使用率9% ・・・人事労務のe-Gov 電子申請はナゼ使われていない? 導入のメリット・デメリットとは
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PCやスマートフォン、タブレット等の普及に伴い、ITツールなどの進歩は著しく、ここ数年では「IoT(モノのインターネット)」という仕組みも登場するなど、「情報技術」は私達の生活を大いに便利にし、深く関わるようになりました。
それは、私生活における家電製品やウェアラブルデバイスはもちろん、仕事を効率化させる業務上のツールも同様です。
また、進歩はツールにとどまりません。従来「役所」に足を運び「紙」で行っていた各種の申請も、オンライン上で実施できる時代が来ています。
今回は、人事労務担当者の働き方を大いに変えうる「電子申請」について解説します。
「電子申請」「e-Gov」とは?
「電子申請」とは、従来紙によって行われていた申請や届出などの行政手続を、インターネットを利用して自宅や会社のパソコンを使って行えるようにするものです。
「e-Gov」と呼ばれる電子申請システムは、各府省が所管する様々な行政手続について申請・届出を行うことができるようになってきています。
その中で、人事労務系としては労働保険、社会保険の諸手続きを電子申請できるようになっています。現在では、算定や年度更新などの年次業務を含めて、ほとんどの手続きをこちらの窓口から申請できます。
便利な「e-Gov 電子申請」だが人事労務分野での利用率はまだ8.9%
そんな便利な「電子申請」ですが、まだ分野によって普及にバラツキがあります。
例えば、平成27年度のオンライン普及率をみてみると「登記(法務)」が全体で66.2%、「国税(財務)」が全体で58.0%と6割前後の利用率になっているのに対し、人事労務担当者が特に関わる「社会保険・労働保険(厚生労働)」分野では、全体で8.9%と1割に満たない利用率となっています(*1)。
この数値から考えられることとして、「社会保険・労働保険について電子申請できる」ということをそもそも認知されていないなどの課題が挙げられそうです。
人事労務タスクは今後大幅に改善される?
「紙に書き」、「足を運び」、「受付で並び」、「手続きをする」などのフローには大変な労力と時間がかかります。
それを踏まえ、現状の利用率をポジティブに捉えるとすれば、日本全体でみる人事労務担当者のタスクは、今後大幅に改善する余地があるといえるでしょう。
折角の機会ですので、以下に「電子申請」について知っていただくために、具体的な特徴や長所を紹介します。
「e-Gov 電子申請」は従来方式とどう違うのか?
従来は紙の書類に会社の代表印を押印したうえで、各窓口に提出する必要がありました。
従業員が新しく入社した場合、雇用保険、健康保険、厚生年金の手続きが必要となり、健康保険組合に入っている会社だと、3つの窓口別に提出する必要がありました。
こういった手続きの煩わしさを解消するために導入されたのが「電子申請」で、窓口に行くことなく、パソコン上から手続きの申請ができる方式となっています。
「e-Gov 電子申請」のメリットとは?
「電子申請」をすることの最大のメリットは、足を運ぶことなく申請ができるので、役所の窓口で待たなくて良いということです。
特に4月などの入社が多い月は、朝から並んで長時間待ち、結局申請が昼過ぎまでかかるということもありますが、電子申請ならオフィスから手続きが済み、あとは完了を待つのみです。
時間・場所を選ばず24時間いつでも申請できることもメリットです。在宅勤務の方でも作業ができたり、遠方の支社の手続きであっても申請が可能になっています。
また、紙での申請は、申請だけでなく管理そのものにもコストが発生しますので、こちらの負担も軽減されペーパーレス運用が可能になります。
これらのメリットにより、担当者の工数を大幅に削減するだけでなく、時間が生まれるということは業務全体のスピードアップにも繋がると考えられます。
懸念点も理解する必要アリ
ただ、一方でいくつかの懸念点も考えられます。
まず、電子認証を会社単位で取得する必要があり、最初の設定が少し難解な部分があります。
また、パソコン上で申請ができますが、内容に不備があったりすると差し戻しになり、このステータスを「到達番号」呼ばれる手続きごとに振られる番号により確認する必要があります。
その他、健康保険組合や企業年金基金などに加入されている事業所は電子申請に対応していないため、結局紙での手続きも発生することになり、二度手間になることもあります。
紙等での控えがないので、手続きが進んでいるかを把握できないことがあり、手続き漏れが発生してしまうケースにも注意が必要です。
このようにメリットだけでなく、懸念点があることを理解した上で、確実に検討すべきです。
心強い「e-Gov 電子申請をサポートするシステム」の存在
そこで朗報です。
上記のようにまだまだ操作性が難しいところがありますが、「電子申請をサポートするシステム」も最近多く出ていますので、そういった専用ソフトを利用されるのも一案です。
その点、私も公認アドバイザーを務める、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」は入社者の情報などもWeb上で登録でき、そのまま電子申請までスムーズに進めますのでオススメです。
また、年度更新や算定基礎届が終わったと思いきや、夏以降の秋冬にかけて「年末調整」という一大イベントが待ち受けていますが、この「年末調整」もPCやスマホからペーパーレスで実施可能で、非常に好評な機能のひとつのようです。
e-Gov 電子申請はどういった会社に特にオススメか?
それでは、具体的にどのような会社にオススメなのでしょうか?
まず、前述のように全国展開し支社や事業所を多く持つ会社では、距離にわずらうことなく申請がとても楽になります。
更に、入退社が多い会社は一人一人の手続きが大変ですので、電子申請を導入することがオススメです。
全国チェーン展開し、更にアルバイト人材を活用するなど、入退社の頻度が高い飲食関連の会社では、特に嬉しいシステムであると感じるのではないでしょうか。
例えば、「てけてけ」や「the 3rd Burger」など人気飲食店を展開するユナイテッド&コレクティブ株式会社では、前述のSmartHRを導入したことで入社手続きが効率化し、約1,700名の人事労務も2名で担っているようです(*2)。
このように目的や企業特性に応じて、電子申請やSmartHR等のツールを導入することで、人事労務効率化を図るよう検討することをオススメします。
【参照】
*1:改善促進手続のオンライン利用状況 – 総務省
*2:ユナイテッド&コレクティブ株式会社「店舗の増加を人だけで支えるには限界がある」— SmartHRの導入でコストを大幅に抑えながら業務拡大を実現 – SmartHR