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タレントマネジメントシステムは必要?メリットデメリット、選定のコツを解説

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目次
  1. タレントマネジメントシステムとは
  2. タレントマネジメントシステムの導入が広がる背景
    1. (1)人材不足の深刻化
    2. (2)紙と表計算ソフトでのデータ管理の限界
    3. (3)「人」を活かす戦略人事の推進
  3. タレントマネジメントシステムの種類
    1. (1)オールインワン型、一体型
    2. (2)タレントマネジメント特化型
    3. クラウド型かオンプレミス型か
  4. タレントマネジメントシステムの主な機能
    1. (1)人事情報データベース管理
    2. (2)スキル管理
    3. (3)人事評価管理
    4. (4)データ分析・レポート
  5. タレントマネジメントシステム導入のメリット
    1. (1)適材適所を効率的に実現できる
    2. (2)埋もれている能力を発掘できる
    3. (3)適任者をすばやく選べる
    4. (4)個人に最適化された育成計画が立てられる
  6. タレントマネジメントシステム選定のポイント
    1. (1)自社の課題を解決する機能が備わっているか
    2. (2)操作性がよいか
    3. (3)自社システムとの連携が可能か
    4. (4)セキュリティ対策が十分か
  7. タレントマネジメントシステムを選定する4ステップ
    1. ステップ1:自社の課題を整理する
    2. ステップ2:課題解決に必要な機能要件を洗い出す
    3. ステップ3:必要な機能をもつ製品をリストアップする
    4. ステップ4:自社に合った製品を選ぶ
  8. タレントマネジメントシステム導入の成功事例
    1. クルーズ株式会社
    2. 株式会社リノメタル
  9. データ活用の仕組みをつくり、タレントマネジメントを成功させよう

近年、優秀な人材の確保や育成、次世代リーダーの育成などを目的にタレントマネジメントを推進する企業が増えています。その実行をさまざまな方法で支援するのが「タレントマネジメントシステム」です。

本記事では、タレントマネジメントシステムの概要や重要性、導入のポイントについて詳しく解説していきます。

タレントマネジメントシステムとは

「タレントマネジメントシステムとは」をまとめた図

タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルや特性、経験など、多様な人事データを集約・一元的に管理できるシステムです。

給与計算や労務管理など特定機能に特化したシステムではなく、人材にまつわる多様なデータを管理。データを人材の採用や育成、配置に活用します。

タレントマネジメントシステムの導入が広がる背景

タレントマネジメントシステムは多くの企業での導入が進んでいます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングとSmartHRが2019年に行った「人事のデジタル化に関する実態調査」では7割以上の企業がすでに導入、もしくは導入予定・検討予定があると回答しています

「人事のデジタル化に関する実態調査」の結果をまとめた図

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社・株式会社SmartHR「人事のデジタル化に関する実態調査」

また、株式会社野村総合研究所が2021年に行った「タレントマネジメントシステム」市場の市場規模予測によると、国内のタレントマネジメントシステム市場規模は大きな広がりを見せると予測されています。

「タレントマネジメントシステム」市場の市場規模予測をまとめた図

(出典)野村総合研究所 ITナビゲーター2021年版 ~コロナショックでデジタル化が加速-2026年までの市場トレンドを予測~

タレントマネジメントシステムの導入が広がる背景は大きく3つあります。

(1)人材不足の深刻化

生産年齢人口の減少や高齢化、終身雇用・年功序列制度の崩壊による人材の流動化などの影響もあり、多くの企業が人手不足に陥っています。今ある人的資源でいかに業績を向上させるか、現場のニーズに即した人材をどう確保するかは、どの企業にとっても重要な課題です。

必要な人材の選抜・育成のためにタレントマネジメントを推進する企業が増えるなか、タレントマネジメントシステムを検討・導入する企業も増加しています。

(2)紙と表計算ソフトでのデータ管理の限界

大規模企業や多拠点企業において、社員の情報を正しく最新の状態で管理するのは容易ではありません。属人的な管理になってしまったり、複数ツールを組み合わせて管理するゆえの入力・転記の手間、二重管理による非効率など多くの課題が発生します。こうした課題を解決する手段としてもタレントマネジメントシステムの導入が検討されています。

(3)「人」を活かす戦略人事の推進

近年、個人の仕事に対する意識や働き方への価値観は多様化し、人事業務は複雑化しています。従来の画一的な人材マネジメントではなく、従業員一人ひとりに最適な人材マネジメントが求められているのです。

また、市場の変化が加速するなか、企業の価値創出における「人」の重要性が増加。企業が競争優位を確保するために、経営目的のための人材マネジメントである「戦略人事」への転換が求められています。

人事が戦略人事を推進するためには、既存業務の効率化や多様な人事データを扱える環境が不可欠です。そうした背景もタレントマネジメントシステムの導入を後押ししています。

タレントマネジメントシステムの種類

タレントマネジメントシステムには、主に以下の2つの種類があります。

(1)オールインワン型、一体型

人事管理システムの機能やタレントマネジメント機能、勤怠・給与システムなどを統合したオールインワンのパッケージです。

メリット

  • 人事データや勤怠データ、給与データを一元管理でき、幅広い場面で活用できる
  • 複数のデータを掛け合わせて分析、戦略的な人材マネジメントが可能に

導入コストが高くなる傾向があるのがデメリット。自社の業務プロセスに合わせたカスタマイズが必要になる場合もあります。

一体型のシステムを検討する際は、自社の人事業務の流れを分析し、システムの標準機能でカバーできる範囲を確認することが重要です。また、将来的な人事制度の変更や、組織変更などにも柔軟に対応できるシステムを選ぶ必要があります。

(2)タレントマネジメント特化型

人事管理システムとは別に導入され、タレントマネジメント機能に特化しているのが特徴です。

メリット

  • スキル管理、パフォーマンス管理、キャリア開発支援など、人材の能力開発や適材適所の配置に重点を置いた機能が充実
  • AIを活用した人材分析や、複雑なキャリアパス設計など、一体型のシステムでは実現が難しい高度で専門的なタレントマネジメント機能を利用できる
  • 既存の人事管理システムとの連携が可能な場合も多い

自社の人材マネジメントの課題を明確にし、その課題解決に必要な機能を備えているかを確認することが重要です。また、既存の人事管理システムとのデータ連携や、シングルサインオンなどの技術的な互換性についても検討が必要です。

クラウド型かオンプレミス型か

上記に加え、クラウド型かオンプレミス型の違いもあります。

クラウド型

初期投資が抑えられ、スピーディに導入できるのが特徴です。インターネットを使える環境であればどこからでもアクセスできるので、リモートワークにも適しています。

不具合の修正やアップデートなども提供企業が行うため、自社での保守運用の手間が不要なこともメリットです。ただしセキュリティ面の不安を感じるサービスもある点がデメリットとして挙げられます。

オンプレミス型

企業内部で構築されたシステム。サーバーもネットワークも社内にあり、社内で全システムが完結していることが特徴です。高いセキュリティとカスタマイズ性が確保できる点がメリットです。導入の際の初期費用・ランニングコストが高額であったり、導入に時間がかかったりというデメリットがあります。自社で運用・保守を行うIT人材が必要となるので、人材確保の検討も必要です。

タレントマネジメントシステムの主な機能

(1)人事情報データベース管理

もっとも基本的となるのが、人事情報データベース管理機能です。従業員の顔写真や部署、入社年度などの基本情報、過去の評価ランク、残業時間なども登録することで、従業員一人ひとりの詳細な情報を一元管理できます。

一元化することで、人材情報の更新にかかる管理工数が削減され、人事業務が効率化します。情報が見える化され、共有も容易になるため、人事戦略の策定や経営の意思決定にも人事データが活用できます。

(2)スキル管理

スキルや経歴、保有資格、経験、キャリア志向、コミュニケーション能力、行動特性など、具体的な情報を登録できます。登録内容から、職務と社員のスキルをマッチングして、最適な人員配置を行ったり、スキルのギャップを発見したりして、教育計画を策定することで効果的な育成ができます。

配置シミュレーション機能のあるシステムであれば、システム上で異動配置のシミュレーションが作成できます。シミュレーション結果は組織図に簡単に反映され、あらゆる想定パターンとの比較も可能です。

(3)人事評価管理

評価項目やシートを自由に作成し、システム上で評価できる機能です。自社の評価シートの再現のほか、MBOや360度評価など、多様な評価手法に対応するテンプレートが用意されている場合が多いです。

面談スケジュールのアラートが出せる、組織全体の評価分布を表示し偏りを調整できるなど、運用を半自動化して効率を上げられます。。

(4)データ分析・レポート

システムに蓄積されている従業員のスキルやプロフィールなどを抽出、集計、分析できる機能です。半自動でグラフなどのレポートを作成することもできるので、経営判断に必要な資料を自由にすばやく作成できます。

人事データを客観的かつ多角的な視点で捉えられ、組織の課題を洗い出し、解決への道筋を立てるのに役立ちます。また、人的資本の情報開示に必要なデータ可視化体制も整備できます。

タレントマネジメントシステム導入のメリット

タレントマネジメントシステム導入のメリットをまとめた図

(1)適材適所を効率的に実現できる

最新の人事データを一元管理できるので、従業員のもつスキルや適性を明確に把握し、効率的に適材適所に配置できます。適材適所の配置は、従業員のやる気を引き出し、生産性を高めるので、会社の業績向上につながります。

(2)埋もれている能力を発掘できる

タレントマネジメントシステムの活用により、従業員一人ひとりのスキルや経験、実績などを可視化できるので、活かしきれていなかった人材の能力を発見できます。内部に埋もれていた能力の発掘により、組織力は効率的に最大化されます。

(3)適任者をすばやく選べる

新規事業や新規プロジェクトの推進には、必要なスキルと経験をもつ人材を確実に選任する必要があります。タレントマネジメントシステムを使うと、社内の人事データから、求める条件にぴったりマッチする適任者をピンポイントで探し出せます。これにより、プロジェクトをスムーズにスタートさせ、成功へと導けます。

(4)個人に最適化された育成計画が立てられる

従業員一人ひとりのキャリアビジョンや強み、弱みを可視化できるので、画一的な研修プログラムではなく、個人に合わせたオーダーメイドの育成計画を立てられます。自身の特性や目標に応じて、最適な研修や業務アサインメントを受けられ、着実にスキルアップを図れます。結果的に、従業員のモチベーションを高め、エンゲージメントの向上にもつながります。

タレントマネジメントシステム選定のポイント

タレントマネジメントシステム選定のポイントをまとめた図

(1)自社の課題を解決する機能が備わっているか

機能が多ければよいというものではありません。自社で解決したい課題が何であり、課題解決のために必要な機能は何かを見極めた上で、そのシステムでどんな風に解決できるかを確認することが重要です。

(2)操作性がよいか

システムの操作性や視認性など、ユーザーインターフェース(UI)の使いやすさは、極めて重要な選定ポイントです。ITが苦手な社員でも直感的に使いこなせるか、操作性を十分に確認する必要があります。

(3)自社システムとの連携が可能か

既存の人事システムとのデータ連携などが必要になる場合には、連携に問題がないか互換性の確認が必要です。従業員の基本情報や人事評価のデータを、タレントマネジメントシステムに自動的に反映させられるか、両システム間でのデータの整合性を保てるかなどを、事前に確かめておくことが重要です。

(4)セキュリティ対策が十分か

従業員のスキルなど重要な人事情報が登録されるので、情報漏洩の心配のない、セキュリティが強固な製品かを確認する必要があります

タレントマネジメントシステムを選定する4ステップ

選定する4つのステップをまとめた図

効果的なタレントマネジメントシステムを選定するためには、以下の4つのステップをお勧めします。

ステップ1:自社の課題を整理する

まずは、自社が抱える人事課題を明確にする必要があります。課題を正しく認識することで必要な機能がクリアになるので、十分に精査しましょう。たとえば、以下のような課題が考えられます。

  • 人材の可視化ができていない
  • 適材適所の人員配置ができていない
  • 従業員のスキル把握が不十分
  • キャリア開発支援が不足している

ステップ2:課題解決に必要な機能要件を洗い出す

自社が抱える人事課題を解決するために、タレントマネジメントシステムに何を求めるかを整理します。人材の可視化を実現したい、適材適所の配置を行うために人材検索や配置シミュレーション機能が必要、キャリア開発支援機能が欲しいなど、課題とシステムの機能を紐付けて考えることが重要です。

ステップ3:必要な機能をもつ製品をリストアップする

たくさんのサービスが提供されているなかから、自社が求める機能をもつ製品をリストアップします。必要な機能をもつ製品が洗い出せたら、前述したポイント(操作性、自社システムとの連携、セキュリティ対策など)を満たす製品を絞り込んでいきます。

ステップ4:自社に合った製品を選ぶ

機能面での絞り込みが完了したら、最終的な比較検討を行います。ユーザーレビューを参考にしたり、ベンダーからデモンストレーションや説明を受け、実際に使用するイメージを掴みながら選定することが重要です。また、導入後のサポート体制や、将来的な機能拡張の可能性なども考慮に入れましょう。

タレントマネジメントシステム導入の成功事例

クルーズ株式会社

クルーズ株式会社では、まず、自社開発システムの保守負担を軽減し、バックオフィス業務の効率化を実現しました。SmartHRの高いシェアと使いやすいUIが導入の決め手となりました。

次に、人事評価機能の追加により、労務管理と人事評価を一元化しました。これにより、二重入力の問題が解消され、業務効率が大幅に向上しました。

さらに、システムの機能に合わせて社内ルールを柔軟に変更する姿勢を取り、効率化を推進しました。グループ会社への展開も、詳細なマニュアル作成により円滑に進みました。

結果として、入退社手続きの効率化や問い合わせ件数の激減、評価項目の見直しなど、具体的な成果が得られました。

株式会社リノメタル

リノメタルでは人事情報が紙媒体での運用体制となっており、ファイル量の増加に伴う管理体制の複雑化が経営課題となっていました。

SmartHR導入後は、従業員情報の一元管理を実現し、入社手続きや年末調整のペーパーレス化を実施。次に人事評価システムをSmartHRに移行しました。

さらに、タレントマネジメント機能を活用し、心理的安全性やチームビルディングに関する施策に取り組んでいます。たとえば、雇用契約書の文言を工夫するなど、細かな点にも配慮。最近では配置シミュレーション機能の利用を開始し、組織改革に着手しています。

データ活用の仕組みをつくり、タレントマネジメントを成功させよう

タレントマネジメントシステムの導入にあたっては、自社の課題を解決できる機能の有無に加えて、操作性やカスタマイズ性、サポートなど自社にあったシステムを選ぶことが重要です。

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お役立ち資料

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  1. Q1. タレントマネジメントシステムとは何ですか?

    タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルや特性、経験など、多様な人事データを集約・一元的に管理できるシステムです。給与計算や労務管理など特定機能に特化したシステムではなく、人材にまつわる多様なデータを管理し、データをもとに人材の採用や育成、配置に活用します。

  2. Q2. タレントマネジメントシステムを導入するメリットは?

    人事データの一元管理・活用を進めやすくなります。たとえば適材適所の実現や育成、後継者の選抜などをより効果的、効率的に実施できます。

  3. Q3. タレントマネジメントシステムを選ぶポイントは?

    自社の課題を解決する機能が備わっているか、操作性が優れているか、関連するシステムとの連携がやりやすいか、セキュリティ対策が万全かなど、複数の観点で検討しましょう。

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