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「特定求職者雇用開発助成金」受給には、雇用契約書への「自動更新」の明記が必須?|労務のお仕事Q&A

公開日

この記事でわかること

  • 「特定求職者雇用開発助成金」の受給に必要な雇用契約書の記載内容
  • 契約期間に関する例外的な記載方法の可否
目次

日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうなの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。今回は「特定求職者雇用開発助成金の受給に必要な、雇用契約書への“契約期間の記載方法”」について、社労士が解説します。

特定求職者雇用開発助成金の受給には、雇用契約書に「自動更新」の明記は必須?

相談者

「特定求職者雇用開発助成金」の提出書類の変更に伴う雇用契約書の記載内容についてお教えください。令和5年10月1日以降に採用した労働者から、「雇用契約書に“自動更新”である旨が明記されていないと、支給対象外になる」と伺いました。

現在、弊社では「更新する場合がありえる」と記載しており、原則的に更新しているものの、勤務実績などによっては、契約更新をしない場合もあります(本当に著しく問題がある場合のみ)。支給対象を考慮して「原則、自動的に更新する(勤務実績などによっては更新しない場合もありえる)」というような曖昧な表現とすることは難しいでしょうか? また、「自動的に更新する」と記載すると、どのような問題が起こるでしょうか?

(労務担当/医療業界 佐賀県)

「原則、自動的に更新する」など、あいまいな表現はNG

吉田 崇

令和5年10月1日以降、「特定求職者雇用開発助成金」の支給対象者が有期雇用契約の場合、雇用契約書に「自動更新」である旨が明記されている必要があります。従来のように、「更新の実態を踏まえて判断する」といった例外的な取り扱いはなくなり、雇用契約書に記載されている内容のみで判断されます。

そのため、「原則、自動的に更新する(勤務実績などによっては更新しない場合もありえる)」のように記載した場合、受給は不可となります。

「自動更新」とは、労働者が望む限り契約を更新できる契約です。たとえ有期雇用契約であっても、勤務実績などを考慮して期間満了をもって雇止めを行うことはできず、通常の解雇と同様の手順を踏む必要があります。 

なお、「特定求職者雇用開発助成金」の受給要件について必要なのは、「契約期間」の自動更新のみですので、その他の条件(賃金、業務内容など)については、「必要に応じて労働条件の見直しを行なう可能性があります」などと記載することは問題ありません。

本件の「教えて!専門家さん」吉田 崇

社会保険労務士

よしだ経営労務管理事務所代表。関西を中心に、社長と従業員が安心して働ける職場環境作りをモットーに多くの事業所と顧問契約し、 労務管理で成果を上げる。通常の社労士業務の他に、集客、ブランディングコンサルタントとしての実績も多数。一級カラーコーディネータの資格を有し、ポスターやロゴ等のデザイン業務やWeb制作も行う個性派社労士。

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