コロナ5類移行で働き方はどうなる?30社の人事の方に聞いてみた
- 公開日
目次
コロナ5類移行も決まり、コロナ以前の生活に少しずつ戻る兆しが見えてきました。コロナ禍で大きく変化した働き方は今後どのような動きをみせるのでしょうか? 働く価値観も変化し、今の会社に最適な働き方の形とは?
SmartHR 人事労務研究所 所長の副島さん、SmartHRユーザーが集うコミュニティ、「PARK online」にて29名の方からアンケートにご回答いただきました。当事者である人事・労務担当の方々に、現在検討していることや考えを伺いましたのでぜひご参考ください。
現在の働き方・コロナ対策について
現在の働き方、コロナ対策について教えてください。
SmartHR 副島さん
2021年7月から、正式にリモートワークを実施しています。プロダクト開発関連の職種の方には出社依頼をしない「フルリモートワーク」も導入し、オフィスへの通勤圏外の地域にお住まいの方の採用も始めています。オフィスへの出社率は、約2割となっており、オフィスとリモートワークのハイブリッドな働き方が定着しつつあります。コロナの対策については、会議室を1人で利用する時はマスク着用なしでOK、それ以外は原則不織布のマスク着用としていました。
SmartHRユーザーが集うコミュニティ、「PARK online」にて29名の方からアンケートにご回答いただいた結果は以下のとおりでした。
製造業などリモートワークを実施していなかった会社さんもありますが、現在の働き方としては「完全出社勤務」の会社さんが多い結果に。
5類移行を機会に、働き方・コロナ対策はどう変わる?
5類移行を機会に、SmartHRの今後の働き方、コロナ対策はどう変わりますか?
SmartHR 副島さん
弊社は原則、政府やオフィス所在地の都道府県の方針に従ってきました。そのため、原則はマスクの着用は任意としました。
【人事の皆さんに聞いてみた】働き方・コロナ対策の変更点
つぎに、PARK onlineで実施したアンケートで「働き方・コロナ対策の変更を検討している」と回答した方の内容を一部ご紹介します。
主な変更内容としては、「マスク着用ルール」「飲み会や歓迎会ルール」「勤怠ルール」があがりました。
- マスク着用についての変更
- 会話をしなければマスク着用しなくてもよい(テレビ番組制作 / 〜300人以下 / 完全出社勤務)
- オフィス内でのマスク着用を個人判断に変更した(小売業 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 現在、マスクは個人の判断となっておりますがマスク着用を「お願い」する案内はしております。※職員に関しては業務中は引き続き着用と通達しています。(医療・介護 / 501〜1,000人以下 / 完全出社勤務)
- 社内でのマスク着用は自由に。来客時はマスク着用(卸売業 / 〜300人以下 / 完全出社勤務)
- マスク着用は個人の判断にゆだねる(情報通信 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 飲み会や歓迎会ルールの変更
- 大人数での宴会を解禁(サービス業 / 1,001〜3,000人以下 / 完全出社勤務)
- プライベートでの会食や旅行の制限の緩和(医療・介護 / 501〜1,000人以下 / 完全出社勤務)
- 飲食を伴う公式社内行事の解禁(情報通信 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 社内設備や勤怠ルールなど、その他
- パーテーションの撤去など(情報サービス業 / 〜300人以下)
- 店舗は家主の方針次第(小売業 / 〜300人以下)
- 院内の基準や出勤停止基準の緩和(感染者数の推移次第で検討)(医療・介護 / 501〜1,000人以下 / 完全出社勤務)
リモート、出社、ハイブリッド、働き方に関する考えは?
世の中の動きとして、今後出社勤務に戻るのか、リモートワークと並行するのか、各社考えがあると思いますが、どう考えていますか?
SmartHR 副島さん
2021年7月以降、2年おきに働き方を見直すことにしています。世の中の状況や働き方のトレンド、事業成長に応じて、柔軟に見直しをしていきます。
職種にもよるものの、今はリモートワーク中心の働き方になっているかなと思いますが、例えば今後、新卒採用を行うとなった場合、今の働き方のままで新卒社員をお迎えできるかといったらそうではないかもしれません。その時の状況に応じたベストな選択をしていければと思っています。
【人事の皆さんに聞いてみた】働き方に対する考え
今後の働き方について、各社の考えを伺いました。コロナの状況によらず、「柔軟な働き方の実現」を考えている方が多くいらっしゃいました。その一部をご紹介します。
- 柔軟な働き方を実現していきたい
- 必ず出社する必要もないと思っているので、ハイブリッド勤務をこのまま定着させていけるのが一番かなと思っています。働き方も、もっと柔軟性がでていいと思っています。(情報サービス業 / 301〜500人以下 / 出社リモート選択可能)
- リモートできる職種(設計など)であれば、リモート選択可能で良いと思う。きちんと働いている(サボってない)のが分かるしくみがあればよい。(製造業 / 1,001〜3,000人以下 / 出社リモート選択可能)
- チームのパフォーマンスが出ることを前提に、できる限り柔軟に自由度を高く、状況に応じて最適な形を選べるようにしていきたい。(情報通信 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 採用力、離職防止の点から働き方の形を模索したい
- 採用条件的にもハイブリッドを推進していく。そのために一番成果が上がる仕事の進め方を模索して社内で成功事例を共有して、(会社から与えられた環境ではなく)自分たちが選び取った働き方として確立させたい。(情報通信 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 都市部以外の地方からのリモートワークや、リモートワークと出社の併用型にも対応できるような「働き方」のルールの必要性を感じている。今後増えてきそうな介護離職を減らせるし、もし地方からの勤務も可能になれば、より広く人材を採用できるメリットがある。また、地方移住をワークライフバランスの手段としてとらえるなら、会社が社員に対するポジティブアクションとして社員のエンゲージメントを向上させることができると思う。(小売・卸売業 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 事業の新しい価値を生む・本来の事業活動を止めないための工夫は必要
- リモートはいわゆるBCP対策の一環であり、本来の事業活動を止めないことを目的としています。接客サービス業をメイン事業とする本社社員であっても原則は出社としますが、一方で育児や家族の看護などで出社ができない場合といった限定的なシーンに限りテレワークを認めるということにしています。また状況が変わればその都度対応していこうと思います。(サービス業 / 1,001〜3,000人以下 / 完全出社勤務)
- リモート、フレックス、時短、複業など、働き方の選択肢を広げていくことは、企業にとって、業務プロセスの改善や新しい価値の創出に繋がるきっかけだと思います。(メディア業 / 501〜1,000人以下 / 出社リモート選択可能)
- コロナなどで複数の社員が離脱しても仕事が回る仕組みを作っていく必要があるが、業種的になかなか難しいところがあり、管理部門だけはできる限りリモートワークできる状況にしたい。(テレビ番組制作 / 〜300人以下 / 完全出社勤務)
柔軟な働き方を実現し、従業員一人ひとりの仕事への意欲やエンゲージメントを高めるために、ウェルビーイング経営に注目が集まっています。
ウェルビーイング経営推進のヒントは、以下の資料を参考にしてください。
【人事の皆さんに聞いてみた】働き方に対するお悩み
続いて、「働き方に対するお悩み」を伺いました。経営層と現場、職種間での考え方やルールの違いにお悩みの方が多い印象でした。
- 働き方は変わらないため、とくに悩みはない
- リモートワークできない業種のため、働き方はあまり変わらない(テレビ番組制作 / 〜300人以下・完全出社勤務)
- 働き方については、変更がありません。(医療・介護 / 501〜1,000人以下 / 完全出社勤務)
- 経営層と現場とで考え方が異なり、悩ましい
- 時代の流れ的には在宅の利用ももう少し柔軟になっていいのではと思っているが、経営層的にはまだそう思っていないところもあるので、そのあたりの調整が一番大変です。(情報サービス業 / 301〜500人以下 / 出社リモート選択可能)
- 経営層は週5日の出勤に戻したいと思っていますが、従業員はリモートワークとの併用型を希望しており悩ましい。また、中途入社の社員にとっては他の社員との交流がないため、会社に対する帰属意識が高まらないデメリットを感じています。(小売業 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 職種や部署間でルールに違いがあり不公平感がでている
- 企画職・営業職が在宅勤務可能日があるが、事務職・店舗勤務者は一切できないので、働き方の格差がでている。(小売業 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 部署ごとに出社回数を任せているので部署間で一部不公平を訴える声がある。(情報通信 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- リモートワークができるよう制度を拡充したい
- リモートワークの対象者を増やせるように、在宅勤務に関する制度を拡充していきたい。(サービス業 / 1,001〜3,000人以下 / 出社リモート選択可能)
- その他トラブルやお悩み
- 在宅勤務可能で入社に至った人がいるので、入社後に原則出社部門に配属された際に「聞いていた条件と違う」と揉めた。(情報通信 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 出社人数が増えたので、オフィス管理(フリーアドレス)に課題。(小売・卸売業 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 緊急事態宣言中にオフィス面積を半分ほど解約したので、全員出社すると物理的に座席が足りない。管理職のマネジメント力の強化が急務。社員のモラル低下、ジョインした人の立ち上がりの遅さが懸念。(情報通信 / 〜300人以下 / 出社リモート選択可能)
- 出勤に関してではありませんが、コロナ対応や出勤停止の際に出ている手当が今後どう変わるのかが気になっています。(医療・介護 / 501〜1,000人以下 / 完全出社勤務)
働き方は、まだまだ変えていける
最後に、今後の「働き方」に対してどのように考えているかを聞かせてください。
SmartHR 副島さん
コロナウイルス感染症によって、リモートワークという選択肢が加わりました。業種や職種、会社の状況、働く従業員の視点からも、「何がベストなのか」を常に考えて、変化に強くあることが求められているのかなと思います。
出社メインだった働き方からリモートワークを活用することも変化ですし、逆にリモートワーク中心だった会社が「もう一度オフィスに集まって仕事をしよう!」とするのも変化だと思います。会社側からのトップダウンによるものだけでなく、従業員側からのボトムアップで変化を起こすこともできる社会に変わりつつあります。
こんなにも日本中が「働き方」に向き合ったのは初めてなのではないかと思うと、まだまだ変えていけると思うのです。一人ひとりができることはなにか、それを会社という場所で実現していくことで、より良い社会になっていくのではと思います。
皆さんの考えを伺い、コロナウイルス感染症の流行は「働き方」を考える1つの大きなきっかけとして捉え、つねにベストな環境を考え続ける必要があると感じました。
ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。