ベテラン労務担当者がペーパーレス年末調整の効果を実感!コンテンツ活用と社内アナウンスのKUFU | 22/10/13編 PARK mini レポート
- 公開日
目次
こんにちは! SmartHR カスタマーサクセスチームの中嶋です。
年末調整の足音が近づいてきた10月上旬、「SmartHRを活用した年末調整」をテーマにSmartHRユーザーミートアップ「PARK mini」をオンラインで開催しました。
参加されたユーザーのみなさん、ありがとうございます!
本稿では、2022年10月13日に開催した「PARK mini 年末調整 〜先人に学ぶ!年末調整のKUFUと心構え〜」の中から、パネルディスカッションパートのユーザー登壇レポートをお届けします!
そもそもPARK mini とは?
SmartHRではユーザー同士で交流し、共に人事・労務やSmartHRの活用方法について学びあうコミュニティ「PARK」を運営しています。PARKの活動の中でも、定期的に開催するミートアップイベントとして開催しているのが「PARK mini」です。
今回のパネラーとモデレーターは以下の3名です。
株式会社ズコーシャ 労務担当
株式会社SmartHR 労務担当
株式会社SmartHR
おふたりのリアルな経験談に基づいた、SmartHRで年末調整を進める上での「KUFU(工夫)と心構え」、ぜひ参考にしてください!
※「KUFU」とは株式会社SmartHRの創業時の社名である「株式会社KUFU」に由来しています。
当日の集合写真
PARK miniでの登壇動画はこちら!
登壇者のご紹介
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
株式会社ズコーシャの牛来と申します。
当社は北海道帯広市に本社がある、建設コンサルタント、情報処理サービス業の会社です。従業員数は273名で、2022年は267名ほどが年末調整の対象となる予定です。
私は新卒入社以来、総務部で勤務してきました。主に給与計算や福利厚生、社会保険関連の手続きのほか、多岐にわたる業務に携わっています。
SmartHRは2021年の9月に導入し、年末調整は今年で2年目。趣味は、休日に息子と一緒にサッカーをすることです。本日はどうぞよろしくお願いいたします!
真田さん(株式会社SmartHR)
株式会社SmartHRで社内労務を担当している真田と申します。従業員数は2022年10月13日時点で714名程度で、年末調整の対象者は670名ほどです。
私は1万名規模の企業でシェアード業務を担当したり、前職では現在と同規模企業で人事・労務業務を担当したりと、長く人事・労務としてのキャリアを歩んできました。
実は、SmartHRには今年6月に入社したため、SmartHRを使っての年末調整は今回がはじめてです。
「SmartHRでの年末調整がはじめてだ」という方という方がいれば、近しい状況です。今回は、SmartHRを提供するSmartHR社の年末調整オペレーションを、社内労務チームを代表してお伝えできたらと思います。
趣味は、最近再開したランニングです。本日はよろしくお願いいたします!
SmartHRユーザーによる事例共有
1.SmartHRの年末調整でここが変わった!
はじめに、牛来さんにお伺いします。SmartHRを導入したきっかけと、導入後のインパクトをそれぞれ教えてください。
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
導入のきっかけは、妻の働く会社が年末調整のぺーパーレス化サービスを利用しており、興味を持ったことからでした。当社に合うサービスを探していたところ、SmartHRのインターネット広告を見て、検討をスタート。SmartHRカラーが個人的に好みで親近感を覚え、上司を説得して導入しました。
2021年9月に導入し、年末調整が本格化するまで2か月の準備期間があったので、スムーズに準備ができました。
SmartHRを導入して一番大きかったインパクトは、年末調整用紙の発送や差し戻しによる再送が不要になったことです。当社は北海道に拠点が6つあるのですが、北海道という土地柄から、各拠点へ年末調整用紙の送付と返送を行うと、雪による郵送遅延がよく発生していました。SmartHR導入により、気候影響を考慮しなくて良くなったので、かなり便利になりました。
また、従業員から年末調整の提出があると即座に通知が届くため、万が一差し戻しがあった場合でも、すぐに次のアクションを取れます。導入前は、従業員に差し戻して正しい情報を回収するのに郵送が必要だったため、途方に暮れる作業でした。それがオンラインで完結できるようになったことも、業務効率化のインパクトとして大きかったですね。
あわせて、導入前は控除証明書の原本を年末調整用紙の裏にクリップ留めやのり付けをしてもらっていて、何度も用紙を裏返して原本と申告内容をチェックをしていてかなり大変でした。
SmartHRでは、事前に控除証明書の画像データと申告内容をチェックできるので、原本到着を待たずにチェックできました。
控除証明書の原本提出の締め切りは、思い切って翌年の1月に設定し、従業員にはゆっくり提出してくださいとアナウンスしましたね。
従業員からの提出通知でタイムリーにチェックが可能とのことですが、提出され次第チェックをしていたんですか?
はい、昨年は提出されたらすぐにチェックをしました。どんどん提出された内容をチェックして、不備があれば修正してほしい箇所を書いてすぐに差し戻すようにしていました。やりとりがタイムリーになったからか、わずか1分ほどで修正内容を再提出してくれる人もいましたね。
2.年末調整をスムーズに進めるためのポイントは?
それでは、年末調整のポイント、チェック対応における工夫を教えてください。
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
昨年のポイントは、申告書類のチェック、差し戻し対応に時間を多くとったことです。
導入前は、一度の差し戻しで正しい申告内容を漏れなく回収するため、細かく修正内容を指示することに苦労しました。SmartHR導入後は、ピンポイントで修正箇所を指示して何度でも差し戻せるところが良かったです。
昨年は、効率化できた点を比較しようと思い、あえて紙で年末調整をやっていたときと同じスケジュールで実施しました。導入前と比較すると年末調整用紙配布の時間短縮ができた分、申告書類内容チェックや差し戻し対応にもっと時間を割いてもいいと思いました。
当社の特徴かもしれませんが、提出が早い方、遅い方と二極化した印象です。具体的にいうと、数名だけ未提出の人がいる状態でしたね。
昨年、SmartHRの年末調整は約100万人の方にご利用いただきましたが、1週間以内に50%の方、2週間以内に7−80%の方が提出完了した、というデータがあります。しかし、業種を問わず5%くらいの方は締め切りを過ぎても未提出、という傾向がありました。(※ユーザーヒアリング・社内調査結果による)その5%の方に向けての打ち手を考える必要がありますね。それでは、真田さんのチェック方法を教えてください。
真田さん(株式会社SmartHR)
例年、当社では2週間の依頼期間で年末調整を実施しています。私のこれまでの経験の中では、もっとも申告期間が短いですね。そのため、あの手この手を使ってリマインドをしています。
当社では、「Slack」というチャットツールを利用してアナウンスをしています。全社員が参加する「期間限定チャンネル」を作成し、このチャンネル内で申告依頼をアナウンスを実施。申告が終了した方から、そのチャンネルを抜けていいというルールにしています。
未提出の人がこのチャンネルに残っていますので、定期的にリマインドを送ります。締切直前は、それこそ5%くらいの方しか残っていないため、あらためて個人宛にアナウンスをしています。
それでも提出がない場合は、上長もメンション先に追加して、粘り強く申告依頼をしていますね。最終的に誰が申告をしていないのか視覚的に確認できるので、効果が高いと思います。
また、SmartHRを開発している会社なので、 申告内容に間違いの無いよう心掛けています。そのため、3次チェックまでおこなう体制を組んでいます。1次チェック担当者はあまり年末調整の経験が無いメンバー、2次チェックは中堅、3次チェックはベテランが実施、と業務分担しています。
チェック体制について、ツールで管理していると聞いています。
BYARDのフロー図1(クリックで拡大できます)
グループ会社の「BYARD」というタスク管理ツールを利用して、管理しています。
BYARDは、視覚的に業務フロー図が作成できるツールです。業務フロー内に締め切りを設定できるので、いつまでにこのタスクを実施するべきか明示しながら業務分担をできます。まさに、今日(10/13)に最初のタスク【全社へのアナウンス】が完了しました。
BYARDのフロー図2(クリックで拡大できます)
それでは、先ほどお伝えした、3次チェックを実施する部分やタイミング、実施方法を説明します。
保険料控除や住宅ローン控除など、金額や影響が大きい部分は給与計算ソフトに取り込むまでに3次チェックを実施しています。SmartHRの画面上で控除金額の入力間違えがないか、チェックしています。
扶養控除や基礎控除については、給与計算ソフトに取り込んだ後にチェックをしています。差分リストを使うことで効率的にチェックができるので、あえてこのタイミングで実施し、チェックが完了次第、給与計算をしています。
3.給与計算ソフトへの連携時のポイントは?
引き続き、真田さんへ給与ソフトへの連携時のポイントについて伺いたいです。
真田さん(株式会社SmartHR)
事前にデータの精査や、意図しない情報が入っていないかの確認、いわゆる「データクレンジング」が大事だと思っています。
具体的には、【1】住所の番地表記でハイフン表記に統一されているか、②氏名のよみがなが登録されているか、【3】世帯主が登録されているかなどをチェックしています。
実は、去年これらのデータが統一されていなかったため、源泉徴収票作成時に正しく情報が反映されなかったり、作成段階でエラーになったりすることもありました。今年は、この反省からデータクレンジングを事前に実施しようと思っています。
ちなみにデータクレンジングをするにあたっては、CSVなどで情報を一括でダウンロードしているのでしょうか?
CSVで従業員情報をダウンロードして、目視で確認しています。去年苦労して修正したので、今年の入社者を中心に、確認しています。
また、昨年は年末調整機能へ従業員情報を連携した後から、年末調整の申告依頼を開始するまでの期間内で住所変更や家族情報変更を申請する従業員が多くいました。
そのため、差分リストに表示される情報が年末調整前に変更したのか、年末調整のタイミングで変更されたのか?の判別がつかなくなってしまい、混乱する場面もありました。
この反省を活かして、今年は個人情報の変更は年末調整前までに済ませてもらうようにし、申告依頼をはじめるギリギリのタイミングでデータ連携する予定です。
4.SmartHR提供のサポートコンテンツの活用方法
SmartHRが提供する年末調整のサポートコンテンツの活用方法について、牛来さんにお伺いしたいです。
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
提供された告知ポスターや説明会用のスライド資料などは、すべて利用しました。
当社の社屋は5階建てなのですが、告知用ポスターは各階へ掲示しました。役員室や社長室にも貼りに行きましたね。従業員への説明会は未実施でしたが、グループウェアでの告知時には説明資料も添付して、いつでも資料にたどり着けるようにしました。
また、私もヘルプセンターの記事を読んだり、マニュアルを見てもわからないときはSmartHRのチャットサポートへ問い合わせをしました。悩んだ質問に即座に回答をいただいたとき、感謝の言葉を返信すると「とんでもございません!」と返事が届いて、非常に嬉しかったです。繁忙期の出来事だったので、なんだか癒されました。
説明会は未実施とのことですが、SmartHR以外のツール導入時にも説明会は実施されないんですか?
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
いいえ。ツールを導入するときには必ず説明会を実施するのですが、私自身がSmartHRの使いやすさを実感していたので、説明会を実施しなくてもサポートコンテンツを見ればわかるので、すぐに年末調整の依頼を開始しました。
基本はアンケート形式で答えていくだけなので、従業員がつまづきそうなところは住宅ローン控除の箇所くらいかと思います。実際に、従業員から質問があったのも住宅ローン控除についてでした。たしかに、増築の場合の申告は少し難しいですよね。
また、紙で年末調整を実施していたときは、自宅でパートナーに代わりに書類を書いてもらっていた人もいました。SmartHR導入後は、ご自身で年末調整を実施してもらうので、なぜこの控除や還付があるのかを知るいいきっかけになったと思います。
はじめてSmartHRで年末調整を実施する企業の方からは、控除証明書の画像添付が不安かも……という声もあるようですが、実際に使用してみていかがでしたか?
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
PDF形式とjpeg形式のどちらで提出したらいいか、と質問がありましたが、「どちらでもいいですよ」と案内しました。実は、当社ではクラウドサービスの導入もはじめてでしたが、思ったよりもスムーズに利用できました。紙で実施するよりも、オンラインで完結できて従業員も良い印象を持ったようですね。詳細説明がなくても、従業員向けのチャットボットの利用で疑問点は解消できたようです。
5.差分リストの活用方法
それでは、先ほどのデータクレンジングの発表でも出てきた、差分リスト活用のポイントを真田さんにお伺いします。
真田さん(株式会社SmartHR)
差分リストとは、申告の前後で情報変更があった箇所がわかる非常に便利な機能です。
私が今まで利用していたツールではこのような機能が無かったので、今から利用できるのを楽しみにしています。先ほどお話した通り、昨年は従業員情報のデータ連携が早かったため、不明な差分が多く出てしまったのが課題でした。今年は、従業員から申告されるギリギリのタイミングでの情報連携を予定しています。せっかくの便利な機能なので、活用したいと思っています。
6.今年の改善ポイントは?
今年の年末調整の改善ポイントをお聞きしたいです。
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
3点あります。1点目は、紙で実施していたときよりもスケジュールを前倒しする予定です。従来は社内向けに11月末に提出締め切り、提出漏れの人は12月の1週目まで待っていました。今年は告知自体も早め、原本の提出締め切りを12月末までにする予定です。従業員からシステム化に対するリアクションも良かったので、スケジュールを早めても大丈夫かも?と感じました。提出の遅い方については、従来どおり個別対応をしていきます。
2点目は、差分リストの活用です。3点目は、SmartHRの源泉徴収票機能の活用です。去年は、SmartHRへ取り込む時間が足らずに、給与計算システム側で作成したPDFデータを「文書配付機能」で配付しました。今年は、SmartHRで配布したいと思っています。
源泉徴収票の機能はぜひ今年活用してほしいですね。真田さんはいかがでしょうか?
真田さん(株式会社SmartHR)
今年改善したいのは、進捗管理のシステム化です。
昨年まではExcelでガントチャートを作成しスケジュール管理をしていましたが、タスクの管理方法は決まっておらず、実際の進捗管理はタスクごとにフォルダを作成したり、Excelで別のシートを用意したりとバラバラの管理となってしまいました。管理場所を一箇所に集めようとしたこともありましたが、Excelがとても重くなってしまいあまりうまくいきませんでした。
今年は、すべての起点となるポータルとして、先ほどお見せしたタスク管理ツール「BYARD」を活用する予定です。
どこまで進捗しているか、実際のタスクを確認したいときは確認できるリンク先を貼り付けたりして、BYARDを見れば進捗がわかる状態を目指しています。
参加ユーザーへのメッセージ
最後に、今年の年末調整に向けて、おふたりからメッセージをお願いします!
牛来さん(株式会社ズコーシャ)
昨年導入してみて、従業員も労務担当者も楽しく年末調整をできたと感じています。
「年末調整って難しそう……」という印象から、「年末調整は楽しい!」と思ってもらえるような社内告知が重要です。
差し戻しがあっても、「ここを直してね」とやさしい気持ちで業務にあたれたらいいですね。なので、今年はじめてSmartHRで年末調整を実施する方にはぜひ楽しんでほしいとお伝えしたいです。私は今年で2年目ですので、間違えのないようにさらに楽しみたいと思います。何十年も同じ業務に携わっていると、楽しさを感じなくなってきてしまいます。これからも楽しむ気持ちを忘れずにいたいなと思っています。
真田さん(株式会社SmartHR)
SmartHRに入社するまで、年末調整の期間はコロナが流行っている期間であっても、紙を扱う業務のため出社が当たり前でした。
今年はじめて、年末調整期間であってもリモートワークで対応する予定です。私自身にとってもはじめてのことなので、とても楽しみにしています。
やはり、年末調整の時期は少し憂鬱な気持ちになったり、「またこの時期がきてしまった……」と思ってしまいがちかと思います。労務担当者のみなさんのこうした負担が少しずつ減り、楽しく業務ができるような環境をつくれたら、SmartHR社の社員としても、いち労務担当者としても嬉しく思います。
後半:ブレイクアウトルームにわかれて交流会!
後半のお時間では、3グループに分かれて年末調整の運用面を中心とした情報交換を行いました。「12月入社対応はどうしているか」「社労士へどんな内容をチェック依頼しているか」など、さまざまな話題で盛り上がりました。
参加ユーザーの感想
登壇いただいた2社のお話が勉強になった、というお声はもちろん、「元気になった」「気持ちが楽になった」「不安が解消された」など、年末調整に対して前向きになった方が多かったのが非常に印象的でした!
- 当たり前と思っていた部分が、各社さんが自社に合わせたフローでやられていて、発見でした。有難うございました!
- 今まで他社様と今回のような話をする機会がなかったため、大変参考になりました。
- 今年の年調で取り入れたい具体的な策をシェアして頂けたので満足です。
- 年末調整への不安が軽減されました。
- 年調の回答依頼期間について短期間で実施されている例があることを知れたので参考になった。
- 従業員へ説明しすぎなくても利用ができそうで安心できた。
- 年調の回答依頼期間について短期間で実施されている例があることを知れたので参考になった。
- 従業員へ説明しすぎなくても利用ができそうで安心できた。
また、座談会パートでいろいろ悩みも含め共感したり、運用を聞けて良かったという感想もありました。私たちSmartHRメンバーも、リアルなお話を伺えて、非常に有意義な時間となりました。
あとがき
年末調整シーズンがいよいよ目の前に迫ってまいりましたが、今回のPARK miniが少しでも皆さんの不安を取り除き、背中を押すお手伝いができていれば、嬉しいかぎりです。
2022年の年末調整も、一緒に頑張ってまいりましょう!
最後にあらためて、今回ご参加いただいた登壇者のお二人、そして参加ユーザーの皆様、本当にありがとうございました!これからもSmartHRとPARK miniをよろしくお願いいたします。