会社が立て替えた社会保険料を従業員が支払い拒否。徴収する方法は?|労務のお仕事Q&A
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この記事でわかること
- 社会保険料などの支払いを拒否された場合の対応
- 徴収できない場合の具体的代案
日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうなの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。今回は「退職した従業員の社会保険料などの効果的な徴収方法」について、社労士が解説します。
退職した社員が休職中の社会保険料などの支払いを拒否。徴収する方法は?
相談者
有給休暇をすべて使い切った長期入院中の社員が退職しました。無給期間中の社会保険料や住民税などは会社で立て替えていたので、退職後に立て替え分を請求したのですが、支払いを拒否されました。
法的措置も検討しているのですが、できるだけ穏便に済ませたいとも考えています。徴収するよい方法はないでしょうか。
人事担当/IT業界(大阪府)
債務があれば相殺も可能。支払いは義務と説明したうえで徴収を
弁護士法人ALG&Associates
会社が立て替えた社会保険料などの支払いに従業員が応じない場合、最終的には民事訴訟や支払い督促などの法的手段を用いて徴収する必要があります。しかし穏便な方法を取るのであれば、まずは、会社から従業員に社会保険料などの支払い義務があると説明したうえで、任意の支払いを求めていくべきです。
また、会社が従業員に債務を負っている場合には、債務と社会保険料などの支払請求権を相殺できます(ただし、会社の従業員に対する給与と社会保険料などの支払請求権は相殺できません)。
もっとも、これらの方法はあくまでも任意での交渉であるため、従業員が交渉に応じない場合には、法的手段を用いて強制的に徴収するしかありません。