雇用保険被保険者証とは?記載内容や使う場面、紛失時の再発行までわかりやすく解説
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雇用保険被保険者証は、従業員の雇用保険資格を証明する書類です。転職者から入社時に受け取るのが一般的ですが、紛失などで提出されないケースも少なくありません。
本記事では、人事・労務担当者向けに雇用保険被保険者証の概要や記載内容、実務で使う場面、紛失したときの再発行の方法を解説します。従業員から問い合わせを受けたときに適切に対処できるよう、正しい知識を押さえましょう。
雇用保険被保険者証とは
雇用保険被保険者証は、従業員が雇用保険に加入していることを公的に証明する書類です。被保険者1人につき1枚発行され、固有の管理番号である雇用保険被保険者番号が記載されています。
雇用保険被保険者番号は原則として生涯同じ番号を使用し、転職後も変わりません。入社手続きや各種届け出の際に番号確認が必要になるため、人事担当者として内容を把握しておきましょう。
なお、雇用保険の全体像は次の記事をご覧ください。
雇用保険被保険者証が発行される条件
雇用保険被保険者証は、ハローワークへ雇用保険被保険者資格取得届を提出し、受理されたタイミングで発行されます。発行対象とされるのは、次の2つの雇用保険加入条件を満たした従業員です。
- 所定労働時間が週20時間以上である
- 31日以上の雇用見込みがある
シフト制など週ごとに所定労働時間が変動する場合は、月単位で判断します。原則である「週20時間以上」を月換算すると、約86.6時間(20時間×52週÷12か月)となります。したがって、月の所定労働時間が87時間以上であれば雇用保険の加入対象となります。この場合、所定労働時間が20時間未満の週があっても問題ありません。
また、上記の条件を満たせば、パートなどの有期雇用労働者も加入対象です。派遣社員の場合は、派遣先ではなく派遣元で加入します。
なお、雇用保険法の改正により、2028年10月からは「週の所定労働時間が20時間以上」という要件が「10時間以上」に緩和される予定です。対象となる従業員の範囲が大きく広がるため、人事・労務担当者は早めに準備を進めておきましょう。
雇用保険被保険者証と間違われやすい書類

雇用保険被保険者証と間違われやすい書類として、離職票や健康保険証があります。また、雇用保険被保険者番号の提出を求めた際にマイナンバーを提示されるケースもあります。社内で正しく案内できるよう、それぞれの違いを確認しておきましょう。
離職票との違い
離職票は、従業員が退職した際に発行される書類です。企業がハローワークへ離職証明書を提出すると、ハローワークから離職票が発行され、従業員へ交付されます。
退職後、離職者が求職者給付の基本手当(いわゆる失業給付)などを受給する際に、ハローワークへの提出が求められます。
健康保険証との違い
健康保険証は、健康保険や国民健康保険の被保険者資格を証明する書類です。現在は健康保険証とマイナンバーカードが一体となり、健康保険証単体での新規発行はされなくなっています。
マイナ保険証を保有していない場合は、健康保険証の代わりに「資格確認書」が交付されます。交付対象者の条件は、厚生労働省などのウェブサイトで確認しましょう。
(参考)資格確認書について(マイナ保険証を使わない場合の受診方法) - 厚生労働省
マイナンバーとの違い
- マイナンバー(個人番号)は国民一人ひとりに付与される12桁の番号です。一方、雇用保険の被保険者番号は雇用保険被保険者に付与される11桁の番号です。
- 雇用保険被保険者証にマイナンバーは記載されませんが、マイナポータルから被保険者番号や加入記録を確認できます。なお、雇用保険の手続きでは被保険者番号とあわせてマイナンバーの届け出も必要です。
雇用保険被保険者証の記載内容
雇用保険被保険者証は、「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」と一体で発行されます。通知書に記載されている主な内容を確認しましょう。

出典:ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」
発行元・様式
雇用保険被保険者証の発行元は、雇用保険被保険者資格取得届を提出したハローワークです。様式は全国共通で、ハローワークや都道府県が変わっても同じ様式で発行されます。
被保険者番号
被保険者番号は、雇用保険の加入者一人ひとりに割り当てられた11桁の番号です。雇用保険に加入していない期間が連続して7年を超えていなければ、転職しても番号は変わりません。
被保険者氏名
被保険者氏名欄には、従業員の氏名が記載されます。旧姓は使用できず、氏名が変わった場合は変更の手続きが必要です。
システムの都合上、JIS規格外の漢字(外字)は代替文字で登録される場合があります。外国人の場合はローマ字または漢字で記載されます。
生年月日
生年月日は元号と年月日が記載されます。本人照合に使われるため、誤りがある場合は訂正の手続きが必要です。
雇用保険被保険者資格等確認通知書(被保険者通知用)の記載内容
被保険者証は「雇用保険被保険者資格等確認通知書(被保険者通知用)」と一体で発行されます。通知書の記載事項は次のとおりです。
- 資格取得年月日:所属する企業で雇用保険の被保険者となった日
- 確認(受理)通知年月日:ハローワークの手続きが完了した日
- 事業所名略称:所属する事業所名
【人事の実務】雇用保険被保険者証を使う場面

人事担当者が雇用保険被保険者証を使う具体的な使用場面を確認しましょう。
【入社時】雇用保険の資格を取得するとき
入社した従業員が雇用保険の被保険者に該当し、過去に被保険者番号が発行されている場合は、番号を確認して資格取得届に記入する必要があります。そのため、転職者には雇用保険被保険者証の提出を求めることが一般的です。
転職者が被保険者証を紛失して番号がわからない場合は、備考欄に前職の社名を記入するか、職歴がわかる書類を添付しましょう。ハローワークで職歴から番号を照会し、手続きできる可能性があります。
【退職時】雇用保険の資格を喪失するとき
雇用保険の被保険者である従業員が退職する際は、「雇用保険被保険者資格喪失届」に被保険者番号を記入して提出します。被保険者証の添付は不要なため、従業員から回収する必要はありません。
ハローワークで資格喪失届の審査が完了すると、確認通知書と一緒に離職票が発行されます。離職票は発行後、速やかに退職者へ交付しましょう。
【異動・転勤】適用事業所を変更するとき
異動や転勤によって事業所番号が異なる事業所に所属が移った場合は、「雇用保険被保険者転勤届」を提出します。
転勤届にも被保険者番号の記入が必要ですが、手続きの際に被保険者証の添付は不要です。ただし、内容に疑義がある場合、転勤の事実を証明する書類(異動辞令など)をハローワークから求められる可能性があります。
なお、転勤届は変更後の勤務地を管轄するハローワークへ届出します。
各種給付の手続きをするとき
雇用保険の各種給付の手続きをするときも、申請書に被保険者番号を記入します。代表的な手続きは次のとおりです。
- 育児休業給付:1歳未満の子を養育するための休業給付金
- 介護休業給付:家族を介護するための休業給付金
- 高年齢雇用継続給付:60歳以降の賃金低下を補填するための給付金
いずれも申請書に被保険者番号を記入すれば、被保険者証の添付は不要です。
従業員が雇用保険被保険者証を使う場面

従業員が雇用保険被保険者証を使う場面は、主に2つあります。いずれも被保険者番号の確認を目的としています。
転職時(入社時)
雇用保険被保険者証は、転職者の入社時に提出を求め、記載された被保険者番号を確認して資格取得の手続きを行ないます。
転職者が前職を知られたくない意向を示した場合は、事業所名が記載された「確認通知書」の部分を切り離し、「被保険者証」の部分だけ提出するよう案内しましょう。
雇用保険の給付を受けるとき
従業員自身が雇用保険の給付申請を行なう場合も被保険者番号が必要です。代表的な給付は次のとおりです。
- 求職者給付(いわゆる失業給付)
- 就職促進給付
- 教育訓練給付
- 育児休業給付
- 介護休業給付
- 高年齢雇用継続給付
いずれも被保険者番号を記入すれば、被保険者証を添付する必要はありません。
「雇用保険被保険者証がない」と言われた場合

入社した従業員から「雇用保険被保険者証がない」と言われた場合、雇用保険の資格取得手続きを進めるために再発行の手続きが必要です。本人に再交付申請を案内する方法と、企業が代理で申請する方法の2つを解説します。
従業員に雇用保険被保険者証の再交付申請を案内する場合
従業員が雇用保険被保険者証を紛失した場合、本人に再交付の申請を案内する方法があります。再交付の手続き方法は次の3種類です。
窓口提出
ハローワークの窓口では、即日で被保険者証を再発行してもらえます。ただし、窓口の開庁時間内に来所する必要があります。
郵送
郵送の場合、雇用保険被保険者証の到着までおおむね2週間程度かかります。急ぎの場合は窓口での手続きがオススメです。
- 電子申請
- デジタル庁が運営する行政ポータルサイトe-Gov(電子政府の総合窓口)を利用すれば、電子申請もできます。ただし、初期設定に時間がかかるため、従業員への案内としては不向きです。
手続きの際は、「雇用保険被保険者証再交付申請書」と被保険者の本人確認書類(運転免許証など)を準備するよう案内しましょう。
企業が代理で再交付申請する場合
従業員が在職中であれば、企業が本人に代わって再交付申請できます。次の書類を用意しましょう。
- 再交付申請書
- 委任状(任意様式、従業員本人の署名や捺印があるもの)
- 代理人(人事担当者)の身分証明書 ※顔写真付き
- 従業員本人の確認書類 ※顔写真付き
雇用保険被保険者証再交付申請書の書き方

雇用保険被保険者証再交付申請書の書き方を解説します。
まず申請者の氏名・性別・生年月日・現住所を記入します。本人確認書類の住所と現住所が異なる場合は、現住所を証明できる書類を別途持参しましょう。事業所の名称・所在地・電話番号欄には、現在勤めている職場の情報を、離職中の場合は最後に被保険者として雇用されていた事業所の情報を記入します。
取得年月日や被保険者番号は空欄のままで問題ありません。履歴書など職歴のわかる資料を添付すると、被保険者番号をスムーズに特定できます。
被保険者証の滅失または損傷の理由欄は「紛失のため」と記載しましょう。紛失理由を細かく説明する必要はありません。
最後に、申請者氏名欄に被保険者氏名を署名します。記名(印字)で構いません。
雇用保険被保険者証再交付申請書は、ハローワークインターネットサービス「帳票一覧」からダウンロードできます。
雇用保険被保険者証のよくある質問
雇用保険被保険者証について従業員からよく受ける質問を5つ紹介します。従業員から質問を受けた際の参考にしてください。
Q1. 【Q1】雇用保険被保険者証はコピーでも使えますか?
雇用保険被保険者番号が確認できれば、コピーでも使えます。電子申請では雇用保険被保険者証がデータで提供され、印刷して使うため、原本とコピーを区別する必要がありません。
Q2. 【Q2】雇用保険被保険者証を提出すると、転職者の経歴がわかるのでしょうか?
雇用保険被保険者証から、転職者の前職の勤務先名と資格取得年月日(入社時期)が確認できます。ただし、退職時期は記載されていません。なお、企業が個人の雇用保険加入歴を調べることはできません。
Q3. 【Q3】雇用保険被保険者証は本人確認書類として使用できますか?
雇用保険被保険者証は本人確認書類として使用できません。ただし、別の書類と組み合わせて本人確認書類として活用できる自治体もあります。
(参考)本人確認書類の例示 - 三原市Q4. 【Q4】雇用保険被保険者証はマイナポータルやe-Govで発行できますか?
マイナポータルでは発行できませんが、e-Govでは雇用保険被保険者証の発行が可能です。
- マイナポータル
離職票の受け取りは可能ですが、雇用保険被保険者証の発行・受け取りには対応していません。ただし、自身の雇用保険被保険者番号の確認はできます。
- e-Gov
電子申請で資格取得の手続きや被保険者証の再発行申請ができます。手続きにはアプリのインストールと初期設定が必要です。申請が受理されると、数日後にハローワークから電子公文書として被保険者証が発行され、e-Gov上でダウンロードできるようになります。
Q5. 【Q5】雇用保険被保険者証の保管方法は?
雇用保険被保険者証は、原則として従業員本人へ交付する書類のため、企業側で保管する必要はありません。
企業によっては紛失リスクを考慮し、交付せずに保管しているケースもあります。しかし、雇用保険被保険者証は雇用保険法施行規則で従業員本人への交付が義務づけられており、退職時に渡しそびれるおそれもあるため、原則どおり従業員へ交付した方がよいでしょう。
雇用保険被保険者証の役割を理解して適切に管理しよう
雇用保険被保険者証は、従業員の被保険者資格を証明する重要な書類です。記載されている被保険者番号は、入退社の手続きや各種給付金の申請など、雇用保険に関するあらゆる届出で必要になります。
被保険者番号をすぐに確認できるよう管理しておけば、日々の手続きを円滑に進められます。紛失時の再交付手続きや保管ルールを整備し、適切に管理しましょう。

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