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「雇用保険に加入できない」2つのケースと予防法

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「新入社員の雇用保険の資格取得手続を申請したのに、ハローワークが雇用保険加入を認めてくれない」というトラブルが実務上しばしば発生します。

労働者にとって雇用保険は安心して働く上で必要なものですし、そもそも雇用保険への加入は事業主の義務です。

今回は、特定社会保険労務士の筆者が、絶対知っておきたい「雇用保険の注意事項」について解説します。

ケース1:前職の会社が「雇用保険資格の喪失手続き」をしていない場合

なぜ前述のようなトラブルが起こるのかというと、雇用保険は労働者1人につき1つの番号が国から付与され、会社が変わってもその番号を使い続けるのですが、同時に2つの会社で「雇用保険加入中」の登録はできないというルールになっているからです。

前職の会社がハローワークに「この人は退職をしました」という申請を行ってくれないと、次の会社で雇用保険に加入できないということになってしまうのです。

ですから、人事担当者は、新入社員の雇用保険が資格取得できなかった場合は、本人にその旨を伝えて、前職の会社に連絡をとってもらい、雇用保険の資格を喪失してもらうように促してください。

前職の会社が資格喪失の手続きを完了させ次第、現職での雇用保険加入が認められる流れになります。

ケース2:有給消化期間中に転職し「前職とオーバーラップ」する場合

しかしながら、さらに厄介なのは次のようなケースです。

例えば、平成29年3月31日が前職の最終出社日だったので、平成29年4月1日から現職の会社に入社したが、有給消化の関係で前職の退職日は平成29年4月30日だったという場合です。

このように、2つの会社に同時に所属していて、どちらも雇用契約上の所定労働時間が週20時間以上を超えている場合は、オーバーラップする期間、どちらの会社で雇用保険に加入すべきなのでしょうか。

この点、「雇用保険業務取扱要領」という国が定めた指針においては、「その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係」にあるほうの会社で加入すべきであると定めています。

しかし、それ以上具体的な解釈は明記されておらず、上記のような有給消化期間中に次の会社に就職した場合、オーバーラップする期間、実際に加入すべきは「賃金が高いほうの会社」なのか「実質的に勤務している新しい会社」なのか、実は明確な答えを誰も持っていないというのが実情です。

そこで、実務上は、本人に「あなたはどちらの会社を主だと考えていますか」と質問をして、本人の意思に沿ってオーバーラップしないように雇用保険の加入日を決めるというような形をとることが多いです。

採用面接時に「前職の退職日」を確認をしておこう

会社としては、雇用保険の資格取得届を出した後にハローワークから指摘されて初めて「あれっ、この人まだ前職の有給消化中だったの!?」ということでは格好がつきません。本人の判断によっては、資格取得届の出し直しなど二度手間になってしまうことも起こり得ます

ですから、採用面接時に「当社に入社した後、有給消化期間も含め前職は完全に退職しているのか?」とか「前職の有給消化期間が続いているならば、当社での雇用保険の加入はいつからを希望するか?」など、前職の退職日に関する情報を、詳しく確認をしておいたほうが良いでしょう

正確に情報を提供しないと「不利益を被る」のは被保険者自身

雇用保険の資格取得手続きは、一刻も早く保険証を受け取りたいという「社会保険の資格取得手続き」ほど焦って対応する必要のある手続きではありませんが、入社時に加入できないままグダグダになって放置してしまうと、本人が退職する際や、育児休業・介護休業の給付金を申請する際などに、手続きが滞って慌ててしまいます。

入社時にしっかりと情報収集をして、確実に雇用保険の加入手続きを完了させるようにしましょう。

本人にも、「ちゃんと情報提供しないと、最終的に不利益を被るのはあなた自身なのですよ」と伝え、正確な情報提供を促しましょう。

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