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「人員配置表」で効果的な人員配置を助けるには?作り方、活用方法を解説【テンプレート付】

公開日

この記事でわかること

  • 人員配置表(人員配置図)とは何か
  • 人員配置表を作成するメリット
  • 精度の高い人員配置表を作成するための効果的な流れ
  • 人員配置表の作成に使えるツール
目次

「非常に優秀な営業マンだが、細かい作業や事務作業は不得意……」

このようなケースがあるように、人には適性・不適正があり、働く際にはその人に適した環境や条件で仕事するのが重要です。企業において従業員のもつスキルや適性を最大限に発揮するためには、適材適所の人員配置の実現が求められます。定量的なデータにもとづいた判断が難しく、進め方に戸惑いやすい人員配置には、「人員配置表」の活用が大きな助けとなります。

本稿では、人員配置表を利用するメリットなどを解説します。人員配置でお困りを感じている人はぜひ参考にしてください。

記事内にダウンロード可能な人員配置表のテンプレートへのリンクも用意しています。

人員配置表(人員配置図)とは

人員配置表の概要をまとめた図。

人員配置表(人員配置図)とは、主に現在の組織情報を集約・可視化したものを指します。また、現在に限らず、未来の人員配置・要員計画検討にあたって作成するケースもあります。企業によって、人員配置ツールや表計算ソフト、紙など、さまざまな手段で人員配置表を作成します。

人員配置表とともに使われる言葉として、「人員配置計画」や「人員配置」があります。

人員配置表には主に、以下の情報が記載されます(使用ツールによって管理可能な情報に違いがあります)。

  • 組織の構成部署
  • 部署ごとの従業員数および従業員情報
    • 氏名・年齢・性別・社歴・雇用形態・キャリア志向など
  • 部署ごとに求められるスキル・資格および保有者の有無
  • 部署ごとの業績・エンゲージメント
  • 今までの異動履歴

人員配置表によって組織情報が可視化されると、人事担当者や経営・マネジメント層による配置検討の意思決定がスムーズに実行できます。また、配置変更を人員配置表に反映・共有すれば、認識のズレを防げるでしょう。

昨今では、働き手不足や離職率増加により、選ばれる会社となるために人的資本経営や従業員エンゲージメント向上の必要性が求められています。従業員のパフォーマンスを最大限に引き出し、やりがいをもって働いてもらうためには、人員配置表を駆使した適材適所の人員配置が欠かせません。

下記の記事でも、適材適所の人員配置を実現するヒントをご紹介しています。

人員配置の最適化が求められる背景

人員配置の最適化が求められる背景には、先述の働き手不足や離職率増加が大きく関係します。

1つ目は、採用難の時代では採用・育成にかけられるコストが高く、組織内の配置を見直し、業務効率化が求められる点です。

2つ目は、「働き方の多様化」に柔軟に対応し、人材から選ばれる環境整備が求められる点です。拠点から遠方でのリモートワーク、育児・介護と仕事の両立、副業の承認、ダイバーシティの尊重など、コロナ禍以降多くの変化がありました。

これらの変化に応えながらも、組織目標の達成を叶える手段のひとつとして、人員配置の最適化が求められています

人員配置最適化の課題

人材マネジメントの課題を聞いたアンケートのうち、人事情報にまつわる課題が3/5入っており、いずれも22〜25%ほどの回答率である。

(出典)2020年9月報告書「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~」 - 経産省(強調枠はSmartHR Mag.が追加)

一方で、「人員配置の最適化」といっても、実現に至るまでにさまざまな障壁が存在します。上図のように「人事データが活用できていない」「人事データが収集・管理できていない」「人事データが散在し参照できない」といった課題を抱えていることが、人材版伊藤レポート2.0により判明しました。

このような人事データ課題の解決法の1つとして、人員配置表を用いた組織・部署情報の可視化が有用であると考えられます。

人員配置表を作成するメリット

先述のとおり、人員配置表は人員配置を進める際に大変役立つ資料です。

人員配置表を活用すると、現在の組織の状態を俯瞰して整理できます。従業員のスキルや経験・適性などが見やすく記載された表を活用すれば、適材適所の配置を検討しやすくなります。

さらに、従業員の雇用形態や働き方の確認や、人員配置による業務効率向上への貢献度測定といった用途にも活用できます。

人員配置表の作成ステップ

現状の人員配置表を作成する3ステップ

現在の人員配置を落とし込んだ人員配置表を作成する3ステップをあらわした図。

人員配置表の作成には3つのステップが存在します。従業員情報・組織情報を集約し、人員配置表へ反映するまでに、注視すべきポイントを解説します。

ステップ1:従業員情報の集約

従業員情報の集約時は、最新かつ正確な従業員情報を集約しましょう。氏名・年齢・社歴などはもちろんのこと、一人ひとりのスキルや保有資格、適正、キャリア志向・経歴など幅広いデータを集約します。

集約時の注意点として、従業員情報の収集項目や管理形式、表記の違いに着目しましょう。形式が異なると作成・管理の障壁となります。統一した形式で進められるように、組織として管理すべき情報をあらかじめリストアップし、表現を統一しておきましょう。

また、顔と氏名が一致しないという事態を避けるため、顔写真の掲載も有用です。

ステップ2:組織情報の集約

組織の構成部署をリストアップします。管理グループ>人事部>人事課>採用ユニットといったように、部署階層やポジションの明確化も重要です。

集約した組織情報に、ステップ1の従業員情報を落とし込みましょう。

ステップ3:人員配置表へ反映

集約した従業員情報、組織情報のなかから人員配置に必要な情報を抽出し、現状の人員配置表を作成します。人員配置表に落とし込むことで、人員配置検討に必要な情報のみを一覧化でき、活用しやすくなります。

人員配置を最適化する4ステップ

人員配置表というツールを利用して、未来の人員配置を最適化するための4ステップをあらわした図。

人員配置表は、あくまでも「人員配置を最適化」するためのツールの1つです。スムーズな人員配置には、人員配置表だけではなくさまざまな要素が存在します。以下の4ステップを参考に、自社に適した方法で適材適所の人員配置を進めていきましょう。また、前提として、人員配置は組織の目標達成のために検討すべきものと捉えましょう。

ステップ1:人員配置改善のための計画を立てる

前項で作成した現状の人員配置表をもとに、人員配置検討に必要な4つの計画「定員計画」「要員計画」「人員計画」「代謝計画」を立てましょう。

定員計画
組織が掲げる来期のミッション・目標達成のために必要な人員編成の大枠を決めます。予算を踏まえ、増員・削減の方針を決定します。​
要員計画
人件費・業務量をもとに、部門ごとの人員配置計画・採用計画を立てます。各部門へニーズのヒアリングをしたうえで検討しましょう。​
人員計画
従業員個人ごとの配置転換や異動、採用などの、具体的な人員配置の検討をします。​
代謝計画
要員計画と人員計画の間に生じた差異を埋めます。従業員の退職など想定外の事態が起きた場合には、さらなる配置変更や採用を計画する必要もあります。​

ステップ2:人員配置の変更案を決定する

ステップ1で検討した計画や、企業の業績やリソース、従業員の異動希望やキャリアプランのヒアリング結果などをもとに、人員配置の変更案を決定します。

ステップ3:新しい人員配置案を人員配置表に落とし込む

ステップ3の検討事項を反映した人員配置表を作成します。落とし込む際には、「人員配置表(人員配置図)とは」の項で説明した情報を盛り込む必要があります。

ステップ4:人員配置表をもとに、最適な人員配置を検討する

人員配置表により、人員配置案を見える化できたことで、改善点が見つけやすくなります。また、経営層・管理職などとの確認や承認がとりやすくなるでしょう。

改善案も人員配置表へ落とし込むことでさらなる検討がしやすくなり、人員配置表の最適化につながります。

人員配置表を作成するツール

ここからは人員配置表を作成する際に使用する、代表的なツールと作成方法について解説していきます。

表計算ソフトで作成する場合

人員配置表を作成するツールで最も一般的なのは、表計算ソフトです。

一般的に広く操作方法が知られており、多くの企業で利用されているため、担当者変更が発生しても引き継ぎ時に操作方法の説明が不要な点が大きなメリットです。

表計算ソフトフォーマットの人員配置表は、多種多様なテンプレートがインターネット上に一般公開されています。自社に適したフォーマットを選択できる点も魅力です。

表計算ソフトフォーマット人員配置表テンプレート

以下から表計算ソフトフォーマットの人員配置表テンプレートがダウンロードできます。

この表は、各部署に所属する従業員の個人名を雇用形態別に記入して作成します。

「現在どの部署が何名編成なのか」「誰がどの部門に所属しているか」などが簡単に把握できるため、人事配置計画の立案時に活用できます。

各従業員のデータについて、社歴や役職、特筆するべきスキルなどを記入する欄を設けると、さらに用途も広がります。

テンプレートを利用した人員配置表の例。各部署における従業員数や各雇用形態ごとの従業員氏名を一覧化した表。

※テンプレートを利用した人員配置表の例

人事管理サービスを利用する方法

表計算ソフトのほかに、人事管理サービスを利用するという方法もあります。

表計算ソフトが表やグラフの作成から高度な計算まで、さまざまな用途に活用できるアプリケーションであるのに対して、人事管理サービスは人事関連業務に最適化されたアプリケーションです。細かい点まで配慮して仕様が設計されており、人事・労務分野での使い勝手の良さに優れています。

また、従業員数が多い企業では、従業員の経歴・実績などのデータが膨大となるため、表計算ソフトの人員配置表ではデータ閲覧・管理が煩雑になり非効率です。一方、人事管理サービスには、従業員数の多い企業の利用に対応する想定で開発されているものもあり、より活用しやすい人員配置表を作成できます。

SmartHR配置シミュレーション機能による、人事管理システムを利用した際の人員配置表の例。

※SmartHR配置シミュレーション機能の例

SmartHRの配置シミュレーション機能を活用した人員配置表の作成

人事管理サービスは多くの種類がありますが、選ぶ際には配置検討から組織図作成までの一連の業務に対応する、用途の幅が広いサービスがオススメです。

SmartHRの場合は、「配置シミュレーション機能」や「組織図機能」が、適材適所の人員配置に大いに役立ちます。

SmartHRの配置シミュレーション機能では、従業員の顔写真を見ながら、ドラッグ&ドロップの操作をするだけで配置案を修正・確認できます。さらに、異動前後の平均勤続月数や平均年齢などの部署全体における統計データも確認できるので、部署ごとの人材のバランスを見る際に大きく貢献するでしょう。

3分でわかる!SmartHRの配置シミュレーション

人員配置表を活用し、最適な人員配置を

最適な人員配置を目指すのであれば、最新の情報にもとづいた各従業員の能力や経験を踏まえたうえで異動を進めなければなりません。そのためには、組織や従業員の現状を正しく管理する、人員配置表の活用が有効です。

規模が大きい企業では、従業員のデータが膨大な量となり、一般的な表計算ソフトを用いた人事管理表では管理が煩雑となります。自社の状況や課題に応じて、人事管理サービスを利用すれば人事担当者の負担軽減にもつながります。

人員配置表の作成には、ぜひSmartHR配置シミュレーション機能の活用もご検討ください。

最適な人員配置を実施するためのポイントを知りたい人は以下の記事も参考になります。

FAQ

  1. Q1. 人員配置表とは何ですか?

    従業員の所属部署、役職、担当業務などの情報をまとめた人員配置の状況を管理する表です。企業によっては「人員配置図」と呼ばれる場合もあります。

  2. Q2. 人員配置表は、何の役に立ちますか?

    現状の組織図や各従業員の情報が簡単に把握できるので、人員配置計画を立てるうえで役立ちます。

  3. Q3. 人員配置表はどのようなツールで作成しますか?

    表計算ソフトで作成するのが一般的ですが、人事管理サービスを利用して作成する方法もあります。とくに、従業員数が多い大手企業では、サービスの活用が効率化や人事担当者の負担軽減につながります。

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