急成長企業の人事トップに聞く! 組織の成長痛をどう乗り越えたか?【アディッシュ / FiNC Technologies / マネーフォワード】

2019.11.13 ライター:宅美浩太郎

2019年8月29日に人事労務のミートアップ『PARK』を開催。当日は100名を超える人事労務関係者が来場しました!

その中でも、ここでは同イベントのパネルディスカッション「人事トップに聞く! 組織の成長痛をどう乗り越えたか?」での模様をお届けします。

株式会社FiNC Technologies CWO(Chief Wellness Officer) 中山 理香さん、アディッシュ株式会社 取締役 管理本部長 杉之原 明子さん、株式会社マネーフォワード 執行役員 人事本部長 服部 穂住さんが語った内容とは?

株式会社SmartHR 執行役員・VPヒューマンリソース 薮田 孝仁がモデレーターを務めます。

写真左から、SmartHR 薮田、FiNC Technologies 中山さん、アディッシュ 杉之原さん、マネーフォワード 服部さん

イントロダクション

薮田
それでは、パネルディスカッション「人事のトップに聞く、組織の成長痛をどう乗り越えたか」を始めていきたいと思います。

簡単に皆さまから、自己紹介をお願いできればと思います。まずは私から、株式会社SmartHRの薮田です。

SmartHR バックオフィス体制※ 登壇時(2019年8月時点)の体制

現在は141名の従業員がいます。その中で、バックオフィスが16名です。

少し特徴的なのが、バックオフィスが大きく3つの部門に分かれていることです。

スライドの1番上が人事労務 研究所になります。「会社の労務」と「プロダクトとしての労務」、その両方を担当しています。2番目がコーポレートグループです。いわゆる財務経理や法務といった業務を担当しています。3番目が人事グループです。私が見ている部署になりますが、採用や評価、人材開発を担当しています。

本日は、よろしくお願いいたします。

FiNC Technologies 中山さん
株式会社FiNC Technologiesの中山です。

FiNC Technologies バックオフィス体制※ 登壇時(2019年8月時点)の体制

現在、FiNC Technologiesは正社員が209名、業務委託や派遣の方も含めると300名を少し超える規模になります。

バックオフィスは22名で、そのうち、人事や労務に相当する部門として人事戦略部があります。採用や評価、組織人事など全部を含めて、現在は8名で回している状態です。よろしくお願いします。

アディッシュ 杉之原さん
アディッシュ株式会社の杉之原と申します。

アディッシュ バックオフィス体制※ 登壇時(2019年8月時点)の体制

弊社は2014年に設立をしまして、現在の従業員は619名です。拠点が国内に4拠点、海外に1拠点、全部で5拠点になります。

従業員のうち、アルバイトが400名ほど働いていることが特徴です。

他社さんのスライドを見て、自社のバックオフィスの人数が少ないことに気づきました(笑)。本日はよろしくお願いします。

マネーフォワード 服部さん
株式会社マネーフォワードの服部と申します。

マネーフォワード バックオフィス体制2018年12月時点の体制

マネーフォワードは、自動家計簿、クラウドの会計や給与計算などのサービスを提供している会社です。

弊社は設立7年の会社で、従業員数は今期頭(2018年12月時点)で449名でしたが、現在(2019年8月時点)は、さらに100名程度増えて550名ほどでございます。バックオフィスは60名で、そのうち、私がいる人事本部は22名です。

現在はこのような組織になっていますが、1年くらい前までは、社長室の中に人事がありました。

一方、最近では人事の規模が大きくなってきたこともあり、もともと労務機能は管理本部の中にありましたが、現在は人事本部・管理本部・社長室と並んでいるのが特徴です。

薮田
ちなみに、コーポレートディベロップメント室は、何をされている部署なんですか?

マネーフォワード 服部さん
ここは、M&Aやいわゆる事業開発に近い領域を担当している部署になります。バックオフィスと呼んでいますが、いわゆる事業サイドとエンジニア組織以外をすべてバックオフィスというようにまとめています。

よろしくお願いします。

【前提】「グレイナーの組織の成長モデル」とは?

薮田
成長企業の人事トップの皆さまにいろいろと聞いてみたいと思いますが、中でも、組織や文化、制度といったテーマについて、伺いたいと思います。

事前に参加者の方々からも質問をいただいているので、そちらにお答えする流れで進めていきたいと思います。

本日のテーマにもなっている「組織の成長痛」という言葉があります。皆さんご存じの方も多いと思いますが、『グレイナーの組織の成長モデル』という言葉を聞いたことありますでしょうか?

グレイナーの組織成長モデルとは

40年ほど前から言われているものですが、企業の成長過程では、どこも同じような道をたどり、同じような課題に直面するというお話です。

このような図があります。

グレイナーの組織成長モデルと分布

縦が組織の規模、横が進化の段階になります。

初期の50名を超えるまでに、いわゆる「リーダーシップの危機」が訪れます。経営者がきちんとリーダーシップをとれるか、マネジメントをできるかが課題になると言われています。

リーダーシップによって組織をまとめられるようになると、第2期に入ります。ここは、自分が部下に依頼した仕事をきちんとやってもらえるか、指示待ち人間ではないか、メンバーに権限移譲ができているか、といった「自主性の危機」が課題になると言われています。

100名を超えて、権限移譲ができてきた後に直面するのが「コントロールの危機」です。権限移譲はできたものの、経営層が情報を共有していないということが無いように、うまく調整することが大事だと言われています。

300名を超えると、より大企業に近づいてきます。いわゆる組織間の調整ごとや、上場している会社だと株主との関係性など、大きな調整ごとが出てきます。それを乗り越えても、第5期で様々な課題が出てくるので、永遠に課題はなくならないですよね。ということが図で表されています。

そんな中、SmartHRの現状はというと、「自主性の危機」を越えたかどうか、「コントロールの危機」に突入するかどうか、といった位置にいます。

本日の登壇者の皆さんの会社もあわせると、こんな感じです。

グレイナーの組織成長モデルと分布

皆さんSmartHRの1歩、2歩、3歩先に行っていらっしゃるので、私も諸先輩方から学びたいと思いますし、会場の皆さんも自分ごと化して聞いていただきたいと思います。

では、事前に質問をいただいているので、お話を伺っていきたいと思います。

Q.1 「ミッション・ビジョン・バリュー、それぞれがはっきり浸透していない中で、どのように文化を作っていけばよいか?」

薮田
1つ目は文化について。

ミッション・ビジョン・バリュー、それぞれがはっきり浸透していない中で、どのように文化を作っていけばよいですか?という質問です。まずは中山さんからお願いします。

A.1-1「組織の価値観を“指針”ではなく“行動”までブレイクダウン。評価にも反映」(FiNC Technologies社)

FiNC Technologies 中山さん
弊社はビジョンと組織のカルチャーを大切にしており、採用時からメッセージを強く打ち出しています。

しかし、メンバーが100名ほどになったタイミングで「(組織文化の)濃度が薄くなっている」と感じたため、組織が大事にしてきた価値観を“指針”ではなく“行動”にまでブレイクダウンし、評価にも組み込むようにしました。

印象で人を評価するのではなく、外に現れている行動を見ることでブレずに評価ができると考えています。

薮田
「薄くなってきた」と感じられたのは、あまり浸透していなかったということですか?

FiNC Technologies 中山さん
従業員数が少ないころは、日常のやりとりや言葉で伝わっていたものが、急激に人数が増えたことで、希薄になってきたイメージですね。

薮田
なるほど。そこで解決策として、具体的に“指針”ではなく“行動”に変えて、それを評価にも入れるようにされたわけですね。弊社も評価に入れていますが、ミッション・ビジョン・バリューの中でも特にバリューを評価に入れている会社とそうではない会社、分かれそうですね。ありがとうございます。続いて服部さんはいかがですか?

A.1-2「組織文化の濃度に関わる“原液”を定義」(マネーフォワード社)

マネーフォワード 服部さん
いま「組織文化の濃度が薄くなる」というお話がありました。私なりの例えですが、ミッション・ビジョン・バリューは“カルピスの原液”だと思っています。創業者が原液で、新しい人が入ることで濃度が薄まっていく。

そこで、私たちはその“原液”を定義することにしました。

たとえば、「スピード」という言葉一つをとっても、何の早さをさしているのかがわからないですよね。極端にいえば、「早ければ品質が低くてもいいですよね」となりかねません。

そうならないよう、人事の私と創業初期からのデザイナーが一緒になって、言語化とその言葉を定義するプロジェクトを立ち上げました。

薮田
そのプロジェクトを経て、ビジョンやミッションの社員への浸透具合は変わりましたか?

マネーフォワード 服部さん
はい。変わりましたし、なぜこの言葉を選んだのかといったコミュニケーションが発生したことで、そこに対する思いも伝わったかなと思っています。

一方で、ミッションが強すぎても多様性が無くなってしまうので、それらを理解した上で一人ひとりの個性を出せればと思っています。

A.1-3「個別に委員会を作り、社員自らがミッションを作るプロセスを経験」(アディッシュ社)

アディッシュ 杉之原さん
弊社は、会社のカルチャーや制度をみんなで「てづくる(手作る)」文化があります。たとえば、会社の制度をつくる際は、その課題に興味を持った社員が集まって議論しています。

実は、「アディッシュ」という社名も、会社設立時に、社員が10人くらい集まって考えたものなんです。現在は、組織や人について8のテーマを設け、計33名の社員が集まり、それぞれ議論しています。総称で、「人材関連検討委員会」と呼んでいます。

行動指針については、四半期に一度行っている評価面談のタイミングで、代表の江戸が5つある行動指針のなかから1つを選び、「行動指針を作った想い」と「どう行動するか」を伝えることで、社員がミッションや行動指針に触れる機会をつくっています。

社員には「どう行動するか」を評価シートに書いてもらっていますが、評価対象には含めておりません。

薮田
社員の皆さんで「てづくろう」という文化が素敵ですね。ありがとうございます。

Q.2 「急拡大フェーズで不平不満を言うメンバーが出てきた場合、どのように対応しましたか?」

薮田
次の質問です。人数が急拡大するフェーズで、不平不満を言うメンバーが出てきた場合、どのように対応しましたか? 服部さんからお願いします。

A.2-1「ミッション・ビジョンのメッセージを強く発信する」(マネーフォワード社)

マネーフォワード 服部さん
そういった状況では、ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャーのメッセージを、意識的に強く発信してきました。

そういうときこそ、自社にとって大切な価値観はこれだと、きちんと伝えることが大切だと思います。

A.2-2「制度改訂時は、全社告知前の過程に気を配る」(アディッシュ社)

アディッシュ 杉之原さん
弊社では、特に人事制度については、全社に告知する前の過程に気を配るようにしています。

具体的には、

・巻き込むべき人を巻き込んで議論をする
・その内容を文書化し、全社公開する
・メンバーに対して個別に説明してもらうよう、全事業部長に依頼する
・全社告知後には、問い合わせ窓口を設けて個別にフォロー

といった対応をしています。

A.2-3「入社前後の期待値調整を念入りに行う」(FiNC Technologies社)

FiNC Technologies 中山さん
以前、退職者が増えた時期がありました。

なぜそうなったのかを振り返ると、おそらく過度な期待を抱いて入社したことによって入社後のギャップを感じてしまったのだと認識しています。

初期の頃、まだ会社の認知がないときに「自分が何とかするんだ!」と意気込んで入社してくれた方もいれば、多くのメディアに取り上げられるようになり、「自分がそこまで身を粉にして働かなくても、ここは有名な会社だから順風満帆だろう」と入社される方も中にはいます。

私たちの中身は変わっていませんが、メディアの取り上げられ方などで、期待値は勝手に上がってしまいます。そのときに、私たちが採用基準を変えていなかったことで、マッチしない方を採用してしまったことが、こうした結果につながったのかもしれません。

薮田
入社される方のマインドが変わってきたという感じですね。

FiNC Technologies 中山さん
はい。ですので、今気をつけていることのひとつは、メディアでの取り上げられ方です。自分たちがどう見られているかと実態にギャップが生じないようにして、念入りに期待値を調整するようにしています。

株式会社FiNC Technologies CWO 中山 理香さん

Q.3 「人事施策を打っていく上で、仮説検証や経営陣の巻き込み、現場理解のために、どのように人事として立ち向かいましたか?」

薮田
次のテーマは組織に関する内容です。人事施策を打っていく上で、仮説検証や経営陣の巻き込み、現場理解のために、どのように人事として立ち向かいましたか?

A.3-1「社員にも当事者意識を持ってもらった」(マネーフォワード社)

マネーフォワード 服部さん
様々な人事施策の中でも、当社は採用にかなりフォーカスしていて、社員全員が関わります。事業責任者もコミットするのですが、それだけではなく、現場の社員も自分たちで一緒に働く仲間を見つけるような“空気”を作るようにしています。

薮田
どのようにして、空気を作っているんですか?

マネーフォワード 服部さん
シンプルにいうと、当事者意識や主体性を持ってもらうことが大事だと思っています。

たとえば、採用イベントを自社で開催するのですが、その際に事業責任者と人事だけが担当するのではなく、懇親会だけでもいいので、可能な限り各現場の社員にも来てもらうようにしています。実際に社員の口から話してもらうことによって、当事者意識が芽生えることを実感しています。

薮田
私もすごくよく分かります。弊社も移転後に、CTO主体でエンジニア向け移転パーティーを開催したのですが、社員から積極的にいろんな友人を呼んでもらったことで、すごく一体感が生まれたんですよね。だからとても共感します。

マネーフォワード 服部さん
「今、こんな人がうちに応募してくれているんだ」と肌で感じとってもらえますし、会社や現場のみんなにとってもすごくポジティブなことだと思いますね。

株式会社マネーフォワード 執行役員 人事本部長 服部 穂住さん

A.3-2「経営陣にコミットしてもらう仕組みをつくり、コミュニケーションの機会を増やした」(アディッシュ社)

アディッシュ 杉之原さん
弊社では、経営陣にも多くの会議に出席してもらい、コミュニケーション機会を増やしています

経営会議を週1回、月に4回行っていますが、そのうち2回は「事業推進の経営会議」で、残り2回は「会社基盤の経営会議」です。

「会社基盤の経営会議」については、組織や人に関する意思決定に時間を使い、社員が議論をしている人材関連検討委員会から、課題意識や提案を吸い上げる仕組みにしています。

この形にするまで5年かかりましたが、組織や人に関して、経営陣にコミットしてもらう仕組みを作れたのは良かったと思います。

薮田
やはりコミュニケーションや意識合わせの頻度がポイントなのでしょうか?

アディッシュ 杉之原さん
おっしゃるとおりですね。事業サイドも人事に関して話すのが当たり前、それに時間を割くのも当たり前という感覚なのではないかと思います。

薮田
すごくわかります。私の話なのですが、私がSmartHRに入社したひとつの理由に、経営陣の仲がよくフラットであることがあげられます。

経営陣は週に2回、各1時間半、合計3時間コミュニケーションをとっているんですね。水曜日は、経営会議として経営や事業の話を1時間から1時間半議論します。金曜日も1時間半、人事についてだけ経営陣で議論する場があります。

週にこれだけ顔を合わせて話をしていたら、意識がずれにくいなと感じており、コミュニケーション機会を増やすのは同意です。

株式会社SmartHR 執行役員・VPヒューマンリソース 薮田 孝仁

A.3-3「紹介者の負担を減らし、リファラル採用を定着させた」(FiNC Technologies社)

FiNC Technologies 中山さん
弊社の採用は、かなり高い割合でリファラル採用ができています。

そこで人事が何をやったかというと、良い人材を紹介さえしてくれたら、できる限りのおもてなしをしたり、実務はすべて引き取るから、名前を挙げてくれるだけでもいいですよと、紹介者の負担を可能な限り減らしたりしました

一時期、紹介からさらにリファラルを促進させるためのキャンペーンを行っていました。リファラルで多く紹介してくれた人を、月に一度の全体会議で紹介して称えるといったことを半年間ほど続けてきました。

薮田
ちなみに、キャンペーンをやめたのはなぜですか?

FiNC Technologies 中山さん
特別にキャンペーンをせずとも、自然に紹介の声が上がる状態になったからですね。この段階で十分にリファラル採用の基盤ができたなと思っています。

Q.4 「社員の採用や教育、定着全般について、優先度を高く取り組むべき内容はありますか?」

薮田
続いてはこちら。社員の「採用」「教育」「定着全般」について、優先度を高く取り組むべき内容はありますか?

登壇者の皆さん、いかがでしょう?

 

おっ、私を含めた3名が「採用」を選んでいますね。唯一「定着」で手を挙げられた、杉之原さんからお願いします。

A.4-1「定着:会社のありたい姿を明確に(アディッシュ社)」

アディッシュ 杉之原さん
「定着」ですね。私たちは、会社としてのありたい姿である「ミッション・ビジョン・行動指針」を固めることに注力しました。この「ありたい姿」がブレていると、その実現方法である、評価制度や採用基準をいくら考えてもうまくいかず、現場からの理解も得られないのではと考えました。

薮田
どのくらいの期間をかけて、「ありたい姿」を固めてきたのですか?

アディッシュ 杉之原さん
3年間ほど注力してきました。その間、評価制度や採用基準についてはマイナーチェンジに留めました。ありたい姿を固めた後、人材関連検討委員会を発足させ、テーマのひとつに「求める人物像」もあります。

薮田
手法にとらわれず、上位概念である「ありたい姿」が重要だと説き、従業員を巻き込んでいったところが素晴らしいですね。ありがとうございます。

アディッシュ株式会社 取締役 管理本部長 杉之原 明子さん

A.4-2「採用:採用数が増えてもエントリーマネジメントは怠らない」(マネーフォワード社)

マネーフォワード 服部さん
会社の状況次第ではありますが、「採用」ですね。我々はこの4年間で従業員数を100名から一気に550名まで増やしました。そういう状況だと、細かな求める人物像を設定して採用するというよりは、当時はミッション・ビジョン・バリューとカルチャーだけ決めて、そこさえブレなければ採用をしていました。

逆にいうと、エントリーマネジメントに失敗してしまうと、あとで人の価値観を変えることはできず不幸になってしまうので、採用を重視しています。

A.4-3「採用:入社時の期待値コントロールが大切」(FiNC Technologies社)

FiNC Technologies 中山さん
弊社も年間で100名程度のペースで採用していて、どんな人を採るのか、という「採用」を重視しています。あとは先ほどの繰り返しにはなりますが、いかに入社時の期待値をコントロールするかが大切で、それによって提供するべき「教育」も「定着」も変わってくると考えています。

Q.5 「組織を拡大していく中で、制度を新たに入れる・廃止するにあたり、何を大切にするべきですか?」

薮田
では、次にいきましょう。組織を拡大していく中で、制度を新たに入れる、あるいは廃止するにあたり、何を大切にするべきですか?

A.5-1「制度作成前にオペレーションをしっかり考えておく」(FiNC Technologies社)

FiNC Technologies 中山さん
制度を作る際には、オペレーションをしっかり考えておくことが大事ですね。

ただ、スタートアップあるあるかも知れませんが、皆さん忙しいですし、導入してもあまり合わずに、フワっと使われなくなるようなこともありますね。その辺はマネーフォワードさんがうまくやられている印象があります。

A.5-2「制度の作成と廃止をセットに。継続・廃止の条件を決めておくのも効果的」(マネーフォワード社)

マネーフォワード 服部さん
ありがとうございます、弊社が意識していることは2点あります。

1つ目は「作ったら、廃止をする」ということです。人事もリソースが限られているので、要望だけを聞いていると、どんどん増やすばかりになってしまいます。ですので、増やすことと減らすことをセットにして考えています。

2つ目ですが、新規で制度を作るときには、テスト実施をするか、もしくは必ず継続の条件か廃止の条件を決めるようにしています。最初から条件を付けておくことで、迷いなく継続・廃止できますし、社員にも納得感が生まれます。

薮田
たとえば、廃止のルールにはどんなものがありますか?

マネーフォワード 服部さん
「利用率」や「運用負荷」などですね。過去に廃止・変更した具体例でいうと、ウェルカムランチは運用負荷が高く廃止しました。それ以外にも、毎日実施していた朝会についても、社員満足度を確認したり、メッセージが伝わっているかというアンケートのデータをもとに実施頻度を変更しました。

なので、社員の皆さんに対して「廃止します、ごめんなさい」がある一方で、経営者に対しても、「そんなに効果がないので廃止しましょう」と提案したりもしています。

Q.6 「急拡大するフェーズで出てくる不平不満は何ですか?」

薮田
続いて、急拡大するフェーズで出てくる不平不満は何ですか?

A.6-1「会社の変化により本人の期待値がずれる可能性も」(マネーフォワード社)

マネーフォワード 服部さん
我々のような拡大フェーズでよくあるのは、「小さい頃の会社がよかった」という声ですね。ただ、そういう不満については、正直どうしょうもできないなとも思っています。

会社が想像以上に変化し過ぎてしまって、ご本人との期待値がずれるようなパターンは確かにあると思います。

A.6-2「出てくる不平不満より、その本質を見極めることが重要」(FiNC Technologies社)

FiNC Technologies 中山さん
たとえば、「経営方針に同意できない」とか「大企業っぽくなった」など、意見としてはあると思いますが、実は本質的な不満は別にあるのではないかと感じる場合もあります。

薮田
もしかしたら、会社のフェーズが本人に合わなくなったということなのかも知れませんね。

FiNC Technologies 中山さん
そうですね。「ベンチャーっぽくない」という言葉がありますが、この不満を私が翻訳するならば、会社の成長とともに求められる能力も上がる一方で、自分も成長する必要があり、それに応えられなくなってしまい、そのストレスが「ベンチャーっぽくない」という不満に変わって表出しているのかなと思っています。

薮田
確かに、不平不満の本質という言葉がありましたが、会社が変えなくてはいけないことなのか、ご本人が変えなくてはいけないことなのか、そこをきちんと見極めることが重要なのかもしれませんね。

Q.7「もしもあの頃に戻れるのなら、どんなことをやっておきたかった?」

薮田
そろそろ終わりの時間が近づいています。では最後に、「もしもあの頃に戻れるのなら、どんなことをやっておきたかった?」という質問を一人ひとり聞いて終わりにしたいと思います。

A.7-1「他社の体制を知れていれば良かった」(アディッシュ社)

アディッシュ 杉之原さん
各社の管理本部の体制や人数などを知った上で、体制をつくれたら良かったのかなと思いました(笑)。一方で、弊社の体制だからこそ、人材関連検討委員会のような、社員が参加するオリジナルな進め方が生まれたのだなと、やや自社を俯瞰することができました。

A.7-2「もっと早い段階で社員データの取得を開始したかった」(マネーフォワード社)

マネーフォワード 服部さん
社員データを活用しようとするのなら、もっと早い段階から取得し始めなくてはいけなかったなと思いました。

今後は人事がもっとデータ活用していく時代になると思いますが、人数が少ない段階で最初から、データ収集のスキームや文化を作らないと、途中で急に始めた場合にデータ収集にすごくコストがかかったり社員の不信感へとつながったりする恐れがあるので、注意が必要です。

A.7-3「採用のミスマッチを防ぎたかった」(FiNC Technologies社)

FiNC Technologies 中山さん
成長中のスタートアップの方はきっとご経験があるかと思うのですが、一時期、能力的には優秀だけど自社には合わない方を採用してしまったことがありました。ミスマッチな採用をしてしまうとお互いに不幸になってしまうので、それを事前に防げたらよかったなとは思います。

薮田
自社の成長フェーズ、規模やタイミングによって、採用時に求めることは変わってしまうものなんですね。これからもし今までに応募がなかったような優秀な人が来たとしても、そこで浮かれずに、自社に合うかしっかり見極めるのが大事なのかもしれないですね。

さて、時間になりましたので、このセッションは以上で終了とさせていただきます。皆さん、ありがとうございました!

(了)


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宅美浩太郎

株式会社SmartHR マーケティング。SE、ウェブ担当者を経験した後、ウェブ編集者に。複数のメディアで編集長を務めた後、現職へ。
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