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記録的な酷暑、相次ぐ熱中症・・・。企業が知るべきオフィスの「安全配慮義務」とは?

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今年もまた、暑い夏がやってきました。目下、「災害級」の酷暑が連日ニュースを賑わせています。

2018年7月23日は記録的な酷暑となり、埼玉県熊谷市では、観測史上最高となる41.1度に達しました。

そうなると怖いのが、「熱中症」。すでに多くの方が救急搬送され、7月22日の救急出動件数3,125件は、1936年の救急業務開始以来、最多件数となったようで、この1週間足らずのうちに、4回も最多更新しているようです(*1)。

個人としてはもちろんですが、会社としても充分に注意する必要があります。今回は、「オフィス環境の管理」に焦点を当てて解説致します。

死亡リスクをもつ熱中症

厚生労働省の調べによると、職場における熱中症による死亡者数は、毎年10人以上となっています。また、4日以上休業した人は、400人を超えています。

職場における熱中症による死傷者数の推移

出典:職場における熱中症による死傷災害の発生状況 – 厚生労働省

このような災害の多くは、建設現場などでの屋外作業中に発生しています。

しかし、オフィス内で事務作業に従事していても、熱中症にかかることはあります。

熱中症予防対策だけでなく、オフィス内を安全で快適な空間にするための基準が定められています。

それが、「事務所衛生基準規則」です。

「事務所衛生基準規則」で定められた室温・湿度

事務所衛生基準規則の中で、エアコン等の空調設備を備えている事務所では、室温が17度以上28度以下、湿度が40%~70%になるようにする努力義務を定めています。

ただし、これはあくまで努力義務ですので、この基準を守らないからといって罰則を受けるようなことはありません。

とはいえ、先述の室温における「28度」という上限は「室温28度」であり、「エアコン設定28度」というわけではありません。つまり、「エアコン設定28度」だからといって、室温が28度になっているとは限らないので注意が必要です。

なお、このような基準が示されているにも関わらず、それを無視し、その結果、従業員が健康を害したとなれば、会社の責任が問われます

会社には、労働契約法第5条で定められた「安全配慮義務」があるからです。

「安全配慮義務」とは?

労働契約法第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」(※この法律には違反者に対する罰則は設けられていません。ただし、裁判等で争う際の根拠規定とされます。)

この条文からもわかるように、会社は従業員の安全や健康に配慮する必要があります。

それを怠り、従業員が健康を害した場合には、会社の責任が問われ、損害賠償請求される可能性もあります。

オフィス内の熱中症で労災と判断される場合も

ちなみに、この安全配慮義務については、かなり広く様々な場面で適用されます。例えば、社内でいじめが発生して被害者が「うつ」になった場合や、長時間労働をさせた従業員が健康を害した場合などでも、安全配慮義務違反と判断されます。

また、オフィス内で熱中症にかかれば、労災と判断される可能性があります。労災となった場合には、労災保険からの給付とは別に、会社は損害賠償請求されることがあります。

特に、死亡災害の場合には、相当高額な賠償義務を負う場合があります。

従業員個々人の健康を守るという観点を大前提に、事務所内の環境づくりに十分配慮すべきです。

常時50人以上の事業所では「衛生管理者」の選任義務

それでは、どのように対策を進めるのがよいのでしょうか?

まず、常時50人以上の従業員を使用する事業所では、衛生管理者を選任する義務があります。

そのような事業所では、衛生管理者のもと、オフィス内の環境を整備していくとよいでしょう。

事務所衛生基準規則では、先述の室温や湿度の他にも、照明や騒音、トイレの設置基準や休養室の設置について定めています。

規則に定められた事項を守らなければ、安全配慮義務違反となる場合や労働安全衛生法による罰則を受ける可能性があります。

ご存じの通り熱中症には死亡リスクがありますし、救急搬送されるケースも多発しています。また、そこまで至らずとも、仕事の能率低下の原因となったり、その環境の悪さが従業員満足度の低下、ひいては退職の引き金にもなりかねません。

まずは、旗振り役となる衛生管理者を選任し、オフィスは適温か、騒音はないか、トイレは清潔か、などなど社内の点検体制を見直し、適切な対策を施すことから始めましょう。

「ストレスフルな職場を改善する」「オフィスの環境を安全で快適なものに整える」「より働きやすいオフィスを作る」きっかけにしていただきたいと思います。

【参照】
*1:熱中症で救急搬送、昨年1年間より多く 3500人超に – 朝日新聞DIGITAL

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