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雇用保険被保険者資格喪失届とは?必要なケース、提出期限を解説

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労働者は離職したり死亡したりすると被保険者資格を失います。そして、労働者が被保険者資格を失う際には、事業主は労働者の資格喪失の手続きを必ず行う必要があります。

雇用保険の資格喪失届を作成し、ハローワークに届け出をすることが必要となるのです。

ただし、届け出る際に提出する添付書類はケースにより異なっています。そこで、ここでは資格喪失届の届け出方法やケースごとに必要となる添付書類の内容など具体的な手続きについて解説します。

「雇用保険被保険者資格喪失届」とは?

雇用保険に加入する被保険者が退職したことを届け出る書類のこと

労働者が失業などにより収入を失った場合に手当や給付金を受けることができる雇用保険は、一定の条件を満たすすべての労働者に対して加入が義務付けられています。そして、この雇用保険に加入する被保険者が退職したことを届け出る書類が雇用保険の資格喪失届です。

退職の翌日から雇用保険から脱退することを証明する書類となっていて、事業主は退職者に対して必ず、この雇用保険の資格喪失届を提出しなければならないと定められています。

具体的に、事業主が退職する労働者に対して提出しなければいけない書類が「雇用保険被保険者資格喪失届」です。労働者が雇用保険の資格を取得した年月日や被保険者番号、事業所番号などが記載されています。さらに、被保険者でなくなった理由や所定労働時間などの詳細な情報も明記されている重要な書類です。

また、被保険者がハローワークの手続きをするために離職票の交付を希望している場合には、「雇用保険被保険者離職証明書」も作成しなければいけません。ただし、本人からの希望がない場合でも、59歳以上の退職者に対しては必ず雇用保険被保険者離職証明書を提出することが必要となります。これは、60歳以上になるとハローワークに「雇用保険被保険者六十歳到達時賃金証明書」の届けをしなければいけないからです。この証明書の作成には離職票が必須となっています。

退職以外で雇用保険被保険者資格喪失届が必要になるケース

労働者が死亡した場合、法人の役員になった場合

資格喪失届の提出は退職以外でも雇用保険から抜ける際に必要となります。たとえば、労働者が死亡した際には届の提出が求められます。また、労働者が法人の役員になった際も届を提出しなければいけません。ハローワークで兼務役員として認められて労働者という立場ではなくなった場合にも届け出を必要とする対象に該当します。

ほかの事業所へ出向になった場合

さらに、ほかの事業所へ出向になったときにも提出が必要です。ただし、出向の場合、出向元と出向先のどちらと雇用関係が発生しているかは個々で異なっています。一般的には、雇用保険を負担している事業所は、労働者と雇用契約を結んでいる方、あるいは、出向者となる労働者に給与を多く支払っている方です。

雇用保険から抜ける被保険者と雇用契約を結んでいる場合や、出向元あるいは出向先と比較し自社の方が給与を多く払っているといった場合には、その事業所が資格喪失届を提出することになります。

資格喪失のケースで異なる添付書類

資格喪失届は、雇用保険の抜け方により添付書類も用意することが必要となるため、注意しましょう。

まず、離職票を付けずに雇用保険を抜ける場合には添付書類は不要です。

一方、離職票が必要となる場合には添付書類を用意しなければいけません。添付書類とは具体的には、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、社会保険の控えなどです。これらの書類は離職票の記載内容の確認のために使用されます。

このため、勤務状況を確認するための出勤簿はタイムカードでも構いません。タイムカードを用意する場合には退職日からさかのぼって12ヶ月分を用意します。また、退職理由が、定年など就業規則などによるものである場合には、それを証明するために必要な書類も添付することが必要です。具体的には、定年規定などが記載されている就業規則等を提出します。

このように、資格喪失届の作成には、多くの工数が必要となります。適切な管理工数を確保するためにも、このタイミングで人事・労務領域で効率化するべき業務を整理してみてはいかがでしょうか。

効率するべき業務の洗い出しのヒントは、以下の資料を参考にしてください。

人事・労務領域 効率化すべき業務チェックリスト

雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限

被保険者が退職した日の翌日から数えて10日以内

資格喪失届は事業所の所在地を所轄するハローワークに提出することとなっていますが、提出には期限があります。被保険者が退職した日の翌日から数えて10日以内です。

添付書類が必要な場合には、期限内の提出の際に併せて持参します。10日以内という期限は被保険者が離職票の交付を希望している場合でも、不要としている場合でも同じです。

期限は守ることが必須ですが、定められている提出期限を過ぎてしまっても書類を受け付けてもらうことは可能です。ただし、期限を過ぎて提出した場合には、離職した労働者が新しい職場で雇用保険の資格取得手続きができなくなるなど不利益を生じさせてしまう恐れがあることを認識しましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出はクラウド人事労務が便利

退職者ごとの雇用保険被保険者資格喪失届の手続きでは、添付書類の作成など多くの時間を必要とします。

複数の担当者間で業務の進行状況の情報に食い違いが生じたり、多忙な中でミスが発生してしまったりする可能性もあるでしょう。そのため、このようなリスクを防ぐためにも、クラウドサービスを利用すると便利です。「SmartHR」のように、雇用保険被保険者資格喪失届を電子申請により提出することが可能なクラウド人事労務ソフトもあります。

チェーン展開し、アルバイト・パート従業員等の入退社の多い飲食・小売業界などでは、負担の大きい手続きのひとつであるため、業務効率化の余地が大いにあるといえるでしょう。

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