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もし上司から「明日から会社来るな!」と言われたら行くべき? 休むべき?

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こんにちは。弁護士の星野 宏明です。

企業などを舞台にしたドラマや映画などで、主人公が上司から「明日から会社来るな!」と怒鳴られるシーンがしばしばあります。

その後挽回する主人公にスカッとするものですが、もちろんフィクションですし、現実ではそうもいかないものです。場合によっては、その一言をきっかけに、立ち直れなくなってしまい、本当に行きたくなくなってしまうことも考えられます。

もしビジネスパーソンが、上司から「明日から会社来るな!」と言われたらどう対応すべきなのでしょうか?

「明日から会社来るな!」の法的意味

まず、「明日から会社来るな!」というフレーズを、法的にどう捉えられるかが問題となります。

一般的には、「人事権を有しない上司」の発言にとどまる場合は、単なる叱責とみることもでき、この場合、会社側による解雇の意思表示まであったと評価できないケースもあるでしょう。

他方、「人事権がある役職」の上司から、真に解雇する通知である場合もありますが、この場合でも、解雇の要件を満たさない場合には、解雇は無効となります。

「単なる叱責」とみられる場合

人事権を有しない上司による「単なる叱責」と評価される場合、解雇の効果は生じませんから、翌日以降も出勤が必要でしょう。

「自宅待機の指示」とみることもできますが、業務命令としての自宅待機の指示だとすれば、正式な辞令として書面での通知を求めるべきです。

正式な解雇とも、自宅待機の業務命令とも評価されないのに、本当に会社を休んでしまうと、無断欠勤扱いとなり、かえって、減給や懲戒処分の理由となるおそれもあります。これでは思うツボです。

会社側としては、本当に出勤を求めないのであれば、できるだけ書面で会社側の意思表示を明確にしておくべきですし、従業員側も、早とちりすることなく、書面にて会社側の真意を確認することがトラブル防止に役立ちます。

「解雇の意思表示」とみられる場合

人事権がある役職の上司から、真に解雇する通知である場合でも、解雇の要件をみたさない場合は、解雇は無効であり解雇の効力は生じません。

労基法では、労働者を解雇する場合、30日前の予告か、30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。労働者の責に帰すべき事由による予告手当なしの即時解雇も労基署の認定が必要です。

実体的にも、解雇を相当とする解雇理由がない限り、解雇は無効となります。

ただし、解雇の要件を満たしていないにもかかわらず、軽率に欠勤を続けると、退職勧奨に同意したものと評価されてしまうケースもありますのでご注意下さい。

正式な自宅待機命令や解雇通知があるまでは、独断で欠勤をすべきではありません。

相談すべき相手

「明日から会社来るな!」との叱責を受けた場合、まずは、会社側の真の意思を書面にて確認しましょう。

その上で、納得のいかない懲戒処分である場合には、早めに弁護士などの専門家に相談してみましょう。

パワハラとなるおそれも

会社側の視点で捉えると、叱責の文言が、従業員の人格権を著しく侵害するような悪質な態様である場合、事案によっては、違法なパワハラとなり、上司や会社に損害賠償責任が発生することもあります。

叱責は、あくまで職務上相当な範囲内にとどめるよう注意が必要です。

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