人員配置は効率化が重要。基礎知識から、負担を軽くするヒントまで
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この記事でわかること
適切な人員配置は、効率よく業務を進めるうえで非常に重要です。この記事では、以下のことがわかります。
- 人員配置とは?
- 最適な人員配置が必要な理由
- 実施の流れ
- 大きな失敗を避けるためのヒント
- 作業を楽にするツール
目次
組織の人手不足解消やパフォーマンス向上には適正な人員配置が欠かせません。また、従業員視点でも能力を発揮、スキル向上が望める配置はモチベーションアップにつながります。
ここでは企業・従業員双方が納得できる人員配置に必要な知識や失敗しないヒント、作業負担を減らす方法について紹介します。
人員配置とは、重要度の高い人材マネジメント業務
人員配置とは、従業員をどの組織・ポジションに配置するか決める人材マネジメントを指します。採用や人事異動、昇進・昇格といった種類があり、人事部でも重要度の高いマネジメント業務の1つです。
看護業や介護業においては患者や入居者に対して配置すべき職員数の基準を「人員配置基準」と呼ぶこともあります。
似た意味をもつ言葉に人事配置、人材配置、適正配置などがあります。いずれも、人材を適正なポジションに配置する意味で用いられます。
なぜ人員配置の最適化が必要なのか
では、なぜ人員配置の最適化が必要なのでしょうか。その理由を組織・従業員それぞれの視点から解説します。
【組織視点】全体の効率化が期待できる
人員配置の最大の目的は組織全体の効率化です。
同じ組織でも稼働状況は部署ごとに異なります。慢性的な人手不足に悩まされているチームがある一方、事業縮小で余剰人員が生じている部署があるケースも。また、従業員の適性が業務にマッチしていないケースもあります。
リソースに余裕がある部署から人手が足りない部署への異動、あるいは従業員の適性や経歴を踏まえた適材適所の配置が、組織全体の効率化や成長につながるのです。
適材適所についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【従業員視点】労働環境の改善が見込まれる
個人の適性は業務に携わるなかで見つかるケースも少なくありません。また、家庭環境の変化などで従来の業務が難しくなることもあるでしょう。
希望する働き方が変わったのに労働環境はそのまま、という状況はリテンションに悪影響を及ぼす恐れも。
適正な人員配置によってライフスタイルに合った環境や、能力を存分に発揮できる部署へ異動できれば、より自分らしく働けるようになるはずです。
人員配置の種類
人員配置といっても、いくつか種類があります。ここでは、5つの人員配置について解説します。
人員配置の種類 | 内容 |
---|---|
採用 | 外部から新しい人材を入れ、配置する方法。新卒採用では基本的に研修を一通り終えたあとで配属先を決定するが、中途採用では経歴やスキルを考慮し、適切な部署へ配置するのが一般的。 |
異動 | 自社内の従業員を部署替えや異動により再配置する方法で、人員配置のもっとも多いケース。一定期間ごとにローテーションを変える社風、部署の拡大・縮小などさまざまな理由で実施される。 |
昇進・昇格 | 従業員をより上位の役職に配置する方法。誰かの昇進・昇格により空いたポジションには、新たな人材を配置するケースがほとんど。この繰り返しが若手の人材成長につながり、組織全体の活性化が期待できる。 |
雇用形態の変化 | 会社都合や従業員自身の希望で契約職員から正社員、あるいは正社員から契約職員やパートタイマーに雇用形態を変更する方法。雇用形態の変更とともに、より従業員が働きやすい部署へ人員配置を実施されるケースも。 |
リストラ・雇い止め | 事業の規模縮小などの理由によるリストラや雇い止めも人員配置の一例。ただし、解雇は企業の人員配置にとって最終手段。人材の流出を防ぎ既存従業員のリテンションを維持するためにも、可能な限り避けるのが無難と考えられる。 また、実施後はいままでよりも少ない従業員で業務を遂行するため、負担に偏りが生じないか注意も必要。 |
人事異動について、詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
人員配置に絶対の正解はない
人員配置には「これさえ押さえておけば絶対に大丈夫」という正解はありません。
従業員の状況や企業の業績、さらに社会環境はめまぐるしく変化します。1年前にはベストだと思われた人員配置も、現場ではうまく機能していないといった状況も起こりうるのです。人員配置は実施して終わりではなく、定期的な見直しと必要に応じた柔軟な対応が大切なのです。
また、異動にせよ採用にせよ、デメリットが生じます。新しい環境での一からの学び直しは、企業にとっては教育コストがかかり、従業員にとっては精神的負担になります。場合によっては従業員のモチベーション低下や離職につながりかねません。
人員配置では客観的なデータの収集、入念なコミュニケーションによる従業員の状況把握、それらを検討する十分な時間のすべてが揃った状態が理想的です。とはいえ、人員配置の工数を増やすとほかの業務を圧迫してしまう恐れもあるでしょう。限られた時間でより適切な人員配置を叶えるには、ツールの活用が効果的です。
SmartHRの「配置シミュレーション」は、従業員の正確な労務データやこれまでの人事評価、調査結果を簡単に参照できます。配置案の作成から組織図への反映まで完結できるのも特徴です。
配置シミュレーションの機能はこちらのページで詳しく紹介しています。
最適化を進めるステップ
最適な人員配置を進めるにあたっては「完璧を目指さない」姿勢が大切です。
どれだけ入念にシミュレーションを重ねても、実際に配置してみると想定していなかった課題が見つかる場合も。また、組織や従業員の状況は日々変化するため、ある一点において最適だと思われた人員配置でも、定期的な見直しが必要です。
完璧な人員配置を目指して必要以上に時間を費やしたり、無理な人事異動を命じたりすると、かえって組織が機能しなくなる恐れがあります。「そのときの課題を解決する人員配置」を目指す程度の姿勢で取り組み、必要に応じて柔軟に対応するほうがスムーズに進められます。
具体的な人員配置の流れ
繰り返しとなりますが、人員配置は一度実施して終わりではなく、定期的な見直しが必要です。その前提を踏まえ、以下の順番で進めます。
(1)現状の人員配置を整理する
現在の人員配置をもとに人材配置表を作成し、現状を把握します。人材配置表には、個々人の人柄などもまとめておくと、その後の配置の参考になります。なお、SmartHRでは人材配置表作成も可能です。
(2)それぞれの部署にどんな課題があるか把握する
人材配置表によって組織状況が可視化されたら、人員配置に関わる課題も客観的に見えてくるはずです。具体的には
- 人が足りない
- 人が多すぎる
といった課題を洗い出します。
(3)どのような人員配置が必要か考える
(2)で見つかった課題をふまえ、必要とされる人員配置を考えます。人が足りないのであれば、人材を用意する方法も検討しなければなりません。外部から採用するのか、自社内の人材を異動させるのかによってコストも変化します。逆に余剰人員が発生している場合は、適した部署への異動を考える必要があります。
(4)配置シミュレーションを実施する
課題の洗い出しと解決策の検討後、配置シミュレーションを実施します。この段階では客観的なデータの管理と活用がカギとなります。SmartHRなら最新の正確なデータを簡単に参照できるため、効率よい人員配置シミュレーションが可能です。
(5)シミュレーションをもとに、関連部署へ相談する
シミュレーション結果は関連部署にも展開しましょう。データのみを基準とした判断は、ときに現場の実状とかい離する可能性があります。実状に沿った人員配置のためにも、現場の声も欠かさずにヒアリングしたいところです。また、企業内での異動が発生する場合は、従業員本人の意向確認も必要です。
(6)人員配置の変更を実施する
ヒアリングに問題がなければ、人員配置の変更を実施します。
(7)配置後の見直し・必要に応じてケアを実施する
人員配置後は、売上や契約数といった数値で配置前よりも成果が出ているか、組織として成長しているかを判断します。期待した結果が得られていなければ、原因を調べ、再度の人員配置も検討します。また、異動した従業員には、環境の変化や業務量に負担が生じていないか、個人的なフォローも忘れないようにしましょう。
大きな失敗を避けるための5つのヒント
不適切な人員配置の実施は、従業員のモチベーションやリテンションに悪影響を及ぼす恐れも。とくに異動の場合、企業と従業員、双方が納得のいく人員配置は簡単ではありませんが、大きな失敗を避ける方法はあります。ここでは押さえておくべきポイントを5つ紹介するので、ぜひ、人員配置変更時の参考にしてください。
(1)法的な注意点は一通り確認
一般的に、従業員は採用時の配属や人事異動命令を拒否できません。過去の裁判例でも、企業の人事権は広く認められています。ただし、あらかじめ就業規則に人事異動に関する定めを明記しておく必要があります。なお、異動の根拠が不明瞭、労働契約に違反している、人事権の濫用と判断されるなどの場合はその限りではありません。
(2)従業員の意見を尊重
就業規則に明記があり法律的に問題がなくとも、相手はひとりの人間であると忘れてはいけません。あくまで企業はお願いする側という姿勢で、従業員の意見を尊重しましょう。人事異動が必要な理由、なぜその従業員を選んだか、異動後の業務内容や勤務条件などを説明したうえで、従業員の理解が得られれば労使間のトラブルに発展する可能性は低くなります。
(3)従業員に不利益が生じる場合は、入念なサポートを
理解や納得をしたうえで人事異動には応じるものの、異動後の業務内容・待遇の変化に不安が残る従業員は少なくありません。そのような従業員の不安や異動にともなう不利益に対しては、企業側がきちんと寄り添いサポートする姿勢が大切です。
(4)客観的なデータにもとづいて実施
不当な人事異動だと思われないために、配置変更時は客観的なデータにもとづいて実施しましょう。企業本位の人事で配慮が欠けていると判断されると、従業員のモチベーション低下や企業への不信感につながってしまいます。
(5)配置変更後も定期的に確認
くり返しではありますが、人員配置は実施して終わりではありません。狙った効果が得られているか、配置変更後の従業員の満足度に問題はないか、さまざまな視点から定期的な見直しが必要です。
以上のポイントを押さえつつ、必要に応じて柔軟な対応をとれば、人員配置による大きな失敗やトラブルは避けられます。
難しい人員配置は、便利なシステムで効率よく
人員配置は人事部の業務のなかでも負担が重く、定期的な見直しも必要です。また、客観的なデータの管理・活用も欠かせませんが、実施のたびに組織の状況把握やヒアリングをするのは容易ではないでしょう。
ツールを活用すればデータ整理の負担も抑えられますが、とはいえ、使いこなせるか不安に感じる人もいるかもしれません。
SmartHRの「配置シミュレーション」は、従業員の顔写真をドラッグ&ドロップするだけで配置ができる、直感的な操作感が特徴です。作成した配置案はプロジェクト単位で残しておけるため、複数の配置パターンシミュレーションや再検討も容易。また、従業員側の操作はスマホのみで完結します。実際に導入した企業のなかには、PC操作に不慣れな従業員でもスムーズに使用できたとの声もあります。
SmartHRの導入を検討している方は、ぜひこちらの動画も参考にしてください。
〖SmartHR導入事例:卸・製造業界〗遠山産業株式会社(遠山グループ) - SmartHR
FAQ
Q1. 人員配置とは何ですか?
人員配置とは、従業員をどの組織・ポジションに配置するかを決める人材マネジメントを指します。従業員一人ひとりの適正、組織全体の状況を鑑みて必要に応じて実施されます。
Q2. 人員配置には、どのような種類がありますか?
人員配置にはいくつか種類があり、採用・異動・昇進(昇格)・雇用形態の変更・リストラ(雇い止め)などがあります。企業はこれらを適切に組み合わせ実施し、事業計画の効率化を図ります。
Q3. 人員配置の最適化を進めるにあたって、大事なことはなんですか?
一度人員配置を実施して終わりではなく、定期的な見直しが大事です。また、企業主体の人事にならないよう意識し、配置にともない生じる従業員の不安や不満へのフォローも大切です。