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「病院人事×医療DX」現場のリアルな課題と解決策を探る【PARK病院コミュコミュレポート】

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目次

「DX推進」と聞くと、最先端テクノロジーが活用され、業務効率が大幅に向上しているイメージをおもちになるかもしれません。しかし、医療の現場ではDX化の進捗に大きな差があり、導入にはさまざまなハードルが存在します。

「DXを進めたいが、予算が確保できない」「現場のITリテラシーが追いつかない」「システムを導入しても、業務フローが変わらず活用されていない」「他病院さんはどんな取り組みをしているのか気になる……!」

──こうした悩みを抱える病院の人事担当者が集まり、2025年2月14日、「PARK病院コミュニティ」によるオンラインイベントが開催されました。今回のテーマは 「医療DX」。各病院のDXの進捗状況や課題、SmartHRを活用した人事業務の効率化について、活発な議論が交わされました。

病院人事がつながる「PARK病院コミュニティ」

PARKの「コミュコミュ」は、業界・テーマごとにメンバーが集まり、情報交換ができる場です。そのなかでも、「病院コミュニティ」は医療法人社団東山会 調布東山病院の信夫 秋さんが発起人となり、全国の病院人事担当者が定期的に集まる場として運営されています。

信夫 秋さんのプロフィール

「一般企業の人事とは異なる課題を抱える病院人事同士がつながり、継続的に情報交換できる場がほしい」

そんな想いからスタートしたこのコミュニティでは、数か月ごとのペースで座談会を開催。リアルな事例や成功・失敗の経験だけでなく、SmartHRの活用例や、人事業務の内容についても共有しています。

信夫さんによれば、最初は自分が積極的に情報を提供しなければならないと感じていたそうです。しかし、回を重ねるごとに、参加者同士の関係が深まり、「教えてもらう場」から「お互いに話し合う場」へと変化していきました。以前は信夫さんだけが投稿していたコミュニティも、今では参加者が積極的に情報を発信するようになり、フランクなやり取りが生まれています。

各病院のDXの進捗状況と課題

課題(1) DXを進めたいが、予算が確保できない

「DXを進めたいが、予算が確保できない」という課題は、多くの病院人事担当者が直面する現実です。信夫さんは、限られた予算のなかでDXを推進する方法として、人事業務まわりのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した業務効率化の例を紹介しました。病院としてRPAを導入し、各現場でそれぞれRPAを作成されています。

「RPAを使って、SmartHRだけでなく、勤怠管理や給与計算システムと連携し、手作業だったデータ入力を自動化しました。コストを抑えながら業務負担を削減できるので、DX導入の第一歩として有効です」

ノーコードのシステムを導入したことやChatGPTで作成したマクロも組み合わせることで、プログラミングの知識がなくてもRPAが活用でき、すでに人事関連のみで50個以上の業務を自動化。勤怠管理のデータ集計やシフト変更の自動反映など、定型業務の多くをRPAに任せられるようになっています。また、RPAを導入することで、夜間や休日にも業務を自動処理できるため、人手不足の病院にとっても大きなメリットがあるとのこと。

図表:調布東山病院がRPAで対応している業務一覧

(調布東山病院がRPAで対応している業務一覧)

とくに効果が顕著だったのが、医療事務部門での問診票や診療計画書の印刷業務の自動化です。以前は1回の作業に3時間の残業が発生していましたが、RPAの導入により処理が自動化され、​​同業務の工数がゼロになりました。職員の負担軽減だけでなく、業務の効率化にもつながった成功事例といえます。

さらに、SmartHRとRPAを組み合わせることで、DX推進をより効果的に進めることが可能に。たとえば、SmartHRで職員から氏名変更や入退職情報を更新されると、RPAによりほかのシステムにも自動で反映し、手作業によるミスやタスク漏れを防ぎながら管理業務の負担を大幅に軽減できるようになりました。業務が属人化しない点や、「間違ってはいけない」という心理的な不安もなくなる等の効果も大きいと感じています。

課題(2) DXの必要性を感じているが、どこから手をつけていいかわからない

DXを推進したいものの、「どこから手をつければいいのかわからない」という悩みを抱える病院も多いのが現状です。社会医療法人春回会の石井 智彰さんは、まずは業務効率化が見込める小さな施策からはじめることを提案しました。

石井 智彰さんのプロフィール

AIを活用した議事録の自動作成やプレゼン資料の作成支援は、すぐに効果が実感できます。会議の議事録をAIで要約し、必要な部分だけ抽出することで、工数を削減できます」

AIを活用することで、会議の記録作業の負担を大幅に削減し、より本質的な業務に集中できる環境を整えることが可能に。プレゼン資料の作成にもAIを取り入れることで、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を整理しながら、テンプレートに沿った資料を自動で作成できます。さらに、CanvaやGammaといったツールを活用すれば、視覚的にわかりやすい資料の作成も容易になると伝えました。

図表:石井さんがAI生成した会議資料

(石井さんがAI生成した会議資料)

SmartHRの「従業員サーベイ」を活用すれば、職員の意見を集めながらDX施策を決定でき、現場のニーズを可視化によって、より的確なDX推進が可能となります。

課題(3)ITツールに不慣れな現場職員にDXを浸透させるには?

ITリテラシーの問題も、DXを推進する上で大きな課題のひとつです。全従業員にスマートフォンを支給しているものの、「パスワードを忘れる」「システムにログインできない」といったトラブルが多く、DXの浸透が難しいと感じているという参加者の声も。

石井さんからは、SmartHRの「お知らせ管理」の活用で、従業員に確実に情報を届けられるとアドバイスしました。チャットツールなどのグループウェアでは情報が埋もれやすい一方、SmartHRのお知らせ機能を活用すれば、業務連絡を確実に伝えられます。

また、「入職時にSmartHRのアプリを必ずダウンロードしてもらう」ことで、システムの定着をスムーズに進められるという意見もありました。新入職員にアプリをダウンロードしてもらい、ログイン設定まで完了させることで、日々の業務で自然とシステムに触れる機会が増えます。その結果、勤怠管理や申請業務がスムーズになり、デジタルツールの活用が定着しやすくなります。まずはアプリを職員の業務フローに組み込むことが、DX推進の第一歩となるのです。

PARK病院コミュニティに参加しませんか?

PARK病院コミュニティでは、病院独自の運用の質問や他病院事例の質問、お悩みなどを共有しながら、自院の課題を解決するためのヒントを得られます。「ひとりでは解決できないことも、他院の事例を知ることで突破口が見つかる」「定期的に情報交換ができる」といったメリットがあります。

実際に参加者からは、以下のような感想が寄せられています。

「医療現場のDXも進んでいて、人事の集まりながら現場の話もできる病院コミュニティは素敵です」

「スマートフォンを活用したグループウェアの運用において、より効率よくコミュニケーションを取るために、入力のルールを決めることが重要だと学びました」

「良い点も課題も含め、信頼できる仲間とリアルな感想を共有できるのは、自院でDXを進める上で大いに参考になります」

ヒントを得たい方は、ぜひPARKのコミュニティに参加し、医療業界の仲間とつながりましょう!

コミュコミュ参加者の写真

(コミュコミュ参加者の様子)

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