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中小企業にオススメ「助成金・補助金制度」まとめ【2023年版】

公開日
目次

こんにちは。特定社会保険労務士の羽田未希です。

厚生労働省は2022年10月からの雇用調整助成金制度の縮小を実施しました。その一方で、産業雇用安定助成金は支給や助成の対象が拡大され、人材の有効活用を目的に円滑な労働移動を促進する方向となりました。

また、事業再構築補助金など、10月から公募を開始した制度も登場し、経営環境が厳しいなか、中小企業が活用できる助成金・補助金制度も数多くあります。今回は、2023年以降も活用するべき「助成金・補助金制度」について解説します。

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた計画にもとづき、販路開拓などの取り組みや、その取り組みとあわせて業務効率化に取り組んだ経費の一部を補助するものです。小規模事業者が商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む必要があります。

「通常枠」「賃金引き上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」「インボイス枠」の6つの補助類型があり、いずれか1つの枠のみ申請可能です。

6つの補助類型

(出典)令和元年度補正予算・3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック – 全国商工会連合会(p.2)

なお、補助対象となる経費は要件があるので、ガイドブック、公募要領などで確認しましょう。

対象となる小規模事業者

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)
常時使用する従業員の数 5人以下
宿泊業・娯楽業
常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他

※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。

(出典)令和元年度補正予算・3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック – 全国商工会連合会(p.3)

補助金額

補助金額

(出典)令和元年度補正予算・3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック – 全国商工会連合会(p.2)

公募受付締切日

これらの助成金・補助金制度の申請には多くの工数が必要となります。工数を捻出するために、この機に人事・労務業務の効率化を検討してみてはいかがでしょうか。

以下の資料で人事・労務領域で効率化するべき業務についてまとめましたので、ぜひご活用ください。

人事・労務領域_効率化すべき業務チェックリスト

IT導入補助金

中小企業・小規模事業者などが生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービスなど)導入経費の一部を補助するものです。

補助対象となるITツールのうち、生産性を向上させる工程あるいは効率化させる工程(プロセス)が1種類以上はA類型、4種類以上はB類型となり、補助額、要件などが変わります。

また、gBizIDプライムを取得していること、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかを宣言するなどの要件もあります。支援機関やIT導入支援事業者の支援を受けながら、申請手続きをしてください。

対象となる中小企業

業種・組織形態
資本金
資本の額又は出資の総額
従業員
常勤

資本金・従業員規模の一方が、右記以下の場合対象(個人事業を含む)

製造業、建設業、運輸業
3億円
300人
卸売業
1億円
100人
サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万円
100人
小売業
5,000万円
50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業

並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円
900人
ソフトウエア業又は情報処理サービス業
3億円
300人
旅館業
5,000万円
200人
その他の業種(上記以外)
3億円
300人
その他の法人
医療法人、社会福祉法人、学校法人
300人
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所
​​-
100人
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体
主たる業種に記載の

従業員規模

特別の法律によって設立された組合またはその連合会
​​主たる業種に記載の

従業員規模

財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益)
主たる業種に記載の

従業員規模

特定非営利活動法人
主たる業種に記載の

従業員規模

対象となる小規模事業者

業種分類
従業員
常勤
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)
5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業
20人以下
製造業その他
20人以下

※「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の規定にもとづく「あらかじめ解雇の予告を必要とする者」であるため、正社員だけでなく、契約社員、アルバイトなどを含む労働者。会社役員、個人事業主は該当しない。

(出典)IT導入補助金2022 – 一般社団法人サービスデザイン推進協議会

補助金額

補助金額

(出典)IT導入補助金2022 – 一般社団法人サービスデザイン推進協議会

公募受付締切日

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業などの思い切った事業再構築を支援する補助金です。「売り上げが減っている」「事業再構築に取り組む」「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する」などが主な申請要件になります。また、gBizIDプライムの取得が必須です。

通常枠のほか、通常枠の要件に加えて一定の要件を満たした場合は、「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」「緊急対策枠」の補助額・補助率を申請できます。

対象となる中小企業

下記の定義に当てはまる企業で、中堅企業は中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の企業になります。

業種
資本金
従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業
3億円
300人
卸売業
1億円
100人
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く
5,000万円
100人
小売業
5,000万円
50人
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円
900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業
3億円
300人
旅館業
5,000万円
200人
その他の業種(上記以外
3億円
300人

※資本金は、資本の額または出資の総額

(出典)事業再構築補助金公募要領 – 事業再構築補助金事務局(p.7)

また、中堅企業への補助金額(通常枠)は下記の通りとなります。

従業員数
補助額
補助率
20人以下
100万円~2,000万円
  • 中小企業者等2/3

(6,000万円超は1/2)

  • 中堅企業等1/2

(4,000万円超は1/3)

21~50人
100万円~4,000万円
51~100人
100万円~6,000万円
101人以上
100万円~8,000万円

(出典)事業再構築補助金 – 株式会社パソナ

公募受付締切日

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善(賃金規定などの増額改定、賞与または退職金制度の導入、正規雇用労働者との賃金規定の共通化など)に取り組んだ事業主に対して助成されるものです。あらかじめ、キャリアアップ計画書を所轄ハローワークへ提出しておく必要があります。

キャリアアップ助成金は、2022年4月から要件や助成内容が変更されています。たとえば、正社員化コースでは、2022年10月以降に正社員転換する場合、「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」を6か月以上適用されている非正規雇用労働者が、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」のある正社員への転換が必要となります。

詳細は、厚生労働省のパンフレットを確認してください。

助成額

キャリアアップ助成金のご案内

(出典)キャリアアップ助成金のご案内 – 厚生労働省

申請締切日

両立支援等助成金

「育児休業などの取得推進に取り組む」「中小企業が仕事と育児や、介護の両立支援に取り組む」「不妊治療を支援する」など、ワークライフバランスに関する取り組みに活用できる助成金です。

育児介護休業法改正により、2022年4月から育休取得について個別の周知と本人の意向確認、2022年10月から育休分割、産後パパ育休の導入など、企業には必須の取り組みも増えているため、この助成金を活用しましょう。

出生時両立支援コース
育児休業等支援コース
不妊治療両立支援コース

(出典)2022年度の両立支援等助成金の概要 – 厚生労働省

申請締切日

助成金・補助金申請時の注意点

助成金・補助金は事業者を支援するものですが、管轄、財源、要件などは異なります。

助成金の多くが厚生労働省の管轄で、年度内の予算はあるものの、通年で支給申請できます。また、一定の要件を満たせば支給され、返済義務はありません。

一方、補助金は経済産業省、中小企業庁、地方自治体などが管轄し、募集期限内に申し込みをして採択されたのちに支給されます。こちらも返済義務はありません。

申請要件は、助成金は年度ごと(もしくは年度途中でも)、補助金は公募ごとに変更されることもあります。実際に申請するときには、要件の変更や、申請様式が更新されていないか、最新の情報を確認しましょう。

助成金・補助金は賢く上手に活用しよう!

中小企業庁、厚生労働省、都道府県などの地方自治体などもさまざまな助成事業を実施しており、要件もそれぞれ異なります。時間や労力はかかるものの、企業が生産性向上、業務効率化などに取り組むうえで、これらの支援は助かります。

新型コロナウイルス感染症、物価高など、厳しい経営環境のなか、安定した事業継続のために、助成金・補助金を上手に活用していただきたいと思います。

お役立ち資料

【2023年版】人事・労務向け 法改正&政策&ガイドラインまるごと解説