従業員データを人事戦略にどう活かす?「タレマネ1年生」からの学び
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企業の成長を支える戦略的な人材配置や離職予測をするために重要な「従業員データ活用」。しかし、データを集めても、どのように使えばよいのかわからないという課題を抱えている人事担当者が多いのではないでしょうか?HRテクノロジーの進展により、人事データのデジタル化が加速している現在、活用方法に確固たる正解はありません。
そこで、SmartHRのユーザーコミュニティ「PARK」では、実践的な「タレントマネジメント」を学び、活用できる企画「タレマネ1年生」が開催されました。この記事では、9月に実施された最終発表会から、参加者の事例を抜粋してご紹介します。
タレマネ1年生とは?
「タレマネ1年生」は、SmartHRが提供するタレントマネジメント機能を活用しながら、参加者自身で1か月後のゴールを設定し、達成に向けて取り組むプログラムです。参加者は、週ごとに課題に取り組みながら、自社のデータを分析し、実際の人事施策に結びつけることを目指します。
共通して見られた課題は、マネジメント層と現場の意識のズレ、離職率の上昇、業務の属人化。これらをデータ活用によってどう解決していくかが、参加者たちのチャレンジでした。
「タレマネ1年生」では、各自が設定したゴールに向けて取り組むなかで、進捗がうまくいかなくても、PARK内のスレッドで気軽に質問や意見を交換したり、スタンプで簡単に反応することができます。こうしたフランクなコミュニケーションが、参加者同士を励ましあい、課題を乗り越える大きな支えとなっています。
成功事例:経営層に役立つ人事データの整備に悩む近藤さんの挑戦
医療法人御殿山 福田総合病院で総務や採用を担当する近藤さんは、タレントマネジメントに関する施策を検討する際、必要なデータが整備できていないという課題を感じていました。また、以前からSmartHRを導入していたものの、その分析レポートを十分に活用できていなかったため、これらの課題を解決するために「タレマネ1年生」に参加したといいます。
「1か月間の目標は、経営陣が見たいデータを整理して、SmartHRの分析レポートの草案をつくることでした。結果的には、草案が1つ完成し、目標は達成できたかなと思います。もちろん、まだ改善の余地はありますが、少なくともスタートラインには立てたと感じています」
近藤さんは、データの洗い出しからはじめ、SmartHRの分析レポートを活用してデータを整理しました。さらに、レポートを作成するなかで自分自身の業務を振り返る機会も得たそうです。
「入職者数や退職者数の推移のデータを見て、自分がどれだけ採用業務や離職防止の施策に取り組んできたかを振り返る機会になりました。そのときの頑張りを思い出してふと胸が熱くなりましたね」
一方で、近藤さんは経営陣に対して「この分析レポートをつくって何をするのか」が十分に伝わらなかったことを反省点として挙げています。今後は、レポートのブラッシュアップをして、毎月の確認に役立てることを目指すそうです。
「タレントマネジメントは手段であり、その先にデータをどう活用するかの目的を考える必要があると実感しました。SmartHRのほかの機能も活用し、幅広い視野で取り組んでいきたいです」
成功事例:労務データの共有に悩む田中さんの挑戦
ユナイテッド株式会社の田中さんは、グループ企業の出向者を含む約100名の労務を担当しています。今回、SmartHRの分析レポートを活用して社内データ共有を進めたいとの想いから「タレマネ1年生」に参加しました。もともとSmartHRの労務機能をはじめ多くの機能を活用していましたが、分析レポート導入後の運用が難しく、活用を先延ばしにしていたといいます。今回の企画を機に活用を推進したいと、まず「人事部内でのデータ共有」をゴールとして設定しました。
「労務データの情報提供がタイムリーにできていないことが課題でした。上場会社のため非公開情報が多く、給与情報などは手作業で慎重にデータを加工する必要があります。そのため、データ共有には時間と工数がかかっていました。しかしSmartHR導入後は、データの蓄積が進み、分析レポートで“数値として出せる状態”が整いました。その結果、人事部内の採用や社員育成チームに、人員推移や制度利用率などのデータを迅速に共有できるようになったのです」と田中さんは振り返ります。
また、上司が新しい人事制度の提案資料を作成する際に、分析レポートで作成したグラフを活用していたことがとくに印象的だったそうです。「グラフが視覚的にわかりやすく、説得力のある資料作成に役立ったことで、自部署にダイレクトに貢献できました。やはり、まずはやってみることが大事だと実感しています」と田中さん。
「今後はデータの提供だけでなく、ほかの部署と連携しながらその活用方法を共有することが重要だと考えています。さらに、SmartHRの分析レポートを活用して部門間の連携を強化していく予定です」
成功事例:現場と経営層の意思疎通に悩む岡部さんの挑戦
株式会社晃商の岡部さんは、経営戦略と人的資本のギャップに直面し、適切な施策を打ち出せないという課題を抱えていました。また、現場や事業部向けに作成した分析レポートが十分に活用されていないと感じていたそうです。そこで、経営層や現場とのデータ共有を通じて意思決定や組織改善に役立てるため、「タレマネ1年生」プロジェクトに参加しました。
同社はパチンコホールや飲食店など多岐にわたる事業を展開し、アルバイト・パートを含め約1,200名の従業員が働いています。岡部さんは、こうした規模や多様な業態に対応しながら、ビジネスモデルや人的資本に関する課題解決を目指し、分析レポートを活用した具体的な取り組みを進めてきました。
「タレマネ1年生の1か月後の目標は、現場や事業部と一緒に分析レポートを見ながらディスカッションを重ね、課題意識を共有し、レポート内容を更新することです」と岡部さん。この1か月間、岡部さんは5拠点を訪問し、現場とコミュニケーションを取りながら、分析レポートを活用。さらに、役員や拠点長にメールで、レポートの活用状況や今後の期待をヒアリングしています。
「取り組みのなかで、拠点ごとの労務管理にばらつきがあることが明らかになりました。とくに、労働契約と実際の勤務時間の間に調整が必要な点があり、労務管理の一貫性をさらに強化する余地が見つかっています。また、店舗間での時給設定に関する情報共有が不足していることも、改善が期待される部分です。
離職率についても、単に高いから悪いのではなく、その背後にある要因をしっかり分析することの大切さを学びました。今後も、分析レポートを活用しながら、現場と事業部の課題を共有し、組織全体の改善に向けて取り組んでいく予定です」と岡部さんは振り返ります。
企業を超えた連携とスキルアップの機会
今回の「タレマネ1年生」は、参加者が自らの経験をプログラム参加メンバーに共有することで、互いに学びあうコミュニティとしての役割を果たし、企業の枠を越えて連携できる場となりました。
今後も、SmartHRのユーザーコミュニティ「PARK」では、「タレマネ1年生」のような実践的な学びの場を継続して提供し、参加者のスキルアップを支援していく予定です。データ活用に不安を感じている企業や、タレントマネジメントの推進を考えている方は、ぜひPARKにご参加ください。共に学びあい、組織の成長を実現するための場がここにあります。