企業の「サイレントお祈り」は止めるべき? 「不採用通知・お祈りメール」の注意点とは
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企業には、「採用の自由」があります。採用の自由とは、誰を採用するか、そして、誰を採用しないかの自由です。
どのような理由で、応募者のうちの誰を採用・不採用にしようと、それは企業の自由ということになります。ただし、「不採用通知」をどのように行うかは、人事担当者にとって頭を悩ませる問題でしょう。
今回は「不採用通知」の注意事項について解説します。
「お祈りメール」を送ることで多少の不満を抱かれることは致し方ない
不採用者が多数いる場合などは、労力やコストを考えると、メールという手段が効率的かつ一般的な手段です。不採用者と直接に言葉を交わさないため、担当者の心理的負担も少なくて済みます。
最近では、この不採用通知メールは「お祈りメール」などと揶揄されます。メールの最後に、「(今後のご活躍を)お祈り申し上げます」などと書かれていることが多いことから、こう呼ばれるようになりました。
「お祈りメール」を受け取った人の中には、定型的な文章に不快感を抱く人や不誠実な対応であると批判する人もいます。
ただ、不採用というネガティブな通知の場合、通知方法に関係なく、ある一定数の人が不満を抱くのは、致し方ないことです。
できるだけ丁寧で、相手に配慮したメールを送るべきですが、それでも、不快感を抱く人をゼロにすること難しいでしょう。
企業側の身勝手な理由による「サイレントお祈り」は慎むべき
ただし、「サイレントお祈り」と呼ばれる、まったく通知しないやり方は改めるべきです。「サイレントお祈り」への不満度は高まっています。
一応、企業側にも、不採用通知を出さない理由があります。
応募者が多かった場合には、人事担当者が忙しくて手が回らないことや、うっかりミスで通知し損なうことが起きます。
しかし、圧倒的に多いのは、「合格通知を出した人の内定辞退が多かった場合の予備候補として、ボーダライン上の人をキープしておきたい」というもの。
このような企業側の身勝手な理由で、応募者を不安定で曖昧な立場におくことは慎むべきです。
不採用理由の問い合わせは「一切答えない」など明確な基準を
では、「不採用理由の問い合わせ」があった場合の対応はどうすべきでしょうか?
不採用理由は様々ですし、ひとりひとりに理由を答えていてはキリがないでしょう。更に、どのような理由であったとしても、不採用者の完全な納得を得るのは難しいことです。
中には、電話で個別に不採用通知するとともに、不採用理由をフィードバックする企業もあるようですが、多くの企業では難しいことかもしれません。
そういった観点を踏まえると「不採用理由については一切答えない」のも1つの方法です。明確で毅然とした基準によって、無用なトラブルを防ぐことにもなります。ただし、例外的な応対をしたことが漏れると、あらぬ不満を招きかねないので、「一切答えない」と決めた以上はその基準を厳守すべきです。
いずれにせよ、どのような場合も丁寧な応対を心掛けることを忘れないでください。
応募者も顧客やファンのひとり、不採用でも誠実な対応を心がけるべき
求人応募をしてきたということは、少なくとも、彼らはあなたの会社に悪い印象はないはずです。
あなたの会社に対して良いイメージを持っているのではないでしょうか。あなたの会社の商品やサービスのファンかもしれません。
そのような人たちへの「不誠実な対応」は、会社のイメージを悪化させます。あなたの会社の商品やサービスのファンを減らします。SNSで、あなたの会社の悪評判を拡散させることだって考えられます。
例え不採用者であっても、できるだけ誠実な対応を心がけるべきです。
極端な例では、世の中には、不採用者に自社の商品を贈る企業もあるそうです。
流石にそこまで真似する必要はないでしょうが、たとえ不採用者でも、あなたの会社の顧客となる可能性も考えて、誠実で丁寧な対応をしていきましょう。