事業所が行うべき「雇用保険手続き」における重要なポイント

2018.04.19 ライター: SmartHR Mag. 編集部

人事労務担当者にとって、雇用保険に関する手続きは複雑で難しく感じるかもしれません。

事務所が従業員を雇用したり、あるいは従業員が離職したりする度に手続きしなければならず、提出する書類も多岐に渡ります。

特に離職の際の手続きは退職者の失業保険という経済面にも関わってくるため、非常に責任の重い業務です。

ここでは、雇用保険の手続きが必要になってくるケースやその対象、手続きの内容についてポイントごとに解説していきます。

雇用保険の加入条件、3つのポイント

まずは、雇用保険の加入条件における3つのポイントを解説していきます。

【その1】会社が雇用保険適用事務所かどうか

会社に雇用保険への加入義務があるかどうかを知る必要があります。そのチェックポイント1つめは、会社が雇用保険適用事務所かどうかです。

たとえ1人でも被保険者の条件を満たした従業員を雇用する場合、その会社は雇用保険適用事務所となり、雇用保険加入の手続きを行わなければなりません。

従業員が退職した際、次の職を得るまで失業保険を受給するには、在職中に雇用保険に加入し雇用保険料を支払っている必要があります。失業中の従業員の生活を守るために、適用事務所が雇用保険加入手続きを行うことは必須とされているのです。

【その2】正社員かどうか

雇用保険の被保険者となる従業員とは具体的に誰のことでしょうか。

まず対象となるのは正規雇用の従業員、いわゆる「正社員」と呼ばれる従業員です。過去には例外として、65歳以上の時点で雇用した従業員は雇用保険の加入資格適用外でした。しかしこの加入条件は2017年1月1日以降撤廃され、現在は年齢にかかわらず正社員であれば雇用保険への加入義務があります。

また、たとえ試用期間中であっても、正社員として雇用する見込みで勤務し報酬が支払われていれば、雇用保険への加入義務があります。本採用を決定する際に手続きするのではなく、試用期間も含めて手続きを行うよう、事務所側が注意を払わなければなりません。

【その3】加入義務が生じる「パート・アルバイト」とは?

正社員ではなく、パートやアルバイトの従業員でも雇用保険への加入義務が生じる場合があります。

1週間の所定労働時間が20時間以上あり、なおかつ31日以上継続して雇用が見込まれる場合は、非正規雇用者でも雇用保険の加入手続きを行わなくてはなりません。

雇用した当初に31日以上の勤務が見込まれない場合でも、その後条件が変更され31日以上勤務することになった場合は、その時点で雇用保険への加入義務が発生します。短期の予定だったアルバイターが長期勤務に変わった場合などは、事務所側が加入手続きを忘れがちになるため注意が必要です。

季節労働者も条件によっては「短期雇用特例被保険者」という雇用保険の被保険者になります。4ヶ月以上の継続雇用契約を結び、なおかつ週の所定労働時間が30時間以上あることが加入条件です。

短期雇用特例被保険者が失業した際には、いわゆる失業手当の代わりに特例一時金を給付金として受け取ることになります。

事業所が行うべき雇用保険の手続き、2つのタイミング

次に、事業所が行うべき雇用保険の手続きが必要になる、「雇入れ時」と「離職時」の、2つのタイミングについて解説します。

【その1】雇入れ時

まず、手続きが発生するのは、従業員をはじめて雇い、雇用保険適用事務所になったときです。

事務所を管轄しているハローワークへ「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。「雇用保険適用事業所設置届」は該当事務所になった翌日から10日以内に提出する必要があり、一方の「雇用保険被保険者資格取得届」は被保険者を雇用した翌月の10日までに提出する必要があります。

また、「雇用保険被保険者資格取得届」は、その後も被保険者となる従業員を雇い入れるたびにハローワークへ提出しなければなりません。

手続きが完了するとハローワークから「雇用保険被保険者証」が交付されますので加入者に渡し、加入者側で保管してもらいましょう。

【その2】離職時

従業員が離職する際にも、事務所側が雇用保険に関する手続きを行わなければなりません。

従業員が退職し、被保険者でなくなる日の翌日から10日以内に、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」をハローワークに提出することが必要です。

事務所側が離職証明書を提出すると、ハローワークから「離職票」が発行されます。発行された離職票は、事務所から退職者へすみやかに郵送しましょう。

この離職票は、退職者が失業保険の給付金を受け取るために必ず必要となる書類です。離職票に記載された情報にもとづき、退職者が受け取れる失業給付金の料率が計算されます。

退職者が離職票を希望しない場合を除き、必ず期限内にハローワークへ離職証明書を提出するよう注意しましょう。

「被保険者が行うべき手続き」とは?

失業保険の給付金を受給するために、「被保険者側で必要な手続き」はどのようなものでしょうか。

まずは、住居を管轄するハローワークにて求職申し込みと受給資格決定の手続きを行います。

手続きに必要なもの

その際には、会社より送付された「雇用保険被保険者離職票」、マイナンバーカードや通知カード、個人番号が記載された住民票などの「個人番号確認書類」、身元のわかる本人確認書類、縦3cm×横2.5cmの写真2枚、印鑑、キャッシュカードや預金通帳が必要です。

失業認定日と給付金

第1回の雇用保険受給者初回説明会に出席後、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ることができます。

このときに第1回の「失業認定日」の告知があり、認定日後に給付金の振込が行われます。受け取れる給付金の1日あたりの額を「基本手当日額」といい、退職前の6ヶ月間に受け取っていた給与の合計額を180で割った額の5割から8割となります。

この6ヶ月の給与の合計額には賞与は含まれません。

また、自己都合や会社都合などの退職理由によっても受給額は変わってきますので見込み計算には注意が必要です。

雇用保険の手続きはスムーズに!

従業員を雇用した際や従業員が離職する際の雇用保険手続きにはそれぞれの期限があります。特に離職の際の手続きをスムーズにミスなく行うことは、離職者が失業保険給付金を滞りなく受け取るためにとても重要です。

Excelや手書きなどで管理していると、労務担当者が複数いる場合などは情報共有にズレが生じ、手続き漏れが起きるケースがあります。また、労務担当が他業務を掛け持ちしている場合も多忙のために手続きミスが起こりがちです。

このようなミスを防ぐためには、人事労務のクラウドサービスを利用するのがおすすめです。

インターネット上で最新情報を共有できますし、入力した情報を元に提出書類を自動作成するサービスもあります。

複雑に感じる雇用保険の手続きですが、サポートサービスなどを上手に利用しスムーズに業務を行っていくよう心がけましょう。

SmartHR Mag. 編集部

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