「支給日前1か月以内の退職者には賞与不支給」と定めた規定は無効?|労務のお仕事Q&A
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この記事でわかること
- 「支給日1か月以内の退職者には賞与不支給」と定めた規定の有効性
日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうしたらいいの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。
Q1:「支給日前1か月以内の退職者には賞与不支給」と定めた規定は無効?
相談者
「支給日前1か月以内に退職届が提出された者および解雇が決定した者には賞与を支給しない」と定めた規定は無効でしょうか。
有効である場合、どのようなリスクがあるでしょうか。
(経理担当・42歳/運送業界 愛知県)
A1:労基法の趣旨に沿わないため望ましくありません
小菅 将樹
無効とまではいえないですが、労基法第16条の賠償予定の禁止と関連して、間接的に退職の自由を奪い、一定の条件のもとで退職金を受ける権利を奪うことをあらかじめ決めているという解釈もできます。
退職金不支給で紛争などになった場合、この規程の有効性が争点になる可能性も考えられます。労基法の趣旨に沿わない規程といえますので、このような定めは望ましくありません。
アヴァンテ社会保険労務士事務所 元労働基準監督官
明治大学法学部卒業後、労働事務官として労働省へ入省し、個別労働関係紛争解決促進法の策定や国会対応業務、労働安全衛生総合研究所で研究員の給与計算業務等を経て、労働基準監督官に転官。厚生労働本省、労働保険審査会事務局、神奈川県相模原署、川崎南署、神奈川労働局労働保険徴収課勤務後、厚生労働省を退職。現在は各企業の顧問業務、法定教育、各種セミナー、安全パトロールを行っている。サッカー、フットサルの競技における運動器障害や大けがの経験を経て、運動指導に関わるトレーナーライセンスを取得。アスリートや企業で働く方など幅広い方を対象に、頭と動作を鍛え、機能改善、運動パフォーマンス向上へ導く運動指導を行う。