部活の顧問に「時間外手当」や「休日手当」はつく? つかない?
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こんにちは。特定社会保険労務士の篠原宏治です。
「学校は究極のブラック企業」
こう揶揄されることもあるほど、教員の過重労働が大きな社会問題となっています。
その原因のひとつとして挙げられているのが部活の顧問です。
スポーツ庁の行った調査によると、教員全員が部活顧問になることを原則としている公立学校は全国の約9割に上り、多くの教員が部活顧問として放課後や休日に対応することを半ば強制的に求められています。
一方、部活顧問は、時間外手当や休日手当の支払いについてもその問題点が指摘されています。
部活顧問の時間外手当や休日手当はどのように取り扱われているのでしょうか?
「地方公務員の教員」は時間外手当や休日手当の適用対象外
公立の小学校や中学校などで勤務している教員は公務員であり、その多くは各都道府県の教育委員会で採用された地方公務員にあたります。
民間企業では、時間外手当や休日手当の支払いは、労働基準法第37条の規定に基づいて行われています。
地方公務員にも労働基準法は適用されますが、教員については、地方公務員法第58条第2項と公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(以下、「給特法」)第5条によって、労働基準法第37条が適用除外とされています。
さらに、給特法第3条第2項には「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」と規定されています。
そのため、地方公務員たる教員は、部活顧問を行ったとしても時間外手当や休日手当は支払われません。
「私立学校の教員」は労働基準法に基づいて割増賃金が支払われる
一方、私立学校に勤務する教員については、労働基準法が全面的に適用されています。
そのため、部活顧問を行った場合には、その時間数に応じた時間外手当や休日手当が支払われます。
私立をはじめとした学校においても、教員の働き方改革への取り組みは進んでいます。働き方改革を推進するヒントは、以下の資料を参考にしてください。
休日の部活顧問には「部活動手当」が支給される場合がある
地方公務員たる教員は、休日に4時間以上の部活顧問を行った場合には、休日手当の代わりに文部科学省が定めるが定める「部活動手当」の3,000円が支払われます。
休日4時間以上の部活顧問に対して一律3,000円ですので、労働基準法が定める時間外手当や休日手当と比較するとかなり低い支給水準です。
また、放課後や、休日であっても4時間に満たないような場合には、部活動手当は支払われません。
文部科学省は、平成31年1月からの部活動手当を「土日4時間程度」の場合を現在の3,000円から3,600円に増額し、「2~4時間」の場合でも1,800円の部活動手当を支払うこととしていますが、それでも部活顧問に対する手当としては十分なものとは言えないでしょう。
また、手当が支払われるよりも休みをしっかりと取りたいという教員も少なくありません。
今後、抜本的なさらなる対策を講じることが求められます。