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産業保健師が考える健康診断の大切さ。受けたくなくても受けた方が良い理由

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「健康診断」と聞くと、どのようなイメージがありますか? 会社の費用で無料で受けられてお得! と考えている方もいらっしゃれば、毎年受けなくてはいけなくて憂鬱……という方もいらっしゃるかもしれません。

特に、小規模な会社で人事や産業医もいない場合は、従業員の方がご自身で予約を取らなくてはいけないこともあり、なかなか面倒に感じる方もいらっしゃると思います。

今回は、そんな健康診断をなぜ受けた方がいいのか、日本の制度の特徴も挙げながらご説明していきます。

健康診断の種類

フルタイム勤務や所定労働時間の3/4以上働いている方は、最低限2種類の健康診断(健診)を受ける必要があります。

(1)雇入時健康診断:入職する前後に受ける健診

入社時期に健診を受診することで、もし入社後に病気になった際にもともと会社に入る前からあった異常があったのか、それとも入社後に起きたのかがわかります。基本的に雇入時健診は必須となります。なお、入職前3ヶ月以内に前の会社にて定期健診を受診している場合は代用が可能です。

例:前の会社で3月に定期健診を受診、5月に別の会社へ入職した場合は、3月に受けた定期健診結果を雇い入れ健診として代用可能

(2)定期健康診断:1年1回受診するもの

定期の健康診断は、1年に1回受ける必要がある健康診断です。

健康診断を受けなくても問題はない?

前提として、会社には「従業員に健診を受けさせる義務」があります。同時に、従業員には自分の健康を守るための”自己保健義務”が課せられているため、健診を受ける義務があります。そもそも自分の健康は自分で守る必要があるということですね。

健康診断を受けるメリット

健康診断を受ける義務があるというと、面倒に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、会社が受けさせてくれる制度は、海外を見ても大変珍しい制度なのです。従業員にとってはメリットが多い健康診断ですが、具体的なメリットは次の通りです。

(1)もっと早く見つかれば……という後悔を避けられる

定期的な健診を受けることで病気が早く見つかるため、早期に治療ができます。生活習慣病からがんまで、幅広く検査することも可能です。

生活習慣病や初期のがんは症状がほとんどなく、健診を受けていないと見つからないことも少なくありません。また、早く見つかれば治療が可能なケースも多いです。

「仕事が忙しい」を理由に健診を受けなかったとしても、病気は待ってはくれずに着々と進行します。もちろんご自身の健康的にも早期に発見できた方が良いですし、もし病気が進行した場合、入院して手術して回復するために仕事を休んで..という手間を考えても、早めの発見の方が楽ですよね。

(2)無料どころか給与がもらえてお得

健診を自費で受けるとなると、1万円以上はかかりますよね。それを企業が出してくれるので、健診を受けるだけで1万円以上の価値を享受することができると言えます。

また、健診の受診時間も労働時間に入りますので、給与をもらいながら自分のための健診を受けることができる日本の制度は、世界的にも稀なのです。

(3)食生活や運動に関して専門家からのアドバイスがもらえる

40才以上の方で特定健康診断を受けた場合には、必要時、保健師・栄養士・運動療法士などの専門家から無料でアドバイスがもらえます。自分の健診結果を元にパーソナライズされたアドバイスとなるため、インターネットで調べるよりもより自分にあった助言をもらえます。

健診結果の意味を理解する

忙しい中で予約をとり、時間を確保して健康診断を受けることは面倒ですよね。ただ、やっぱり異常が見つかった時に「早く受けておいてよかった」と思えるのも確かです。

毎年受けている従業員の中には、「体の状態が数値として可視化されることで、経年的な健康状態がリアルに感じ取れて面白い」と話す方もいらっしゃいます。

検査項目と数値の意味がわかると健診結果は興味深くもあるため、ただ受けているだけという方は、保健師や産業医に健診結果の意味を教えてもらうことも一案です。

【執筆者】

下村亜実

看護師として都内大学病院に勤務後、産業保健師になりました。現在は大学院で学びながら、相談業務を行っております。誰かに相談をするということは意外とハードルが高いので、そのハードルを少しでも下げられる存在でいたいなと思っています。

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