就業規則で不可でも、入社1年未満の従業員の育休取得は必須?|労務のお仕事Q&A
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この記事でわかること
- 就業規則上で「不可」としている場合の育児休業取得の取り扱い
- 産前産後休業終了後から育児休業開始までの休業時のポイント
日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうなの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。今回は「入社1年未満の従業員が申請した育児休業取得の取り扱い」について、社労士が解説します。
就業規則では入職1年未満の育休取得は不可。産休明けでの育休取得は必須?
相談者
職員が妊娠して育児休業を取得する際の注意点をお教えください。育児休業開始時に入職1年経過していない場合、当社では就業規則で「1年未満の職員は不可」としており、産休後はすぐに勤務することとしているのですが、男女雇用均等法によると、「1年経過した時点から育児休業を申し出て1か月後より取得させなければいけない」と指導を受けました。
1度、産前産後休業取得後に復帰し、その後育児休業を取得させるのは必須でしょうか。また、就業規則と異なる場合、職員へ必ず説明する義務はあるのでしょうか。
(労務担当/医療業界 千葉県)
労使協定未締結なら育休承認は必須。就業規則の修正後、周知の義務あり
吉田 崇
前提として、入職1年が経過していない場合に育児休業を拒めるのは、入社1年未満の労働者を育児休業の対象から除外する内容の「労使協定」を締結している場合です。たとえ就業規則に定めているからといっても、労使協定を締結していない場合は、会社は育児休業の取得を拒めません。
妊娠した職員が産前産後休業を取得した後に入職1年が経過した場合、職員から育児休業の申し入れがあれば、その1か月後から原則として育児休業を取得させる必要があります。その際、産前産後休業が終わってから育児休業の開始までの期間については、必ずしも職員を復帰させる必要はありません。
また、職員の体調や子どもの預け先など、さまざまな面から復職が難しい場合の方も多いと思います。その場合、欠勤扱いもしくは有給休暇の取得で処理することになります。もちろん、法律上で「入社1年未満での育児休業は労使協定によって拒否できる」と定められているだけであり、育児休業の取得が禁じられているわけではないため、会社が特別に育児休業を認めることは問題ありません。なお、就業規則と法律が異なる場合、法律が優先されます。
したがって、就業規則が法律に適合していない場合は、その点を修正し、遅滞なく職員に修正後の内容を周知する義務があります。
社会保険労務士
よしだ経営労務管理事務所代表。関西を中心に、社長と従業員が安心して働ける職場環境作りをモットーに多くの事業所と顧問契約し、 労務管理で成果を上げる。通常の社労士業務の他に、集客、ブランディングコンサルタントとしての実績も多数。一級カラーコーディネータの資格を有し、ポスターやロゴ等のデザイン業務やWeb制作も行う個性派社労士。