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人員配置システムの選び方。導入企業の事例やヒントを見て、失敗回避

公開日

この記事でわかること

業務効率向上や組織活性化に向けた人員配置は、従業員の適材適所に加えて、チームへの影響を踏まえた総合的な判断が必要となります。そこで活用を検討したいのが人員配置システムです。

本稿では

  • 人員配置システムとは?
  • 人員配置システムを導入するメリット
  • 人員配置システムの選び方
  • 導入後の流れ

を紹介します。

目次

人員配置システムとは

人員配置システムの意味と、導入理由を記載した図

人員配置システムとは、企業内の人員配置を管理し、業務を効率化するためのタレントマネジメントシステムです。

従業員の人数や配置先を最適化すると、業務効率向上やコスト削減につながります。

とはいえ、膨大な量の従業員の人事データをすべて適切に管理・把握するのは容易ではありません。そこで、人事データ管理の負担を軽減し、適切な人員配置実施のために導入されるのが人員配置システムです。

人員配置システム導入のメリット

人員配置システムを導入する5つのメリットを示した図

人員配置システムの導入は、人事部と従業員双方にメリットがあります。5つのメリットを解説します。

(1)人員配置の最適化

人員配置システム導入最大のメリットは、人的資本の適切な配置による従業員や組織のパフォーマンス向上です。

人員配置システムを使えば、従業員の膨大な人事データを一元管理できるほか、スキルや経歴、適性を考慮した適材適所の配置が可能となります。

(2)人事業務の効率化

人員配置システムを活用すれば、配置シミュレーションも容易に実施できます。

紙や表計算ソフト等で人事データを管理している場合、部署ごとに記載項目がばらばらで評価や比較検討が難しいケースも少なくありません。また、配置シミュレーション時にヒューマンエラーが発生するおそれもあります。

一方で人員配置システムなら、共通フォーマットで膨大な量の従業員の人事データを正確に参照できるため、業務効率が向上します。

(3)コスト削減

適切な人員配置ができれば、不要な人件費の削減にもつながり、企業の収益性も上がります。

また、異動や採用、人員配置後は教育コストがかかります。何度も人員配置をやり直すのは企業にとっても従業員にとっても負担になります。システムで最適な人員配置が実施できれば、教育コストも最小限におさえられるでしょう。

(4)従業員のモチベーションアップ

人員配置は企業だけでなく、従業員に与える影響も甚大です。

従業員の本意にそぐわない人員配置は、モチベーションを低下させる原因になりかねません。最悪の場合は、離職につながるおそれもあります。

逆に公平性のあるシステムを利用し、客観的なデータにもとづいた人員配置は、従業員の納得も得られやすいでしょう。従業員のスキルや適性、働き方の希望などを踏まえて人員配置を実施すれば、従業員のモチベーションを保ちつつ、組織の生産性向上が図れます。

(5)DX(Digital Transformation)の推進

人事データをオンライン上に集約させる人員配置システムの導入は、企業のDX推進にもつながります。

人事データを参照する人事部はもちろん、配置シミュレーションの結果を各部署に共有する際にも、説明の時間や手間を省略できるメリットがあります。

​人員配置システムの選び方

人員配置システムを選ぶ際に重要なポイントを示した図

人事データが整備されていないと人員配置システムの活用は難しい

一般的に、人事異動や配置転換は、人材育成や組織活性化を目的に実施されます。その目的のためにタレントマネジメントシステムを導入する企業も少なくありませんが、現状の導入率は全体の約2割程度にとどまっています。

タレントマネジメントシステムを導入していない理由として多く挙げられるのが「データが不足している」「データが散在している」「データの品質が低い」などです。人員配置の根拠となる人事データそのものが整備されていない企業が多いと考えられます。

参考:人事のデジタル化に関する実態調査を実施 (デジタルHRサーベイ2022) - 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

しかし見方を変えれば、これらの課題を解決できるシステムを選べば、人員配置システムの導入はスムーズに進みます。ここからは、ほかにどういった点に注目してシステムを選べばいいのかを紹介していきます。

労務管理もできるシステムを選ぶ

人事部の業務は大きく「人事」と「労務」に分類されます。

「人事」は従業員の採用や育成、評価など従業員と直接関わる業務を指します。一方「労務」は従業員の給与計算や勤怠管理、社会保険などの事務作業が一般的です。人事部の業務のうち、定期的に発生し、かつ負担も大きいのが労務領域です。

給与や勤怠管理などの定常業務に追われていると、人事業務がうまく回らない可能性があります。そのため、単に人員配置のみができるシステムよりも、労務システムもサポートできるツールを選ぶとよいでしょう。

使いやすさ・サポートの手厚さなど

ほかにも、導入後の作業をスムーズにするためには、以下の4つを確認しておくと安心です。

・使いやすさ

せっかくシステムを導入しても、使いにくいシステムだった場合は思うような効果が発揮できません。とくに、機械の操作に慣れていない人でも問題なく扱えるか、仕組みが理解できるかを確認しておきましょう。

・わかりやすさ

システムやデータ管理がわかりやすい点も大切なポイントです。直感的に理解・操作できるか、誰が使っても同じ結果が得られるかを重視しておきましょう。

・困ったときのサポートの手厚さ

システムを導入したらそこで終わりではありません。実際に業務を進めるうえで、思わぬトラブルが発生するケースもあります。困ったときにきちんとサポートが受けられるシステムを導入しておけば、いざというときにも安心です。

・セキュリティ

人事データのなかには従業員の個人情報はもちろん、企業の大切な情報も含まれます。データや通信が暗号化される、不正アクセスへの対策がされているなど、十分なセキュリティを備えたシステムを選びましょう。

人員配置システムを導入した企業事例

人員配置システムとしてSmartHRを導入した結果、自社課題を解決できた事例を紹介します。

株式会社U-NEXT

株式会社U-NEXTでは、経営統合による従業員増加がきっかけとなり、タレントマネジメントや効果的な人員配置ができる状態に整えるために、SmartHRを利用しています。

以前は、表計算ソフトを利用し、手入力で人員配置の検討をしていました。その操作過程で、いつの間にか50名ほどの社員がシート上から消えてしまうミスが発生することもあり、修正に膨大な時間がかかっていました。

SmartHRの配置シミュレーション機能を導入してからは、高い操作性によりスムーズに配置検討を進められ、修正作業が減り、「考える時間」に集中できるようになったとのことです。また、SmartHRには従業員情報が集約されているため、さらにイメージしやすい状態で人員配置検討ができるようになっています。

株式会社フジキン

株式会社フジキンでは、部品の生産拡大に合わせて組織を動かすために、SmartHR配置シミュレーション機能の利用をスタートしました。

SmartHR上に登録されている顔写真や従業員情報を見ながらの人員配置検討は、期待以上に使いやすいと感じたそうです。今後は、従業員情報を集約できているSmartHRをベースに、ヒトづくり、モノづくりのための組織改革に力をいれていきたいとのことです。

企業ごとに人事業務に関して抱える悩みや課題は異なります。自社と近い課題をも持った企業がどのような観点で導入するシステムを選んだのか、導入事例集もぜひ参考にしてください。

SmartHR導入事例企業一覧

人員配置システムの導入方法

人員配置システムを導入する流れを説明した図

人員配置システム導入の流れは以下のとおりです。

(1)人員配置システムがなぜ必要かを明確にする

まずは、人員配置システムの導入検討に至った原因を明確にしましょう。「適切な人員配置ができず業務効率が落ちている」「そもそも人事業務に手が回っていない」などの悩みがあるはずです。

抱えている課題を把握すれば、システムに求める機能がわかり、システム選定要件が明確になります。

(2)導入するシステムを選定する

(1)で明確になった要件・必要な機能をもとに、システム選定をします。

人員配置システムのなかには、無料トライアル期間が設定されているケースもあります。導入する前に実際に操作性を確認できるため、積極的に活用しましょう。

なお、導入コストや設定にかかる工数もこのタイミングで確認し、多角的な検討推進を進めることが重要です。

(3)社内稟議を通す

導入したいシステムが決定したら、社内稟議を通します。

社内稟議を通す際は、以下のポイントを押さえておくとスムーズです。

  • 現在、人員配置について抱えている課題は何か
  • ツール導入によってどのような課題が解決するか、得られるメリット
  • 具体的にどのくらい時間やコストが削減できるか

とくに、業務効率化や組織の活性化など、企業側のメリットを提示すれば、社内全体としてポジティブに導入推進できる可能性もあります。また、コスト削減シミュレーターから算出した具体的な削減額もあわせて提示すると説得力があります。

コスト削減シミュレーターはこちらのページから利用できます。

コスト削減シミュレーター

(4)システムの導入・設定をする

無事にシステム導入が決定したら、早速、導入作業を実施します。

初期設定を綿密に進めるほどに、今後の運用がスムーズになります。

また、従来の進め方と異なる業務に関しては、慣れないうちはトラブルを起こしてしまうおそれがあります。トラブルを避けるためにもマニュアルなどの準備もしておくと安心です。

(5)システムの運用・管理をする

システムの運用・管理を実施し、実際の業務に活用します。定期的な効果測定を実施し、ツールの活用度合いや課題解決につながっているかを確認することが大切です。改善点があれば、運用方法をさらに見直すことも重要です。

SmartHR導入で効率的な人員配置を実現

人員配置と労務システムを兼ね備えたツールとして、SmartHRを活用する方法もご紹介します。

SmartHRでは、人員配置業務を以下の流れで進めます。

(1)従業員データを登録する

SmartHRの場合、人員配置の重要な鍵でもある従業員の労務データは従業員自身が入力するため、人事担当者による膨大な量の入力作業は必要ありません。スマートフォンで操作可能で、パソコンをもっていない従業員や機械の操作に不慣れな従業員でも安心です。

(2)集約されたデータをもとに現状分析をする

分析レポート機能にプリセット設定してある「採用・人員計画検討レポート」機能を使えば、従業員数の推移、役職者の割合や平均年齢など、さまざまな人事データが簡単に集約できます。

SmartHR分析レポート機能のサンプル画像

(3)人員配置シミュレーションで配置前後の比較をする

SmartHRには、顔写真付きの従業員データを直感的に配置できる配置シミュレーション機能があります。複雑な組織構造を一目で把握し、適切な人員配置をひとつのシステム内で完結できます。作成した配置案はプロジェクト単位で残せるため、何度でも比較・再検討可能です。

SmartHR配置シミュレーション機能のサンプル画像

(4)シミュレーション結果を関連部署と共有する

シミュレーション結果を関連部署や従業員本人に共有します。データのみを判断材料に作成した配置シミュレーションは、現場の実状とかい離している可能性があります。また、くり返しにはなりますが人員配置は従業員にとって大きな負担になりかねません。現場へのヒアリング・事前説明は欠かさずに実施しましょう。

(5)人員配置を実施する

ヒアリング結果に問題がなければ、人員配置を実施します。

なお、人員配置は実施したら終わりではありません。配置変更後、期待した効果が得られているか、従業員の負担は大きくないかなど、アフターフォローも忘れないようにしましょう。

自社に合った人員配置システムを選ぶために

人員配置システムは、組織の状況や従業員のスキルや特性を可視化し、最適な人員配置実施を叶えるツールです。一方で、人員配置システムのみでは使いにくさもあり、労務システムも兼ね備えたツールの導入がおすすめです。

人員配置は一度実施して終わりではなく、定期的な見直しが必要です。実施のたびに組織や従業員の状況をヒアリングするのは人事部、従業員双方にとって大きく負担がかかります。操作が簡単で、誰もが使いやすいツールであるかも選定時のポイントです。

人員配置システムのなかには、無料トライアルを実施しているケースもあります。導入前に、実際に操作性や業務負担の軽減具合を確認しておくと安心です。導入検討はしているものの、本格的な選定はまだ未定である場合は、複数システムの資料請求をする方法もあります。

人員配置の課題や配置シミュレーションの利用イメージなど、SmartHRについてわかる資料もぜひご覧ください。

お役立ち資料

3分でわかる! SmartHRの配置シミュレーション

FAQ

  1. Q1. 人員配置システムを導入するメリットは?

    人員配置システムの導入で、従業員のスキルや適性を活かした適材適所の人員配置が可能になり、業務の効率化につながります。また、人事部の業務負担軽減も期待できます。

  2. Q2. 人員配置システムを導入する際に注意すべきポイントは?

    人員配置システム導入時には、なぜシステムが必要なのかを明確にしましょう。組織が抱える課題を明らかにし、その課題を解決できるかに焦点を当てたシステム選定が大切です。

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