「リフレッシュ休暇」をトラブルなく運用するための3つの掟
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私ごとですが、社労士という仕事は春先から梅雨明けが繁忙期となります。ですので、今のこの時期はとても忙しいのです。いや、ありがたいことなんですけどね。
しかしながら、やはり思いを馳せるのは、仕事がひと段落したころにやってくる夏のことです。
「あー、リフレッシュしたい。。。」
まっ昼間からビーチでビールを飲みたい。仲間と楽しくバーベキューをしながら、まっ昼間からビールを飲みたい。地元の夏祭りに行って、まっ昼間からビールを飲みたい。。。
えっと今回は何のテーマについて記事を書かないといけないんだっけ? あ、そうだ。リフレッシュです。「リフレッシュ休暇」についてなのです。
「リフレッシュ休暇」の目的
最近ちらほら導入している企業も増えてきたリフレッシュ休暇。
そもそもリフレッシュ休暇とは、厚生労働省の定めによると「職業生涯の節目に勤労者の心身の疲労回復等を目的として付与される休暇」とのこと。
早い話が、ある程度の長い年数を働いてくれた社員に対して、慰労のために企業が独自に与える休暇が「リフレッシュ休暇」です。
「リフレッシュ休暇」の現状と課題
法的に絶対に与えないといけない休暇と違い、会社が独自に導入する制度(特別休暇)ですので、実際に導入している企業はまだまだ多くはありません。
厚生労働省による「平成25年就労条件総合調査」の結果では、導入企業は全体の約11%となっており、そのうち約40%が社員数1,000人以上の大企業となっています(*1)。
こういったデータを鑑みても、まだまだ敷居の高い制度といえるかもしれません。
「リフレッシュ休暇」を導入する3つのメリット
一方、リフレッシュ休暇を導入するメリットは、どのようなものでしょう。
やはり一番は、「従業員が心身をリフレッシュし、英気を養い、これからも元気でバリバリ仕事をしてもらう」という点でしょう。
また、「リフレッシュ休暇がある=働きやすい企業」というイメージに繋がりますし、優秀な人材を確保する上でのアピールポイントにもなるでしょう。
さらに、リフレッシュ休暇取得中、その社員が抜けた穴を他の従業員が引き継ぐことになりますので、交代要員の育成や適正確認、加えて業務改善にもつながる可能性があります。
「リフレッシュ休暇」運用上の3つの掟
さて次に、リフレッシュ休暇を運用する上での注意事項を見てみましょう。
(1)「目的に沿わない申請」を却下できるよう就業規則で定める
トラブルとして考えられるのが、在職中業務に追われ「リフレッシュ休暇」を行使できなかったので、退職前に有給消化とあわせてリフレッシュ休暇を取得したい、といった従業員に対する対処です。
会社としては前述のとおり、「心身をリフレッシュして今後さらに業務に励んで欲しい」という目的でリフレッシュ休暇を導入していますので、こういった本来の目的に沿わない申請は却下したいところです。
逆に、曖昧な状態で、これを許し始めると、「リフレッシュ休暇」取得対象者となったタイミングを機に転職する、という従業員が相次ぎ、意図せぬ結果を招く可能性も否定できません。
これらを未然に防ぎ、明確な基準で対応するには、リフレッシュ休暇に関して、就業規則で予め以下のように定めておくと良いでしょう。
・リフレッシュ休暇は「その権利が発生した年度に限り」利用できる。
・申請時「すでに退職することがわかっている従業員」については、リフレッシュ休暇を付与しない。
(2)「リフレッシュ休暇」を取得しやすい環境づくり
また、いくら制度があっても、仕事が忙しくて実際にはほとんど利用できない、といった制度では意味がありません。アピールになるどころか、却って従業員の不満を招きかねません。
そのような状態では、その1のケースのように、退職前の有給消化とあわせて取得したいと申請されたとしても、それは無理もないことでしょう。
前述した「リフレッシュ休暇のメリット」を最大限に生かすためにも、会社としては、きちんと代替要員を立て、社員がリフレッシュ休暇を取りやすい環境づくりに取り組む必要があるでしょう。
(3)手段の目的化を避ける
導入すること自体が目的になってしまうと、本来の目的や導入背景が浸透せず、「なぜ存在するのか?」「果たして気軽に使えるようなものなのか?」という疑念が生まれ、誰もが遠慮するような状況になり、結果的に「リフレッシュ休暇とは名ばかりで使えない!」などのネガティブな影響を及ぼしかねません。
手段が目的化せぬよう、目的に則り労使双方ハッピーになるよう然るべき運用を心がけたいところです。
とまあ、あれこれ書きましたが、結局のところ何が言いたいかというと、「毎日バリバリ仕事をしている人が息切れしないためにも、リフレッシュの機会は重要です!」ということと、まっ昼間から飲むビールはどうしてあんなに美味いのか! ということなのですね。