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  2. イベントレポート

導入企業が語る! HRテクノロジー導入、活用の本音【SmartHR 導入企業 3社登壇】

公開日
目次
  1. 冒頭挨拶
  2. Q.1 「自社はHRテクノロジーを十分に活用できていますか?」
    1. A.1-1 「YES。店舗と本部の間で3週間かかっていた書類のやり取りが、即日に」(サッポロドラッグストアー社)
    2. A.1-2 「YESとは言い切れない。まだ持て余しており、全従業員は使いこなせていない」(セクションエイト社)
    3. A.1-3 「YESとは言い切れない。システム間連携にまだまだ効率化の余地あり」(DMM.com社)
  3. Q.2 「HRテクノロジーサービスを導入してよかったですか?」
    1. A.2-1 「YES。店舗と本部間の書類のやり取りがなくなった」(セクションエイト社)
    2. A.2-2 「YES。HRテクノロジーで業務の効率化と自動化を実現」(DMM.com社)
    3. A.2-3 「YESとは言い切れない。車通勤の実状とあわせた通勤費設定をしたい」(サッポロドラッグストアー社)
  4. Q.3 「SmartHRを導入して、実際よかったですか?」
    1. A.3-1 「YES。年末調整と社会保険手続がスムーズに。今後はタレマネ機能に期待」(DMM.com社)
    2. A.3-2 「YES。3,500人分の書類の郵送が不要に」(サッポロドラッグストアー社)
    3. A.3-3 「YES。ペーパーレスと内製化を実現」(セクションエイト社)
  5. Q.4 「HRテクノロジーを導入して、社内評価に変化はありましたか?」
    1. A.4-1 「NO。管理部効率化の裏で、店舗への負荷があった」(セクションエイト社)
    2. A.4-2 「YESとは言い切れない。HRテクノロジー自体は手段に過ぎないが、運用効率化で新たな時間が生まれた」(DMM.com社)
  6. Q.5 「HRテクノロジー導入に経営陣は協力的ですか?」
    1. A.5-1 「YES。経営陣がシステム導入に協力的」(セクションエイト社)
    2. A.5-2 「YES。トップダウンでIT化が加速」(サッポロドラッグストアー社)
    3. A. 5-3 「YESとは言い切れない。費用対効果が問われるため評判だけでは導入しづらい」(DMM.com社)
  7. Q.6 「HRテクノロジー導入で、上長や決裁者の説得は大変でしたか?」
    1. A.6-1 「NO。段階的に導入することで店舗の負担を抑えた」(サッポロドラッグストアー社)
    2. A. 6-2 「YES。費用対効果を明確にしつつ、リスク回避効果も提示し稟議を提出」(DMM.com社)
  8. Q.7 「働き方改革の推進に、HRテクノロジーは貢献していますか?」
    1. A.7-1 「YES。店長の負荷が減ることで、残業も軽減」(サッポロドラッグストアー社)
    2. A.7-2 「YESとは言い切れない。各自が労働時間を確認できるようになったのがプラス」(セクションエイト社)
  9. おわりに

2019年5月9日、日本の人事部主催「HRテクノロジーカンファレンス2019 -春- TECH DAY」が開催されました(後援・厚生労働省、経済産業省)。

同イベントで、SmartHR 代表取締役の宮田 昇始が、パネルセッション「導入企業が語る! HRテクノロジー導入、活用の本音」のモデレーターとして登壇。

株式会社セクションエイト 財務・経理部 加藤 清宏さん、株式会社サッポロドラッグストアー 人事部 給与厚生担当 中村 朋広さん、合同会社DMM.com 人事部東京労務グループ 篠﨑 孝太さんの、3名のパネリストと宮田の計4名でディスカッションを行いました。

本稿では、「オフレコ」を除いたすべての内容をご紹介します。

導入企業が語る!HRテクノロジー導入、活用の本音

冒頭挨拶

宮田

皆さま、こんにちは。株式会社SmartHR代表の宮田と申します。

本日は、「導入企業が語る、HRテクノロジー導入、活用の本音」というテーマで、現在SmartHRをご利用中の3社をお招きして、「実際のところHRテクノロジーってどうですか?」という話をお聞きしたいと思います。

私たちSmartHRは、人事の方が時間を確保できるよう、煩雑な労務管理をカンタンにするサービスを提供しています。

今回、パネリストの皆さんにはSmartHR以外のHRテクノロジーサービスについてもぜひお話しいただきたいと思っています。

それでは、本日の登壇者をご紹介したいと思います。

​加藤さん

株式会社セクションエイトの加藤と申します。

加藤さんプロフィール

弊社は飲食店を展開しており、ブランド名でいいますと、「相席屋」とスタンディングバーの「パブリックスタンド(The Public stand)」を運営しています。本日はできるだけ本音でお話しできればと思っていますので、よろしくお願いいたします。

中村さんプロフィール

弊社は、北海道を中心にドラッグストアチェーン「サツドラ」を203店舗、調剤薬局を10店舗、「北海道くらし百貨店」を4店舗運営している小売業の会社です。

​篠﨑さん

合同会社DMM.comの篠﨑と申します。

篠崎さんプロフィール

弊社はウェブ・ITを中心に、多種多様なサービスを展開しています。私は労務グループで、給与計算や社会保険の手続き、入社・退社等の一般的な労務管理を行っています。

自社がIT企業ということもあり、HRテクノロジーは複数利用しているため、今日は色々ご紹介できればと思っております。

宮田

ありがとうございます。今日は皆さんが本音で話せるよう、「YES」「NO」「YESとは言い切れない」「オフレコ」という4種類の札を用意しています。

「SmartHRを導入して良かったですか?」などの質問にも遠慮せず札で答えていただければと思います。

YES、NO、YESとは言い切れない、オフレコ、4種類の札

Q.1 「自社はHRテクノロジーを十分に活用できていますか?」

​宮田

まず最初の質問です。「自社はHRテクノロジーを十分に活用できている」と思いますか?

A.1-1 「YES。店舗と本部の間で3週間かかっていた書類のやり取りが、即日に」(サッポロドラッグストアー社)

中村さん

私は「YES」です。弊社は今まで、紙の手続き書類を各店舗へ配布して、店長がまとめて、本部に週1回のメール便評価や勤怠など他ので送り返す業務がありました。郵送に1週間、店長が店舗スタッフと情報の突き合わせをするのに1週間、本部に戻ってくるのは3週間目と、非常に長い時間がかかっていたんです。SmartHRを導入してからは、電子配布をしたその日に書類が回収できることが増えてよかったと思っています。

​宮田

ありがとうございます。今、店舗数はどれくらいですか?

​中村さん

ドラッグストアが203、調剤薬局が10、北海道くらし百貨が4ですので、全部で217店舗です。

​宮田

各店舗との書類のやり取りはどのくらいの頻度で発生していましたか?

​中村さん

多い時で、週1回の回収でして、1店舗から30枚ほど届くため、217店舗だとすごい数ですね。

A.1-2 「YESとは言い切れない。まだ持て余しており、全従業員は使いこなせていない」(セクションエイト社)

宮田

「YESとは言い切れない」の札を上げた加藤さんはいかがですか?

加藤さん

弊社は、SmartHRは活用できていると思いますが、評価や勤怠など他のHRテクノロジーはまだ持て余していて、全従業員は使いこなせていないと感じています。

肌感として、使いこなせているのはシステム全体の60%ぐらいだと思います。

A.1-3 「YESとは言い切れない。システム間連携にまだまだ効率化の余地あり」(DMM.com社)

篠﨑さん

私も「YESとは言い切れない」を選びました。

弊社は、個別最適で各部署がシステムを次々に導入したため、システム同士の連携でまだ効率化の余地があると思っています。現状、似たような更新作業を、別のツールでやっていることもあります。

宮田

システム同士のデータの連携は、今はCSVでダウンロードして都度アップロードしている状況でしょうか?

​篠﨑さん

そうですね。1人の従業員の情報変更の際は、常時2~4個のシステムを、それぞれのチームが更新しています。

Q.2 「HRテクノロジーサービスを導入してよかったですか?」

宮田

続いての質問ですが、HRテクノロジーサービスを導入してよかったと思いますか?

SmartHRに限らず、導入してよかったHRテクノロジーサービスがあれば、そちらも教えてください。

宮田さん

A.2-1 「YES。店舗と本部間の書類のやり取りがなくなった」(セクションエイト社)

加藤さん

私は「YES」です。中村さんと同じく弊社もアルバイトの人数が多く、また入退社数も多いのですが、今までは入店の書類を本部と店舗間でFAXや郵送でやり取りしていました。そういったアナログ作業が、SmartHR導入後、完全になくなりました。

あとは、就業ルールを守らないアルバイトスタッフがいたりしますが、SmartHRの雇用契約機能を通して誓約事項に同意してもらうことで、仮にトラブルがおきた場合にも会社として担保が取れています。SmartHRを導入してよかったと感じています。

宮田

SmartHR以外で導入してよかったものがあれば、ぜひ教えてください。

加藤さん

2ヶ月ほど前から勤怠管理を「ジョブカン」に切り替えました。全アルバイトの人件費がリアルタイムにわかり、非常に便利だと思います。

宮田

繁忙期など、アルバイトの方がたくさんシフトに入るタイミングも管理しやすそうですね。

​加藤さん

シフト管理と実績の対比ができるため、シフトよりも人件費が高い時は、本部から店舗に指摘ができたりするんですよね。

A.2-2 「YES。HRテクノロジーで業務の効率化と自動化を実現」(DMM.com社)

篠﨑さん

私も加藤さんと同様に「YES」です。HRテクノロジーを導入することで、業務の効率化と自動化がかなり進みました。

SmartHR以外では、新たに組織改善プラットフォームの「wevox」と就業規則等を管理する「規程管理システム」を導入しました。

wevoxでは従業員のエンゲージメントを管理しています。入退社の多い会社なので、今後はここで得られるデータを軸に(組織改善策を)検討したいと考えています。

「規程管理システム」は、就業規則の改定作業や従業員への公開などを一貫して行えるシステムです。今までは就業規則をWordファイルで管理していましたが、システムを導入したことで、かなり楽になったと思います。

例えば、4条を差し込んだときに、5条以降の条数を全部自動で変えてくれますし、新旧対照表を一発で出せます。また、労働基準監督署へ提出する書類もすぐに作成できますので、すごく便利になりました。

A.2-3 「YESとは言い切れない。車通勤の実状とあわせた通勤費設定をしたい」(サッポロドラッグストアー社)

宮田

「YESとは言い切れない」を選んだ中村さん、その理由をぜひストレートに教えてください。

中村さん

SmartHR上の通勤費設定は「公共交通機関を利用する通勤」が基本となっていますが、広大な北海道に拠点を置く弊社では車通勤の方が非常に多いんですね。

これだと私たちの状況にはちょっと合っていなくて、交通費を変更する際に担当者から厳しいコメントをもらったことがあります。2019年4月に「申請・承認機能」もリリースされたので、今後はそれを活用していきたいと考えています。

中村さん

Q.3 「SmartHRを導入して、実際よかったですか?」

宮田

SmartHRを導入して実際よかったでしょうか?

先ほどの質問は「HRテクノロジー全般」についてお聞きしましたが、SmartHR単体について遠慮なく「YESとは言い切れない」や「NO」を出していただければと思います。

これから導入を考える皆さまの助けになると思いますので、「ここ少し微妙だったな」とか「導入するときに大変だったな」なども、遠慮なく聞かせていただければと思います。

A.3-1 「YES。年末調整と社会保険手続がスムーズに。今後はタレマネ機能に期待」(DMM.com社)

篠﨑さん

私は「YES」です。年末調整をきっかけとしてSmartHRを導入しましたが、もちろん年末調整はスムーズに進みましたし、社会保険の手続きに割くリソースも減らせたので、かなり効率化できていると思います。

弊社はIT企業のため、エンジニアやデザイナーが多く在籍していますが、システムの挙動にこだわりが強い方も多く、厳しいコメントをもらうこともあります。使いづらいという声が多い場合、人事側で使い方マニュアルを整備して、問い合わせを減らす工夫をすることもあります。時には入れ替えを検討することもありますね。

一方、SmartHRに対してはネガティブな反応は少なくて、むしろポジティブなリアクションがとても多いんです。

評判が良く使い勝手もいいので、今後はタレマネ(タレントマネジメント)の側面で使っていきたいのですが、そのあたりはまだ少し弱いので今後に期待しています。

宮田

ありがとうございます。私は元々開発出身の人間なので、エンジニアの方々に褒めていただくのは非常にうれしいです。

タレマネとしてはまだ足りない部分はありますが、「カスタム社員名簿機能」を(2019年)4月にリリースしたので、今後強化していきたいと思います。

A.3-2 「YES。3,500人分の書類の郵送が不要に」(サッポロドラッグストアー社)

中村さん

私も「YES」です。先ほどもお話ししましたが、弊社は従業員が約3,500人いるので、今までは書類のやり取りが大変でした。具体的には封筒とラベルを用意して、書類を印刷し、各店舗分に仕分ける作業が煩雑で悩みの種だったんです。

私が所属している給与厚生チームは現在4名ですが、年末調整の時期は人手が足りなくなるため、派遣スタッフさんを1名雇っていました。でも、SmartHRを導入してからは、4名で対応できるようになっています。

給与明細については、以前はメール配信サービスを導入していたんですが、スタッフに高齢者が多く「メールアドレスを持っていない」「携帯電話もパソコンも持っていない」という方がいるため、1,000人分は変わらず紙に印刷して郵送していました。運送業者さんの14時の集荷に間に合うよう、朝から必死で郵送準備していましたが、この必要がなくなったことも非常に助かっています。

宮田

同じような悩みを聞くことは多いですね。高齢の方もですが、若い方もメールアドレスを持っておらず、「LINEしか使っていません」という状況もあるそうです。

SmartHRでも、LINEと提携し、LINE上で給与明細が送れるようにしていきたいと考えており、年内には着手予定です。

A.3-3 「YES。ペーパーレスと内製化を実現」(セクションエイト社)

加藤さん

私も「YES」です。やはりペーパーレス化できたことと、社会保険の申請など今まで社労士さんに委託していた作業を、社内で内製化できたことが良かったです。

一方で、中村さんの話にもありましたが、弊社のアルバイトも20〜22歳と年齢が若いので、メールアドレスを持っていない人もいるんですよね。SmartHRの招待メールを送るときにすごく苦労しました。現在もそういった状況が続いているので、LINE連携してもらえたらありがたいです。

宮田

大体何割ぐらいの方が、メールアドレスを持っていないんですか?

​加藤さん

具体的な数字では把握していないですが、結構な人数がメールアドレスを持っていないですね。現在はメールアドレスではなく社員番号で招待する方法でカバーできています。

加藤さん、篠崎さん、中村さんが札を挙げている様子

Q.4 「HRテクノロジーを導入して、社内評価に変化はありましたか?」

​宮田

アンケートに「聞いてみたい」と書かれていたのですが、HRテクノロジー系のサービスを導入して、“ご自身の社内での評価”に変化はありましたか?

A.4-1 「NO。管理部効率化の裏で、店舗への負荷があった」(セクションエイト社)

加藤さん

私は「NO」です。業務の効率化は「システムを入れたら効率化できて当たり前」と思われている部分があるかなと。あとは、SmartHRを入れる前は、店舗の入店書類は本部にFAXをするだけでよかったのですが、今はまずSmartHRの招待メールを送らなければいけない。「管理部だけが楽をして、店舗に負荷をかけているんじゃないか」という声は、ちらほら聞きます。

​宮田

耳が痛い話をありがとうございます。我々としても、店長さんがもっと楽になるようにできたらいいなと思います。

A.4-2 「YESとは言い切れない。HRテクノロジー自体は手段に過ぎないが、運用効率化で新たな時間が生まれた」(DMM.com社)

篠﨑さん

私は「YESとは言い切れない」です。あくまで、HRテクノロジーの導入は手段なので、これが直接評価に値するかというと、YESではないためです。

ただ、導入したことで運用が効率化して、他の仕事に時間を割けるようになったので、評価され得る仕事ができたという点ではYESという気もするので、「YESとは言い切れない」を挙げました。

宮田

ありがとうございます。差し支えなければ、生まれた時間で新たにどのような業務を手掛けたのかを教えてください。

​篠﨑さん

弊社での人事の役割は事業に貢献することなので、従業員の負荷を下げたり働き方改革に寄与したりといった点での評価に繋がっています。

Q.5 「HRテクノロジー導入に経営陣は協力的ですか?」

宮田

続きまして、HRテクノロジー導入に経営陣は協力的ですか?

経営陣に限らず、店舗の店長さんや直属の上司など、ステークホルダーの皆さまも協力的でしょうか?

A.5-1 「YES。経営陣がシステム導入に協力的」(セクションエイト社)

加藤さん

私は「YES」です。SmartHRも「ここまでペーパーレス化できるシステムはないよ」と上司が勧めてくれたのが導入のきっかけでした。評価システムも代表が情報を入手して、そのまま導入するなど、経営陣が業務効率化システムに理解があるため、協力的で非常に助かっています。

ただし、導入後の成果について常にアピールするのも必要だと感じています。

A.5-2 「YES。トップダウンでIT化が加速」(サッポロドラッグストアー社)

中村さん

私も「YES」です。弊社のデジタル部門のチーフオフィサーが、前職でSmartHRの利用経験があり「非常に使い勝手が良かったよ」と社長に紹介し、トップダウンで進行したため導入は非常にスムーズでした。

宮田

デジタル部門のチーフオフィサーの方は、社内全体のIT化を推進するのが役割ですか?

中村さん

はい。先ほど篠﨑さんからも話がありましたが、弊社も部分最適でシステム導入を進めたため、まだシステム間の連携ができていないんです。それを見直し改革しようと、就任しています。

宮田

サッポロドラッグストアーさんは、店舗数も従業員も非常に多いため、もしかしたら予算取りに苦労されるのではないかと思いましたが、チーフオフィサーの就任から何か変化はありましたか?

​中村さん

SmartHRの導入が成功事例となり、今まさにIT化が加速中ですね。

A. 5-3 「YESとは言い切れない。費用対効果が問われるため評判だけでは導入しづらい」(DMM.com社)

篠﨑さん

篠﨑さん

私は「YESとは言い切れない」です。弊社は、基本的に費用対効果とメリット・デメリットで判断されるため、「評判がいい」「便利だ」といった情報だけでは導入しづらいんです。逆にいうと、費用対効果を客観的かつ具体的に打ち出せれば、稟議は通りやすいので、その点では「YES」だと思います。

ただ、HRテクノロジーの場合、費用対効果を換算しづらく、工数の見積もりも曖昧になりやすいので、その点の難しさも感じています。

​宮田

ありがとうございます。「上司にどのように提案したらいいか分からない」というお声をいただくことが多いため、SmartHRの公式サイトに「コスト削減シミュレーター」を設置しました。従業員数や工数を入力すると、「これぐらいのコストが削減できますよ」という簡単なシミュレーションが可能です。興味がある方は、ぜひ一度活用してみてください。

Q.6 「HRテクノロジー導入で、上長や決裁者の説得は大変でしたか?」

​宮田

先ほどと少し似た質問ですが、HRテクノロジー導入で、上長や決裁者の説得は大変でしたか?

A.6-1 「NO。段階的に導入することで店舗の負担を抑えた」(サッポロドラッグストアー社)

中村さん

トップダウンの導入だったため「NO」です。

宮田

サッポロドラッグストアーさんは店舗がたくさんあるため、店長さんへの説明が大変というイメージがありますが、どのように進めましたか?

中村さん

おっしゃるように店舗が多いため、SmartHRの導入時は、全機能を一度に導入するのではなく、段階的に導入しました。

まずは入社手続きのみ。その後、給与明細、オンライン雇用契約ペーパーレス年末調整と、徐々に進めたため、一気に店長に負担がかかることはありませんでした。ただし、特に従業員数が多い大型店舗2軒の店長からは大変だったと言われています。

宮田

大型店舗の従業員数は何名ぐらいですか?

​中村さん

パートとアルバイトがほとんどで、従業員は50人以上います。一番最初のログインができないという問題が起きたため、すべて本部の私に連絡をもらうよう通達を出したところ、導入初日は1日中電話が鳴り続ける状況でした。

A. 6-2 「YES。費用対効果を明確にしつつ、リスク回避効果も提示し稟議を提出」(DMM.com社)

篠﨑さん

私は「YES」です。比較的容易に導入したツールもありますが、先ほどの就業規程の更新作業工数や労働基準監督署にどんなものを提出しないといけないかなど、他部署からはなかなか見えづらいので、メリット・デメリットや費用対効果を出しても、「これ、本当にこんなに手間がかかるの?」といった指摘が入り、大変でした。

逆に、SmartHRだと、年末調整は実際に手続きが面倒くさいことを役員も経験しているのでイメージしてもらいやすかったため、導入はスムーズでした。

宮田

先ほど、「ばっちり費用対効果を見ている」という話がありましたが、稟議の際にどのように費用対効果を計算していますか?

篠﨑さん

基本的に人月換算していますね。この業務に何人が何時間かけていて、人件費で換算するといくらですと。それに対して、ツールの利用料金はいくらなので、これだと費用対効果が合いますよね、という説得が基本になっています。

宮田

たくさんツールを導入されていますが、稟議を通すコツってあるんですか?

篠﨑さん

基本的に費用対効果を出しつつ、「手続きの抜け漏れなどで法律に触れたり、賠償金を請求されたりする可能性もあります」などのリスク面もあわせて提示することがあります。

​宮田

雇用契約の巻き直しを間違えたら危ない、とかありますもんね。

Q.7 「働き方改革の推進に、HRテクノロジーは貢献していますか?」

宮田

最後の質問ですが、昨今の働き方改革の推進についてです。

例えば、有給休暇の5日取得義務化など向き合うべきことが多いと思いますが、そういった働き方改革の推進に、HRテクノロジーは寄与していますでしょうか?

A.7-1 「YES。店長の負荷が減ることで、残業も軽減」(サッポロドラッグストアー社)

中村さん

私は「YES」です。弊社はドラッグストアチェーンを営む小売業という特性上、少ない正社員数に対し、パート・アルバイトが多いという構図が年々顕著化しているため、店長の作業量が非常に多いんです。

しかし、先ほどもお話したとおり、これまで大きな負担になっていた書類作業がなくなったことで、店長が関わる労務の負担はかなり軽減され、残業削減の面でも効果が出ました。

A.7-2 「YESとは言い切れない。各自が労働時間を確認できるようになったのがプラス」(セクションエイト社)

加藤さん

私は「YESとは言い切れない」です。まだ実感が湧かないというか、どのような形で成果が出ているのかがまだわからない段階なので、半年ほど検証し振り返る必要があると考えています。

宮田

少し「YES」の部分があるとすれば、それはどのあたりだと思いますか?

​加藤さん

今回、クラウド勤怠システムにしたことで、各自が携帯から「今月の労働時間」「1日の労働時間」「残業・深夜の労働時間」を確認できるようになったことはプラスになっています。

加藤さん

おわりに

宮田

最後に皆さんに一言ずつコメントを頂きたいと思います。今日はどちらかというと、業務効率化系のHRテクノロジーの話が中心でしたが、「今後こういうHRテクノロジーを使ってみたい」というものがあればぜひお願いします。

加藤さん

軸となるシステムはすでに入れているので、今後どう使いこなすかが重要になります。

弊社は今4つのシステムを導入しているので、SmartHRを軸に、勤怠・人事・給与の3つのサービスをつなげることで、従業員が自身の人事情報について確認したいときに「このシステムを見ればOK」という形にまとめたいと考えています。また、まだExcelファイルで管理しているアナログな部分もあるため、それらを全てシステムに集約できるよう業務改善を進めていきたいと思います。

​宮田

従業員と会社の管理部の接点をつくりつつ、間違いのない正確な人事データをいつでも確認できるように、SmartHRとしても今後注力していきます。

​中村さん

私も加藤さんと同じような考えです。今はまだ、勤怠システムと給与システムとSmartHRを連携できていないため、CSVデータを加工して取り込む作業をしていますが、採用管理システムも含めて、人事情報の活用を効率化していきたいです。

篠﨑さん

HRテクノロジーはシステム間の連携が課題なので、まず今年は核となるシステムを検討したいです。先日、人事部のリーダー陣でミーティングをしたときに、「働き方を考えたり、新しい制度を作ったり、課題のある従業員に個別で向き合ったりなどの時間を取れる組織にしたい」という話が上がりました。その実現に向け、可能な限り手続きや管理等の運用は自動化・効率化させていきたいです。

そして、先進的な情報を収集するためにも、発信や情報交換を今後強めていきたいです。

宮田

加藤さん、中村さん、篠﨑さん、ありがとうございました!ご登壇いただいたお三方に、ぜひ大きな拍手をお願いいたします。

(了)

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