職位に、新たな人材を昇格させていけば、企業の世代交代にも効果的です。
(3)採用
「採用」は、求人活動などを実施して、企業に新たな人材を入社させる方法です。
新卒採用で入社する従業員は、研修などを通じて徐々に成長するプロセスを必要とし、活躍までに時間を要する傾向があります。しかし、育成を担当する従業員のマネジメント力向上や、若い人材の価値観の流入による組織の活性化が期待できます。
一方、中途入社の従業員は同業種の経験がある場合も多く、ある程度のスキルを所有するため、即戦力となりえます。このような、両者の大きな違いを活かした人員配置計画の作成が重要です。
(4)雇用形態の変更
契約社員として勤務していた従業員を正社員登用に切り替える、といった採用種別の変更をともなう方法が、「雇用形態の変更」です。
雇用形態を変更する場合は、任せられる業務の責任の大きさにも変化が生じるため、計画立案時から留意しましょう。
(5)解雇
「解雇」も、人員配置に関連する施策として、企業が取り得る選択肢の一つに含まれます。
極力避けたい選択でありながらも、大規模な経営悪化などが起きた際には、リストラなどに踏み切らねばならない場合もあります。
解雇をした後は、対象となった従業員がいなくなった影響で業務に障害が発生しないよう注意が必要です。解雇による影響が大きい時は、人員配置計画の見直しが必要になるかもしれません。
人員配置計画の関連語
人員配置計画と似た用語に、「定員計画」「要員計画」「人員計画」「採用計画」があります。本稿では一般的な意味を解説しますが、いずれの用語にも厳密な定義はありません。同じ用語でも企業により異なる意味で使用されている場合があるため注意しましょう。
企業が年度目標を達成するために、必要となる従業員の人数を計算して導き出すのが「定員計画」です。定員計画によって人員数が把握できたら、必要な人件費のおおまかな金額を計算できます。
用語 | 一般的な意味 |
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定員計画 | 企業が年度目標を達成するために、必要となる従業員の人数を計算して導き出すのが「定員計画」です。定員計画によって人員数が把握できたら、必要な人件費のおおまかな金額を計算できます。 |
要員計画 | 定員計画で導き出した人数分の従業員を、各部門へ配置するために立てる計画が「要員計画」です。要員計画には、必要な人員確保のための採用活動なども含まれます。 要員計画には、経営計画や事業計画に基づいて進める「トップダウン型」と、現場サイドの意見をヒアリングして、その内容に応じて計画を策定する「ボトムアップ型」の2つのタイプがあります。 |
人員計画 | 「人員計画」は、要員計画で立てた計画をもとに、従業員がもつ個人的資質などを検討して、人員の配置を策定する計画です。部署の特色や求められるスキルなどから、適した従業員を探すほか、昇進や雇用形態の変更なども検討します。 要員計画は、採用活動による新たな人材獲得も見据えますが、人員計画は社内の人材だけが対象です。 人員配置計画とよく似た用語ですが、人員配置計画が「配置」を重視して「異動」を中心に推進していく一方で、人員計画は昇進や雇用形態の変更など、他の方法も重視して検討するという細かな違いがあります。 |
代謝計画 | 各計画を進める過程で、定員計画で予定していた人数と齟齬が出てしまい、人員不足や人員過多となるケースがあります。 そのような事態に対応するための計画が「代謝計画」です。代謝計画では、採用活動による増員や異動、あるいは解雇などによって、当初の計画からずれた人員数を調整します。 |
転職などで新しい企業に入った際は、上司や同僚、部下といった周囲の人達との間に認識の齟齬が生じないように、それぞれの用語が社内でどのように定義されているか確認するようにしましょう。
計画を立てる意味はあるのか
人員配置は、半年後・1年後を予測した計画が非常に困難です。 計画どおりに進まないケースも多く、「普段の人事労務業務だけでも忙しいのに、優先度高く人員配置計画を立てるメリットはあるのか?」と疑問を感じるかもしれません。
そのような疑問に関連して、HR総研と株式会社SmartHRが共同で実施した「人事異動・配置転換の実施」についての調査結果をご紹介します。
この調査で「人員配置の実施で成果が出ていない」と回答した企業が抱える課題として1位にあがったのは、全体の59%が回答した「戦略的な取組ができていない」という内容です。次に「データにもとづいた客観的な取り組みができていない」「データよりも経験や勘が重視されることがある」という回答が同率2位の48%でした。
結果をみると、人員配置に置ける悩みの多くは、場当たり的な対応での進行が原因となっており、事前準備や正確なデータがしっかりと用意できれば解決可能だと考えられます。つまり、人員配置計画を立てて準備を進めておけば、より成果につながる人員配置が実現できる可能性が高いといえます。
また、計画に沿って人員配置を進めていくと、うまくいった・いかなかったときの要因分析がしやすくなります。得たデータを活用していけば、次回はさらに精度が高い計画を立てていけるでしょう。
まずは、しっかりと自社が達成したい目標を見据えて、「現実的にどこまで可能か?」「いつまでに何を達成すべきか?」といった内容を吟味しながら、目標を達成するための計画を立てていきましょう。
「人事異動・配置転換の実施」についての調査結果について、詳しく知りたい人は以下からご覧いただけます。
「人事異動・配置転換」の実施に関するアンケート - HR総研×株式会社SmartHR
SmartHRを使った人員配置計画の作成ステップ
人員配置計画は、以下で紹介する手順で取り組んでいけば、スムーズに進められるでしょう。
まずは、大前提となる企業理念や経営計画に立ち返り、目標とする企業像に近付くための手段となる定員計画を策定します。それ以降は計画に従いつつ、現状分析やヒアリングを実施して、必要に応じて調整をしながら進めていきましょう。実施が完了しても、3か月から半年程度のペースで人員配置に問題がないかの状況確認や計画の見直しを忘れずに実施してください。
計画を進める際に、多くの人が戸惑うのが手順3の「目標とする状態と、現状の差を確認」でしょう。
定員計画に沿って人員を割いているのに、目標達成に向けての進捗が著しくないような事態は多く発生しがちです。そのような時の対策として、人員配置をどのように再調整するべきかを考えるのが配置計画担当者の悩みの種となります。
このようなときに、人材データや組織図が一箇所で管理されていると作業がとても楽になります。人員配置計画を滞りなく進めるために、データ管理はとても重要です。
SmartHRを活用すると、「採用・人員計画検討レポート」が簡単に作成できるため、人事配置を検討する際に心強い味方となってくれるでしょう。
誰をどの部署へ異動させるのかを考える際は、SmartHRを利用すれば配置対象となる従業員の顔を見ながら直感的な操作で配置シミュレーションを進められます。Excelなどのソフトで、従業員の名前の文字だけが見える状態で配置を検討するよりも、より明快なイメージを持って配置計画の策定を進められます。
人員配置に関連する作業を効率化するために、人員配置システムを導入する企業は増えてきています。システムの選び方を知りたい人は、詳しく解説した以下の記事をご参考ください。
失敗しないために注意したい2つのポイント
人員配置計画を成功させるためには、以下2つのポイントが重要です。
(1)経営計画、組織体制に基づいて現実的な計画を策定する
人員配置計画は経営計画を実現するためのものなので、当然ながら経営計画に沿った内容にしなければなりません。ただし、経営計画が高い目標を掲げている場合に、達成するための無茶な人員配置計画を立案すると従業員に無理を強いる結果になるため、実現可能な内容に収めるよう注意が必要です。
(2)退職、休職リスクのある人員のリサーチ
人員配置を実施したのに、従業員の退職や休職によって人員不足が発生し、計画倒れになってしまうケースもあります。このような事態を回避するためには、計画段階からリスクを見越しておく必要があるでしょう。配置の対象とする従業員に、退職、休職の可能性がある人材がいないかを事前にリサーチして、それを加味して計画づくりをするのが重要です。
人員配置計画は組織の成長に直結する
人員配置は、従業員の成長にもつながる重要な施策です。従業員の成長は、企業の成長にも貢献するので、適切な人員配置計画を敷いて配置を進めていきましょう。
人員配置システムは、効果的な人員配置計画立案の大きな助けとなります。計画の作成に不安を感じるのであれば、システムの導入を検討してみましょう。こちらから、SmartHRの配置シミュレーションの紹介をしていますので、システム選びの参考にしてください。
FAQ
Q1. 人員配置計画とは何ですか?
従業員のスキルや経験、性格や適性などを考慮し、それぞれの適した部署やポジションに配置するための計画です。
Q2. 人員配置計画と要員計画、人員計画はそれぞれ違うものですか?
「要員計画」は必要な人数の従業員を各部門へ配置していくために立てる計画で、人材獲得のための採用活動なども含みます。
「人員計画」は要員計画をもととして、社内の従業員の適性などにフォーカスした視点で人員の配置を策定する計画です。
「人員配置計画」と「人員計画」は非常に近しい内容ですが、人員配置計画のほうが、「配置」を重視する傾向があります。
Q3. 人員配置計画を成功させるために、何に注意すべきですか?
人員配置計画の大前提となる、経営計画に沿った内容となるように注意しましょう。また、退職や休職で人員が不足する場合もあるので、そういったリスクへの対策を考えておくべきです。