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変形労働時間制の適正運用の方法は?|労務のお仕事Q&A

公開日

この記事でわかること

  • 就業規則に明記する内容
  • 変更が認められる条件
目次

日ごろ、人事・労務業務を担当するなかで「これってどうなの?」という疑問もあるのではないでしょうか。そんな皆さまの疑問に、社労士・税理士・弁護士などの専門家がお答えします。今回は「変形労働時間制の適正運用のポイント」について、社労士が解説します。

変形労働時間制適用のためには、全シフトを就業規則に明記するしかない?

相談者

1か月単位の変形労働時間制について疑問があります。

最近話題となった「変形労働時間制が無効」とされた訴訟でもあったとおり、厳格なルール適用のもとで運用しないといけない流れがあります。店舗数が多ければシフトのパターンは何百種類にもなります。変形労働時間制を適用するためには、あらゆるシフトを就業規則に明記するほかないのでしょうか。

加えてシフトを決定した後は、相当な事情がなければ変更が認められません。ただ労働者自身が希望する場合は、法の趣旨である労働者の仕事と生活の調和が崩れない限り認めてもよいと思っていますが、いかがでしょうか。

(労務担当/サービス業界 京都府)

例外的な事由があれば変更は認められる

小菅 将樹

労使で話し合って決めた内容ですので、変更は認められると感じられるかもしれませんが、緊急かつ、不可避な事情、業務の大幅な変動があったときなど、例外的な事由による場合にその変更が認められます。

このため、労働者が希望したという事由では、変更が認められない可能性は多いに考えられます。

また、シフトの明記については「勤務パターンごとの始業および終業時刻を明記する」となっておりますので、別添などですべてのシフトパターンを就業規則に明記する必要があります。

本件の「教えて!専門家さん」小菅 将樹

アヴァンテ社会保険労務士事務所 元労働基準監督官

明治大学法学部卒業後、労働事務官として労働省へ入省し、個別労働関係紛争解決促進法の策定や国会対応業務、労働安全衛生総合研究所で研究員の給与計算業務等を経て、労働基準監督官に転官。厚生労働本省、労働保険審査会事務局、神奈川県相模原署、川崎南署、神奈川労働局労働保険徴収課勤務後、厚生労働省を退職。現在は各企業の顧問業務、法定教育、各種セミナー、安全パトロールを行っている。サッカー、フットサルの競技における運動器障害や大けがの経験を経て、運動指導に関わるトレーナーライセンスを取得。アスリートや企業で働く方など幅広い方を対象に、頭と動作を鍛え、機能改善、運動パフォーマンス向上へ導く運動指導を行う。

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