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読む、 #ウェンホリ No.31「TEAM ANAで取り組む安心・安全な空の旅」

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目次

ラジオ書き起こし職人・みやーんZZさんによるPodcast「WEDNESDAY HOLIDAY(ウェンズデイ・ホリデイ)」書き起こしシリーズ。通称「読む、#ウェンホリ」。

成田空港で働くグランドスタッフであり、ANAが開催する「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」で数千人の中からグランプリに輝いた経験をもつ三浦史華さんと西村まりなさん。

今回は、ANAを代表するグランドスタッフである2人に、私たちの安心・安全な空の旅を可能にする「チーム連携」について伺っていきます。

  • ゲスト三浦史華(みうら・ふみか)

    2018年ANA入社。接遇・ロビーマネジメントインストラクター、新入社員研修インストラクターなどの資格も多数所持。2021年度に「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」でグランプリを受賞

  • ゲスト西村まりな(にしむら・まりな)

    2018年ANA入社。国際線業務を担当し、現在はエアポート サポート デスクとしてフライトの遅延や欠航があった際、予約変更などをサポートする部署に所属。2022年度に「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」でグランプリを受賞

役割が多々あるなかでオペレーション品質をどう保つか

堀井

グランドスタッフが今、4人で動いてらっしゃるということでしたが。その他に整備の方とか、たくさんの役割分担があるわけですよね。その方たちとはどういう風に連携をとっているんでしょうか?

西村

搭乗口で主に業務をしている4名のうち1人は、搭乗口の搭乗時刻を決めたりするリーダーの役割です。もうあと3名で機内の確認ですね。

整備作業でなにか発生しているものはないか? あとは給油が定刻で進んでいるか? あとは機内食。お食事の搭載作業が終了してるか? そういった、他部署との確認もグランドスタッフが機内に行き、みんなで定刻出発を目指しております。

堀井

1便飛ばすのにグランドスタッフさんもいれば、その整備の方やいろんな方がいらっしゃるわけですけれども。チームの間で気をつけてることとか、共有してることって何か、ありますか?

自部署の専門用語を多用しない

西村

気をつけてることはやはり、他部署とやり取りをするなかで、自分の部署で使っている専門用語を多用しないように常に心がけております。基本的には同じ業務の道筋に従っているんですが、やはりポジションによって、同じことでも呼び方が違います。

そこできちんとした確認が漏れがないように、略語もきちんと言語化をして。「機内の清掃作業、終了していますか?」でしたり、「搭載状況、いかがでしょうか?」という風に必ず、言葉に出して復唱するようにしております。

堀井

なにか略語の違うもの、具体例でなにかありますか?

西村

座席に不具合が生じたときに「シートメンテ」。シートのメンテナンス。座席の整備作業と言うんですが。たまに整備の方で「INOP(in operation)」。「使えませんよ」っていうことでINOPっていう風に略語で……なにかと略しがちな業界ではあるんですが。少し意味合いが異なってしまいますので。そこで「座席の不具合、どのようなものが発生してますか?」と、必ず、言語化をして聞くようにしております。

堀井

情報を共有するのが大切なんですかね。

三浦

そうですね。私どもANA社員は部署だったりとか職種に限らず、「アサーション」という考え方を大切にしています。

アサーションというのは、そうですね。言うならば、ちょっとおせっかい文化で。たとえば、西村がわかってるだろうなと思うようなことも「西村さん、ご存知だと、把握してるとは思うんですけれども、これって確認してますか?」であったりとか。

ちょっとクッション言葉を付けて、お互いが嫌な気持ちにならないように注意したりとか。なにか、事象が起きてしまう前に防止するような。それらを、部署、所属に関係なくANAグループ社員一同で大切にしているところになります。

たとえば、そうですね。具体例を申し上げますと「ベビーカーを搭乗ゲートまで使いたい」っていう方が、ご自身のベビーカートをチェックインカウンターから搭乗口まで、ずっとご利用になったお客さまがいらっしゃって。それをいざ、飛行機に搭載するときに「では今から、お客さまのベビーカートを飛行機に搭載してください」っていう風に手荷物搭載係員に無線を飛ばしたとします。

無線も機械ですので、それこそ外の業務をしてたりすると、聞こえなかったりして。それが「1個ですか? 2個ですか?」っていうのが聞き取りにくくて。それもミスコミュニケーションが起きそうになったときには「ちゃんと聞こえてますか? 大丈夫だと思いますけど、2個です」とか。なんていうんでしょうか? そのおせっかい文化ですね。それを大切にしております。

堀井

おせっかい文化、いいですね。西村さんね。

西村

やはり先輩・後輩の、なんでしょう? 権威勾配があることが一番、安全にとってよくないことだと全員が捉えております。

「先輩だからわかってるだろう」と思って言わなかった。でもそのとき、「先輩がうっかり忘れてるだけかもしれない」と気付いてたのにエラーの連鎖、ミスの連鎖がそこで……後輩が萎縮してしまったことによってその連鎖を断ち切れない。それが一番状況としてはよくありませんので。そういった、相互に声をかけやすいおせっかい文化は根付いてますね。

おせっかいを受けた側が感謝の言葉を発することで「おせっかい文化」が根付く

堀井

それはもう本当にどこのチームでもやった方がいいですね。ついつい、やっぱり上司がいたり、先輩がいたりすると、「一言多いんじゃないかしら?」とかね、「気分悪くされちゃうんじゃないかしら?」って。「だったら、言うのをやめておこう」みたいなこと、ありますからね。

西村

はい。それはアサーション、そのおせっかいを受けた方の係員も「ありがとう」って一声、感謝の言葉を発することで次にまた後輩だったりとか、若年者であっても発信がしやすいようにという風土は、根付いています。

堀井

素晴らしい。あとは確認も大事ですね。確認は私たちの業界でも、もう本当にひとつのことを何人もが二重、三重にも確認していきましょうと。

ポスターでも「まず確認」というのが一時期、バーッと貼り出されたことがありましたから。それぐらい、なにかを人様に出すとか、サービスするうえでは確認って大事な作業だなっていう。それはどこの業界もそうなのかなと思うんですけれども。

まあ、チームで動いてらっしゃるんですが、入社したとき、なんかチームの連携で苦労したとか。「ああ、チームってこうやって動くんだ」っていう風に思ったことありますか。西村さん、いかがでしょうか?

ANAで意識しているチームワーク術

自分から一歩踏み出してコミュニケーションする

西村

はい。今は5年目になってようやく、チームワークで大切にしていることが、やはり自分自身の役割にこだわりすぎず、状況を見ながら今、何が必要で何が終わってないかを見て、考えて動くことだなと痛感はしているんですが。

新入社員のうちは、まず全体を把握するまでに時間を要しましたので。そもそも何が終わっていないのかを「うーん。ええと……」って考える時間がかかってしまい。やはりそこの、全体の把握は新入社員の頃は、いろんな先輩にご教授いただきながら、徐々にできるようになっていきました。

堀井

徐々に慣れていったっていう感じですか? 今ね、やっぱり4月からまた新入社員で「この出来上がっているチームに自分はどういう風に対応していって、仲間に入っていけばいいんだろう?」って迷ってる人も多いかと思うんですけども。三浦さん、いかがですか? そのチームに入っていったときっていうのは。

三浦

はい、そうですね。まずやはり新入社員は航空業界も初めてっていう方もたくさん……まあ、いろんな方がいらっしゃいます。

まずあのチームに溶け込みやすく、声をかけやすいなって思ってもらえるように、日頃の現場業務ではもちろんですが、それ以外のプライベートなことでも、最初は差し支えないお話からでも、よくコミュニケーションを取っていくことで、そういったコミュニケーションの積み重ねが現場でも生きてくるのかなと思ってますので。自分から積極的に声をかけるようにっていうのは意識しております。

声に出し、明確に指示をする

堀井

やっぱり自分から、ちょっと一歩踏み出したり、一言先輩に声をかけたりすることで……っていうことですかね。そして、スムーズな連携のために意識されていることを伺いたいんですけれども。ANAのチーム連携のために大切なことは皆さん、どのように考えられてるんでしょうか?

西村

はい。ANAにおいて大切にしていることは、先ほどのアサーションの例でもありましたが、安全に関わることは、年次問わず、きちんと声に出して確認をすること。あとは、そうですね。私自身がいろんな業務でリーダーという立場をするなかでは、明確に指示出しをするように心がけています。「これ、確認しといてください」のその「『これ』って何?」っていうところとか。

堀井

素敵!

西村

それも、経験がない後輩ですと、やはりそこで声を出せなくて。「ああ、わかりました」と言った後に、「その後、どうでした?」って聞くと「ちょっと、その指示がよくわからなくて……」ってなると、その時間がとても無駄になってしまいますので。その「これ」の部分を言語化をして、明確に指示出しをするように心がけてます。

個の強みを把握し、引き出していく

堀井

なんかこう、心当たりのあることばっかりですね(笑)。「あれ、やっといて」とか……(笑)。「これさ……」ってよく言っちゃいますもんね。向こうがわかってるものだと思って。どうでしょうか? 三浦さんはそのスムーズな連携のために心がけていらっしゃること。

三浦

先ほどのお話でもあったとおり、ANAグループはどんどん多様性を……今、どんどんダイバーシティだったりとかが進んでいまして。それぞれの個性や強みも異なってまいります。

なのでそれこそ、それぞれの個の強みといいますか。そういったものにもっともっとスポットライトを当ててあげることができるように、強みをどんどん引き出して活躍できるような人員配置だったりとか、それらは今まで私どもも先輩方にしていただいたと思いますし。

チームのなかで、この方の強みはどんどんと伸ばしていって。その仲間の強みをどんどん学んでいく。いいところは盗んでいくように意識しております。

うまくいかなかった時は、個人単位ではなくチーム全体で考える

堀井

もう本当に素晴らしいチーム力だなと思うんですけれども。何かミスがあったりとかしたときは、どういう風にそれをリカバーするんですか? 皆さんで。後で反省会するとか?

三浦

そうですね。今、おっしゃったように始業前と始業後には私ども、ブリーフィングとデブリーフィングという、点呼だったりとか。今日の最初の対応事項だったりとか、昨今のトレンドになっているようなものだったりとかを事前に打ち合わせをしたり。

その業務が終わった後に反省会、それは悪かったことだけではなくて。たとえば「西村さんのこういうところが素敵でしたよ。よかったですよ」と褒め合う文化をとても大切にしております。

で、うまくいかなかった際のリカバリー方法といった風にお話をいただきましたが。私どもANAグループ社員は、何かミスを起こしてしまったこと。その事実を問題視するのではなくて。

「じゃあ、それを今後は引き起こさないために、同じような事象を起こさないために、どうしたらよかったのかな? どこでエラーの連鎖を断ち切ることができたのかな?」ということを個人単位ではなくて、チーム、組織全体で考えていくのが特徴かなと思います。

堀井

ちょっとこれはもう、みんなに広めたいですね(笑)。その、ヒューマンエラーをね、ちゃんと共有して。「じゃあ、どこがいけなかったんだろうか?」っていう風にもう1回、振り返るっていうところはね。そうですよね。

<書き起こし終わり>

文:みやーんZZ

Podcast「WEDNESDAY HOLIDAY」#31の視聴はこちらから

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