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解雇予告手当の支払いを避けたい。試用期間満了前に事前通告は可能?|労務のお仕事Q&A

公開日

この記事でわかること

  • 試用期間満了前での解雇予告の注意点
  • 解雇予告手当の支払いを避ける場合の方法
目次

日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうなの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。今回は「試用期間満了時に本採用を見送る際の注意点」について、社労士が解説します。

解雇予告手当の支払いを避けたい。試用期間満了前に事前通告は可能?

相談者

試用期間満了(12月末)で本採用を見送りたいケースがあります。本来であれば解雇予告手当30日分の準備が必要ですが、社内のリソースに余裕がないため、手当金額算出なども難しい状態です。

また、通告日にあわせた予告手当の振り込みは経理も巻き込んで大変になってしまうため、11月末時点で先んじて試用期間満了=解雇の通告を検討しています。

予告手当を支給しない代わりに「実質12月は残務が終われば次の仕事を探すのがあなたの仕事だよ」とすることも実務上は可能と思いますが、この進め方へのご意見と注意点をアドバイスいただければ幸いです。

通告予定日に本人が休んでしまう可能性もあるため、確実にその日を解雇予告日にするのは難しいのではと考えています。また前提として、会社貸与機器なども11月末段階で返却してもらい、情報流出の防止を考えております。

(労務担当/IT業界 東京都)

解雇予告日の早期設定を。解雇の合理性の担保にも注意

宮原 麻衣子

すでに採用後14日以上経過している前提でご回答します。

労働基準法第20条で「労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない」と定められており、30日前に予告しない場合に限り、解雇予告手当が必要となります。解雇予告日に欠勤の可能性があり、かつ解雇予告手当の支払いを避ける必要がある場合は、解雇予告日を早めに設定するしかないと考えます。

試用期間といえども本採用見送りは解雇となりますので、その理由には客観的な合理性が必要です。試用期間中に、どのような問題があれば解雇となるのかを就業規則に明示し、さらに試用期間中に繰り返し指導したうえでも問題が解決しない場合にのみ、本採用の見送りが認められます。

解雇予告を行う日までに「いつ・どのように」指導したのかを記録に残し、客観的な合理性の担保が肝要です。

本件の「教えて!専門家さん」宮原 麻衣子

野嶋社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士

2003年、メンタルヘルスの専門家である精神保健福祉士資格を取得し、精神科医療機関等で勤務。2015年に社会保険労務士登録、2017年に特定社会保険労務士となり、労働社会保険関係法に関する専門家として企業の労務管理のコンサルティング業務を担う。また精神保健福祉士養成の専門学校にて後進の育成に携わるほか、労務管理全般やストレスマネジメントに関する研修等において講師を務める。健康経営エキスパートアドバイザー。

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